ごーかい・くえすと!   作:若人の気紛れ

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キャラとか台詞回しとかおかしくないかな?訂正などのご指摘はありがたく頂戴します。でも誹謗中傷は勘弁してください!


船失き海賊②

 露出が多く刺激的な服装で助長された、見る者全てを魅了するような美しい顔立ち。そしてそれに負けぬ淫靡と逞しさを兼ね揃えた完成された肉体。身体を覆い尽くさんばかりの背中に生えた大きな両翼と極太の尻尾。

 直視するだけで心を奪われる程の淫猥さを醸し出す風気を纏った妖女に、声も出ず見惚れたハカセが思わず手を伸ばしかけると、

 

 直後背後から乱暴に荒々しく伸ばされた手がハカセの首根っこを掴み、強引に力強く引っ張り上げた途端、夢と現実の狭間に落ちかけたハカセの意識が何とか現実に引き戻される。

 

「てめぇ!!」

 

 ハカセを背後に退がらせたマーベラスは、ジョー、ルカと共に、ゴーカイサーベルの刃先を侵入者に向ける。

 

「はっ…、テメェがハカセの言ってた『コウモリ女』か」

 

 大胆不敵な笑みを見せながら、その目は相対する侵入者の姿を離さない。

 

「それより貴様…、どこから入ってきた…!」

 

「大丈夫ですかドンさん!」

 

「あれ…?僕一体…」

 

「よかった…!」

 

 介抱を後ろの鎧とアイムに任せ、依然落ち着き払う妖女の警戒を怠らない。ここでジョーがある質問をしてみる。

 

「お前…ザンギャックか?」

 

「…ザンギャック?」

 

 ジョーの言葉に小首を傾げる侵入者。表情と反応から察するに、ザンギャックとは無関係のようだが、状況が変わったわけではない。ここまで誰にも気付かれずに船内に侵入し、尚且つ得物を突きつけられた状況であの態度。なにより妖魔から溢れる官能と暴の入り混じった異質な雰囲気に、この妖女が只者でないことをすぐに理解させられた。

 

「空飛ぶ船といい、そのマキナといい、こちらも聞きたいことが山ほどあるのだけれど、まあ良いわ…」

 

 薄い桃色の口紅のついたティーカップを置き、妖魔が口を開く。

 

「私は魔王軍四天王の一人"アルマエルマ"。単刀直入に言うけれど、ここは通行止めなの。悪いけど大人しく引き返してくれないかしら?」

 

「単刀直入に言わせてもらうぜ。ふざけんな

 

 ジャキンと金属音を鳴らしながら、マーベラスがサーベルを一段と強く突きつける。

 

「……」

 

「俺たちは海賊だ。魔王軍だかなんだか知らねぇが、俺たちは誰の指図も受けねぇ。そんなに言うこと聞かせたけりゃ、力ずくで俺たちを聞かせてみろ」

 

「『魔王軍』らしくな」

 

 マーベラスの言葉に、周りにいた船員たちも頷く。すると妖魔は静かに目を閉じ、ソファから立ち上がった。

 

「…交渉決裂ね。なら仕方ないわ。せめて苦しませずに……海面に浮かぶ干物にしてあげる♡

 

「はっ…、やれるもんならやってみろ!」

 

 机に飛び乗ったマーベラスが右手のゴーカイサーベルで斬りかかると、ひと吹きのつむじ風が吹いた瞬間、目の前にいた妖魔の姿が消える。

 

「消えちゃった!」

 

「女郎…!まだ近くにいる筈だ。探せ!」

 

 起き上がったハカセが驚愕するなか、マーベラスが振り返り、ジョーたちも捜索を始めようとした時、

 

 

 

「フー♡」

 

「んにゃぁぁぁあああ!?」ゾクゾクゾクゾクゾクゾク

 

「ルカさん!?」

 

