不幸な小狐は幸せを探す   作:うしさん

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主人公のイメージはフェネックという狐です。


ケーキリベンジマッチング①

 

 

「私の方が先だったわ!」

 

「いいや、私の方が早かった。」

 

「先に保健室に辿り着いたのは私よ!」

 

「学校に着いたのは私の方が先。セリカは自転車が無いから、私が停めている時は足を止めるべき」

 

「なんでそこまで公平にしないといけないのよ!?」

 

 

ゲヘナ学園に行った日から数日が経った。私たちは相変わらず平和な日々を過ごしている。ユキちゃんが来る前までも、もちろん楽しかったけどユキちゃんが来てからは、みんなさらに活気で満ちているような気がする。人が増えると賑やかになるとはまさにこの事だ。

 

みんなは面倒見が良いからちょっとした事でも構っちゃうみたい。シロコちゃんはユキちゃんに朝イチで会うために一番最初に学校に来ようとしているし、セリカちゃんも競うようにして早く来ようとしてる。

 

毎朝同じようなやり取りをしてるけど飽きないのかな?楽しそうにしてるから良いんだけど。私たちはその様子をのんびりと眺めている。微笑ましいような、呆れているような、そんな笑みを浮かべながら。

 

 

「ふたりとも!!ボクのために争わないで!!」

 

 

唐突にユキちゃんが参戦した。なんでそんな昼ドラみたいなセリフをチョイスしたのか分からないけど…。まさかのドロドロ展開が繰り広げられたりするのかとドキドキしながら見守る。

 

 

「・・・なんでよりにもよってそんな昼ドラみたいなセリフ選んだのよ?」

 

 

セリカちゃんも私と全く同じことを思ったみたい。確かにこんなセリフ、ドラマ以外で見る機会ないと思う。

 

 

「え?なんか知らないけど言わなきゃって思ったから。一回言ってみたかったんだよねこのセリフ!」

 

 

(知らなかったんだ…)

 

 

そういえばユキちゃんはここに来る前まではホームレスだったって言ってた⋯。なんで知ってたんだろう?まさか実際にその状況に置かれると自然と出てしまう言葉だったりして。

 

まぁそんな事は置いといて、今日はついにユキちゃんリクエストのケーキを食べに行く日だ。みんなには事前に伝えてあるけど、ユキちゃんにだけはまだ伝えていない。サプライズっぽく伝えられたら喜んでくれるかなって思ったからこその計らいだ。

 

それに最近はみんなでどこかに行くような事はしてなかった。だから結構みんな楽しみにしてくれてるみたい。何処まで行くかはだいたい検討がついている。アビドスのスイートパラダイスが閉店していなければそこに行ったんだけど、潰れちゃったなら仕方ない。

 

今日はちょっと遠出して、トリニティのスイパラまで行こう。私は今まで若い子達が行くようなお店とは縁がなかったけれど、これを機に調べてみたのだ。スイパラって略すのが今風なんだよね?これならみんなの話にも着いていける。

 

私が調べたスイパラは今日、平日割りが効くようだ。それに休日はすぐに売り切れるような数量限定のスイーツもあるらしい。今は普通に平日の朝。一般的な学生なら学校で勉強なりしているはず。お店も混まずに限定品もゆっくりと楽しめるだろう。それに安くなるというのなら良いことばっかりだ。そろそろみんなに声を掛けて出発しよう。

 

 

「よし!みんな〜、今日は遠出をするから必要なもの準備しよっか」

 

「そういえば今日でしたね〜♪楽しみです!」

 

「私は何時でも行けるわ!」

 

「ん、準備万端」

 

「必要なものといってもお金とスマホくらいでしょうか?」

 

 

みんなはもう何時でも行ける準備はできているみたい。準備とか必要なものとか大袈裟に言ったけど、アヤネちゃんの言った通りお金とスマホさえあれば困らないと思う。

 

ユキちゃんはみんなが楽しそうに話している様子を見て、困惑しながらキョロキョロとしている。だけど何となく楽しそうな雰囲気が伝わっているのか、表情は明るく尻尾もぶんぶんと激しく動いている。

 

 

「なに!?なにがあるの?みんなどっか行っちゃうの⋯?」

 

 

でもやっぱり不安になっちゃったようだ。言葉を紡ぐにつれてだんだんしょんぼりとしてしまった。

 

ごめんね。そんな悲しそうな顔をさせるつもりは無かったんだ。今日の目的を伝えたら喜んでくれるかな?

