すいません、そんなこんなで、だいぶ更新が遅れました。本当すいません。
ああー、予定が狂った......
雪は好きだ。と彼は思う。雪という白は、何色に染まることなく、全てを赦し、受け入れ、心を落ち着かせてくれるような……全てに対して平等のように思えるから。
雪は嫌いだ。と彼は感じる。
何処までも、何色にも染まらない白。だからこそ、彼は思う。自分という異色が、ハッキリと浮き彫りになってしまうから。
まるで、自分の業は消えることなく、お前はこの場所にいていい存在ではないと、咎められているようで……
周りは白なのに、自分だけは違うんだと感じてしまうから……
***
白銀の如く降り積もった雪を踏みしめながら、レンは待ち合わせの場所へと向かう。時刻は十時十三分。一秒も狂うことなく、予定通りに事が進んでいることに、レンは安堵した。
四十九層主街区から歩いて、だいぶはずれにある、NPCが運営する小さなレストラン。レンのお気に入りの場所である。
「いらっしゃいませー」
レンがドアを開けると、気さくな店長の声と共に、明るい店内が開ける。と同時に、温かい暖気が、レンの体をふんわりと包みこんでゆく。
店内に誂えている調度品は最低限で、どこかどこか少し古ぼけている。しかし、そんな店内だからこそ、雰囲気は非常にゆったりとしたもの。そんなアンティークさが、レンはとてもお気に入りだった。
使いこまれ、歴史を感じさせるカウンターに、僅か七脚ばかりの椅子が立ち並んでいるだけの一角に、レンの待ち合わせていた人が座っていた。
店の明かりで艶やかに、輝くアメジスト色の優美な髪をポニーテールにまとめている。
そして、日本人形のようにきめ細やかな純白の肌が、一層髪の鮮やかさを際立てている。背中越しからでも分かるほどの、十人中十人が美しいと感じる彼女は、美人というよりも可愛らしいと言ったところか。レンが見間違うことなく、レナの姿だった。
「ごめん、レナ。待たせたか?」
「いや、私もちょうど来たところ」
おそらく嘘だろう。こんな町の外れにあるレストラン。当然人だかりはとても少ない。レンが入った時、店の入り口に積もっていた雪には、荒れたような痕跡はなく、足跡も無かった。
幾らなんでも、そんなに早く雪は降り積もらないだろう。この降雪量から考えて、足跡が消えるのに、少なくとも二十分はかかるはずだ。
そこまで、キリトのことを心配しているんだな………
レンは何も言わず、静かにレナの座る隣のカウンターに座った。
「それでー?キリトは?」
「あいつは、いつも通り。あとは、時間を待つだけだ」
NPCに、レンはカフェ・モカを注文する。
「そっか。それで?キリトはどうしてあんな風になっちゃったの?」
澄んだ紫紺色の瞳を、心配そうにしながら、レナがつぶやいた。
「それは……」
「ハイ、どうぞ」
間がいいのか悪いのやら、とりあえずレンは、運ばれてきたカフェ・モカを口に含んだ。コーヒー特有の、ほのかな酸味と、ココアの甘さが、それぞれを引き立て合って口に広がり、冷えていたレンの体をほんのりと温めていく。
「はあ、あったけー。じゃあ、話すか」
コトッとテーブルにカップをおいて、レンは、キリトが抱えた、決して忘れられることのない過去について話し始めた。
***
月夜の黒猫団を助けてからしばらくたったある夜、キリトからレンにメールが届いた。
“サチが消えたんだ。《追跡》スキルはあるんだが、念のためにレンも探してくれないか?”
