仮面ライダーダークディケイド:フェイク   作:五妻翔兎

2 / 12
お待たせいたしました。「他の作者様に比べて一話が長いよなー」と思いつつ、ついつい自分にとってきりが良いところまで書いてしまいます。一話のように出典は後書きに書いてありますので公式画像でイメージしながらお楽しみください。


スカルの世界編
第二話 始まりはΣ/探偵はこの街に一人


これまでの仮面ライダーダークディケイドは...

 

「貴方に残された選択肢は2つ。ここで兵器となるか。私と逃げるか。」

 

「有難く思え裏切り者ども。お前らは上層部から優先排除対象に選ばれた。」

 

「惨劇の先にどれほどの平和と秩序が待っていたとしても!目の前で流れる涙を...僕は止めたい!」

 

「そのドライバーは...!?お前!一体何者だ!」

 

「通りすがりの仮面ライダー...その偽物さ!覚えておけ!」

 

 

 


 

 

 

風の街、風都。酸いも甘いも風が運んでくるこの街にはいつも心地の良い風が吹く───夜を除いて。

 

「grrrrrrrr…」

 

『真夜中の風都には怪物が潜んでいる』

 

この街では暗黙の了解とされているこの噂。夜の風都は賑わいつつ、どこか口に出すことは許されない奇妙な緊張感に包まれている。恐怖を煽り立てる、ひどく生暖かい風だけが通り過ぎていく。その中で風都第11番ビルの屋上に一人佇む者がいる。鷲の仮面で顔を隠し、帽子を深く被った。俺の名は鳴海翔子。この街を守るハードボイルドな探偵...の助手だ。

 

「た、助けて…!助けてぇ…!!」

 

路地裏で獣のような怪人が一人の女性へとじりじりと詰め寄る。腰が抜けて動けない彼女は震える声で助けを求め続ける。

 

「見つけた!今助ける!!」

 

『STAG』『BAT』

 

メールを送信した後、カメラと携帯電話にギジメモリを刺す。クワガタと蝙蝠型に変形したそれら*1,2は今いる屋上から現場へと急降下し、怪人に激突を繰り返す。気がそちらに向いてる間に、こちらも飛び降りて、女性と怪人の間へと華麗に着地。

 

「だ、誰!?」

 

「おらぁ!!!」

 

怪物の顎へとアッパーカットがクリティカルヒット。対ドーパント用の装備を付けてるとはいえ右手がヒリヒリと痛む。しかし、それは連撃を止める理由にはならない。あの人が来るまで時間を稼ぐ。

 

『BOMB Maximum Drive』

 

左手で狙いを定め、土手っ腹に一発撃ち込む*3。爆弾の記憶の一撃が化け物の身体をよろめかせる。ハードボイルドな探偵(助手)は一瞬の隙も逃さない。腰を抜かしているレディを背負ったら、華麗に走り出す。

 

「悪いな、名前は言えない。だが、この街を守る者…その助手だとは言っておくぜ。」

 

「それって…まさか!?」

 

振り向かず光の方へと走り続ける。こっそりとバットショットの撮った写真から、あいつが自然治癒能力持ちのビーストのメモリのドーパント*4であることが分かった。だったら、先ほどの一連の攻撃はもう回復ずみだ。

 

「追いかけてくるよな、そりゃ!」

 

一本道を野獣人間とハードボイルドな探偵助手が走り抜ける。乗り心地最悪の背中に必死に捕まる女性に、鋭い爪が段々と近寄ってくる。

 

「逃げ切れるんですか!?」

 

「んな必要はねえよ!なんつっても...」

 

一本道の路地裏の光の向こうから一筋の白い影が飛び出す。鋭い蹴りが野獣人間の顔面を捉え、奴さんを数m先の床へと突き飛ばす。衝撃から生じた砂煙から現れたのは白いスーツを身にまとった男、俺がこの世で最も敬愛する師匠だ。

 

「翔子…怪物相手に手を出すなとは何度も──」

 

鋭く濁ったように暗い目が俺を突き刺す。毎度毎度おやっさんの威圧に負けるわけにはいかない。隣に立つ助手としてのプライドが俺にもある。

 

「おやっさん…!こうしてドーパントから人を守ったんだ!少しは認めてくれたっていいだろ!?」

 

強く言い返すと何も答えることなく、背後へと追いやられる。相変わらずおやっさんはハードボイルドでかっこいい憧れの人だ。けど、最近はより一層お小言や俺を後ろへ追いやることが多くなったし、少し嫌になる。

 

「それと──この帽子は没収だ。」

 

気づけば俺の頭の上の感触はなくなり、おやっさんに付き添うスタッグフォンが事務所から拝借した帽子を掴んでいた。

 

「ああっ!いつの間に!」

 

「半人前に帽子は似合わん。依頼人を連れて安全な所まで離れろ。」

 

「…分かったよおやっさん!」

 

