原生林の一般転生者マッカォ 作:どすじゃぎぃさん
いつの間にかマッカォになってた。
ほら、あれだ。転生ってやつ。どうやら俺はモンハンの世界に転生してしまったらしい。
で、マッカォっていうのは、前世で好きだったゲーム、モンスターハンターに出てくる雑魚のこと。
そう、雑魚。
初心者ハンターの練習台になったり装備になったり、無謀にも大型モンスターにちょっかいを掛けて蹴散らされるのが、マッカォを含む小型鳥竜種のさだめだ。
いっつも群れで行動してるが、そうしたところでちょっとうざい程度で、かんたんにハンターにやられる。
しかも、目覚めたときには俺の周りに仲間は全くおらず、この広い原生林の中で、一人ぼっちだった。
うん…詰んだ って思った。
体は人間じゃなかったけど違和感なく動けたから、最初は空腹を満たそうと、肉を求めて彷徨った。最初は。
ズワロポス一匹に蹴散らされて、すぐに考えを改めた。
そもそも捕食者側とはいえ、小型鳥竜種一匹が草食竜に挑むなんて無謀なことだ。
ひ弱なマッカォの体では、原作知識もたいして役に立たないため、大人しく虫を食べて生きることにした。
……不味かったけど。
モンハンの世界で生きるのに慣れて来た頃、ついに見つけてしまった。
ハンターのベースキャンプだ。
その頃には俺の食卓は、魚や木の実などバリエーションが増え、洞窟を住処にして安定した生活を送っていたし、体もそれなりに大きくなっていた。
今ハンターに近づいたら絶対に狩られる。
前世で小型モンスターを大剣で蹴散らしていたのを思い出しながら、俺はそそくさと寝床に逃げ帰った
それから月日が立ち、初めてズワロポスを狩ることに成功した。
長い間、肉といえば魚肉か屍肉しか食ってなかった俺には、前世ぶりのごちそうだ。
この体じゃ火を起こせないし、気の利いた調味料はなかったけど、その味は格別だった。
あと、原生林を徘徊するイビルジョーを見かけた。
始めて見た時、強すぎて固まって動けなかったよ。
幸い、こちらに気づかなかったけど、もし気づかれていたら今頃俺はあいつの腹の中だろう。
なんか妙に気が立っていたし、恐ろしい。
くわばらくわばら。
ある雨の日、俺の住処にメラルーが二匹入ってきた。
メラルーっていうのは、二足歩行する猫ね。カワイイ。
最初は追い出してやろうかと思ったものの、やめた。
二匹ともボロボロで、ずぶ濡れで、ガタガタと震えてたからだ。
おおかた、フィールドで大型モンスターと出くわして、逃げてきたのだろう。
メラルーといえばいたずら好きで、モンハンでも度々ハンターからのヘイトを買っていたやつらだ。
俺もピッケルやら秘薬やらで度々
正直あまり好きではない
―――が、それは昔の話。
メラルー
そうだよ、可愛がりたいんだよ!
ほれ、肉、いるか?(おじさんスマイル)
魚と柿の実とかもあるよ。虫は…流石にいらないか。
いや、そんなに警戒しなくても。
あーわかったわかった。大人しくしてますよ。だからその棒をおろして。
あ、火を起こしてる。いいなー。
しかも肉も焼いてるし…。
あーあー、どうせなら獣人族に転生したかったなー。
…え、くれるの?焼いた肉を?
やったーラッキー。
うま、うま、めちゃうま。
あらあら、二匹とも一緒に寝落ちしちゃって。かわいいねえ。
ちょっとぐらい…添い寝してもいいよね?
ちょっとだけ、ちょっとだけだから。
あー癒やされるー。
ちょっとマタタビの匂いがするけど。
翌朝、メラルーがめっちゃ抱きついてた。
まぁ、ふかふかだからね。俺の羽毛。ちゃんと手入れしてるし。
それにしても、起きたときの二匹の驚きよう。
1メートルは飛び上がったんじゃない?
でも当然か。俺、一応肉食のモンスターだし。
メラルーからしたら俺に襲われなかったことが驚きだろう。
ん?なんか二匹のうちの片方が恐る恐るこっちに近づいてきた。
ああ、羽毛に触りたかったのね。どうぞ。
そっちの君も、どうだい?
二匹は俺の羽毛を十分堪能すると、出発の支度を始めた。
雨も止んだし、じゃあな、お二人さん。元気に生きるんだぞ。
あれ、なんか二匹が話し合ってる。
にゃーにゃーとしか聞こえないから何言ってるかわかんないけど。
寝転んで様子を見てたら、二匹同時に頷いたあと、一匹が「来い」のジェスチャーをした。
俺についてきてほしいってこと?
そう思って近づいたら、メラルーが頷いた。どうやらそういうことらしい。
しょうがないなぁ。
メラルーの前に出て、少ししゃがむ。
彼らの方を振り向いて、顎を動かす。
乗りな。
すると、俺の意図を察したのか、二匹とも目を輝かせた。
そしてジャンプして乗り込む。
ライドオン!
二匹を乗せて、森の中を走る。
ちなみに行き先は、背中のアイルーが行きたい向きの羽毛を引っ張って教えてくれる。
よーし、このままメラルーたちの故郷へレッツゴ――
ズンッ
あ、イビルジョーだ。
しかも狂竜化してるじゃん(絶望)。