(以前別垢で投稿していたものを書き直しての再投稿になります。)
はい、浅くはありますが型月作品が大好きで、月姫リメイクをやって大変感動しました。
無茶苦茶泣きました。にやけました。悶えました。
素敵な作品です。
でも……でも……っ。
私はどうしても志貴とアルクが平和に仲良くイチャイチャするだけの未来がみてみたかったのです。
合わないという方はここでブラウザバックを推奨します。
それでもいいという方、同士の方、よければ。
「おーどけどけてめぇら!朝っぱらから講義室の前で群がってんじゃあねえよ!お、志貴!今日も顔色悪そうだな!」
なはははははははは!
という喧しい笑い声が頭に響く。
……はぁ。
と、思わずため息も出る。
全くあいつはいつになったら落ち着きが出るのか……。
そんな、どこかであったような、というデジャブを感じながら俺は中学からの友人。
……いや。
あいつはもはや腐れ縁と言った方が正しいかもしれないな。
と心の片隅に思いながら、乾有彦に挨拶を返す。
「あー、お前のおかげで貧血に加えてさらに頭痛までしてきたよ。なんだ?今日は出席する日だったか?」
「ひどい、ひどくないですか、ひどすぎませんかねえ!?それが中学からの親友に対する朝の挨拶ですかー!?…と、まあ、出席に関してはそうだな、そろそろ出席しとこうかと思ってね。大学まできて留年はシャレにならねえし」
相変わらず要領だけはいいやつである。
こちとらしっかり…まあ、出れる日はしっかり高校にいって真面目に勉強してたのに、こいつは半年勉強して俺と同じ学部に受かりやがった時は世の中を恨んだもんだ。
本人曰く
「みなさん、余分なことをやりすぎなんですよ、目標だけパパッと決めたらあとはやらないことはやらない、やる必要があることだけやればいいんですよ!」
とのことらしい。
まあ確かにその通りなんだが、それでもあれもこれもとしたくなるのが普通である。
その点、こう極端に動けるのはこいつの一種の才能かもしれん。
「そんなことより志貴!今日は授業午前までだし、2人で街に出て可愛い子探さねえか???」
はあ、何をこいつはほざいているんだ。
そんなことしていたら家の当主様、わが妹君こと秋葉様に俺が1日中怒られるはめになる。
それに、今日はーー
「ーー悪い有彦。今日は高校に行く予定なんだ。」
そう、特に用事があるわけではない。
ただ、あれから3年。
あいつと過ごした最後の日。
1年の内この日だけは、あの場所。
あの教室で待とうと決めている。
「俺はイフが好きだからな。どんな結果になるかはわからないけど、その時は希望があるように思えるだろう?」
なんて。
そう格好を付けてみるものの、俺は結局のところ、アイツが忘れられないだけなんだということをこの日には、特に強く思う。
◆
「ふう、毎年すいませんね…」
そう言いながら俺はメガネを外し、鍵を『殺す』。
ーーパキン。
ゆっくりと線をなぞれば錠はそんな子気味のいい音を立てて跡形もなくバラバラとなり崩れ落ちる。
時刻は夕暮れ時、17時。
この時期は毎年テスト習慣なので、自称進学校である我が母校は部活動も禁止になり、校内には誰もいなくなる。
そして、それをいいことに俺は毎年この校舎の鍵を破壊しているわけだが、
「将来、働き始めたら絶対この学校に寄付しよう…」
と心に決めているわけだ。
決してこのままでやり逃げしようなんて思っていない、本当だぞ?