おやっさんのその言葉には、今から人ならざる者同士の戦いが始まるという注意喚起の意味も含まれていた。起き上がった野獣人間がシュルル…と不気味な息を吐きながら迎撃態勢へと移る。

 

「…今のこの街じゃ俺もこいつに頼るしかない。」

 

懐から取り出したロストドライバーを丹田に当てると、ベルト*5がおやっさんの腰へ巻かれた。目の前の怪物に臆することなく、帽子を外し、スーツの裏ポケットから闇に溶け込むような黒いメモリ*6を取り出した。静かに悠然とそれが起動される。

 

『スカル』

 

「変身」

 

ガイアメモリがスロットへと差し込まれる。すると、おやっさんの頬に幾何学模様の入れ墨が走った。すかさず無骨な手がモノスロットを倒すと、変身プログラムが起動する。

 

『スカル』

 

紫の稲妻が全身を変化させると同時に、小さな竜巻がおやっさんを中心に起こる。身体の表面が段々と黒い鎧へと変わっていく。入れ墨の走った顔面から銀色の骸骨になり、S字の傷が火花と共にその額へと刻まれた。風が止む。その風の眼だったところには、白い帽子を左手に持った一人の怪人*7が立っていた。

 

この街でまことしやかに囁かれる噂はもう一つある。

 

『助けを求めたとき、風都の守護者が風と共に現れる』

 

その名は仮面ライダー。バイクに乗り、風都に巣食うドーパントから人々を守る者。

 

「さあ、お前の罪を数えろ。」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翔子と呼ばれた探偵助手がいたのとはまた別の屋上にツカサとベータはいた。一方は初めての街の人々や建物に目を輝かせ、もう片方は目もくれずガトリング型のデバイス*8から浮かび上がる情報と睨み合っていた。

 

「ここはスカルの世界…ってことかな?」

 

ツカサは握ったスカルのライダーカード*9と視線の先で戦う骸骨男を見比べていた。戦局は骸骨男の勝利を容易く想像させるほど一方的であり、手を貸す暇は無かった。カードに描かれたスカルは遠くに見える本物と比べると明らかにモノクロ写真のように灰色であり、力が失われていることがなんとなく感じ取れた。

 

「ええ。ディケイドが巡った世界のスカルにあんな女性と共に戦った記録はないはず。ここはそのパラレルワールド。察するにまだハンドレッドも観測していない別の世界ね。」

 

野獣男が飛び上がり、それをスカルが片手銃で建物の屋上に撃ち落とす。戦いの舞台がより上へと映ったその時、カードとスカルに向けていた目が街の向こうの方へと向いた。青年は目にする。白い光があちこちに明るく灯る風都の夜景。そしてその光にぼんやりと照らされて回る巨大な風車の塔。人々の往来が少ないからこそ、その光景は幻想的で、彼に埋め込まれた必要最低限の記憶には決してないものだった。飛び抜けて美麗な景色などではない。だが、ツカサにとっては全てが新鮮で美しく思えた。

 

「綺麗だ…」

 

意識せず漏れた言葉。とっさに反応したベータの瞳にも同じ景色が映ったが、その印象は全く違う物だった。

 

「…好きなの?こういう景色。」

 

「うーん…まだよくわからないかなあ。思えばまだ好きな事も物もないままにここまで来ちゃったから。」

 

ツカサはふと頭の中を見返した。ライダーとして戦う決心はあるものの、自分の中は依然として空っぽだった。好物も弱点もない純粋な状態に彼は段々と物足りなさを感じていた。

 

「ベータさんは何か好きなものとかある?」

 

「…ごめんなさい。どうしても思いつかないの。これからのことなんて考えた事なかったから…」

 

「どうして?僕は過去がないけど、ベータさんは『今まで』があるじゃないか。経験もぼくより多いし…」

 

「それは──」

 

純粋な目と疑問。あの脱出で死ぬつもりでいたことなど言えなかった。実際ベータと協力者が立案していた作戦の内容は、彼女の生死は考慮しないようになっていた。当然命を落とす前提で彼女は動いていた。ドレッドドライバーも万が一制御できず暴走したとしても幹部一人であれば道連れにできると考えていたから選択した装備だった。

 

「ベータさん?」

 

「…なんだっていいでしょ、理由なんて。それと『さん』付けはやめて。」

 

「ご、ごめん。」

 

冷たくあしらい、素っ気ない振りをする。今まで彼女は人に自分を曝け出すということをしてこなかった、いや選択肢自体がありえなかった。工作員である以上、本心は隠し通し、秘密を知った者は消さなくてはならない。そんな当たり前が続いた彼女が初めて人前で本心を漏らしてから一日も経ってない。まだ彼女の精神は不安定で心は大きな壁を再び築こうとしていた。

 

「そういえばディケイドの力って今はどうなの?」

 

「それが…ほとんど灰色になってて…ほら、このカードしか色ついてないでしょ?」

 

