不幸な小狐は幸せを探す   作:うしさん

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葛藤の末に

 

 

 

 

先生のおかげで、セリカちゃん達の痕跡を発見することが出来た。バレたら不味いかもしれないという方法だったらしいが、先生は躊躇いもせずにその方法で迅速に動いてくれた。

 

こういうところが大人のずる賢いところであり、先生の優しさだと改めて感じる。悪をもって悪を制すじゃないけど、セリカちゃんとユキちゃんを取り返す為に手を悪に染める先生の姿は悪くないなと思う。

むしろ今は感謝しかない。手掛かりひとつ無い中で、二人の痕跡を見つけてくれたのだから。

 

それから私達は即座に学校を飛び出した。

無駄話で時間を浪費する訳にはいかない。その場で余計な事をぐだぐだと考えた所で意味なんてない。

こうしている間にも二人の身は危険に晒されているんだ。

 

兎に角ユキちゃんが心配だ。もちろんセリカちゃんも。だけど身体の弱さの事を考えると、どうしても不安になってしまう。

 

セリカちゃんは強い子だ。一人でも十分戦える強さを持っている。それは今までの戦闘を見ていればはっきりと分かる。だから生きていると確信出来る。

だけどユキちゃんは違う。銃弾一発が致命傷の可能性を孕んでいる。その証拠が心の奥底に刻み込まれている。

 

私の銃が、ヒナちゃんの銃がそれを物語っているんだから……

 

落ち着いた筈の心の中が、再びどす黒いナニカで満たされていく。負の感情が嵐のように渦巻く。心臓の音が五月蝿い。呼吸の間隔が少しずつ短くなっている気がする。

 

 

「ホシノ先輩…?大丈夫?」

 

 

シロコちゃんの声で現実へと引き戻される。少し考え込み過ぎていたらしい。学校を出てから大分時間が経っている。無意識のうちに脚を動かしていたみたいだ。

 

私はすぐに返事を返そうと心を持ち直す。私の不安をみんなに伝播させる訳にはいかない。最年長である私が気を張らないでどうする。

 

 

「ん〜?おじさんは大丈夫だよ〜」

 

 

いつも通りの態度を取り繕う。

 

 

「そっか」

 

 

シロコちゃんのその返事を聞いて私は気付いてしまった。

見抜かれている。私の不安が、焦りが、絶望が。

 

シロコちゃんは目に見える感情表現が少ない癖に、他人のこういうところには敏感だ。野生の勘とでも言うのだろうか。

普段は何とも思わないけど今はそれが少し不快だ。そう思いたくないのに心の焦りがその感情を加速させる。

 

もしかしたら他のみんなにも気付かれてしまっているかもしれない。先輩として情けない。それに気付いた上でいつも通り接してくれているのなら、私は先輩失格だ。

 

これでは駄目だと思考を切り替えるように頭を横に振る。

その時そういえばと、とある事が頭を過ぎった。

 

この焦燥感の中で走り回るのは何回目になるのだろうか、という疑問。思い返せば今回が三回目。それも毎回ユキちゃんが失踪した時かもしれない。

一度目は初対面の時。私は夜のアビドスの街を駆け回った。二度目はゲヘナに勝手に行ってしまった時。

 

その二回とも、ユキちゃんは酷い目にあっている。命の危険に晒された。命を落とした。

 

一度目ならまだしも二度目の時、私は間に合わなかったんだ。

小さな命を救えなかった。奇跡的な力で命を吹き返したけれど、辛く苦しい思いをさせてしまった。

GPSで位置が分かっていたというのに、助ける事が出来なければ意味が無い。

 

そして今回はそのGPSすら機能していない。それを認識した瞬間、私は肝が急速に冷えていく感覚を覚えた。

 

どうしようどうしようどうしよう……!

思考が止まり、何も考えられない。正確には考える事が多すぎて考えが纏まらないと言うべきか。冷静になれば自ずと最適な行動を取れる筈なのに、それが出来ない。

 

先生のおかげで大分落ち着くことは出来たけど、未だにその心労は拭えていない。

なんなら走っている今現在、目的地への距離が近付くにつれて焦りが募ってくる。

 

GPSが機能していない……

という事はユキちゃんの持つスマホも機能していない……

 

つまり、ユキちゃんも……っ

 

 

……あ、ああぁぁ、いやだ…。嫌だ嫌だ嫌だッ!