 気付かぬ内にルカの背後に周り込んでいたアルマエルマが、右耳に息を吹きかける。すると、普段の彼女から想像出来ないような弱々しい嬌声に似たような奇声をあげながら、へにゃへにゃと腰の砕けたルカが吹きかけられた耳を押さえて、床にペタリとしゃがみ込んでしまった。

 

「あらら、意外と初心なのね♡」

 

 口に手を当てて微笑む妖魔。

 

「あのルカが『んにゃ〜!』だって…!」

 

「あのルカさんが、猫みたいに…!」

 

「…〜〜〜っ!!そんな呑気に言ってる場合じゃないでしょ!あとでハカセと鎧はしばくとして、早くやっちゃってよ!」

 

「言われなくてもわかってる!!」

 

 思わず吹き出す二人。顔を真っ赤にしたルカの怒声が響くなか、マーベラスはアルマエルマに向けて幾度とゴーカイガンの引き金を引き、数発の弾丸が狭い船内を飛翔する。

 

 が、

 

シュバババババ!

 

 銃弾が到達するより速い速度で、アルマエルマが空中を移動する弾丸を全弾素手で掴み取ってしまった。

 

「ふふ…♡」

 

 ゆっくりと見せつけるように掌を開くと、掴んだ弾丸が床に音を立てて落下する。

 

「嘘でしょ!?」

 

「くっ…なんという動体視力。そしてそれに付随する身体能力も人間離れしている…!」

 

「そんな事を呑気に言ってる場合か!来るぞ!」

 

 マーベラスの言葉通り、お返しと言わんばかりにアルマエルマが蹴りの動作に入り、

 

「今度はこっちの番ね」

 

「っ!?伏せろ!!」

 

 マーベラスたちが咄嗟に伏せた直後、彼らの頭上スレスレにひと吹きの風が通り過ぎた瞬間、船長椅子の背後にある柱───風が通り過ぎたと思われる部分が、綺麗さっぱり打ち抜かれていた。

 

『ゴーカイチェンジ!!!』

 

《ゴォォカイジャー!!》

 

 命に指がかかる感覚を感じ取った6人。彼らは視線を交わす事もなく立ち上がると、ゴーカイジャーに変身するために使用するアイテム『モバイレーツ』と『ゴーカイセルラー』、そして各々の変身するレンジャーの姿を模したカギ『レンジャーキー』を取り出し、鍵穴部分に相当する部分に挿入。すると、レンジャーキーに秘められたエネルギーが射出され、『X』『X』『V』『X』の順にエンブレムが6人のシルエットに重なり、冒険とロマンを求め、自由の下に戦う海賊の戦士へと変身した。

 

「行くぜ!」

 

 海賊戦隊ゴーカイジャー。

 今回は緊急時のためいつもの名乗りの口上を省略しながら、レッドをはじめとした五人はゴーカイサーベルとゴーカイガンを両手に、ゴーカイシルバーはガンモードにしたゴーカイスピアを片手に携えて、船内にも関わらず発砲しながら、アルマエルマに突撃する。

 

「姿が変わった…」

 

 一方のアルマエルマも、正体不明の珍妙な集団の姿が変わった事に驚くも、すぐさま切り替えて自らに立ち向かう海賊たちを迎え撃つ。

 

「おりゃぁっ!!」

 

「ふっ!」

 

 鋭利なサーベルと強靭な拳がぶつかることで生じる火花と金属音。飛び交う無数の弾丸と鳴り響く撃鉄、そして漂う火薬の匂い。

 狭い船内にて繰り広げられる圧倒的強者との死闘。レッドやブルーといった武闘派は、血がたぎり、身体に力がみなぎり、気分が高揚する感覚を久方ぶりに感じ取っていた。

 グリーンやピンクが援護として間合いの外からアルマアルマを射撃し、その他四人が息つく暇もない程の連携攻撃で攻め立てる。

 

 だがアルマエルマも多対一という圧倒的不利な状況であるにもかかわらず、外から飛んでくる弾丸を脇見で避け、或いは拳や翼、尻尾などで弾く。

 また近接戦闘を行う面々には、器用にサーベルや槍の攻撃を拳でいなし、逆に得意の格闘やカウンターでダメージを与え続ける。

 