ツカサが見せた大量のカードはすべて灰色に変色していた。中には先ほどまでは使えたはずのクロックアップとマッハのカードがあった。唯一色を失っていないカードはディケイド自身の力であるスラッシュ、ブラスト、イリュージョン、インビジブルのみであった。

 

「力を取り戻す方法ならあてがあるわ。二つね。」

 

ツカサがディケイドの力を持っていたことは事前に分かっていたわけではない。しかし、このアクシデントは協力者達の持つ力を考えるととても都合の良い出来事だった。

 

「前者は世界を巡り続け、他の世界のライダー達の力を継承する方法。正直これは時間がかかり過ぎる。仮面ライダーがいる世界に運良く行けるかも分からないし、ハンドレッドを倒す力を手に入れるまでどのぐらいの時間がかかるか…」

 

導かれるようにディケイドこと門矢士は9つの世界を巡り、力を得ていった。しかし、それは追跡の魔の手がなかったからこそのこと。同行者である光夏海の世界が崩壊するまでのタイムリミットや鳴滝の追手こそあったものの、組織的な規模はなかった。

 

「私達には時間がない。より確実に迅速に奴らに対抗できる力を手にしなければ、今にハンドレッドは全ての世界を支配してしまう。だから後者の方法を目指す必要がある。」

 

矢継ぎ早にまくしたてるその言葉に、かすかながら恐怖が含まれていることをツカサは感じとっていた。未だ心の傷も身体の傷も癒えてない中、何とか前を向こうと必死なベータに不安を覚えずにはいられなかった。だからといって、ここで話を遮るのは彼女の頑張りを否定しているように思い、無理やり「大丈夫?」の一言を飲み込んだ。

 

「その後者ってのは?」

 

「それは──」

 

「協力者の一人であり、現在最強のハンドレッド対抗勢力。鳳凰・カグヤ・クォーツと合流し、力を分けてもらう───でしょ?」

 

人を嘲るような幼い声。当然二人のうちいずれかの声とも思えなかった。状況を分析する間もなく、何かの起動音とジッパーの開く音が耳に飛び込む。

 

「誰だ!?何の音!?」

 

「ツカサ!上を!!」

 

そうして上空を見れば、何もない空間にジッパーが現れ、奇妙な森とここを繋げていた。そこから降ってきたのは複数体の灰色の怪物*10、赤い獅子のような怪物*11。囲んで並び降りたそれらが今にも襲おうとしているのがツカサたちであることは明確だった。

 

「久しぶり。お姉ちゃん!」

 

「インベスにその声…あなたは!」

 

コツコツと高い足音が鳴り、傘を差した幼い少女が怪物軍団の中から姿を現す。黒のレースと赤のヘッドドレス、強く鮮やかなローズピンクのロングツインテール、漆黒に髪と同じ色のメタリックなラインが走ったロリータドレスは闇夜に燦然とその存在を示す。暗がりの中、にやりと笑うその少女の姿はまさに怪物を従える魔女そのものだった。

 

「初めまして、クズ虫。私はシータ。ハンドレッドの幹部でそこのベータお姉ちゃんの妹!アナタを殺しに来たの!」

 

明るい声色と笑顔で話された内容は非常に物騒なものであった。

 

「もう帰ろ?お姉ちゃんはそのクソ男にだまされてるだけだよ!」

 

「ベータさん、妹さんいたの...?それにクズ虫って…」

 

「あの子は私を姉だと思い込んでる。そう改造され──」

 

言い終わるよりも早く、どこからか現れたツタがベータの両手首に巻きついた。それと同時に灰色の大きな腕がツカサの頭部を狙う。とっさに頭を下げ、後ろへと回避するがそれを境に怪物が一斉に襲いかかる。ベータからは引き離され、無防備な彼女に魔女が忍び寄ってくる。

 

「ベラベラとクズ虫と喋んないでよ。こいつ殺してお姉ちゃんを取り戻す…今必要なのはそれだけでしょ?」

 

「ベータさん!!」

 

次々と襲い掛かるインベス。その攻撃は執拗にツカサのみを狙い、空中に吊るし上げられた無防備なベータには見向きもしない。シータがゆっくりと彼女へと歩み寄る。なんとか躱しながらツカサは自らの丹田にベルトを装着する。

 

「私のことは気にしないで!それよりも追手が来ているということは…!」

 

「大丈夫!今助ける!それにこのぐらいの敵なら…!!」

 

ベータの文言を遮り、素早くカードを一つ取り出した。その上部には『DARK DECADE』と記入されている。彼の仮面ライダーとしての名だ。

 

「変身!」

 

『KAMENRIDE!DECADE!』

 

一瞬で身体が黒と金を基調とした姿へと変わり、蒼い瞳が黒の中で爛々と輝く。即座にライドブッカーを剣へと変形し、何も考えず襲ってくる初級インベス二体を対象に横に薙ぎ払う。二体の撃破による爆風を利用し、次の一手の隙を作る。