特に急ぎの用があるわけではなかったので、レンは、サチがいると思われる階層へと転移した。
レンにも《追跡》スキルはあるが、それを使うことはなかった。たまたま赴いた場所に、キリトとサチがいたからだ。
「ねえ、何でこんなことになっちゃったの?何でゲームから出られないの?何でゲームなのに、ほんとに死ななきゃならないの?あの茅場って人は、こんなことして、何の得があるの?こんなことに何の意味があるの…………?」
消え入りそうなほど小さな声で、サチが五つの質問をした。それは、サチの悲鳴にも似たようなものか、恐らく、サチは怖かったのだろう。
SAOで死んでしまえば、現実での命も終わりを告げる。などという、ふざけたこの世界が。
「多分、意味なんてない……誰も得なんでしないんだ。この世界が出来た時にはもう、大事な事はみんな終わっちゃったんだ」
キリトが、一体どんな思いで、その言葉を紡いだのか、レンには分からない。マナーが悪いとは思いながらも、レンはそっと橋の上の手すりの腰掛け、静かに見守ることにした。
「君は………」
「………てん……の?」
「黒………マージン……無理に………」
レンの《聞き耳》スキルの精度が低すぎて、聞こえてくる会話はとぎれとぎれ、しかし、最後だけは、なぜか鮮明に聞こえた。
「……ほんとに?ほんとに私は死なずに済むの?いつか現実に戻れるの?」
「ああ……君は死なない。いつかきっと、このゲームがクリアされる時まで」
「クリア……か」
首にさげてある《英霊のドックタグ》を見つめ、ポツリとレンがもらした。キリトの言葉は、いったいどれだけサチにとって頼もしかったのか、サチの、少しだけ泣く声がした。
このゲームは、あまりにも残酷だ。何処までも不平等で……無情すぎるんだ………。
静かに、キリト達に聞こえないほどの声量で、レンは静かに転移した。
***
その日の朝、レンは胸騒ぎを覚えた。
あの出来事の後も、レンはいつも通り中、初級プレイヤーの支援を行っていた。カズが死んでからというもの、彼が行っていた事の全てを、レンがそのまま引き継いだのだ。
「ここらあたりは、少しトリッキーなモンスターが多いので、次からは注意してください」
パッパッと自身の肩をはたきながら、レンは今助けた小規模パーティーへと注意を促した。
「ありがとうございます。おかげで、助かりました」
よほど危なかったのか、パーティーメンバーの全員が、何度もレンに頭を下げていた。ずいぶんと見慣れた光景だな……とか思いながら、レンはその場を後にした。
「さてと……他には……」
索敵スキルと聞き耳スキルを複合利用しながら周りの状況を確認していると、一件のメールがレンへと届いた。送り主はキリト、この前の事があったので、レンは一抹の不安を抱いてメールを開いた。無機質なポリゴンからなる手紙の内容は、次のようなものだった。
“レン。今日、月夜の黒猫団が最前線近くに行くんだが…この前のサチのこともあるし、何か嫌な感じがするんだ。だから一緒に来てくれないか?途中から合流してもいいから”
***
「クソッ!邪魔だ!どけ!!」
右足にありったけの力を込めて、レンは《震脚》を放つ。その強烈な一撃で、《マーズ・ベア―》を文字通り消し飛ばした。
キリトからメールを受け、すぐさま駆けつけたレンだったが、B-ナイフの刃や、トマホーク、C-アックスを補充するのに手間がかかってしまい、こんな時に不運は重なるのか、フィールドで大量のモンスターとエンカウントしてしまったのだ。モンスター群を蹴散らしながらも、レンはキリトの反応を探し続けていた。
「ここか………」
索敵スキルと、追加Modである追跡スキルが示す、夥しい量の足跡をスカウティングしながら、ようやくキリト達がいるであろう隠し部屋を探し当てたレンだったが、堅甲な扉に阻まれて、中には入れないでいた。
「しゃーない。ここは!!」
レンは少し離れて、その堅甲な扉に《冲捶》を放った。十回ほどだろうか、ようやくレンは扉をぶち破ることに成功した。
「キリト!!」
しかし、レンがやっとのことで入ったその先には、
「レン……か……」
呆然と立ち尽くすキリト一人だけがいた。
レ&カ「「後書きこーナー!!」
夢「オーー」
レ「元気ないな。ったく、情けない...」
夢「シャーないだろ。昨日まで熱でうなされてたんだ」
カ「やれやれ」
夢「あーあ。予防接種まで打ったのに...クリスマス独り身プラス風邪は辛いよ。ほんと、ツイてない」
カ「お、俺も独り身だった」
夢「仲間よ!」
レ「俺は...」
夢&カ「「お前はちょっと黙ってよっか?」」