いや、更新一ヶ月も停止してしまって本当にすみませんでした。何でもしますんで赦して下さい。(大土下座
気付けば、いつの間にかこの小説も一周年......月日が経つのは早いですね。最初は、こんなになるなんて思ってもいませんでした......
50話突破記念と合わせて一周年記念として何かしらしようかなと思ってます。ティーブレイク或いは他の作者様とのコラボとか......内容はまだ考え中ですが笑 兎に角最低でも今の章が終わった頃ぐらいには決めておきます。
これからも、《SAO:AF》レンとその仲間達を宜しくお願いします。
「お待たせしました。シェフの気まぐれランチです」
「どうも」
食事を運んでくれたNPCのウェイトレスに一礼しつつ、レンはゆらゆらと湯気湧きたつポタージュをスプーンですくい、口に運ぶ。味はまぁ……至って普通と言ったところか。別にまずくはないし、かと言って特段旨いわけでもない。現実世界に敢えて当てはめてみるとすれば、ジャガイモベースのポタージュ、といったところか。とは考えつつも、元々レンはそこまで料理にこだわる性質でもなし、むしろSAOにおいては味よりもコストパフォーマンスを重視するようになっていた。つい先ほども先の戦闘で消費した換えの刃やらやれトマホークやらを補充していると、飽きれてモノも言えなくなるほどの大金がウソのように吹き飛んだ。宵越しの金は持たない、とか以前の問題だ。全く笑える話ではある。
「はぁ……どうしたもんか……」
コレまた如何とも言い表し難い、少々パサパサしたライ麦パンを手でちぎってかじりつつ、レンは頭の中で自身の戦闘スタイルについて再考察する。このまま何の対策もなしに戦闘を重ねていけば、いつか立ち行かなくなってしまうのが目に見えているからだ。そういったワケで今のレンには長らく馴染ませてきた戦闘スタイルを即急に修正する必要があった。
今現在、レンの中でもっとも馴染んだその戦闘スタイルは、一言で言い表してしまえば“ヒットアンドアウェイ”に尽きるだろう。とはいいつつも、一般的な“ヒットアンドアウェイ”とは少々異なる部分もあるが。このSAOの戦闘に於いて、最も重要なのは?と問われれば、その答えは間違いなく各種様々あらゆる武器に設定されている“ソードスキル”だろう。戦闘のカンだとか武器の性能だとか云々の以前にまず何にせよ、“ソードスキル”が扱えなくては話にもなるまい。最下層で細々と糊口を凌ぐプレイヤーも、最前線で並みいる強モンスターと戦い続ける“攻略組”やそれに準ずるプレイヤー達も、その力量、装備の質、経験には確かな差あれど、戦闘の根幹をなすのが“ソードスキル”であることにはまず間違えようがない。
いわば“戦闘スタイル”とは、現実世界における剣道や剣術の“流派”のようなものなのだ。どの“流派”にも基本となる“型”は必ず存在するし、ここアインクラッドに於いては“ソードスキル”がその“型”に当たる。違いといえば、“ソードスキル”はこの世界にいる全てのプレイヤーが扱うことのできるという万能性だろうか。しかし、それゆえに存在する“弱点”というものもある。一つにして致命的な例を挙げるとすれば、“アインクラッドに於いて、ソードスキルは代替の利かない絶対的な攻撃手段であり、戦闘時ではこれに依存するしかない”という点だ。勿論ソードスキルを使わずとも相手にダメージを与えることはできる。がしかし、どうしても威力という点で劣ってしまう。仮に全く同じプレイヤーが対峙したとして、片方が五回通常攻撃を喰らわせるよりも、もう一方のプレイヤーの放つ“ソードスキル”はソレをいともたやすくひっくり返せてしまう。