 

 

「ユキちゃんのことは何があっても一人にしないよ。みんなでお出かけするんだ。」

 

「お出かけ?・・・お出かけ!どこ行くの?!」

 

 

よしよし。もう既に機嫌は良くなった。今でさえこんなにも嬉しそうにしているのに、ケーキを食べに行くなんて伝えたらどうなるんだろう?

 

 

「今日はねー、ユキちゃんが待ち望んでいたケーキを食べに行くんだよ!」

 

 

 

「───────ケーキ⋯⋯?」

 

 

 

ピシッと固まってしまった。目を見開いて、口が半開きになってる。コレがユキちゃんにとって嬉しくないわけないからガッカリしているとは思えないけど⋯。再起動するのを待つしかないかな?

 

 

「ん、カチカチ。動かなくなっちゃった。」

 

「こらこらシロコちゃん。突っついちゃダメでしょ?それに気付いたらユキちゃん怒るんじゃない?」

 

「大丈夫。怒ったところでくすぐれば大人しくなる。」

 

 

まったく、シロコちゃんはユキちゃんの事をなんだと思っているんだろうか⋯。今もシロコちゃんは両手の人差し指で全身を満遍なくつんつんとしている。力加減も絶妙で倒れるか倒れないかくらいの力で突っついている。

 

当の本人であるユキちゃんはまだ固まったままだ。突っつかれても起き上がりこぼしのように、元いた位置に身体が帰ってくる。傍から見たら楽しそうに遊ぶいつもの二人の姿そのままなんだけど⋯。いつもと違うのはユキちゃんがノーリアクションだということ。

 

 

「ふふっ、シロコちゃんダメですよ〜。可愛らしい遊びですけど、起こすならちゃんと起こしてあげてくださいね?」

 

「ん...分かった。」

 

 

どうしてノノミちゃんの言うことは素直に従うんだろう…?もしかしてまた勝負しないといけない感じなのかもしれない。

 

だけどノノミちゃんに言われたら確かに従いたくなる気持ちも分かってしまう。ノノミちゃん、なんかたまにすごい圧を感じる時があるんだ。優しい口調なのにゾワゾワしたり、笑顔なのに怖かったり。今回もそれを感じてシロコちゃんも従ったのだろう。それならば仕方がない。

 

 

「ん、シロ。起きて。起きないとノノミが怒る。」

 

「何を言っているんですかシロコちゃん!私はそんなことで怒ったりはしませんよ〜!」

 

 

やっぱりだった⋯。ノノミちゃんも可哀想に。多分無意識なんだろうけど、そういうオーラ的なのが溢れちゃうんだろうな。ともかく本格的に起こさないと出発できない。私も起こしに行こう。

 

 

「ユキちゃーん?起きてー?起きないとケーキが逃げちゃうよー?」

 

「っは!!ケーキ!逃げちゃダメ!待ってよー!」

 

 

起きた⋯。

そしてベッドから降りて突然走り出した。

 

このコには何が見えてるんだろう?

ケーキの妖精でも見えてるのかな?