 そして遂に、

 

「ぐわっ!!」

 

「ぐあっ!!」

 

 レッドとシルバーがアルマエルマの掌底を腹部にモロに食らい、床に転がるブルーとイエローのいる場所まで吹き飛ばされる。

 

「みんな!!」

 

「みなさん!!」

 

 倒れる四人の元にグリーンとピンクが駆け寄る。

 

「くっ…!こいつ…強い…!」

 

「あの人…ザンギャックの皇帝親衛隊と同等……いや比べものにならないくらい強いです!」

 

「あら?もうおしまいかしら?」

 

 息を切らす海賊とは対極的に、妖魔は依然余裕の笑みを浮かべ、次はないのかと挑発する。

 

「まだまだです!」

 

「みんな!風には風、ハリケンジャーでいこう!」

 

「…っ、ああ…!」

 

 立ち上がると、腰元の『ゴーカイバックル』に手をかざし、ゴーカイジャーとは別の姿をしたレンジャーキーを取り出す。

 

『ゴーカイチェンジ!!』

 

《ハァァリケンジャー!!》

 

 取り出したレンジャーキーを再度モバイレーツとゴーカイセルラーに挿入し、かつて『アレ』を狙い、宇宙から襲来した宇宙忍者たちと戦った26番目のスーパー戦隊『忍風戦隊ハリケンジャー(+ゴウライジャー、シュリケンジャー)』にゴーカイチェンジする。

 

「あら?また姿が変わったわ。それにあの姿、ヤマタイ村の…」

 

「覚悟しろ!」

 

超忍法・影の舞!

 

 突如として現れた障子の演出。中央のアルマエルマに向かって、六人の影と無数の剣戟が舞い、彼女を翻弄する。

 しかし、

 

「もう見切ったわ。ハァッ!!」

 

「ぐわっ!」

 

「うわぁっ!?」

 

「きゃっ!!」

 

 左右から飛来するハリケンジャーの攻撃を防御の構えをしつつ、アルマエルマは力を入れて固めた両腕の筋肉で、全員の刀を腕で受け切る。その隙に後ろの大きな尻尾で障子の演出ごと六人を薙ぎ払い、六人は壁や床に叩きつけられた衝撃でハリケンジャーへのゴーカイチェンジが解けてしまった。

 

「くっ…!」

 

「だったら次は天装術で!」

 

『ゴーカイチェンジ!』

 

《ゴォォセイジャー!!》

 

 翼のエフェクトと共に響き渡る荘厳な福音。悪しき魂たちとの激闘を制した護星天使の力。34番目のスーパー戦隊『天装戦隊ゴセイジャー(+ゴセイナイト』にゴーカイチェンジしたゴーカイジャーは、両手にテンソウダーとそれぞれの武器が描かれたゴセイカードを手に構える。

 

「あら、次は天使ね」

 

「パニッシュです!」

 

『サモンカード、天装!』

 

《SUMMON》

 

 ゴセイカードをテンソウダーに挿入して天装。カードに書かれた武器の名称の口上と共に、ゴセイジャーの使用武器が五人の手元に出現する。

 

「シーイックボウガン!」

 

「スカイックショット!」

 

 ゴセイブルーとゴセイピンクの牽制をアルマエルマが防御して凌いでる隙に、ゴセイレッドとゴセイナイトの剣がアルマエルマに迫る。

 

「スカイックソード!」

 

「レオンレイザーソード!」

 

ガキンッ!