最早このシステム的な観点から、たといどんなプレイヤーであろうとも戦闘時の攻撃手段は“ソードスキル”に依存するしかない。しかし、いくら根幹と成す“型”であろうとも、ソレに依存し過ぎる戦闘スタイルとではもう一つ問題が生じてくる。“あくまで完璧に確立された型であるソードスキルは、いつか見切れてしまう”こと。そのためPvMに於いてはAIに見切られてしまわないための誘導を行う、二人以上で連携をとってそのスキをカバーし合うことなどが推奨されている。それでも、上記故の強力さには変わりないので、SAOの戦闘に於いてやはり“ソードスキル”は無くてはならないかつベースとなるものだ。
しかし……そんな必要不可欠な“ソードスキル”が、レンの扱う《A-ナイファー》では使うことが出来ない。その代わりとしてかなり強力な“特殊効果”が存在しているが、それ故にレンはほぼ己の技量のみで戦闘を構築していかなければならない。逆にそれを逆手に取った“変則的ヒットアンドアウェイ”というのが、レン自身が扱う“型”そのものだ。敵のAIを遥かに凌駕する高機動戦闘を展開し、ナイフさばきと投擲のトリッキーな動きに加え安定した攻撃力を誇る体術スキル《八極拳》の三段構えで戦闘を構築する。さも獣の如き体捌きと普遍的な“ソードスキル”に依存しない様々な攻撃手段で、相手スキル使用時の硬直時間、スキルに存在する“スキ”をつく。これが、今までの経験の中で、最もレンに馴染んでいる戦闘スタイルだ。更にこのスタイルは対AIだけでなく対プレイヤーに対しても十二分以上の脅威たりえる。プレイヤーは“ソードスキル”に攻撃手段を依存するしかない以上、ソレに存在する硬直時間というのにも当然切っても切れない関係性がある。仮にソードスキルに頼らずとも、そもそもレンの戦闘そのものが変則かつ変態機動(誤字にあらず)すぎる。かつて彼の戦闘を視たあるプレイヤーはこう称していた。
『アイツの戦闘はとうてい同じ人間技とは思えない。なんだよあの体捌き、新体操金メダリストだってもうちょっと可愛げがあるぞ。あの変態機動はなんか “某
レンが本来のSAOであればPvPにおいてかなりの上位置の一角に入るだろうと予想されるのはこのためだ。――こう羅列していけばとても聞こえはいいが、飽くまでもそれは“IF”の話。本来の仕様だろうが無かろうが“強く”はあっても“最強”ではないと当の本人ソレを否定する。何故か?これこそレンが今頭を悩ませている原因の一つだ。今のレンの戦闘スタイルは“ほぼ”完成されているが、“理想形”ではない。本当の意味で《A-ナイファー》の理想形は、大量のトマホークやらC-アックスなどと体術を併用しつつ変態高機動で動きまわってから、《A-ナイファー》の代名詞であるB-ナイフやS-ナイフの“刃射出”で“即死”させること。この理想形が実現できればそのIFにも現実味は増してくる。だがこれらはシステム的な面でもレンのお財布事情的にも実現は難しい。今現在、レンが装備しているレッグホルスターの最大装填数は一つ五、それが両脚で計十。これが出回っている中での一番性能のいいホルスターだが、なまじ“ソードスキル”が利用できないレンは当然サイドアームたるC-アックスやトマホークへの依存度も高くなり、正直なところ十本なんてその気になれば僅か十秒足らずで使い切ってしまう。そして《A-ナイファー》最大の長点であるB-ナイフやS-ナイフの“即死”攻撃も、判定がシビアすぎて笑えてくるレベルだし、射程距離は馴染みある《CoD》シリーズよりも短いし、仮にクリティカルポイントにヒットさせてもそこからは確率による運任せ。そのくせこれらのどれも、その装備代がバカみたいに高い。これでは流石に大量に使えるわけが無い。つまり、SAOのゲームバランスがどこかで高みの見物をしているであろうGMたる茅場晶彦か、はたまた“カーディナルシステム”よって再び修正、或いは調整されることが無ければ、レンは永遠に理想形を実現することはできないのだ。そのためにレンが編み出したのが今の己の体捌きと変態機動で繰り広げる“ヒットアウェイ”の近接戦闘。
