不幸な小狐は幸せを探す   作:うしさん

28 / 42
全6話、約6万2000字。お付き合い頂けたら幸いです。幕間は全てここまでの助走です。


最悪な白夜夢【序】

 

 

 

 

───────ボクは今、迷っている

 

 

 

この世界で意識が芽生えてから、一番と言ってもいいほどに悩んでいる。

 

夜の保健室のベッドの上で、布団を頭に被り悶々としている。さっきからずっと悩み事があたまの中をぐるぐると渦巻き、眠りにつけそうにない。

 

ボクの手のひらの中には悩みのタネであるスマホ。もっと細かく言えば、この間教えてもらったSNSアプリのとある投稿内容。

 

これが今ボクを悩ませる元凶となっている。

 

この状況を説明するためには、数分前に遡らなければならない。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

『───────それでそのお客さん何て言ったと思う?!』

 

『・・・う〜ん、なんでしょうか〜?』

 

『なんとね、店員の態度が気に食わないから無料にしてくれ!って要求してきたのよ!!ほんと信じらんない!』

 

『あちゃぁ~やっぱりいる所にはいるもんだねぇ〜。ヤバい人っていうのは』

 

『店が忙しくてバタバタしている時に急に声掛けられたから、やんわりと後で対応するって伝えただけなのよ!?忙しいのが目に入らないのかな?!どういう思考回路してるのか不思議で仕方ないわ!』

 

『ん、愚痴が止まらない…』

 

『セリカちゃんも大変なんだね…』

 

「うわぁ...そんなお客さんもいるんだ…。そんな人にあたりたくないなぁ」

 

 

一日が終わり日が沈んだ後、みんなは家への帰路に着く。ボクはそのままみんなを見送り、保健室のベッドで大人しく過ごしている。

 

星が綺麗に輝き始める二十時頃、ボクたちの日課になった通話が始まる。最初はシロコと二人きりだったこの通話も今では六人となり、とても賑やかになった。

 

最近あったこと、辛かったこと悲しかったこと、さらには嬉しかったことや楽しい思い出に至るまで、話題は様々だ。

 

今日はどうやら、セリカちゃんのバイト先であったヤバい人の話みたい。実際ボクがこんな人を対応しないといけなくなったら、慌てすぎてその場で何も出来なくなってしまいそう。セリカちゃんはこういった状況になっても怒りを隠して冷静にちゃんと対応出来るんだろうな。

 

 

『ん、それで結局どうなったの?』

 

『え?普通に店長に丸投げしたけど。』

 

「ええっ!?すぐに?」

 

『そりゃそうよ。私はたかがバイトなんだからそんな交渉は責任者に任せるのが一番よ!余計な事をしてお客さんを怒らせるのも良くないしね』

 

「へぇーなるほどね~。そうやって対応すればいいのかぁ」

 

『ユキちゃんは勉強熱心で偉いですね〜!』

 

「いや〜それほどでも…あるかも!?」

 

『あはは…ユキちゃんも最近はアルバイトを頑張ってますもんね。私も応援してますよ!』

 

「ありがとうアヤネちゃん!」

 

 

バイトプロのセリカちゃんでも無理なものは無理ってはっきり言うんだね。困った時は上の人を頼っても良いんだ。ボクは独りで生きてきたから誰かに頼るなんて考えは今まで浮かばなかった。だけど周りに誰かが居てくれる状況が増えた今、お互いに頼って頼られて、助け合う関係もあるということを学んだ。

 

それがバイトでも一緒というだけだったみたい。よく考えたらそりゃそうだよね。いくら学生とはいえ社会に出て働いてるんだから、自分一人で無理なら誰かに協力を求めればいいだけだ。

 

こんな何気ない会話の中でも学べることが沢山あるから人と話すのは面白い。ボクも誰かとの関わりは積極的に持っていきたい。

 

 

『まぁそんな感じで今日は大変だったわ…』

 

『セリカちゃんおつかれさま~』

 

『おつかれ。セリカ』

 

 

「・・・・ふぁふ」

 

 

『あれ?ユキちゃんそろそろおねむですか~?』

 

「あっ、ごめんなさい…。全然大丈夫だよ!まだ起きられるし!」

 