 

 しかしアルマエルマは真上から振り下ろされた斬撃を掴むと、掴んだ武器ごと二人を弾き飛ばした。

 

「ランディッククロー!」

 

「ランディックアックス!」

 

 押し負けた二人と入れ替わるように、突撃してきたゴセイイエローとゴセイブラックの怒涛の攻撃をアルマエルマはいなし、イエローは蹴り飛ばされ、ブラックも顔を拳で打ち付けられる。

 

「ハカセ!」

 

「ジョー!このまま…ってうわ!?」

 

「あら?」

 

 ブルーが吹き飛んだブラックの足を掴むと、ゴセイアックスを持ったブラックをジャイアントスイングの要領で振り回し、動きの止まったアルマエルマに切り付ける。

 

「「ゴセイハリケーン!」」

 

「おっと!」

 

 斬撃を回避するため、後ろに飛んだアルマエルマが目線を戻すと、テンソウダーとレオンセルラーを構えたレッド、ピンク、ナイトの三人が横に並んでいた。

 

「「「ツイストルネードカード、天装!」」」

 

 三者から発生した竜巻が一つの巨大な竜巻となり、アルマエルマを包み込む。多少ガレオンが傷つくが、そのガレオンを守るためには致し方ない。レッドたちも決定打まではいかなくても、この攻撃が多少の有効打にはなると思っていた。

 

「ねぇ、うそでしょ!?」

 

「悪りぃ、ミスった…!」

 

 一箇所に集まる六人。

 その瞬間、大きな破裂音と共に、再び衝撃がガレオンを襲う。さらに勢いの増した風と雷雨により、船内の小物は床に落ち、電灯は点滅して足場がグラグラ揺れる。

 

「名残惜しいけどここまでね。もっとあなたたちと遊びたかったのだけれど

 

 残念そうな声色を出しながら、無傷のアルマエルマは肩をすくめる。先程三人が放った竜巻を、手のひらサイズの球体に収縮させたため、膨大な風のエネルギーが密集、収束し、室内であるにもかかわらず強い風が吹き乱れる。

 

「私は四天王の"風"を担当してるの。風と戯れるのは得意なのよ。そして」

 

 アルマエルマが"風"を持つ手を此方に向ける。

 

「こんな事もできる」

 

『うわァァァァァァァァァッッ!!!!!!』

 

 身体を丸ごと抉り取られるような感覚を覚える、質と量を兼ね揃えた風の暴力。凄まじい風圧はゴセイジャーのゴーカイチェンジを強制解除させるどころか、ガレオンの左側の壁の大部分を吹き飛ばし、ポッカリと空いた大穴から入り込んだ雨粒を伴う暴風が船内を吹き荒らす。

 

「ウワァーー!!助ケテ飛バサレルーーーッ!!」

 

 壁が無くなり、遮蔽物のなくなった左側から家具や食器、置物などが空の彼方に吹き飛ばされる中、物陰に隠れていたナビィが気流に捕まり、グルグルと回転しながら外に飛ばされそうになる。

 

「ナビィさん危ない!!」

 

「鎧さん!!」

 

 風に煽られ放り出されそうになっているナビィを助けるため、床に這いつくばっていたシルバーがナビィの元まで駆け出し、間一髪のところでナビィの足を掴む。

 

ブォン!!

 

「「ウワァァァァァァァァ!!」」

 

 しかし、一段と強く吹いた突風により、ナビィを掴んだシルバーもまた、完全に外に放り出されてしまい、ナビィ諸共雷雲の中に吸い込まれてしまった。

 

「鎧ッ!!」

 

「野郎…っ!!ゴーカイガレオンバスター!!」

 

《レーーッドチャージ!!》

 

 茫然とする仲間たちを見据えながら、己の不甲斐なさを恨むと同時に、その原因を作った相手に怒りの矛先を向け、レッドはゴーカイガレオンバスターを片手にアルマエルマに突っ込む。

 

「えいっ!!」

 

「おりゃぁっ!!」

 

 鞭のように伸びたアルマエルマによる尻尾の刺突をスライディングで避けると、懐に滑り込んだレッドがゴーカイガレオンバスターをアルマエルマの腹部に突き付ける。

 

「しまっ…!」

 

「ぶっ飛べ!!」

 

《ラァイジングストラァァイク!!》

 

 まるで傷つけられたガレオンの怨念のように、仲間を奪われた怒りを表したかのように、ゴーカイガレオンの形をした光の塊が直撃し、アルマエルマは船の壁を突き破りながら雲の中に吹っ飛んでいった。