 

そんな事、あってはならない!またあの子を喪うなんて、大切な人を喪うなんて……そんなのは嫌だ!

 

 

込み上げる嗚咽の感覚。

目尻に涙が浮かんでくる。

呼吸が速くなる。

 

きっと今の私は酷い顔をしているだろう。最後尾を走る私のことを誰も見ないで欲しい。

そんな事を願うが、それを先生は許してくれなかった。

 

シロコちゃんの背中に乗りながら、ちらりと視線を向けてくる先生。私はすぐに俯いて視線を合わせない。先生もそんな私の様子を見て、無理に話し掛けてこようとはしてこない。

 

……こういう気遣いが人として信頼に足り得るのかもしれない。

一瞬そんな考えが頭を過ぎる。

 

その後、先生は誰に話し掛けるでも無く、独り言を呟くように言葉を発した。

 

 

「……大丈夫。きっと二人は無事だよ」

 

 

その言葉にみんなは先生に視線を向ける。私もゆっくりと視線を上げた。

 

突然何だ。二人は無事?そんな証拠なんて無いというのに何を無責任な。気休めの言葉なんか要らない。欲しいのは二人が無事だという保証だけ。

 

 

「なんで……!何でそんな事を言えるのさ…!二人が無事な保証は無いんだよ……!?ユキちゃんなんて、生きてるかどうか……」

 

 

悪い感情が膨らんでくる。先生に反発するつもりなんか無いのに、反発したくないのに次々と良くない気持ちが溢れ出る。

先生は私たち、特に私の事を気遣ってくれて言ってくれただけなのにこんな事を口から吐き散らす私は最低だ……

 

 

「─────ホシノ」

 

 

そのたった一言が、奇妙な程に頭に響く。ただ名前を呼ばれただけ。その筈なのに、なにか致命的な間違いを犯した私を咎められるような感覚を覚えた。

言葉の続きを遮られ、もう一度言葉を紡ごうとした瞬間、私はとてつもなく恐ろしいことに気がついてしまった。

 

(……私は、いま、なにを、言おうとした……?)

 

 

「だめだよ、ホシノ。その先は言ったら駄目だ」

 

 

一瞬にして冷や汗が吹き出す。息が詰まる。申し訳ないで済む次元じゃない。私は今、本当に言ってはいけない事を口にしようとした。

 

 

「……っ!あ、あぁ……ご、めん、なさい……」

 

 

嗚咽と共に、無意識に謝罪の言葉を口にする。謝らなければいけない相手はここにいないというのに。

大切に思っているからこそ無事を祈るべきなのに、最悪を想像してしまった私は救いようの無いひとでなし。

 

言霊という言葉があるように、口に出した瞬間それが現実になる可能性だってある。先生が止めてくれなければその言葉の続きを口走ってしまったかもしれない。

そう思うと酷く苦しい。先生には感謝を告げるべきなんだろうけど、今の私にそんな余裕は無い。

 

 

「私は何も根拠が無いままに『無事』なんて言った訳じゃない」

 

 

そんな事を言って、セリカちゃんとユキちゃんが無事だという根拠を先生が話しているけど、私の耳には全くと言っていいほどに入ってこなかった。

考えていたのはただひたすらにユキちゃんの命の無事だけ。先程の致命的な失言を取り繕うかのように、必死に二人の無事を祈っていた。

 

先生とみんなは変わらずぽつぽつと会話を続けている。私を除いて。

 

早く目的地に着いて欲しいと思った。身体の疲れは殆ど無い。だけど精神的な疲れで身体は酷く重い。

直ぐにでもヘルメット団を潰したい。二人を助け出したい。

 

だけどそんな事を願う私には、ユキちゃんを救い出す資格はあるのだろうか……

 

何度ユキちゃんを護ると誓ったのだろう。助けが間に合ったことは何度あっただろう。

この盾は大切な人を護るために使うと決めた。その筈なのにユキちゃんを傷ひとつ無く護れた例がない。

 

……私()()()では護り切れないのかな…

 

