ヘッドショットすればどんな敵でも一撃で殺せるチート能力&ヘッドショット以外全て無効化される永続デバフ   作:銀髪幼女

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昔書いたものの続きを思いついたので、これから少しずつ書いていきます。
最初は戦争物です。すぐ終わります


001

 メイジオブラッシュ。通称MoL。

 5v5で戦う、いわゆるMOBAと呼ばれるゲームがある。

 

 このゲームの中にはストーリーがあり、また、それが進むにつれて登場するキャラクターたちが実際のゲームに実装されてきた。

 いくつかの国やいくつのかの部族。悪魔や民間伝承の怪物など、実装されてきたキャラは100を超え、描かれてきたサイドストーリーは数知れない。

 そんなキャラ達の中に一人、亡国の狙撃手という名前で実装されたキャラクターがいる。

 

 名前の通り、彼女は狙撃手だった。祖国のため茂みに隠れ、付近の敵兵を撃ち抜く神出鬼没のスナイパー。千里眼を持ち、距離を無視した狙撃に敵は怯える他ない。彼女が上げた武勲は数知れず、魔法防御陣で狙撃自体が軽視されていたゲーム世界観において、異彩を放つキャラだった。

 しかし、彼女はただのスナイパーだ。ただ一人の狙撃手が戦の勝敗を左右することはできない。彼女が武勲を上げ出して間もなく、彼女の国——モンテルは戦争により滅んだ。彼女はその立場から来る責任を問われる事を避けるため、モンテルから去り、世界各地を巡る旅人になった。

 

 

 

「その白髪、戦場では少し目立つんじゃないのか?」

 

 男が言った。振り向くと、無精髭を生やした男が、自分を奇妙な物を見る目で覗き込んでいた。だらしなく伸びたシャツと申し訳程度に履かれた軍服のズボンには、つい先ほどの戦場の泥が生々しく飾られている。

 

「……ああ、そうか、生来の物なんだってな。ただの雑談のつもりだ、すまない、忘れてくれ」

「別に最初から気にしてない。これが戦場で目立つのは確かにその通りだから」

 

 本当に何も気にしていなさそうな少女の態度に、男は少しきょとんとしていた。

 泥のついた上着を脱いで床に放り投げる。どさ、という思い音が響き、周辺に細かい土が転がった。

 

「それとも、あなたも私が悪魔借りだって言いたいの?」

 

 言うと、男は少女を宥めるように笑った。

 

「悪魔借り、か。俺が悪魔なら、わざわざお前みたいな子供の華奢な体を乗っ取ろうとは思わない。使い勝手が悪そうだしな」

「……そっか」

 

 彼女の白髪は、彼女が持つ千里眼の代償らしい。魔眼の一種である千里眼は、維持するのだけでも多量の魔力を消費する。彼女の白髪はその魔力を無尽蔵に引き出すための器のような物だと、()()()()で見たことがあった。

 

「それに、お前に悪魔が宿って俺達を喰い尽くしたとしても、そんなの俺らの寿命が少しばかり早まっただけに過ぎないからな」

 

 男が自嘲気味に言った。

 

「どうせ俺らは負ける。偵察やってると毎日肌で感じるんだ。いくら俺たちがトップの部隊だとしても、所詮偵察部隊だ。あの規模の軍隊を負かす力はない。ここが突破されちまえば、帝国はおしまいだ」

 

 本当に、どこまでも公式設定通りだ。

 

「もし俺らが突破されてモンテルが滅んだら、俺らに待ってるのは捕虜でも戦犯でもなく、その場で殺されるか、いいとこ報復による晒し首だしな。本当、嫌になるぜ」

 

 私の記憶が正しければ、モンテルは滅ぶ。理由は、亡国の狙撃手——サナが押さえている要所が突破され、国に兵士が流れ込んだことによる直接攻撃。

 そしてこの男の名はアレク。僅か14という年齢で偵察隊を率いることになったサナに対して、唯一平等に接していた同じ偵察隊の軍人だ。

 

 だが彼も死ぬ。モンテルが滅ぶことになった要所突破の際に、サナを逃がすための囮となって。

 

「なあ、サナ。おい、聞いてるか?」

 

 男の声に我に返った。何度も戦場に出ているというのに、不思議と手は綺麗だった。胸の辺りまで伸ばした白髪はしなやかで、千里眼を隠すために前髪がやや伸びている。

 

「ああ、ごめん。少し考え事をしてた」

 

 昨日の記憶が混濁している。確かいつも通りMoLをやって、新キャラのトレーラーPVを見て、毎度の如く期待しつつ適当にゲームを開いて、それから。

 何があったのだろうか。

 

 気が付いたらここにいた。ぼうっと何かを眺めるみたいに、二人を会話を聞いていた。それが自分から発せられている物だと気付くのに、かなりの時間が経ってしまう程に。

 

 何があったかなんてわからない。ただ何となく、アレクの話から察するに、つい先ほど偵察から帰ってきたのだろう。

 はっきりとしない意識の中で、なにか適当に会話をしていた。そのどれもが昨日見ていた亡国の狙撃手の設定と酷似している。

 

 もしかしたら私は、MoLの世界に転移してしまったのかもしれない。

 それも、これから先滅亡する事が決まっている国に、亡国の狙撃手、サナとして。

 

「まあいい。そんなことより、他の奴らの報告は聞かなくてのいいのか? シグナル、全部隊帰ってきてるだろ」

「? ああ、そうだったね」

 

 アレクの指示通りシグナルを確認する。サナの偵察隊はそのほとんどが二人一組を組み、実地偵察と基地偵察に分かれて偵察を行っている。

 今回は実地部隊が偵察に行っていたらしい。シグナルは彼らが今どこで何をしているのかを、魔法を使って簡易的に可視化した物だ。

 赤なら危険。黄色はやや危険。緑は安全。白は基地。光が無くなればシグナルロスト、つまり、紐づけられている者が死んだことを表している。

 

「魔鏡は確か、ああほら、そこにある」

 

 アレクが部屋の隅を指さした。

 一般家庭にありそうなごく普通な鏡を手に取る。が、何も起こらなかった。

 

「……これ、どうやって開くんだっけ」

「は?」

 

 いうと、アレクが神妙な表情で何言ってんだこいつとでも言いたげな表情で、「魔力を注げば勝手に開くだろ」といった。

 しかし肝心の魔力の注ぎ方がわからない。様々な方法を試してみたが、どれもうまくいかなかった。

 アレクの視線が痛い。

 しばらく格闘していると、横から魔鏡を奪われた。

 

「疲れてんのか何なのかわかんねえけど、隊長とは言えお前もまだ子供なんだから、とりあえず今日は休んだらどうだ? ここのところ連戦続きだったからな、見張りは俺に任せとけ」

「……うん」

 

 不思議と血の気が引いていく感じがしたが、アレクは笑って私の代わりに報告をしてくれた。

 

 プレハブ内の自室に戻り、安っぽいベッドに寝転がった。

 

 モンテルは滅ぶ。もしこれが本当にサナの話なら、それは免れようのない歴史だ。

 今寝て、次に目覚める時に元の自分に戻っていなかったらどうしよう。そんな不安が胸中を掠めた。




TS白髪ロリはいいぞ
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