“まっ、そんなことはとっくの昔に判ってるけどな。正直今の戦闘スタイル以外に効率のいい奴なんて他に思いつかないんだが……”
ここ最近、モンスターなどのAIが高度化してきたためなのか変則性が出てきためなのか、今の戦闘スタイルの効率が以前と比べて格段と落ちつつあるのは明白。しかしこれ以上、レンでは今よりさらに最適化された戦闘方法など思いつかなかったし、もともと出来ることを突きつめてきたものなのでこれ以上突きつめようもなかった。それはつまり、この《A-ナイファー》の限界が少しづつだが近づいているということにほかならない。それでは困る、しかし最善策が無い。そのジレンマにレンは思わず深いため息をついた。
「はぁ……つくづく性質のわるいスキルだ……」
これ以上考えても答えが出ることはない。そう強引に結論づけたレンは、再び目の前にある料理へと止めていた手を伸ばした。パンをちぎり、ポタージュに浸す。ポタージュに浸したことによりしっとりとしたパンを口に入れれば、中々どうしてかなり美味しい。今度は備え付けの見るからに新鮮で瑞々しいサラダを食べてみようかとレンが思い立ったところで……
「いらっしゃいませー!!」
カランカランカラーン、ガチャンという音とNPCウェイトレスの発した声とが、同時に響いた。入店してきた人物は、席に案内しようとするNPCウェイトレスを軽く流してキョロキョロとあたりを見渡す。どうやら、人と待ち合わせをしているようだ。しかし存外あっさりと見つけられたようで、その人物は軽やかかつ凛とした美しさとが同在する足運びで歩き出す。まぁ、そもそも小さい店内だし、街の離れにあるのも関係しているのか、客がNPC含め全員で八人しかいないため、これで手こずるわけもないのだが。その人物は目的のテーブルへとたどり着くと、椅子を引いて今なお食事を続けるレンの向かいに座った。
「遅かったな」
目を合わせることなく、食事をしながら座った人物――アスナへとレンは言った。
「なによ、呼びたしたのはキミじゃない」
「イヤ、ワルイナー」
「もぉ…………」
全く悪びれることなく、むしろ一層おどけるレンに、アスナは溜息と共に諦めた。視線を動かし、店内をさらりと見渡す。
「それにしても……よくこんな場所見つけるのね」
まず外観からだが、明らかに年季の入った作りだった。いうなれば、裏路地にひっそりと建つ時代に取り残られてしまった個人経営の食堂……だろうか。そしてそんな外見を裏切ることなく、コレまた店内は更に年季が入っていた。漆喰の壁はくすんでいて、所々ひびも入っている。加えて街のはずれに位置するということも相まって、驚くべきことにNPC以外のプレイヤーは僅かにレンとアスナだけという過疎っぷり。アスナとしては、よくもまぁこんな場所を次々と見つけてくるものだという純粋な感想だったのだが、どうやらレンはそう捉えなかったようで、少しムッとしながら返した。
「まっ、KoB副団長の《閃光様》のお口に叶う食堂じゃないのは確かかもな」
「レン君?その呼び方は……」
「おあいこだろ」
「それでもっ!」
「ハイハイ、ワルカッタナ~」
「もぉっ!!ホントいっつもいっつも、どうしてそうおどけるのよ」
「さあ?」