 

「使えるカードは...やっぱりこれだけか!」

 

『ATTACKRIDE!ILLUSION』

 

使える四枚のうち、状況に最適な一枚を即座に選んだ。ダークディケイドの姿が三人へと分かれる。二体はインベス達に立ち向かい、一人は妨害をかき分け走る。戦いの中で、縛られた獲物は魔女と張り詰めた空気の中で対峙していた。

 

「力を行使しても、私はそちらには戻らない。妹なら姉にこんな乱暴するのはどうかと思うけど。」

 

「思い通りになってくれないお姉ちゃんが悪いんだよ!ねえねえ。なんであんなのの味方なんかするの?組織に嫌なやつがいるなら言ってよ。そいつ殺すからさ。だから戻ってきてよー!」

 

『ATTACK RIDE SLASH』

『ATTACK RIDE BLAST』

 

二体の分身の攻撃により全てのインベスが爆散する。視線を移せば、爆発の方からはダークディケイドが怒涛の勢いで走り向かってきていた。蒼い光が点としてこちらに一直線に近づいてくる。彼の表情は仮面によって隠され、真意を見ることはできない。しかし、その鬼気迫る勢いに、大きく蒼い瞳に、怒りの表情をベータは幻視した。

 

「ベータさんを…!離せ!」

 

バトルマギアを殲滅したあの時と同じように彼は暴走していた。目の前の敵を殲滅するために剣を振るう。それが例え生身の少女であったとしても。その姿は仮面ライダーというよりも────

 

「怪人のようではありませんか。生身の少女に剣を振るうなど。」

 

突如現れた揺らめく紫の炎。振り降ろされたライドブッカーが捕らえたのはそれから出てきた小金色の刃*12であった。鮫のように無数に並ぶその鋸状の形状が剣先を見事に引っ掛けていた。

 

「それに太刀筋も甘いッ!!」

 

引っかかりを見事に利用し、声の主は、キンッというかん高い音と共にライドブッカーを打ち上げる。剣の勢いに乗せられ、ダークディケイドの胴体はがら空きになる。謎の剣士は横一文字に剣を振る。紫の炎を纏ったその攻撃をもろに食らい、ツカサは後方のフェンスへ吹き飛ばされる。生身の人間の一撃にしては尋常でない程重く、なんとか変身解除はしなかったものの、ダメージは大きかった。

 

「ぐぁっ…」

 

「ツカサッ!」

 

『ケミーライズ!カマンティス!ピカホタル...!ゴルドダーッシュ!』

 

強い光がベータの持つデバイスから放たれると同時に大型バイクのケミー*13が生成される。ゴルドダッシュが強引に2人を乗せればフェンスを突き破り、空中へと飛び出す。巨大な音と衝撃が地面と2人に伝わる。タイヤはギュルルルと急速回転し、夜の風都を走り始めた。

 

「ありがとう、ベータさん。それにカマキリくんも。咄嗟に目も隠してくれて助かった。」

 

ツカサの視界に異常はない。光を放った瞬間、ツタを切ったカマンティス*14はダークディケイドの眼の盾となり、目眩ましから身を守っていたのだ。レプリケミーが完全な持ち主の言いなりであるがゆえに出来る迅速な動きであった。

 

「カマカマ…」

 

「必要だからしただけ。それより緊急事態よ。まさかシータとニュー...幹部が二人来るなんて...」

 

「ニュー?それがあの紫色の炎の人?」

 

「ええ。彼女は…うっ…!」

 

「大丈夫!?」

 

ズキンとベータの体が痛む。ケミーカードによる応急処置を施したものの未だシグマに着けられた傷は癒えていない。直前まで強く縛られていたのもあり、手の力も入りにくかった。傷に苦しむベータを気遣う代わりに、ツカサは忍び寄る敵意に警戒し、そして気が付いた。

 

「そこかっ!!」

 

前方の路地裏へと放つ銃撃。今まさに飛び出そうとしたインベスたちが叫び声をあげ倒れる。が、それでも突き進む後陣の怪物たちは肉壁となり、走るバイクを止めた。

 

風が銃弾による白煙をかき消し、謎の剣士がその姿を現す。ブロンドのポニーテールと、青色の眼が透けて見える紫色の楕円眼鏡も印象的だが、目を引くのはその服装。シスター風の白黒ワンピースの上から、両手に赤色の革手袋をつけていた。

 

「まさか気づくとは。少し舐めすぎていましたか。」

 

「あの光が効かなかったというの?!いやそれにしても早すぎる…!」

 

脇路地からジッパーの閉まる音がなり、コツコツコツコツと響かせながら、魔女が忙しない様子で出てきた。

 

「ちょっと!お姉ちゃん殺さないでよ!?」

 

「お言葉ですがシータ。指令では両名とも抹殺のはずです。」

 