 

保健室の周りをぐるっと一周して元いた位置に戻ってくる。と思ったらシロコちゃんに向かって走り出した。

 

 

「シロコ大変!ケーキが逃げちゃう!いつもボクを捕まえるみたいに捕まえてきてよ!」

 

「・・・シロ。おばか。」

 

「あうっ」

 

 

ユキちゃんってやっぱりおバカさんなのかも。いきなりシロコちゃんの背中に飛び乗ったと思ったら、肩を揺すりながら訳の分からないおねだりを始めるんだから。

 

まぁ私が言い始めた事なんだけどさ。

 

さすがのシロコちゃんも呆れているようだ。おでこに優しくチョップをしてしまうほどに。だけどこれで一旦ユキちゃんの混乱も落ち着いたみたいだ。

 

 

「ユキちゃん?ケーキは逃げないから安心してくださいね?」

 

「でもさっきホシノおねえちゃんが⋯」

 

「うへー、ごめんごめん。あれはおじさんジョークだからケーキは逃げたりなんかしないよ。ケーキは生き物じゃないからねぇ」

 

「そうなんだ。良かった〜。逃げられたらどうしようかと心配になっちゃった。ゴメンねシロコ、飛びついちゃって」

 

「だめ。怒った。これはくすぐりの刑に処さなければいけない。だからシロは大人しくするべき」

 

「あ、あれだけはやめて!死んじゃうから!笑い死んじゃう!」

 

 

シロコちゃん⋯。さっきまでユキちゃんのこと散々突っついて遊んでたくせに。たまにはユキちゃんにも反撃の機会を与えてもいいかもしれない。食事の前のいい運動になると思うし。

 

 

「ユキちゃんユキちゃん。さっきシロコちゃんがねー、ユキちゃんのことすご〜くつんつんして遊んでたんだよね。これは怒ってもいいんじゃないかな?」

 

「・・・そうなの?」

 

「ホシノ先輩⋯。なんで言っちゃうの?」

 

「ほら今だよ!ユキちゃん!おじさんがシロコちゃんを押さえてるうちに好きなだけこちょこちょしてあげて!」

 

「・・・ん!離して!」

 

「よし⋯。こらっシロコ!いつもいつもボクがやられっぱなしだと思うなよ!これでもくらえっ!」

 

「ん⋯!んふっ⋯や、やめ...」

 

 

これでユキちゃんも満足できるだろう。ユキちゃんは今までの鬱憤を晴らすかのように、とても満足そうな笑顔でシロコちゃんの全身をこちょこちょしている。普段は無表情が多いシロコちゃんも、くすぐりには少し弱いみたいだ。私はもう少しだけシロコちゃんを押さえてあげていれば⋯⋯

 

 

(・・・ってシロコちゃん力強くない?)

 

 

(押さえるのしんどくなってきたよ〜!こんなに力強かったっけ!?)

 

 

もしかしたら火事場の馬鹿力ってやつなのかもしれない。妹分に好きなようにされるのがそんなに嫌だったんだ…

 

私でも押さえるの限界かも⋯!

 

あ、離しちゃった…。ゴメンねユキちゃん。もう私には救えない。ああなってしまった以上、シロコちゃんには私も敵わない。

 

 

「ん!よくもやったな…。シロ、覚悟は出来てる?」

 

「ひ、ひゃぁ...やばいよ、ホシノおねえちゃん!」

 

「ゴメンね...ユキちゃん。もうおじさんにはシロコちゃんを止められないんだ⋯」

 

 

シロコちゃんはユキちゃんを獲物を見るような目で見据えて、ベッドの上に押し倒している。両手両足はシロコちゃんによって押さえられ、ユキちゃんは身動きが取れなくなってしまった。私は心の中で合掌をした。

 

 

(強く生きてね。ユキちゃん。)

 

 

「シロ!おしおき!」

 

「あは!あひひっ!あひゃははははははははははは!!」

 

 

可哀想なユキちゃん⋯。シロコちゃんも酷いことをするものだ。今日まで何度も何度もくすぐっているおかげで、ユキちゃんの弱点は全て把握されてる。今は手加減無しの弱点責め地獄だ。ユキちゃんは腋と脇腹が弱いようで、その二つを集中的にくすぐられている。

 

 

「だめ!あひっ!そこはだめなのっ!!っあひゃははははは!」

 

「ん。やめない。ごめんなさいをしないと許してあげない。」

 

「ごめんなさい!もうしません!うひひ!だから、もう⋯⋯

────あはははははははははははは!!」

 

 

「力不足なおじさんでごめんね⋯」

 

「・・・ねぇホシノ先輩、これいつまでやるの?」

 