『ユキちゃん無理はしちゃだめですよ?寝る子は育つって言いますし、大きくなれませんよ?』

 

『うへー、セリカちゃんの話もキリがいいし今日はここら辺で終わろっか』

 

『うん、そうね。また明日も顔を合わせるんだし。』

 

「・・・そっか。みんなありがと。また明日たくさんお話しようね!」

 

『ん、おやすみシロ。』

 

『おやすみ~』

 

「おやすみなさい!」

 

 

ボクの欠伸が通話にのってしまったせいで、今日の通話が終わってしまった。もう少し話していたい気分だったけど、眠たくなってしまったのは事実だ。眠気に抗えないこの身体が憎らしい。欠伸すら我慢ができないなんて。

 

そんなボクの様子を察して通話を終わらせてくれたみんなは相変わらず優しい。元々この通話は学校に一人残るボクのために始まったもので、わざわざみんなの時間を貰って行なっているのだ。

 

ボクの都合で始まってボクの都合で終わりになるのは、みんなを振り回している気分になって申し訳なく感じる。だけどこうして通話してくれることが、一人の寂しさを紛らわせてくれている。本当に嬉しいし、感謝しかない。

 

 

だからその感謝をボクは行動で示さないといけない。そのために教わったバイトなんだから。

 

 

ボクが眠たくなったせいで終わった通話だけど、次のバイトを探すためにもう少しだけ起きていることにした。早速アプリを開き、面白そうなバイトを探してみる。最近はバイトにも慣れてきたから、そろそろ新しいことに挑戦してみようと思う。

 

初めてのティッシュ配りから、色々なバイトを経験した。セリカちゃんと一緒に飲食店のスタッフもやってみたり、街の掃除や雑草取りだったり。他にも交通整備や工場内でひたすらケーキにいちごを乗せる仕事もした。

 

もちろん楽しい仕事もあるし、虚無感を感じる仕事だってあった。いちごを乗せるバイトは特にそうで、バイトが終わった後はショートケーキを見るのがしばらく辛くなったくらいだ。

 

そうこうしている内に、オススメ欄にあるバイトを一通り見終わった。だけど今のボクが惹かれるようなお仕事は無さそうだ。どうしようかと思っていると、ふととある事を思いついた。

 

普段はバイトアプリで探しているけど、今日は試しにこの間ホシノおねえちゃんに教えてもらったSNSアプリでも探してみよっかな。

 

このアプリはとても便利だ。調べ物がしたい時は調べれば大抵の事は出てくるし、キヴォトスの住人がそれに関してどう思ってるかのつぶやきも見れる。バイトや仕事の広告も流れてくるくらいだから、探せば見つかるはず。

 

このアプリを知ったその日に、ホシノおねえちゃんから使い方は全部教えてもらった。自分が興味のあるものや好きなことを設定すると、タイムラインという所にそれに関連した投稿が流れてくるらしい。

 

とりあえずボクが設定したのはお菓子やケーキ、お風呂に温泉、アルバイト関係のワードだ。あとネコ。路地裏にいた頃からネコは好きだった。勝手に仲間意識を持っていた。

 

まぁそれは置いといて、そんな感じで設定したからボクのタイムラインはそういった内容で埋め尽くされている。上手くいけば、それらに関連したバイトが見つかるかもしれない。

 

そう思いSNSアプリを開く。タイムラインはいつも通りお菓子やケーキ、温泉の景色、ネコの写真でいっぱいだ。何となく癒されていると、ふと今の目的を思い出した。そうだった。今はバイトを探すためにアプリを開いたんだった。

 

ひと通り眺めてからバイトが見つからないことを確認し、検索するかと思い至る。そして画面下の虫眼鏡のマークをタッチしようとした瞬間、チラッと目に付いたボクにとって物凄く興味を引かれる投稿。

 

一旦検索を止め、その投稿の内容に意識を集中させる。

 

・・・どれどれ…?

 

 


【急募!】温、泉○開/発バイト

☆募集要項

・温、泉が好きなヤツ

・給料出す

・年齢問わない

・場所はゲヘナ

・日時は明日の二十一時から。終電までには帰す

・早い者勝ち、一人集まり次第この投稿は削除する。

 

※風、紀委、員長が来る可能性大←重要!