 

「マーベラス!」

 

「マーベラスさん!」

 

 近距離で撃ったため、同じく反対側に吹っ飛んだレッドを仲間たちが受け止める。

 風と雨が打ち付ける音の響く船内にひと時の安息が与えられるが、長くは持たない。部屋は荒れに荒れ、天井から垂れ下がり、剥き出しとなった配線がショートし、火花を散らす。

 

 鎧とナビィの行方も探さねばならないが、それよりも今はこの切羽詰まった状況から抜け出す事が最優先である。

 

「お前ら、船から脱出するぞ!」

 

「でもマーベラス!」

 

「あんた、ガレオンを捨てる気!?」

 

 そんな船長の言葉に異議を申し立てる二人。ジョーやアイムも口には出さないが、こちらに訴えかけるような視線をマスク越しに送る。

 

「…もうガレオンの操縦は利かねぇ。この船が落ちるのは時間の問題だ!」

 

「でもマーベラス!」

 

「何よりお前らの命には変えられねぇ!!」

 

「っ!!」

 

 悔しさを滲ませた船長の言葉に閉口する。この中で一番辛いのはマーベラスのだ。そんなマーベラスが様々な思い出の詰まったガレオンより、自分たちを選んだ。この意味を理解している四人は下に俯き拳を握り締める。

 

「……いつか絶対に取り戻す。分かったらとっと行けッ!!」

 

 いつにも増して声を荒げる。

 

「…ハカセ、みんな、行くぞ」

 

「…わかった」

 

「…はい」

 

「まったく、無理しちゃって…」

 

 船長の意を汲み、脱出を促すブルー。それにグリーンとピンクは肩を落としながら、イエローも一人船長椅子の元に向かったレッドの船長としての姿に呆れてため息をつきながら、ブルーに続く。

 

「くっ…!せめてこれだけでも…!」

 

 配線から吹き出る火花を掻い潜りながら船長の座る椅子に辿り着くと、その隣に置かれた小机の上にあるレンジャーキーが詰まった宝箱を一目見る。今までのゴーカイジャーの面々との思い出が頭をよぎるが、今は懐古する時ではないと、余計な考えを振り払い、宝箱を片手に抱えて仲間たちの元に向かう。

 

 部屋を出る直前、一旦足を止め、キャプテン・マーベラスは後ろを振り向いて部屋を出来る限り見渡す。

 マスクとスーツの下。唇と握り拳から血が滲み出る。

 

「…っ、またな」

 

 いつか絶対取り戻す。そう心に決めたマーベラスは仲間たちの待つ看板へと足を急いだ。

 

──────────

 

「ねえ、ほんとにここから飛び降りるの?」

 

「何を今更、飛び降りるの慣れてるでしょ?」

 

「いてっ、だってぇ…」

 

 肘でド突かれるハカセだが、及び腰になるのも無理はない。ここは標高約3000M。普段の高台とはワケが違う。天空島での経験があるにせよ、雨風吹き乱れる悪天候の中飛ぶのにはかなりの勇気がいる。

 

「何ビビってんだ。行くぞ!」

 

「ああ、ちょっとマーベラス!」

 

 しかし、その過程を諸々すっ飛ばしていくのがマーベラス。マーベラスに続いて、続々と他のみんな躊躇せず飛び降りてゆく。

 

「ふっ!」

 

「おっ先〜!」

 

「ハカセさん、私たちも参りましょう」

 

「ああ〜、もう!わかったよ!!」

 

 アイムに急かされたわけではないが、ハカセも嫌々渋々風が強く吹き荒れる中、遂に飛び降りた。

 

「うわぁぁぁ〜〜〜!!落ちるぅぅぅ〜〜〜!!」

 

「慌てんな、俺たちにはコレがあるだろ」

 

「あっ、そうだった!」

 

『ゴーカイチェンジ!!』

 

《ジェェェットマン!!》

 