……と、そんな誰に弁解するわけでもないのに、言い訳しながら学校内にお邪魔する。
3年前、ロアと戦った時から少し綺麗になりはしたが、構造自体は変わらない。
迷うことなくあの教室、あの窓際の席にすわる。
とくにどうする、というわけではない。ただ座る。
あれだけ苦手だった夕焼けの色も、今では綺麗だと感じる。
そして、この席に座って、日が落ちるまでただ呆と、あの時の壮絶な戦いの日々を、そして、アイツのことを考えている。
「幸い、大学生になって、門限は10時に伸びたし…いやいや、そもそも大学生になって門限ってなんだよ!?」
こんなこと屋敷で言えばこわーい当主様のカミナリが落ちるので、せめてこういう時に発散させてもらおう。
「さて、そろそろ帰るか。こんなこと、そろそろ終わらせないといけないってわかっているんだけどな」
と、呟きながら、教室に背を向けて、扉を開ける。
そう、もうこんなことは終わらせなければいけない。
秋葉も先輩も、みんあ心配してしまうし、何より、あいつに見られたら笑われてしまうからな。
そう思いながら、俺は帰路につこうとする。
「はあ、相変わらずね志貴。まさか、ここで待っててくれているなんて思いもしかったわ」
……呼吸が止まる。
まるで水のような綺麗な声でありながら、どこか人懐っこい声をさせる、忘れたくとも、忘れられない声が俺の耳を通過する。
驚いて振り返ると、そこには恐ろしいほど綺麗な女がいた。
「ふふ、久しぶりね志貴」
猫のようなふわふわとした金髪を靡かせ、その赤い目はきっと、見るもの全てを魅了させる。
しかし、整いすぎた容姿は一種の恐れを抱かせるのだと気付かせるそんな女だった。
「あ、アル、クェイド?」
「なーに志貴?もしかしてわたしのこと忘れちゃったのかしら?それなら、自己紹介から始めましょうか!」
そう言いながら、女は言葉を紡ぐ。
「こんにちは、私は3年前あなたに殺された女よ。わたしを殺した責任、ちゃんととってもらうんだから。」
「アルクェイド、おま、え……は?」
あまりに現実離れした出来事を前に志貴の脳みそはショート寸前である。
『眼』を酷使したときでさえ、ここまで思考が出来なくなったことはないであろう。
それもそのはず、彼女は3年前に俺に殺され、そのせいでロアとの戦いの末に吸血衝動が抑えられなくなり、眠りについたはずなのだ。
まあ、端的に言えば、ここにいるはずがないのである。
「むー、なあに志貴、せっかく久しぶりにわたしに会えたのに嬉しくないの!?私はとっても楽しみに、というか起きてすぐにあなたに会いに来たっていうのに!!」
は?起きた?起きたって言ったかいまこいつ?むっちゃくちゃの奴だとは思ってはいたが、いや、でも、
ふう、落ち着け志貴。いろいろ言いたいことはあるが、とりあえず、まず言わなくてはいけないことがあるだろう、こうして久しぶりに会えたんだ。
いうべきことは決まっているじゃないか
「心臓止まるかと思ったじゃねえか!!!来るなら事前に連絡しろこのバカぁぁぁ!!!!!!!」
◇
「な、ば、バカって言ったの!?いま!この私に向かって!バカって言ったのかしら!?な、なによ!久しぶりに会えたっていうのに、そんなこというなんて志貴の方がバカじゃない!」
「な!バカがバカって言うな!バカの価値が下がるだろ!バカはこの世に1人いればいいんですぅ!」
「あー!またバカって言ったわね!ばぁか、ばぁか!志貴のばーか!」
「……ハハハ」「……フフフ」
バカバカ言い合うしょうもないプチ喧嘩をしているというのに、俺たちの口はどうしようもなく緩み。
ついには笑い声をあげてしまう。
ああ、楽しいな。
こんなやり取りがまたできるなんて思いもしなかった。
アルクェイドと話せるのがうれしくて、話すのが楽しくて、つい怒鳴ってしまった。まず、言わなければいけないことがあるだろ志貴。
「ふう……おかえり、アルクェイド」
「うん!ただいま志貴!ずっと、ずぅ~っと会いたかったわ!」
そういいながら、この世の美を体現させたような彼女は、俺に向かって飛び込んでくる。
……飛び込んでくる!?
「ちょ、ちょ、まてアルクェイド!!こんな狭い教室飛び込んだらケガすーーおえぇ」
そんな静止の声など、かのわがまま吸血鬼の前ではどこ吹く風である。
そうして、完璧といっていいモデル体型に、白のニットに青のミニスカ、黒のハイソックスと目に毒なんだか目の保養なのか、紳士的な判断が試される容姿で突撃されては俺ももう20前の男である。
世間体的にも彼女を引きはがそうとするがするが、そんな思いも彼女の次の一言で……否。言葉でかき消される。
「あー。会いたかったわ志貴!