 

興味のあるやつは私のDMまで


 

 

・・・温、泉○開/発バイト…?なんか変な記号とか混じってるけどこれって温泉開発バイトってこと?

 

(温泉開発バイトなんて存在するの!?)

 

その投稿を見た瞬間、ボクの内心はドキドキとワクワクでいっぱいになった。お風呂が大好きなボクにとって、温泉というのは夢のまた夢のような存在だ。まだ温泉には入ったことが無いけれど、その開発に参加出来るというのなら絶対に参加してみたい。

 

もし温泉を見つけることが出来たら、入れたりするかもしれない。初めての温泉はアビドスのみんなと行ってみたかったけど、どうしても入ってみたい。

 

だけど募集要項では日時が明日の夜九時からなんだよね…。みんなから夜の外出はだめだよって言われてるし、行けそうにないのかな…。

 

場所はゲヘナだから地図アプリを使えば行けないこともない。一度ホシノおねえちゃんと一緒に行ったから行き方は何となく覚えている。それにアビドス高校から駅までの安全な道程も、銭湯の帰り道で教えてもらった。

 

(だから行こうと思えば安全に行けるはずなんだ!

でもみんなとの約束が……。)

 

なにか抜け道は無いかと必死に探してみる。そこで投稿を読み返していると、最後の方に気になる注意書きがされているのを見つけた。

 

 

※風、紀委、員長が来る可能性大

 

 

風、紀委、員長っていうのは風紀委員長ってことだよね?風紀委員長ってヒナちゃんのことだ。つまりこのバイトにはヒナちゃんも来るってこと。ゲヘナに行ったあの日、会話を聞く限りだとヒナちゃんはとても強いらしい。それならボクが行っても安全なんじゃないかな…?

 

 

(・・・でもでもみんなとの約束がっ…!!)

 

 

この話をみんなにしたら絶対に止められると思う。普段からみんなはとてもボクのことを大事にしてくれてる。だから夜に一人で外出することは絶対にさせてくれない。みんなの気持ちはすっごく嬉しい。でも明日に限っては外出させてくれないかな…

 

いくら望んでも確実にダメだ。だからもし行くとしたら、誰にも何も告げずに行くしかない。それに終電には帰してくれるって書いてあるから何事も無かったかのように戻ってくればきっと大丈夫だ。

 

ヒナちゃんがいるからボクの安全は保証されたも同然だし…

 

でもバレたりしたらすごい怒られそうだな…

 

でもでも、どうしてもこのバイトには参加したい!

 

でもでもでもッ……!!!

 

 

 

 

本当にボクはどうすればいいの───────!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そうして今に至る。

 

 

ボクは布団から顔だけをひょっこりと出し、スマホの画面とにらめっこをしている。悩み始めてからどれくらい経ったのだろうか。この投稿がされたのが今から五十分前。最初に見つけた時は十分前くらいだった。

 

そう考えると四十分近く悩んでいる事になる。今の時刻は二十二時前。普段なら夢の中にいる頃だ。だけど今のままでは眠れない。この悩みを解決しなければ何がなんでも眠りに付けないのだ。

 

どうしても目が冴えてしまう。

 

ボクの気持ちとしては、温泉開発のバイトに興味が惹かれている。だからどうしても行きたい。だけどアビドスのみんなからは夜の外出は危ないからって理由で止められている。

 

 

つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということ。

 

 

駅までの安全な道は知ってるし、電車の中で暴れる人は多分いないと思う。ゲヘナに着いたらヒナちゃんが来てくれる。そしたらどんな危険があってもヒナちゃんがいれば大丈夫だ!

 

帰り道も行きと同じように来た道を辿っていけば、次の日を迎える前に学校に戻ってこれるハズ!

 

カンペキだ!

 

これなら安全だし、お金も稼ぐことができる。ボクの好きなことをして、さらにお金も稼ぐことが出来るなんて一石二鳥でしかない。

 

そこまで思い至り、すぐに行動に移った。この募集は一人限定らしい。早い者勝ちで、今連絡しないと枠が埋まってしまうかもしれない。

 

興味のある奴はDMまでって書いてあるから早くDMを送らないと。送り方はしっかりと教わった。全く知らない人と簡単に連絡が取れるのは、モモトークとはまた違った便利さがある。

 

ボクはプロフィール欄に飛び、メールのマークをタッチした。そうしてメッセージを送った。

 

 

 

 


 

バイト募集の投稿みました。

まだあいてますか?