「んなの関係ないわよ!殺すのはお姉ちゃんを奪ったこのクソ野郎だけ。そしてぇ!」

 

勢いよく少女がドレスのポケットから何かを取り出す。それはピンク色のラインが走った真っ黒な林檎の錠前*15であり、禍々しい気を纏っていた。 

 

『ダークネス…!』

 

「私が直々にブッッッッッッッ潰す!!!!!」

 

「…ご自由にどうぞ。」

 

諦めて抜刀するニュー。左手で取り出した小型の一冊の本*16が開かれる。

 

『ジャアクドラゴン…かつて世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった一体の神獣だった...』

 

手に持った錠前を腰に巻かれたドライバー*17に取り付ける。負けじと痛む身体を奮い立たせ、ベータはドレッドライバーを取り付け、カードを差し込む。彼女はツカサに問う。

 

『スチームライナー…』

 

「ツカサ…私達に残された選択肢は二つ。ここで諦めて苦しまずに済むか。可能性を信じ、限界まで戦って抗うか...!」

 

答える代わりに強く頷く。

 

「どちらにせよ結末は変わりませんよ。過程がどうなろうとあなた達は此処で倒れます。」

 

『ジャアクリード...』

 

ガラスをひっかくようなおどろおどろしい音楽と不気味な踏切音が不協和音を作り上げる。深夜の寂れた風都に出来た異様な光景に人々は誰も近づこうとしなかった。関わらないように、気づかれないようにと店のシャッターを閉めたり、素知らぬ振りをしてその場を避ける。

 

1人、魔女はスカートの両端を掴み、右足を引き、軽くお辞儀をした。いわゆる淑女の礼、カーテシーである。

 

片や剣士は目の前に剣を構え、眼鏡の位置を指で直す。規律正しく騎士のように。

 

そして、反逆者は胸の前で右の拳を握りしめ、大きく屈む。心臓を握りつぶし、残りの全てを出し切るように。その手には彼女の強い意志がこもっていた。

 

3つの声が重なる。闇夜に放たれる決意の言葉。

 

「変身ッ!」「変身。」「変身…ッ!」

 

闇黒の果実が、邪悪な書物が、固く重いレバーが一斉に開く。

 

『ダークネスアームズ…黄金の果実…!』

『闇黒剣月闇!Get go under conquer than get keen!ジャアクドラゴン…!!月闇翻訳! 光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!』

『ドレッド…零式…』

 

顔面に大きな『邪』の文字を持つ黒の鎧武者。名をアーマードライダー邪武*18。その隣、仮面の龍頭を携えた、一本角の紫の騎士。名を仮面ライダーカリバー*19。鎧を纏った魔女と騎士は、目の前の獲物を全力で狩ろうと武器を構える。対する2人の反逆者、仮面ライダードレッドとダークディケイド。既に満身創痍だが、仮面の奥に見える瞳はその輝きを失ってはいなかった。強く一歩を踏み抜く。刃と刃がかち合う音は戦いのゴングに代わり、人々が怯え暮らす深夜の風都に鳴り響くのであった。

 

 


 

 

 

野獣人間のメモリが排出され、砕ける。倒れ転がる元ドーパントの男性を前に、スカルはドライバーのメモリを引き抜いた。黒骨の鎧が塵となって消え、風と共に鳴海荘吉の姿へと戻った。

 

「もうこれで何回目だったか…暴走したドーパントが人を襲うのは…」

 

フッとよろめき、思わず壁へと手をつく。眉をしかめ、歯を噛みしめる。その顔色は疲労の蓄積が目に見えて分かるほどに悪かった。そんな状態でも帰路へつくため、バイク*20の元まで歩こうとする。幸い自動運転機能がついているので事故を起こすことはないだろう。

 

「ん…?」

 

懐から何かしらの振動を感じる。気づけばプルルルルと通知音まで鳴っていた。黒い大きめの携帯電話を取り出して、画面を開く。表示された『文音』の文字を確認すると、通話に出た。

 

『もしもし。私よ。』

 

「翔子に銃を渡したのはお前か。」

 

『あら。その様子だと無事にドーパントは倒せたみたいね。』

 

「...質問に答えろ。あいつを戦いに巻き込む必要はないはずだ。」

 

『ならその息切れは何かしら。私が動けなくなってからも暴走ドーパントは増える一方よ。戦力強化するに越したことはないわ。』

 

「………」

 

実際文音と呼ばれた女性の言う通りだった。度重なる連戦と日々の依頼に彼の身体は悲鳴を上げていた。それでも彼は戦い続けなければならない。この街の涙を拭うハンカチはたった一枚しかないのだから。

 

『それに彼女から言ってきたのよ。あなたの役に立ちたいって。少しは彼女に向き合ってみたらどうかしら。それじゃ。』

 

返答する暇もなく電話は切られる。荘吉は深く帽子を被った。生暖かい風がまた吹き、過ぎ去っていく。上空の曇天は晴れず、風都の夜はまだ長かった。

 