 

セリカちゃんにツッコまれてしまった。私も変な演技をするのはもうやめよう。ユキちゃんも充分遊んだしお腹も空いてきた頃だろう。そろそろ終わりにして出発しよう。

 

 

「ノノミちゃん、シロコちゃんを止めてあげて?」

 

「私ですか〜?!なんであんな事になるまで放っておいてしまったんですか!」

 

「いやぁ、ごめんねー。おじさんもまさかこんなことになるなんて思わなくてさぁ。」

 

「・・・はぁ、わかりました⋯。」

 

 

ノノミちゃんにも呆れられちゃった⋯。アヤネちゃんはどう思ってるんだろう。

アヤネちゃんの顔を見てみると眉をへの字にして苦笑いをしている。

 

 

(あぁ、こりゃだめだ⋯。)

 

 

唯一の希望も潰えてしまったみたい。

そんなことを考えていると、ノノミちゃんが二人を止めに入ってくれた。

 

 

「シロコちゃん、ユキちゃん、もう行きますよー。早くやめないと置いてっちゃいますからね!」

 

「それは困る。私も楽しみだったから」

 

「・・・はひぃ⋯ボクも⋯はぁっ、ケーキ、食べたい⋯よぉ」

 

 

やっぱりノノミちゃんの言うことは素直に聞くらしい。今度からシロコちゃんが反抗するようなことがあったらノノミちゃんにお願いしよう。

 

そうして、シロコちゃんはベッドの上から降りて、ユキちゃんは呼吸が整うまで寝っ転がり小さな胸を上下させていた。ユキちゃんは相当体力を消耗してしまったらしく、少しだけぐったりしちゃったみたい。私もちょっと悪ふざけし過ぎたかもしれない。ごめんね。

 

 

「それじゃあ、気を取り直して出発しよっか〜」

 

 

みんなに声を掛けアビドスを出る。今日の目的はユキちゃんが望むケーキ食べ放題のお店に行くこと。アビドスにはもう無いから別のところに行かないといけない。移動手段はゲヘナの時と同じく徒歩と電車。すごく時間が掛かる訳では無いから、着く頃にはヘトヘトなんて事にはならないと思う。

 

 

「そういえばケーキ食べ放題のお店に行くとは聞いてましたけど、どこまで行くんですか?」

 

 

そういえば言い忘れてた。それなら計画性のあるアヤネちゃんが疑問に思うのも当然か。

 

 

「ごめんごめん。言ってなかったね。最近までアビドスにあったんだけど潰れちゃったからさ、今日はトリニティまで行こうと思うんだ」

 

「確かにあそこならスイーツに関してはなんでも揃ってますからね〜」

 

「そう!しかも今日は平日割が効いてて安いんだよねー。数量限りの品もあるっぽいし、みんなの予定的にも今日行くのが良いと思ったんだ〜」

 

「・・・ホシノ先輩にしては珍しく計画的ね⋯。」

 

「セリカちゃーん、おじさんだってやる時はやるんだよ?」

 

 

まぁ、普段からだらしないところばっかり見せてたからそう思われても仕方ない。最近は呆れられるようなことばっかりしてた自覚はある。ここら辺で名誉挽回しとかないと。

 

 

「ケーキ♪ケーキ♪楽しみだなぁ⋯。ボクは今日全種類制覇するんだ!」

 

 

私たちの会話には耳もくれず、ユキちゃんはもう自分の世界に入ってしまってるみたいだ。さっきの疲れなんか忘れて、いつにも増してテンションが高い。今はノノミちゃんと手を繋いで、スキップをしながら尻尾を激しく揺らしている。スキップはかなり下手くそだけど⋯。

 

 

「ユキちゃん、一人で全部食べるのは大変だと思うので、私たち六人で違う種類を持ってきて分けっこしませんか?」

 

「⋯⋯!!それいいね!みんなで食べた方がおいしいって最近ボクも気付いたんだ!さっすがアヤネちゃん!なんでも知ってるんだ!」

 

「いえいえ⋯!何でもは知りませんよ〜!」

 