現時点までの結果が全てだ。私ひとりで動いたところで何も出来なかった。

今だってそう。先生が居なければ何も出来ずに時間だけを無駄にしていただろう。

 

ユキちゃんの事になると、どうしても弱気な私が顔を出す。

理由は簡単だ。

 

だって…だって、私は……───────

 

 

 

 

 

「ねぇ、ホシノ。教えて欲しいんだ。ホシノとユキちゃんのことを」

 

 

名前を呼ばれ、私はすぐに顔を上げる。その声は今まで無いほどに真剣で、思考の渦に呑まれていた意識が一瞬にして浮上させられた。

 

最初は先生の言葉の意味がすぐに理解出来なかった。

 

(おしえてほしい……?なにを?なにが?わたしと、ユキちゃんのこと……?)

 

 

「…………っ!」

 

 

しかし瞬時に回り出した頭は、即座にその意味を理解し始める。反射的に私は顔を顰めてしまう。

 

先生が尋ねているのは私とユキちゃんの間で何があったのか。尋常ではない私の様子を見て、私たちの過去に探りを入れてきたのだ。

 

その行為は客観的に見て何らおかしくは無い。私自身、先程から様子がおかしいことは自覚している。

だけどあからさまに避けていたユキちゃんの昔話を無理やり聞き出すなんて以ての外。それを察することの出来ない先生では無いはず。

 

しかし今、先生はこちらに踏み込んできた。

私の永遠に残る心の傷でもあり、私が一生背負うべき罪に…

 

 

「先生っ、それは……」

 

「分かってる。知り合ったばかりの私が踏み込んではいけないことだって。それは承知の上だ。言いたくないならこれ以上聞かない。だけど辛そうな表情をしている大切な生徒が目の前にいる。それを見捨てるなんて選択肢をとることを、私はしたくないんだよ」

 

 

アヤネちゃんが焦ったように先生を止めようとする。

しかし先生は一切止まらない。私たちが意図的にこの話を避けていると知った上で踏み込んできたんだ。

そして先生は私の事を『大切な生徒』と呼ぶ。見捨てる選択肢なんかいくらでもある。それにも拘らずこのタイミングでその選択を……

 

それを聞いたらもう先生は逃げられない。私と一緒に過去と向き合ってくれるというの……?

 

 

「……とはいえ、これは私のエゴの押し付けだ。余計なお世話ならそう言って欲しい。何も聞かずにセリカとユキちゃんを助ける事だけに専念するさ」

 

「…………。」

 

 

そうか、これは私に委ねられている。話すか話さないかは全て私次第。差し伸べてくれたその手を振り払う事だって出来る。

手を取らなくても先生は二人を助ける事に協力してくれるとも言っている。

 

それなら私は何も言わない。知り合ったばかりの大人に話すことなど無い。大人は信用出来ない。その質問に答えたところで何が出来るというんだ。

 

 

……と、少し前の私ならそう考えて黙秘を貫いていただろう。

 

だけど今は違う。先生は他の大人とは絶対的に違うと信じている。

出会ってそんなに時間は経っていないが、そう確信してしまう程に先生を信じてしまっている。

 

言葉の節々から伝わってくる私達への気遣いと、私達にとって利益にしかならない行動の数々。悪意に敏感なユキちゃんが即座に懐いてしまうほどに引き寄せられる人柄。

 

そのどれを取っても、今まで出会ってきた大人とは何もかもが異なっていた。

 

ユキちゃんとセリカちゃんを助ける事に全力で力を貸してくれて、こうしてみんなの不安が膨れ上がる中でも、生徒のケアを欠かさない。

 

そして強い意志と覚悟をもって私の過去に足を踏み入れてきた。

 

先生の優しく温かい手を取るか取らないか。

私の選択はとうに決まっていたんだ。

 

 

この大人なら、きっと───────

 

 

「……ありがとう、先生

 

 

聞こえてませんようにと、小さく呟いた。

 

 

「お礼を言われるような事じゃないよ」

 

 

……そういうのは態々反応しなくてもいいんだよ。先生……

 

でも先程より随分と気が楽になった。胸の内に渦巻いていた暗い感情はゆっくりと薄れていく。まだ話していないというのにも拘わらずおかしなものだ。

 

