それはミレイ会長の鶴の一声から始まった。
「よしっ。皆との親睦をより深めるために、生徒会で夏合宿をしましょう」
そして、ニヤリと笑みを浮かべると言葉を続けた。
「なお、強制参加でーすっ」
強権発動である。
強引だが、ミレイさんらしいと言えばらしいだけに思わず苦笑が漏れる。
多分、止められないだろうな。
そう思ったが、一応言っておこう。
「しかし、会長、いきなりすぎませんか?」
僕の言葉を聞き、ミレイ会長は屈託のない笑みを浮かべて言い切った。
「ほらっ、日本の諺にもあるじゃないっ。『思い立ったがホトトギス』って」
いや、それ違うと思います。
恐らくその諺をきちんと知っているであろうカレンとスザク、それにルルーシュが反応を見せる。
カレンは唖然としており、スザクは苦笑を浮かべ、ルルーシュはため息をはいている。
しかし、多分言っても止められないと踏んでいるんだろう。
誰も止めようとしない。
いや待って。
せめて、間違っているって突っ込もうよ。
そんな事を思っているとシャーリーが慌てて手を上げて言う。
「会長っ。水泳部の合宿が……」
「心配しなくてもよろしい。すでに部長には話をつけています」
いや、それ思い立っているっていう?
すでに根回し済んでるじゃないか。
唖然として、どう突っ込もうかと思っていたら、すすすーっとシャーリーに何かささやいている。
真っ赤になるシャーリー。
あー、あれは、多分、ルルーシュに水着見せつけて悩殺するチャンスだぞとか吹き込んでいるに違いない。
「はいっ。会長っ。私、急に気が変わりましたっ。すごく参加したいです」
シャーリーが意見を翻す。
それの様子からも、多分間違っていないだろう。
するとやっと我に返ったのだろう。カレンが手を上げて口を開く。
「会長っ。私、用事が……」
要は不参加を表明しょうとしていたんだが、なぜかミレイ会長はいきなり僕に話を振ってくる。
「ライは行くよね?」
圧力がすごい。
「もちろん、行くよね?」
再度聞かれる。
漫画だったら、背景に『ずごごごごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ』って感じの擬音が出てる感じだ。
もうね、そのプレッシャーは戦闘で死闘を演じているよりもきつかった。
ジリジリし追い詰められていく。
もう反対とか、不参加とか言える状況じゃなかった。
ああ、もう言わされていたといっていい。
「あ……、はい。参加させていただきます」
そう答えるのが精一杯である。
死ぬかと思った……。
そんな僕の様子を、スザクは苦笑して、ルルーシュは哀れむような視線を向けている。
いやね、君ら同じようにされたら絶対平然と対応できないぞ。
マジに……。
そう思っていたら、カレンがいきなり手を上げて言う。
「会長、やっぱり私、行きます。参加させてください」
カレンも意見を翻して参加表明である。
えっ、何、どういうこと?
カレンを見ると、ちらりとカレンは僕を見た後、恥ずかしそうに笑っている。
で、ミレイ会長を見ると、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ふっふっふ。『将を射んと欲すれば先ずママを射よ』よ」
最近、ミレイ会長は日本の諺に興味があるらしく、時々使っている。
でもさ、えっと……それってママじゃなかった気がします。
そう突っ込もうかと思っていたら、いつの間にか全員が参加決定となっていたのであった。
誰か突っ込もうよ。
そんなこんなで、夏休み前に急遽決まった生徒会夏合宿。
まぁ、どうのこうの言いつつも、この面子で過ごすのは楽しいので楽しみなんだよな。
それに、カレンの事も気になっているし……。
いい雰囲気にはなるんだけど、なんか邪魔が入るのである。
まるで、くっつけないようにしている悪意を持った第三者が介入している様に。
しかし、今回は違う。
なんと、合宿先は、夏の海辺の旅館らしいのだ。
それも旅館貸し切り&旅館のプライベートビーチ付きである。
ふっふっふ。
これで邪魔は入らないはず。
これでカレンと……。
そんな事を思っているうちに旅館に着いた。
大きくはないし少し古いものの、それがいい塩梅で味になっている感じだ。
「雰囲気いいわねぇ……」
カレンが旅館を見て、思わずといった感じて言葉を漏らす。
「うん。そうだね」
僕も頷く。
なんか懐かしい感じがする。
「風情を感じるね」
そう言ったのはスザクで、他の面子も結構満足げだ。
租界とかのコンクリートや金属なんかによって建てられた建物ばかりで生活していると、こういった木と土壁で作られた建物は新鮮なんだろう。
ともかく、こうして夏休みの生徒会の三泊三日の夏合宿がスタートしたのであった。