 飛行能力を持つ『鳥人戦隊ジェットマン』にゴーカイチェンジしたゴーカイジャーは、滑空しながら雲の間を通り抜ける。空に亀裂をつくる稲光を避けながら、ゴーカイジャーはようやく悪夢の嵐からの脱出に成功した。

 

「さて、これからどうする?」

 

「…決まってんだろ。まずはメs」

 

 レッドが今後の指針を言いかけた刹那、天高く降り注いだ一筋の光が、雷雲を後ろに飛行する五人に直撃。その際下半身が蛇のような女性(・・)に激突して一時的に気を失いゴーカイジャーの姿に戻った五人は、そのまま無気力に冒頭の緑生い茂る森へと墜落した。

 

──────────

 

「こうして、私たちは落ちてきたと」

 

 自分たちがこうなった経緯を思い出し、整理しながら四人は森の中を歩く。

 

「鎧さんやナビィの事も心配ではありますが、状況が好転するわけではありません。今は二人の安全を信じましょう。

 それにしても、レンジャーキーもみんな無事で良かったです」

 

 マーベラスが横に抱えたレンジャーキーの入った宝箱を見ながら、アイムが安堵のため息を漏らす。

 

「まあね、ひとつひとつ探す羽目にならなかっただけでも幸運かな。でも身ぐるみ一つで私たち来ちゃったから、この指輪100万するかな?」

 

 すると、歩いている間ずっと無言を貫いていたジョーが突然立ち止まると、驚いたアイムが心配そうに顔を覗き込みながら訊ねた。

 

「どうしましたか?」

 

「なぁ、俺たち誰かを忘れてないか?」

 

「誰かって…、ここには私とマーベラス、あんたにアイム、それとハカ……」

 

「「「あっ」」」

 

 ジョーの言葉に一同はまるで今思い出したかのように言葉を漏らす。

 

「アイツいなかったっけ?」

 

「ずっと私たちと一緒にいたものかと思っていましたが…」

 

「ったくどこほっつき歩いてんだ」

 

 まさか一人だけはぐれた?なんて事を考えていると、

 

「ここだよぅ」

 

「みなさん!今の声…」

 

 向こうの草むらの方から、小さく弱々しい声が聞こえてくる。

 

「たぁすけてぇ」

 

「あちらの方から聞こえてきました!」

 

 アイムが声が聞こえたという方へと、マーベラスたちは向かった。

 

─────────

 

「なんだコイツは」

 

「まるで眠り姫のように美しい寝顔ですね」

 

「でもどう見ても、やっぱりこいつも人間じゃないよね。下半身といい、肌の色といい」

 

「これがこの星の人間のデフォルトなのか?」

 

 訝しげに何かを囲み覗き込む四人。木々と草花をかき分けながら進んだ先に、陥没した地面にめり込む女性。その姿は上半身が人間、下半身が蛇、そして異質な薄紫色の肌、見るからに異形であると同時に、どこか目を見張るような見目麗しい美貌を持ち合わせていた。

 

「そういう人種もいるって事だろ」

 

 犬のお巡りさんもいるんだし、と付け足しながら、その女性の下敷きとなっているハカセの方に目をやる。

 

「そういうの良いから早くどかしてよぉ!この人、こう見えて……いや見たまんまか。結構重いんだから…!」

 

「……ハカセサイテー」

 

 腰から下を挟まれて身動きの取れない彼が発した失言に、ルカが心底軽蔑する眼差しを送っていると、ガサガサと茂みの揺れる音と人の気配を感じ取る。

 

 気怠そうに振り返ったマーベラスの視線の先には、自分たちとひと回りほど小柄な、10代半ばの人間とみられる少年がおずおずとしながら立っていた。

 

「お、お前たち、なにやってるんだ!」

 

 その少年は目の前の珍妙な集団に向けて、勇気を振り絞り、声を出した。

 

 

 

つづく




腹ペコ魔王と少年勇者くんの登場。
次回、オリジナルのザンギャック行動隊長が出ます。
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