 

 


 

 

 

黒いマシンが向かう先、鳴海探偵事務所。その下のかもめビリヤード場、その駐車場で見張りをしつつ、不満げにぶつくさと呟いているのは仮面を外した翔子であった。つま先を両足交互にトントンと地面に叩く。わずかな音だが、人も物音もない真夜中ではよく響いた。

 

「ったっくよー...いい加減俺も武器もらって強くなったんだし、少しくらい認めてもらってもいいじゃんかよー...」

 

怪我によって動けなくなった文音の足代わりとして、銃やメモリガジェットなどの装備を手には入れたが、それでもおやっさんには認められない。なによりここまで育ててくれた師匠の役に立てていない。その焦りが翔子の身体にアイドリングストップをかけていた。

 

「翔ちゃ〜ん!!大変だよォ〜!!」

 

「その声は…ウォッチャマンにサンタちゃん!?」

 

走ってくる2人の男性。片やアフロヘアーにヒゲを生やしたカメラ柄の服を着た不審者であり、もう片方は季節外れのサンタだ。どこからどう見ても不審者だが、翔子はこの2人を知っている。彼らは街に流れる噂を流してくれる鳴海探偵事務所の頼れる仲間、イレギュラーズのメンバーだ。翔子にとっては気の良い叔父のような存在で、幼い頃から探偵事務所に来ては遊んでくれていた。

 

「なんだ?また変な恰好してくれってわけじゃないよな?」

 

「違う違う!!それが大変なんだヨォ。ボキ達いつも通り二人で遊んでたんだけどサ。」

 

「向こうがピカーッ!って光ってドンドンドォーンッ!って鳴って何が起きたと思ったらさ。4人くらいが戦ってガンガンガーン!!俺たち怖くなっちゃって命からがらここまで逃げてきたってわけよ。」

 

いつも通りのオーバーな擬音とパントマイムを披露するサンタちゃん。嘘をついてる様子は無い。新たなドーパントだろうと翔子は推測するが…

 

「それにね。ボキ撮っちゃったワケ。音の正体。仮面ライダーだよ、仮面ライダー。」

 

「はあ!?…おいおいウォッチャマン、仮面ライダーはこの街に1人だぜ。」

 

「ホントだヨォ。ほらコレ。」

 

ウォッチャマンが最新型のスマホで見せてくれたのは紫の超人と黒の超人が戦闘する動画であった。片方の骨のような外殻はどこかスカルに似てるようで親近感を覚えた。

 

「ここ!ここォ!ベルトみたいなのあんじゃん?噂の仮面ライダーもそんなのつけてた気がするしドーパントではないと思うんだよネ...」

 

「確かにドライバーはあるけど...ガイアメモリもないし...なんだこいつら?」

 

「「ドライバー?」」

 

「ん?…あ!いやなんでもないぜ?聞き間違いかなんかだろ?」

 

そう言った直後、彼女の頭に電撃のような閃きが訪れる。

 

(突如現れた四人の仮面ライダー(?)…味方なのか脅威なのかも分からないあいつらの情報をおやっさんは欲しがるはず…!そこで「既に調べはついてるぜ」と情報を出すオレ…!これだ!!)

 

「わりぃ二人とも!事務所の見張り頼む!」

 

「翔ちゃん!?何しに行くのォ〜?!」

 

「ちょっくらおやっさんの役に立ちに〜!」

 

メモリガジェット一式と文音から貰った銃を持ち出し、ウォッチャマン達が来た方向へと走る。眠気と心のモヤはなくなっていた。今はただ真実を解明するべく探偵見習いは走るのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 

戦況は圧倒的の一言だった。

 

「アハハハハハハハハハ!!ディケイドの力もその程度!?大したことない...ねッ!」

 

邪武の荒々しい薙刀の連撃。反撃の隙も与えないその苛烈さにツカサは防戦一方だった。

 

「くっ...!それなら!」

 

「あ。言っとくけど距離をおいても無駄だから。」

 

彼女が指に下げた解錠済みのロックシード*21を二つ見せる。気づけば両腕を初級インベス達が取り押さえていた。取るに足らない雑魚ではあったがそれにかかる手間はこの状況において致命的なものだった。

 

『ダークネスオーレ...!』

 

「消えちゃえ...!!!」

 

薙刀から放たれた斬撃エネルギー体がインベスごとダークディケイドを切り裂く、はずだった。

 

『FINAL ATACK RIDE DE DE DECADE』

 

「ああそう。」

 

火事場の馬鹿力、決死の思いで飛び上がり必殺の一撃を繰り出した。相手が振りぬいた直後のその攻撃は必中にも思えた。しかし、割り込んだ影によって事態は急変する。邪武の足元でもう一つイチゴのロックシード*22が開いていた。

 

「こいつは…!?」

 