本当よ?
あのとき言った通り、この3年間、毎日あなたの夢を見たわ!
それはそれは、とても楽しい夢だったの、あなたと過ごした日々をもう1度夢に見て、あなた姿を、声を、においを、1日、1秒たりとも忘れたことはなかったわ。
でもやっぱり夢は夢ね!
現実のあなたの方がこんなにも暖かくて、あなたの鼓動が、呼吸音が、動きがここにいることを実感させてくれる。
すうー、はぁー。
うん。好き、大好き!大好きよ志貴!好き、大好き!安心して!もうあなたからは片時もはなれないわ!」
そういいながら彼女の右手は俺の頬をまるで割れ物を扱うようにやさしくなぞっていく。
俺を安心させるかのように、幸せそうに微笑み、そのまま互いの距離を詰めていく。
で、あれば、まだ幾分かよかった。
実際には
「ふふふ」
と微笑みながら、呪詛の如く何かを呟き始めたかと思えば、顔を手で固定され、体は抱き着かれているせいで動かせない。
交換させる視線の先には、完全にハイライトオフの彼女が恍惚とした表情でこちらに顔をよせてくるのだ、完全にホラーである。
(まてまてまて!なんかアルクェイドのやつ様子がおかしくないか!?とりあえず、脱出を、って体が一ミリも動かない!?)
当然である。
かたやただの一般人に毛が生えた程度の身体能力。
かたや、吸血鬼さえ恐れる真祖の王である。
人間につままれたアリが動けないのと同じである。
アルクェイドがちょっと力加減を間違えればこのままバキッといきかねない。
「志貴?」
「は、はい?」
「なんで逃げようとしてるの?」
「え「なんで逃げようとするのかしら?ねえ、なんで?」え、あ、いや」
(まずいまずいまずい!何がまずいかは俺にも分からないが、なんかまずい!なんとかしてアルクェイドを落ち着かせないとまずいと俺の生命と貞操がアラームを鳴らしている!)
「ねえ志貴?そんなに私と触れ合うのはいやなのかしら?」
「そ、そうだ、アルクェイド!せっかく帰ってきたんだ!あの公園で久しぶりに話さないか?久しぶりだし沢山話ししようぜ!」
は、はは、ははは。
と、苦し紛れの愛想笑いと共に絞り出された言葉。
だが、思いのほかこれが効果的だったのか、ピタっと彼女の動きが止まる。
これは、いけたか?
あってそうそうバッドエンドはごめんだぞ...
「いいわね!私も志貴の話、たくさん聞きたいわ!」
どうやらバッドエンドは回避できたようである。
彼女の頭にぴこぴこと耳が見えるほど、上機嫌に微笑んでいる。
はあ、相変わらず。めちゃくちゃな奴だな...でも、まあでもこいつらしいといえばこいつらしいな。
「なあにやってんのよ志貴!そうと決まれば早くいくわよ!」
でも、これで約束が果たせそうだな。これからは、うんと楽しい事をアルクェイドに教えてやろう。
誰もいない、校舎の中2人分の足音は校内に響き渡る。
我先にと歩くルシャに、おいていかれないよう俺も後に続く。
「いくって、今からか?」
「そりゃあ勿論!ねぇ志貴?そういえばあいつはどうしたの?大切にしてって言っておいたはずなんだけど。」
「あいつ?あいつってシエル先輩のことか?シエル先輩なら今……」
「ふぅーん、そ。それならしばらくはゆっくりできそうね」
「ん?いまなんて?」
「なんでもなーい!志貴には関係ない!」
「な、なんでもないことはないだろ!何て言ったんだよ!」
「なんでもないったらなんでもないのー!」
先を歩くルシャ。
ふと、その顔を除けば
「ふふ♪」
なんとも楽し気に笑っていた。
◇
よんでくださりありがとうございました。
ふぅ。
これで僕の思いを晴れました。
最後に一言だけ。
アルクェイド、かわいいいいいいいいいいいいい!