依然として皮肉る態度は崩すことなくおどけるレンに、アスナは最早疲れとも諦めともつかぬ溜息をこぼした。これ以上続けてもあーこう返されるのは目に見えていたので、アスナはそれ以上追及せずに本題へと入ることにした。
「それで?私に頼みたいことって何?」
「ん」
食事に手を付けつつレンは空いた右手でウィンドウを操作し、言峰神父からもらったあのマーボーのレシピを手渡した。
「これは?」
「開いてみてくれ」
言われるがままに、アスナはレシピに目を通してゆく。アルクブルクの豆、四川唐辛子、死者の腐肉…………どうやら、料理レシピだということは察しがついた。
「つまり、コレを私に作ってほしい、ってこと?」
「そそ、察しがいいアスナが俺好きだよ」
「………………」
「ジョーダン」
ジト目でこちらを睨んでくるアスナを流して、レンは食事の手を止める。アスナが察した通り、レンは彼女に調理を頼もうとしていたのだ。最初は自分自ら作ろうと考えていた。わざわざアスナに頼むのも面倒だし、頼んだら頼んだでとんでもない見返りを要求されるやもしれぬ。レンも《料理スキル》は一応所持しているし、特段問題はないだろうと考えていたのだ。しかしその考えは何と料理レシピそのものに裏切られることとなる。《四川麻婆豆腐》に必要なスキル熟練度、正に数値にして850オーバー。幾らなんでも高すぎである。熟練度337しかないレンでは当然ムリだし、これ自体がそもそもレナ達のためにやっているので、頼めば快く引き受けてくれるだろうがレナに頼むのも場違いというもの。必然的に、消去法で残るはアスナに頼るしかなかった。それでも、《料理スキル》を所持しつつその熟練度が高いと聞く流石のアスナでも、この料理を作れるかは正直半信半疑といったところだった。何しろ熟練度が850、さしもの彼女も攻略組かつ最強ギルドの副団長としての肩書があるために非戦闘スキルである《料理スキル》はそこまで達していないであろうと、ダメ元で尋ねてみた次第であるが……そんなレンの思惑などどこ吹く風で、アスナはフッと不敵に笑った。
「いいわ、スキル要求値も余裕でクリアしてるし、材料があれば作れるわ」
「はい?」
「だから私が作ってあげる。何よ、不満なの?」
「い……いや……まさか、《料理スキル》の熟練度850越しているのか?」
「?へんな事を聞くのね。そうじゃなきゃ承諾なんてしないわよ」
「まじか……」
「材料はそろってる?」
「あー、一応そろえた」
「決まりね。ホラ、そうと決まれば行くわよ」
思わぬその返事にあっけに取られているレンの腕をつかみ、アスナが店を出ようとする。
「ちょっ、飯がまだ……」
「ついでに作ってあげるわよ」
「いやそういう問題じゃ……」
そんな抗議も空しく、まだ半分ほど残っているパンとスープ、結局手をつけていないサラダを残したまま、レンはアスナに連れて行かれた。
***
「どうしたの?早く入りなさいよ」
「あ、ああ…………」
おずおずといった感じで、アスナに招かれるままレンは半ば惰性的にその敷居を跨いでいた。その強さは勿論、類稀なる美貌も相まって最早この世界でのアイドルにも近いかの《閃光様》たるアスナの家に入る、ということからくるある種のプレッシャーにも似たモノを感じている、というのもあるし、それにもましてレンの想像を遥かに超えてアスナの家の豪華さに気押されていたというのがある。レンにも、自身の塒と呼べるモノが一応存在はする。といってもこのアスナの家のような一軒家などではなく、あるプレイヤーが管理運営するアパートの一室を借りているだけだが。それと比べてみれば正に月とスッポン程の違いがあった。メゾネット造りの三階建の小さな家ではあるものの、おのずとコレがどれだけ“優良な”物件であり手間と
「?どうしたのよ、そんなに固まって」