「おとりじゃなくて不意打ちに使うつもりだったんだけどなあ。まあいいや。」

 

『ダークネススカッシュ...!』

 

飛び込んできたコウモリインベス*23によって方向は逸れ、必殺のディメンションキックは不発に終わる。ナギナタモードを解除し、二つの得物が混ざり混ざった黒色のエネルギーを纏わせ、ゆっくりとダークディケイドの元へと歩み寄る。避ける気力は一歩さえ残っていなかった。

 

「今度こそ消えろよ、クズ虫。」

 

 

 

 

 

 

時を同じくして苛烈な戦いを繰り広げる者がいた。白いマフラーと黒い腰布が荒々しくたなびく。

 

「甘くなったものですね。あの機械のようだったあなたが、周りの被害の心配とは。」

 

「変わったのよ...あなた達と違って。」

 

剣と刀が激しくかち合う。剣の腕はニューが圧倒的に上を行っていた。時間が経つにつれ、防ぎきれない攻撃も多くなってきた。しかし積み重ねられた戦闘技術はベータの方が優れていた。

 

『バレットバーン...ドレイン...』

 

空いた左手に黒の拳銃、ブラッディ―DD*24が生成されると同時に弾を発射する。相対する刀に集中していたニューは防御することなく、腹部にそれを食らう事になる。

 

「剣同士の戦いに銃を持ち出すなど無粋ですよ!」

 

「無粋で結構。あいにく余裕がなくってね。」

 

ベータによる銃撃はそこまで高精度というわけではない。達人であるニューであれば余裕で弾き返すことができる。しかし、それに気を取られれば近づいてくるベータの近距離攻撃に対応することができない。後ろに下がり、態勢を立て直そうとすれば様々なケミーカードの効果によってそれを妨害された。

 

「カッシーン現隊長、ニュー。あなた、力を使いこなせていないでしょ。太刀筋はいいけど、体がついてきてない。おそらく初変身かしら。」

 

「くっ...そちらも二回目でしょう!?」

 

「あいにくあなたとは通ってきた戦場の数が違うのよ。ここで終わらせる!!」

 

『カイザービー、ブリザンモス...ブラッドサクリファイス...!』

 

武器を投げ捨て、右の拳を床へ叩きつければ地面が凍りついていき、カリバーの足元を拘束する。武器が闇黒のエネルギーへと変化し、右腕に冷気と共に巨大な蜂の腹と針を形成する。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「フンッ!!グウウウウゥ…!!!」

 

鋭く突く渾身の一撃。闇黒剣の平で防御するカリバー。が、抑え切れず、死の針が刻一刻と胸に迫っていく。4枚同時使用の負担により軋む身体を奮い立たせ、ベータは右腕をさらに奥へと押し込む。

 

「隙あり。」

 

『NEXT!』

 

反応した時には既に背中は切られ、黒い外装がパックリと開き、オレンジ色の液体が漏れ出した。変身が解除され、ベータはうつ伏せに倒れる。飛びそうな意識の中で視界に映ったのは、先刻倒したはずのダークドライブ*25の姿だった。

 

「シグマ…!貴様!なんと卑怯な!一対一の決闘外から不意打ちなど!!」

 

「あのまま押し切られてたら負けてた癖に何言ってんだ。逆に感謝して欲しいくらいだね。」

 

「くっ…!貴様に戦士としての誇りはないのか…?!」

 

ノイズの混じったため息が大きく吐かれる。

 

「俺たちは道具、いわば組織のために働く駒だ。チェスのポーンに意志はいるか?いらないよなぁ。」

 

ニューは反論しなかった。黙りこくった様子を確認したダークドライブは視線をベータに移す。

 

「何故…あなたが…ここに…倒された…はず…」

 

それを聞くと待ってましたと言わんばかりに、ダークドライブは自らの頭を掴んだ。グッと力を入れると、頭が外れ、中身が露わになる。いや、その表現は適切ではない。取り外したドミニオンメットがあったその場所には何もなかったのだから。

 

「じゃじゃーん。」

 

「...なるほど、遠隔操作ね。」

 

「反応悪いなぁ。まあご名答。元々ダークドライブには自動操縦(オートパイロット)機能があってね。そこを応用したってワケ。だから俺の本体は今も基地で療養中さ。」

 

「ずいぶんと働き者なこと...」

 

「瀕死の人間の言うことか?ま、いいさ。これ見りゃお前も表情変えるだろ。」

 

そう言ったのと同時にベータの隣でどさっと音がした。大きな何かが乱暴に置かれた音だった。ボロボロの服を着た傷だらけの男性にベータは見覚えがあると思いたくなかった。コツコツとヒールブーツの音が鳴った。

 

「シグマー。とりあえず痛めつけてここに置いたけど。」

 

「お〜よくやったなシータ。そんじゃ仕上げだ。お姉ちゃんの目の前でもう一回コイツを痛めつけてやれ。」

 

「えークズ虫壊れちゃうよー?」

 

