原生林の一般転生者マッカォ 作:どすじゃぎぃさん
狂竜症
狂竜ウイルスと呼ばれる物質をモンスターが体内に取り込むことにより発症する症状。
モンスターを蝕み、その名の通り狂ったように凶暴な状態にする危険な症状である。
―――ということをただのメラルーが知っているわけないが、それでも彼らはモンスターから漏れ出す正体不明の黒い障気に、ただならぬ雰囲気を感じていた。
さらに、今、眼の前でよだれを垂らしながらこちらを見下ろす怪物。
名前はわからないが、これだけはわかる。
奴は絶対的捕食者。逃れることはできないと。
とあるマッカォの背中の上で、二匹のメラルーは抱き合いながら、怪物――イビルジョーのことを見つめていた。
”ゴオオオオオアアアアアア”
「ニャニャ!?」
イビルジョーがこちらを獲物とみなしたのか、口から黒い霧を吐き出しながら、歪んだ咆哮をする。
あまりの大きな音、そして発される衝撃波に、メラルーたちは吹き飛ばされそうになるが、懸命にマッカォの羽毛を掴み、耐えようとする。
そのマッカォも、前かがみになり、足を踏ん張り、必死に抵抗した。
咆哮が終わると、イビルジョーが動き出す。
二歩下がり、口内から響く、ジジジという不穏な音。
「ニャ…ニャニャニャ!!(に…逃げないと!!」
メラルーたちはそう言うと、必死にマッカォの羽毛を引っ張り、逃げようとアピールする。
そしてマッカォが走り出した。
前に。
「「ニャニャニャァ?!?!(なんでぇ?!?!)」」
マッカォの突然の奇行に、叫ぶことしかできない二匹のメラルー。
迫るイビルジョーの口、視界を埋め尽くす緑の巨体。
メラルーたちは目を閉じ、マッカォにしがみつく。
瞬間―――
”グオアアアァァァッッッ!!!”
頭上を赤黒いブレスが駆け抜ける。
誰が名付けたか、「暗黒盆踊り」
イビルジョーの奥義にして、辺り一帯を龍属性ブレスで薙ぎ払う、強力無比な技である。
命がつながったことを安堵したメラルーたちが振り返ると、案の定辺りの木はなぎ倒されていた。
もし、メラルーたちが咆哮のあと、振り返って逃げていたら、あのブレスの直撃は避けられなかっただろう。
それを実感したメラルーたちは、ブルッと身震いしたあと、マッカォの冷静な判断に感謝する。
しかし、まだ逃走劇は終わっていない。
ブレスをかわされたことを悟ったイビルジョーは、足元の小さな獲物を捕らえようと、左足で踏みつける。
マッカォは駆け出し、それを躱す。
そして、森の奥へと向かった。
後ろからイビルジョーの怒りの咆哮が聞こえた。
◆◆◆
さて、どうしようか。
イビルジョーについて知識があり、メラルー二匹を背負って走る転生者――マッカォは冷静に考える。
イビルジョーは、貪欲な狩人だ。一度獲物と定めたものを簡単に逃しはしない。
きっと、追ってくる。こちらの体力が尽きるまで。
メラルーたちの住処に逃げ込もうか?狭い洞窟を利用したそこなら、イビルジョーは入ることができない。
しかし、もしイビルジョーが洞窟を壊してまで追いかけてきたら?もし奴がそこら一帯を
縄張りとしてしまったら?
メラルーたち、そしてその周辺に大きな被害が及ぶかもしれない。
チッ
転生者は心のなかで舌打ちした。
まさかモンスターの中でも最強格と名高いイビルジョーにあってしまうとは。
実に運がない。
考える。
最強と謳われる奴に敵うのはなにかと。
モンスター? 奴には勝てない
地形? 辺りにそんな場所は見当たらない。
そして気付いた。奴の天敵は
マッカォは追いかけてくるイビルジョーの気配を感じながら、メラルーたちを連れ、とある場所を目指した。
◆◆◆
蜘蛛の巣を越え、毒沼を越え、ツタのエリアを超える。
「…ニャ」
メラルーたちは自分たちを守るマッカォを信じ、必死にしがみついている。
辺りを駆け回り……
いた!!!
マッカォが目指していたのは、フィールド:原生林。モンスターハンター4に登場するエリアで、狂竜化したイビルジョーとなれば、おそらく
いなかったら、なぜかモンスターの出現しないベースキャンプに逃げ込もうと考えていたが、その必要はなくなった。
マッカォの予想道り、ハンターたちはとあるクエストで原生林に来ていた。
クエスト 高難度:最狂の暴君
「あ、ユイカちゃん!見てください、あれ!」
「ん?…メラルーを乗せた…見たことないモンスター?」
「めちゃくちゃかわいくないですか?」
「うーん、たしか…に……って、あれを追いかけてるの、討伐対象のイビルジョーじゃない!?」
「わわわ、しかもこっちに来てますよ!」
マッカォの誤算は、
しかし、それは悪いことではない。
ハンターが一人でも、金獅子も、恐暴竜も、天廻龍も倒せる。二人いれば、なおさら心強い。
マッカォは、あっけに取られているハンター二人の間を抜け、立ち止まった。まるでイビルジョーにかかってこいと言わんばかりだ。
メラルーたちは、目を開け二人のハンターを見た。彼女らが、救世主となることを祈りながら。
ハンターたちは、呆然とした――のもつかの間、ヘヴィボウガン、大剣を手に取り、構える。
イビルジョーは、逃げる獲物に怒りを滾らせながら、口からどす黒い障気を出す。
そして、新たに増えた
設定供養だからってはっちゃけて、前話から雰囲気をまるっきり変えてしまった…どうしよ…
誤字訂正:最強の暴君→最狂の暴君
1話タイトル変更