「いや、格差社会ってどこに行ってもあるんだなって」
現実世界で例えるなら、一介のフリーターと一流大企業に勤めるエリートキャリアウーマンか。いや、アスナの性格とその美貌を考えれば、頭のキレる秘書もあり得るかもしれない。とは言え、実際二人の間にそこまで格差があるはずないのだ。というのも、アスナは言わずがな攻略組の、それの最強ギルドの副団長だが、レンも一応は攻略組なのだ。ただ、攻略組の割には珍しく最前線から最下層と幅広く活動しているだけ。なので、レンもアスナとさほど変わらない程度にはコルを稼いでいるはずなのだが、これだけの格差を生じさせてしまう、その原因たる《A-ナイファー》の金食い虫具合が判る。レナが面白半分にコレを称した《マネーイズパワーシステム》が大体あっているのがつらいところ。
「とにかく、レンはそこに座ってて?パッと作っちゃいましょう」
「助かるよ、ハイこれが材料」
「…………け、けっこうグロテスクね」
ドチャリッとトレイに実体化された食材の数々は、中々グロテスクな光景だった。恐る恐るといった感じでツンツンと材料をつつくアスナは、訝しげな表情をレンに向けた。
「因みに、コレをドロップしたモンスターの名前は?」
「アスナ、世の中には知らないほうが幸せな事も一杯あるぜ」
「あー分かった。それ以上言わなくていいよ」
頭に手を置き、アスナは突くのをやめた。彼女は知らないだろう。今さっき自分が突いていたものは、彼女の忌み嫌うグール系モンスター《リビングデッド》を始めとするモンスター達の体の一部であることを。深く考えることはせずに、アスナはいそいそと食材の乗ったトレイを持って奥のキッチンへと消えた。
「どれ位かかる?」
「んー、三十分くらいかな」
「そっか」
差し出されたティーポットからカップに中身を注ぎ、ズズズっと口に運びつつレンはテキパキと料理をしているアスナの姿を眺めていた。
“こうして見ると、やっぱりアスナって綺麗......だよな。何時だっけかクラインが一時間ばかり語ってた理由も判らなくはないかも”
「……………………」
“ダメだ。意図せずとはいえ、かなり気まずい……”
よくよく考えてみれば、レンはそのアイドルにも近い女性の家に招待され、多少なりとももてなしを受けているということになる。そこまで考えて、レンは途端気恥さを覚えた。柄にもなく、自分が必要以上に緊張しているのが判る。それでも、アスナにだけは感づかれないようにとレンはティーカップに残る紅茶のようなハーブティーのような、とにかく中々に美味しいソレを飲み干した。
“美味しい……なんか茶菓子とかと合いそう、流石アスナ……じゃなくてっ!!”
…………まぁ、一度認識してしまったモノをまた意識しないように努めても、かえってそれが強く意識されてしまいドつぼに嵌まってしまうのが人間というもので……レンは、せわしなくティーカップに口を付けていた。
“なんだ……レン君もあんなカオするんだ……”
加え、そんなレンの努力は空しくキチンとキッチンに立つアスナに伝わっていた。彼は冷静に努めているつもりでも、どこか所在なく落ち着かない様子で何度もティーカップを口に運んでいる。緊張あるいはそれに準じるモノを必死で紛らわそうとしているのは誰の目に見ても明白だ。普段はどこか飄々としていて、終始おどけたりふざけた言動をとる、かなりつかみどころのないレンだが、今の彼は何となく素直な年相応の少年のようで……どこか可愛かった。口を開けばいつもふざけるレンしか見てこなかったアスナにとっては、今の彼はとても新鮮に映っていた。
“でも、……今のレン君を視ていると、どこか懐かしい感じがするのは、何でだろう?”
