ヴェスパーアーカイブ 作:アーキバスアビドス支店
「そうか…620はミレニアムサイエンススクールの学生なのか…617は戦術教官、619は617の補佐か」
「619は筆記試験落ちて資格が取れなかったんだ」
「おい!!620!!言わないでくれよ!!俺だって勉強めちゃくちゃ頑張ったんだぜ!!」
ここはミレニアムサイエンススクールの学食の1つ。1つと言うのはミレニアムサイエンススクールにはアビドス高等学校と違い、食堂が沢山有るのだ。
キヴォトスには数千の学園が存在しているが、その中でも特に影響力を現時点で持つ学園が3つあり、その1つがこのミレニアムサイエンススクールなのだ。影響力や規模もキヴォトス上位であり、新興学校とは言え設備や敷地も広く、食堂も複数有るのだ。
そこでウォルターは久し振りに再会した嘗ての子飼いの強化人間部隊ハウンズの3人と近状を話していた。ウォルターにとっては、数年前のルビコンでの事件以前以来の再会であるが、ハウンズの3人は『気が付けば』ミレニアムサイエンススクールの自治区にある「廃墟」と呼ばれる廃都市エリアに、大破した愛機と共に反応が消えた年齢で来ていたのだ。
つまり、ウォルターにとっては数年ぶりの再会で、ハウンズにとっては半年ぐらいの感覚での再会だったのだ。
「つまり、彼等はレイヴンの前にハンドラ-・ウォルターの子飼いだった傭兵…ということで良いのか?」
「そうだラスティ。コイツらは俺にとって、子供のような奴らだ。617はコイツが子供の頃からの付き合いでな、10年以上は共に過ごした。その後に、618を拾い、奴隷商人から619と620を購入した。621を購入したのは、彼等と別れた後だった」
「そうか…彼等が…」
ラスティは隣でアイスを食べながら聞くレイヴンと、ハウンズを交互に見る。
なにせハンドラ-・ウォルターが引き連れている強化人間は全員が優秀であり、ハウンズの連中の腕前もあり、ウォルターは強化人間の調教師として有名であり、その素質を見抜く力はラッドのカーラからも高く評価されていた*1。
「てかよ!!ウォルター!!なんでアーキバスと居るんだ!?もしかして、618と同じ眼をしたソイツが噂のC4-621!?」
「619。ウォルター達が困るよ」
「そうだな…確かにヴェスパー部隊と共に行動してるが、彼等はアーキバスであって、アーキバスではない。アーキバスに対して謀反を行ったからな」
ハウンズ達も気になるようで、ウォルターがハウンズ達にざっくりと説明した。
ハウンズ達と離れ離れになったあと、621ことレイヴンを購入したこと。購入した当初のレイヴンは年端もいかない子供であり、ACを操縦する程度の機能以外は死んでおり、以前の記憶が一切無い手術に一応は成功した失敗作だった。だが、そんな621と共にルビコンに密航し、そこで621はとある機体の残骸から「レイヴン」の名義とライセンスをゲットし、レイヴンとなる。その後は大暴れし、徐々に人間らしくなり…良い意味でも悪い意味でも大勢の人々の人生を変えた。
「621…改めて挨拶をしろ」
「おう!俺は強化人間C4-621 レイヴンだ。一応、V.Ⅸレイヴンのコードネームを持つヴェスパー部隊の隊長の1人だな。専属の部下いねーけど」
アビドス高等学校の男子制服を纏い、その上からヴェスパー部隊のジャケットを羽織ったレイヴン。しかし、そんなレイヴンを少し、哀れな目でハウンズは見ていた。実はハウンズは出荷されるとき、業者が聞いていた言葉を知っていたのだ『621は失敗作、どうせ買い手がつかん。時が来たら在庫処分だな』と。だが、結果的にレイヴンはリハビリや人との交流で機能が復活し、記憶は戻らなかったが、最強を証明した。世の中、なにがどうなるか分からない。
「で?お前は?もしかして、俺の先輩方の友人?」
と、レイヴンはその中で1人混ざる女子生徒を見る。
「私は明星ヒマリ。ミレニアムサイエンススクールの1年生で、世界が認める美少女ハッカーです」
彼女は明星ヒマリ。キヴォトス人であるが、生まれつき身体が弱いのだろうか?車椅子姿であり、ウォルターにミレニアムサイエンススクールに来るようにと連絡を寄越した人物。彼女にハッキング出来ないものはなく、唯一出来なかったのはオキーフとエアがノリノリで作り上げたアーキバス・オルタナティブの機密データだけだ。
「ヒマリ?ああ、エアが言ってたアーキバスにハッキングしたのはお前か。機密データにはアクセス出来なかったようだけど、閲覧出来たのは公開してるACパーツ位か」
「「「アーキバスにハッキング!?」」」
「ギック!?なんのことですか!?」
エア、そしてエアと『交信』できるレイヴンにはバレバレであるが、ヒマリは悪いことはしないつもりだった。だからこそ、レイヴンとエアも報告を受けたスネイル閣下も咎めを与えるつもりはない。