 

 

 


 

 

 

 

 

・・・すごくドキドキする。この感情は様々な気持ちが複雑に絡まりあって生まれたものだ。

 

温泉開発に携われるという興奮。

 

枠が埋まってしまっていないかという不安。

 

新しいことを始める前の高揚感。

 

 

─────そして、みんなの心配を裏切る背徳感…

 

 

馬鹿な事をしているのは自分でも分かってる。たかがこれくらいのことの為にみんなのことを裏切るのは、本当に心苦しいとも思ってる。

 

・・・だけどごめんなさい...

どうしてもこの好奇心が抑えられそうにないんだ

 

何かと安全だという理由をつけて行こうとしているのも、みんなを不安にさせたくないから。せめて何事もなく帰って来ることが出来たら、普段と変わることのない日常を過ごせる。

 

罪悪感だけがボクの胸の中に残るだけで済む

 

みんなに迷惑は絶対にかけない。

 

 

そうして変な緊張感から来る震えを抑えながら返信を待つ。すると二分後くらいに返信が来た。すぐに返事を返そうと通知をタップし、DMへと飛んだ。

 

 

 


 

バイト募集の投稿みました。

まだあいてますか?

 

 

電話で詳細を話す。

080-○○○○-△△△△

ここに掛けてくれ

 

 

 


 

 

 

 

電話で詳細を話す……ということは枠はまだ埋まってなかった!

 

ボクは急いで通話アプリを開き、キーパッドを叩いた。そして発信ボタンを震える指でそっと押した。

 

 

Prrrrrrr...Prrrrrrr...Prrrrrrrr……

 

 

静かな保健室に響き渡る機械的な電子音が妙に気味悪く感じる。さっきまであんなに楽しかったお喋りで心は安らいでいたのに、今では心臓から冷や汗が出てくるかのような心地だ。

 

明日バイトに行くという覚悟は決めたというのに心が揺らいでしまっているようだ。

 

このバイトには何かがあるのではないかという無意識下の警戒なのか、それとも押し寄せる大波のように襲い来る罪悪感の現れなのか。

 

ボクには何も分からない。だけど温泉開発はどうしてもやってみたい。今このタイミングを逃したらもう次のチャンスは来ないかもしれない。

 

そしてついにその電子音が途切れた。

 

 

『───────もしもし』

 

「・・・もしもし...」

 

『バイト募集見たって奴はお前か?』

 

「はい...そうです。」

 

『ちゃんと要項は全部読んだな?その上で参加したいって言うんだな?』

 

「読みました。参加したいです!」

 

『本当にいいんだな…?』

 

 

なんだかすごく確認してくる…。ボクは参加するっていう意思は伝えているのにまだ聞いてくるんだ。とりあえずもう一度自分の意思を伝えよう。

 

 

「本当に大丈夫ですっ!」

 

 

『・・・そうか!!なら良かったよ!!あの募集見て来てくれる奴がいたなんてびっくりだ!私もダメ元で募集かけてみたんだけど、来てくれるんなら助かるよ!』

 

 

いきなり喋り方がフレンドリーになった!?最初はすごく静かで怖い気持ちの方が強かったけど、こんな明るい人なら大丈夫そうかも!

 

さっきまでの不安感はほとんど無くなっている。この人が一緒なら色々と教えてくれそうだ。とりあえず明日の詳細な情報について聞いてみよう。話はそこからだ。

 

 

「あの!明日ってどうすればいいんですか?」

 

『あー明日な。基本的には書かれている通りでいい。場所は後でリンク送るわ。給料に関しても私のポケットマネーからちゃんと出すから安心しろよ?』

 

「・・・ポケットマネー?会社とかじゃなくって?」

 

『これは()()()()()()()()()()なんだ。部長にも話してねぇ。だから明日は私の近くにいて少し手伝ってくれるだけでいい。今人手が足りてねぇんだ。少しでも手が欲しくてな。』