 

アヤネちゃん、珍しく照れてる。耳まで赤くなってしまっている。あんなに素直に好意を向けられると誰でも照れると思う。ユキちゃんは普段からあんな調子だから私も気持ちは分かる。なんでも大袈裟に褒めるから少し気恥しい感じがする。もちろん嬉しい気持ちの方が強いというのは当然だけど。

 

 

そんな感じで楽しく会話をしながら移動を続けた。電車を乗り継ぎ、トリニティの近くまでやってきた。私たちも普段からトリニティに行ってるわけじゃないから、地理に関しては少し不安がある。逸れないようにしないと。

 

特にユキちゃん。このコはゲヘナでやらかした前例があるから目を離さないでおかないといけない。一応スマホは持たせているから最悪それで連絡を取れば大丈夫だと思う。けどやっぱり不安かもしれない⋯。今のうちに確認しておこう。

 

 

「ユキちゃん?今スマホは持ってきてる?」

 

「うん。あるよ?」

 

「使い方とかも覚えてる?」

 

「覚えてるよ!夜シロコがよく電話してくれるんだ。ボクが寂しくないようにって」

 

「そっかそっか。それなら良かったよ。もしはぐれちゃったりしたら直ぐに連絡してね?」

 

 

とりあえず使い方は大丈夫みたいだ。それにしてもシロコちゃん、夜に電話掛けてあげてたんだ。私は寝ちゃってるかなって思ったから遠慮していたけど今度から混ぜてもらおうかな。なんだかんだ常に争ってる二人だけどやっぱり仲良しだ。

 

そうしているうちにトリニティに到着した。電車を降りて目的のお店へと向かう。

 

思っていた通り、道端には生徒の姿は見えない。今は平日のお昼前だ。休日ならこの辺りもたくさんの生徒で溢れるんだろうけど、生憎と今は平日。生徒は普通、学校にいる時間だ。

 

人混みに巻き込まれることなんて無く、地図アプリでスムーズに目的地に辿り着くことが出来た。ユキちゃんの様子は電車を降りた時から目を輝かせっぱなしだ。トリニティの街並みはアビドスとは違って、とても煌びやかで綺麗な造りになっている。さすがお嬢様が揃うトリニティだ。

 

私も少し物珍しさから気分が高揚している気がする。そんな場所を大切な対策委員のみんなと歩いている、というのも気分が上がる一因になっているのかもしれない。

 

 

「うわぁ⋯すごいねぇ、ここ。まるで絵本の中に入ったみたい!」

 

「そうだね〜。ユキちゃんはここではお姫様にでもなれちゃったり?」

 

「んー。お姫様はちょっと違う気がする⋯」

 

 

この煌びやかな街並みからの連想でお姫様を例に挙げてみたけど、どうやらお姫様は違うらしい。ユキちゃんには何か違う考えがあるのかもしれない。

 

 

「そうだなー。・・・あ!ペットだ!お姫様が飼ってるペット!それがボクにピッタリだよ!お姫様はホシノおねえちゃんに譲るね。」

 

「うへー、おじさんがお姫様なんてナイナイ。他の子の方が似合ってるよ」

 

「えー?ホシノおねえちゃんスゴくかわいいし似合うと思うけどなー。それならボクもペットとして遊んで貰えるしさぁ」

 

 

そういうことね⋯。いきなりペットとか言い出した時はびっくりしたけど、ただ遊んで貰いたいだけだったみたい。

 

まぁ、これもユキちゃんらしいっちゃらしいけど。それにしても私はお姫様なんて柄じゃない。かわいいって言ってくれるのは凄く嬉しいけどやっぱり恥ずかしいかも⋯。

 

なんて事ない雑談をしていると、今日の目的地が見えてきたようだ。オシャレなお店が建ち並ぶ中のひとつ。少し入るのを躊躇ってしまうけれどみんなで行けば怖くない。ユキちゃんのテンションは最高潮にまで上がっている。

 

私たちはお店のドアノブに手を掛けてゆっくりと入っていった。

 

 

 

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