ヒマリは気が付いていないと思うが、ハッキングを仕掛けた直後…探知したエアの手で逆ハッキングを受けており、ヒマリの音声を拾われた。そこでヒマリがどうしてハッキングしたのかを知っているためだ。
「……はい。知りたかったんです…620達の本当の名前を。だって可哀想じゃないですか…強化人間の実験台にされて、道具のように番号で呼ばれるなんて」
彼女は知りたかったのだ。ハウンズ達の本当の名前を。奴隷として改造手術を受ければ番号で管理され、奴隷扱いだ。だが、そんなの人として可哀想すぎる、ヒマリは治安が悪いキヴォトスで身体的弱者に入り、そんな自分のことを気にかけて友人になってくれた620、620の兄貴分である617と619…そんな彼等に人としての名前を取り戻して欲しかったのだ。
「良いんだよ、ヒマリ。道具として戦い抜くことを選んだのは俺達だからな」
そんなヒマリの頭を撫でて、617が言う。そう、617達は自分達の意思でウォルターの猟犬として道具として生きることを選んだのだ。だから名前なんて、管理番号で充分であり、人としての尊厳をウォルターに与えられただけで充分なのだ。
「617。これはハンドラ-ではなく、父親としての言葉だ。
ここは俺達が生きた地獄じゃない。人としての名前を取り戻すんだ、620のことをこんなにも思ってくれる友人が出来たんだ…人として生きろ」
だが、ウォルターが奴隷商人から購入した時点で、ハウンズは戸籍が消されており…ウォルターでもハウンズの本名は分からない。
「偽名名乗ったら良いんじゃね?俺もレイヴンは後付けだしな」
ふと、レイヴンがそう言う。名前が分からないなら、自分で名乗れば良いのだ。新しい戸籍なんてハッキングなどでどうとでもなる。
「まあ、えーと?617さんですよね?君もジョシュアってネームプレートに書かれてますし」
「これは名前が必要だから、ミレニアムの教授に適当に付けられたんだ」
「「じゃあ、それで決定」」
617はネームプレートにジョシュアと書かれていたため、ジョシュアに決定。
「俺は!?俺もかっこ良い名前が良いな!!ウォルターJr.とか!!」
「619…それはやめておけ*2」
「アップルボーイ*3とかどうでしょうか?昔のAC乗りで、なかなかのパイロットらしいですよ」
ふと、ペイターがそう言う。アップルボーイ…かつての傭兵で、堅実な戦果を出す男だとか。名前は美味しそうだが…
「「採用!!」」
「レイヴン!?617!?」
619のコードネーム、アップルボーイで決定!!
「僕は?」
残ったのは620であるが、ヒマリちゃんのためにもマトモな名前にしなければ!!
「テルミドール…」
ボソッとラスティがそう言った。
「かつて、弱者のために立ち上がった革命家だ。良いだろ?」
そして620のコードネームはテルミドールとなった。
ミレニアムサイエンススクールの格納庫。そこではボロボロに破壊されたローダー2機、619改めてアップルボーイの機体、620改めてテルミドールの機体がそのまま置かれており、その隣ではなんとか修復されたローダー…617ことジョシュアの機体が置かれている。
だが、その隣では一からミレニアムサイエンススクールの学生達がローダーから獲れたデータ+廃墟のオーパーツ…恐らくACのパーツから獲られたデータを元に1機のACを作成していた。
ACアンサング。データ不足で開発が難航しているが、テルミドール専用として開発中の高機動逆脚ACである。
だが、アンサングの開発は一旦ストップである。
「お前ら!!この硫酸が目に入らないか!!」
硫酸の瓶を持ったアンドロイドの男子生徒が、ミレニアムサイエンススクールの教室で立て籠り事件を起こした。男子生徒はこのミレニアムサイエンススクールの生徒なのだが、事件を起こした動機は…
「レポートの再提出120枚のやり直しなんて、やってられるか!!ふざけるな!!俺の青春はレポートばっかりじゃねぇぇえ!!」
ハウンズ&ヴェスパー出動まで残り20分。
次回、完全なるギャグの後編。
因みにアンサングはヴェスパーからの技術提供で完成、アップルボーイの機体は軽量タンクになる模様。
原作本編軸のユメ先輩の進路
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新生アーキバスの受付嬢
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ヴェスパーのオペ子
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事務職員
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ひぃん!次期社長夫人狙うよ!