そんな彼を見ていて、その胸の内に湧いた懐かしさにアスナは首をかしげていた。なんとなく……自分と目の前にいる彼は此処じゃないもっと遠くで……会った事があるような気がする……そんな、不思議な感覚。何故か、それが暖かく思えた。
「アスナ?手が止まってるみたいだけど、何か問題でも?」
「え?あ、いや。何もないよ、大丈夫」
“気の所為だよね……”
そうして、アスナは再びそのグロテスクな肉塊に視線を戻した。
***
「………………」
「………………」
二人とも、軽い思考停止状態に陥っていた。かれこれこんな感じで、どちらもこの状況をどう解釈しようか分からなかったのだ。
「アスナ、別に疑うワケじゃないんだけど……」
「レン君の言いたいことはすっごい判るよ。でも、コレがレシピ通り」
ならば益々ヤバイのではないか。
思わず、レンの表情が引きつってしまう。鍋の中で、さも地獄にあるという血の池地獄よろしくグラグラと煮えたぎる、得体のしれないナニカ。おおよそ存在するありとあらゆる赤という赤を混ぜたらこんなになるのではと思えるほどの禍々しくもへんに鮮やかな赤。立ち込める湯気すら仄かに赤み付いているとはどういうことなのか。まさかこの物体に含まれる辛味成分が気化しているとでもいうのか。かろうじて煮えたぎる中見からコレが麻婆豆腐であることは判る。しかしコレはちょっとヤバいのではないか。少なくとも、レンが記憶している“四川麻婆豆腐の筈”の物は、こんな禍々しい物体ではなかったかのように思う。恐る恐る、レンはソレを小指に掬い取って口に入れてみた。
「っ!?!?!?!?」
まず感じたのは、筆舌し難い辛さ、そして突き刺すような辛さ、何処までも辛さ、これ以上ないくらいの辛さだった。レンの中で、中華に関する
「だっ、大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないかも、無理。コレマジやばい奴だって、生物兵器化も」
「そ、そんなに?」
「何がヤバイってのが判らなくなるくらいにヤバイ」
「そ、そう」
レンがそう言うと、アスナも心底ぞっとした様子でそのフタを閉じた。とにかく一刻も早くこの生物兵器をどうにかしなければならない。そんな、確かなる使命感を抱いたレンはアスナへの感謝も口早に急いで教会へと向かった。
***
結果から言うと、これらすべての元凶たるエセ神父は、何と信じがたい事にこの生物兵器を攻略しかかっていた。凄まじい勢いでレンゲを口に運ぶ。最後の更に残った生物兵器がグングンと減っていくのは見ていて壮観だが、レンからしてみれば恐ろしくてヤバイ。残った一掬いを手に取り、言峰神父が口に運ぼうとして……そんなレンに気付いたのか、不意に重苦しいその目を向け――
「喰うか?」
「喰わないっ!!」
ドンッとテーブルを叩いて、全力で否定するレンに言峰神父はフッと口元を上げると、最後の一口を運んだ。
「信じらんねー、一人で全部食いやがった……」
「実に美味だった。少年、感謝する」
「ハイハイ、ドーモ」
ヒラヒラと手を振って、レンは適当に流す。言峰神父はゆっくりと立ち上がると、再び両手を後ろに回して礼拝の前へと立つ。
「さて、君には感謝している。後は牧師さえ連れてきてくれれば、いつでも好きに使うがいい」
それと同時に、レンの目の前にクエストクリアを知らせるウィンドウがポップアウトする。
「やっとか。ったく、散々だった……」
ソレを閉じ、インスタントメッセージを立ち上げてキリトに結婚式会場の解放終了のお知らせとちょっとした祝辞を添えて送った。そうして、レンは自身の借りているアパートに向かおうと教会を退出した。
When I look at the hard Truth..... I may not want to come back.
(俺が真実を知った時......もう戻りたくはないかもしれない)
いやぁ、つい最近《CoD:BO3》のストーリートレイラーが発表されましたが......なんか超良い感じですね!!!流石トレイアーチはこういったダークな作風に定評がありますね。
まだMGS:Vはプレイどころか開封すらしていませんが、ようつべなどには早速色んな動画が......MGOIIIも楽しみで楽しみで笑
遂に、本当の意味でPS4の時代到来!!!って感じですね。MGSがだいぶPS4版を牽引しているようですし笑
そして小島監督......Z.O.Eの新作はまだですか?(錯乱