 

「そっかー、人手足りないんだ。温泉開発も大変なんだね〜。ところで他の人はどうなったの?辞めたの?」

 

『辞めたわけじゃ無いんだけど、みんな病院で入院してんだよな。』

 

「入院!?大丈夫なのそれは?」

 

『だいじょーぶだいじょーぶ!どうせその内みんなしれっと戻ってくるから!お前が気にすることじゃねぇよ!』

 

 

なんだ。そうなんだ。それなら大丈夫か。この募集も今だけで、他の人が帰ってきたらもう人を呼ぶ必要は無くなるんだ。そしたらこの温泉開発は人手の足りない今だけしか体験できないってことだ。勇気を出して連絡してみて良かった〜。

 

 

『よしっ!それじゃあそろそろ切るぞ。最後に聞きたいことはあるか?』

 

「ん〜、無いです!ありがとうございます!」

 

『了解っと!明日現地に着いたらこの電話番号にかけてくれ。そこで連絡を取りながら落ち合おう。』

 

「分かりました!それではまたあし……」

 

 

『まて。最後に確認させてくれ。』

 

 

どうしたんだろう…?もう聞くことも無いから安心して寝れそうだと思ったけど、まだなにかあるみたい。ここに来て重大な情報で、参加できなかったりしたら嫌だな…。

 

 

『──────明日、ほぼ確実に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 

 

・・・ん?たったそれだけ?むしろボクとしては来てくれた方が嬉しいんだけど、わざわざ確認するほどかな?それよりヒナちゃんも温泉好きだったんだなぁ〜

 

ヒナちゃんに会うのはあの時以来だ。久しぶりだけどボクのことを覚えていてくれてるかな?覚えてくれていたら嬉しいなっ!もし会えたら連絡先とか交換して、ホシノおねえちゃんたちと一緒に遊びに行ったりしてみたい。

 

そしてもう一度ボクのことをぎゅって抱きしめて欲しい。そのままベッドの上で一緒に寝たい。あの時の心地良さは今までで一、二を争うくらいだ。

 

そう考えると明日会えるのがもっと楽しみになってきたかも!!

 

 

「風紀委員長ってヒナちゃんのことでしょ?全然大丈夫だよ!」

 

 

『うぇ!?あの風紀委員長をヒナちゃん呼びなんてとんでもないヤツだな・・・お前...

まぁそれならいいか。それじゃまた明日よろしくな。』

 

 

「はぁい!おやすみなさい!」

 

 

『おー。おやすみー』

 

 

思っていたよりもいい人で良かった!これなら無事にアビドスまで帰ってこられそうかも。それにヒナちゃんも来てくれるし、楽しみがいっぱいだ!

 

電話をかける前の気味の悪い不安感はもう無い。ボクを心配してくれるアビドスのみんなには申し訳ないけど、夜にボク一人でも安心だっていうところを見せられるかもしれない。

 

(・・・まぁ、バレる訳にはいかないんだけど…)

 

もちろん稼いだお金は学校の借金の為に取っておこう!貯金箱の中にお金がどんどん溜まっていく様子を見るのはとても気分がいい。ボクが頑張った証みたいに感じられて、みんなの役に立ててるんだっていう感覚になってくる。

 

 

これでようやくゆっくり眠れる。眠れない原因だった悩みは全て消え失せた。そして代わりに楽しみが出来た。

 

 

普段眠りにつく時間からだいぶ過ぎている。そろそろ眠らないと、明日睡眠不足でせっかくのバイトに行けなくなっちゃう。

 

 

スマホの電源を落とし、起こしていた身体をベッドに沈める。

 

 

ひんやりとした布団を被り目を瞑る。

 

 

やはりというべきか身体は眠りたがっていたようだ。

 

 

自然と瞼が落ちてきて、意識も少しずつ曖昧になっていく。

 

 

そうしてボクは眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

チクリとした胸の痛みと共に───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前話のタイトルにある「青い鳥」は幸せの象徴を指す言葉です。Twitterの青い鳥と、この二次創作の主題にある「幸せ」を掛け合わせました。キヴォトス内のTwitterにあたるアプリの名前を知らないので、あくまで二次創作内のSNSという認識で大丈夫です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。