「そこは上手くやりな。やり続ければベータお姉ちゃんも目が覚めて戻ってきてくれるはずだからさ。」

 

「マジで!?おっけー!やるやる!!」

 

ヘルヘイムのつたによって、隣の男性が吊るされる。その顔を見たベータは悲痛な叫びをあげた。虚ろな目をしたそれはまぎれもなくツカサだった。

 

「やめて…!私のことはどうなったっていいから…!彼は───」

 

頭を付け直したダークドライブがその口を塞ぐ。小さい子に言い聞かせるような座り方で語りかけてくる。

 

「これは罰だ。お前が道具としての責任を放棄し、あまつさえ組織に歯向かおうとしたその報いだ。」

 

「散々傷とか打撲はつけたし、今度は大きく血を出しちゃおうかな~!」

 

「お前もどうだ、ニュー?」

 

ベルトのライドブックを乱暴に抜き取る。変身を解除したニューは壁を背にもたれかかった。

 

「…このような手口、私は好まん。」

 

「あっそ。その変なプライド捨てた方がいいと思うけどなァ。」

 

叫ぼうとする言葉は届かない。物理的にも。精神的にも。無双セイバーの銃口が太ももに突きつけられる。今銃口を引こうとしたその時、列車の汽笛のような音が鳴り響いた。

 

「俺たちの街で...好き勝手してんじゃねぇ!!」

 

骸骨の顔を模した六輪大型車*26が五人の元へ突っ込んでくる。止まる様子はなく、上部に乗る一人の女性、鳴海翔子の表情は遠目から見ても鬼気迫る勢いであった。高速で走る車を掴みながら、赤い銃で爆発する弾を乱射してきた。

 

「んだあれ!?…くそッ!!」

 

メモリガジェット達が三体がかりで気を失ったツカサを宙に浮かせ、骸骨戦車へと連れていく。ダークドライブはサイバネティックな青と黄の光を残し、ニューとシータを抱え、どこかへと消えていた。

 

「掴まれ!!早く!!」

 

迫る翔子が残ったベータへと手を伸ばす。残った力をふり絞り、精一杯挙げた手をがっちりと握り、骸骨戦車は建物にぶつかる直前スレスレで急カーブ。地平線に見える太陽と入れ替わりに、そのままどこかへと走り去って行くのだった。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「招集命令!?なにそれ聞いてないんだけど!!」

 

「シータ、落ち着いてください。」

 

「あいつら始末してから言うつもりだったんだよ。元々俺そのために来たんだし。」

 

少しづつ明るくなる早朝の風都。そのどこかの路地裏で魔女が背丈にかなり差がある黒色の不審者に詰め寄っていた。その傍らでは眼鏡をかけたシスターが二人をにらみつけていた。

 

「あのような真似をせず、さっさと倒してしまえばよかったものを。」

 

「逆に倒されそうになった奴に言われたかあないね。それに俺はベータの心を折って、シータの願いを叶えようと…」

 

わざとらしいそのしゃべり方にニューは苛立つ。呆れた様子で鼻息をフッと吹いた。

 

「詭弁を並べおって…で、その招集の原因はなんだ?」

 

「そうそう!上層部の襲撃とかくだんないことだったらそのベルトぶっ壊してあげる。」

 

反抗的な二人の態度に肩をすくめると、ダークドライブは手のひらから複数画面のデジタル映像を映し出す。それぞれ違う場所を映しているのにも関わらず、複数の動画内全てで一人の白髪の仮面ライダー*27とそれと似た姿をした一つ目*28が警備の怪人をなぎ倒しながら、研究施設を破壊していた。

 

「先日の脱走に引き続き研究所がまた襲われ、多数の実験体が死亡、脱走、および行方不明となった。上層部は未知数の逃亡した実験体と幹部より、現実的な脅威となっているこいつに人員を割くみたいだぜ。」

 

「えーっ!お姉ちゃんの捜索はー?!」

 

「しばらく保留でしょう。にしてもレジェンド並みの脅威では無いとはいえ、頻繁に動かれる分こちらの方が厄介ですね。」

 

「すばしっこく逃げて私コイツ嫌い!」

 

映像は例外なく最後に一つ目の放った手裏剣を映して終わった。そう話す三人組に近づいてくる紳士がいた。

 

「現地の世界を壊しそうな奴らに武装付与して帰れってのが本部の命令だ。ダークディケイドとベータのポテンシャルはそこまであるとは思ってないようだな。」

 

「おや。壊すとは心外ですね。私は救おうとしているのですよ、この街の人間を。」

 

映像が繰り返し襲撃の様子を再生する。白髪の仮面ライダーの頭部にはマーキングのように『FUMA/Code Name: γ』が表示されていた。

 

夜が明け、風都にまた良い風が吹き始める。探偵事務所にもその新しい風が吹き込んだ。傷だらけの青年とレディを乗せて。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。