私は深く息を吸い込む。先生に話さなければいけない過去を鮮明に蘇らせる。一日も忘れた事の無い絶望の記憶。今でも色褪せることなく脳裏に刻まれている。

 

私は今からそれを言葉にして、声に乗せて、先生に伝える。

 

 

「……あのね、先生…──────」

 

 

私は全てを話した。所々で声が詰まることもあった。嗚咽し、嘔吐きながらも事細かに罪を自白する。

みんなは何も言わずにそれを聞いてくれた。先生も何を考えているか分からないような表情で静かに聞いてくれた。

 

罪の告白を終えた頃には足が止まっていて、私の目の前に先生がゆっくりと歩いて近付いてくる。私の瞳から流れ落ちる雫は、とどまることを知らずに静かに頬を伝う。

 

すると俯いている私の視界の中に、先生の姿が次第に大きく映り始めた。周囲を気にする余裕など持ち合わせていない私は、何も反応出来ずにただ制服の袖で涙を拭っていた。

 

ひと一人分程の距離にまで近づいてきた先生。私を苛烈に責めたてるようなことはしていないとわかる。

けれど、その口からどんな言葉が飛んでくるのかと考えると恐ろしくて堪らなかった。もしかしたら内心では途轍もなく怒っているかもしれない。生徒ユキちゃんを傷付け、殺しかけた私を憎んでいるかもしれない……

 

そんな自身を苛むような考えばかりが溢れ出てくる。

 

先生は未だに何も言わず私の目の前で佇んでいた。

鼻をすすり涙を拭いながら、今か今かと叱責を受け入れるために気持ちを整えていると、ついに先生は動きを見せた。

 

先生の脚を映す私の視界には、唐突にしゃがみ込んだ先生の姿が入り込む。どうやら私と目線を合わせるために屈んで方膝立ちの姿勢になったようだ。

私は何事かと驚く暇も無く立ち竦んでいると、先生はゆっくりと私の左手を両の手のひらで優しく包み込む。

 

その瞬間、私の心は驚く程に落ち着きを取り戻していった。まるで濁流のように暴れる感情の渦が、次第に緩やかな清流の流れに落ち着くみたいに。

そしてそのままの姿勢で、先生は私に声をかけてくれる。

 

 

「……ホシノ。よく頑張ったね。

その感情をずっと独りで抱え込んできたんだよね」

 

 

────涙が、止まらない……

たった一言。出会ったばかりの大人からの労いの言葉が深く心に染み渡る。

訳が分からなかった。頭の中がぐちゃぐちゃだった。なんで、どうしてこんなにも先生の言葉が嬉しいのだろう。相手は大嫌いだった筈の大人なのに。

 

 

「今の話を聞いた上ではっきりと言わせてもらうよ」

 

 

先生はさらに追い打ちをかけるように、私にとってとどめの言葉を口にする……

 

 

 

「───────ホシノは悪くない」

 

 

「……あ、あぁ…っ」

 

 

「悪いのは全て悪意を持つ側だ。だからといって、ホシノの心に残る深い傷を消す事は出来ない。だからこれからは私も一緒に背負うよ。何かあった時は何時でも、なんでも私が味方になるから」

 

 

「……っ、せんせぇ……っ!」

 

 

心のダムが決壊する。内に秘めていた感情が溢れてくる。欲しい時に私が一番求めている言葉をくれる人がそばに居るという事が、なんと嬉しいことなのだろう。

人前では決して泣くまいと思っていたのに、この人の前でなら弱みを見せても良いと、そう思ってしまうんだ……

 

私は泣いた。声を押し殺し、静かに泣いた。人前で感情をこんなにも剥き出しにしたのは初めてかもしれない。

恥ずかしいという気持ちは無いと言ったら嘘になる。だけど、どこかすっきりとした気持ちが残ったのは事実。

 

純粋に嬉しかったんだ。私の手を包み込んでくれる大きな両手と、鼻をすする私の頭を優しく撫でてくれる温かな右手。

私だけが抱える一生消えない罪であった筈なのに、寄り添ってくれる人が居るだけでこんなにも気が楽になるのだと初めて知った。

 

次第に涙が乾いてくる。気持ちも落ち着いてきた。相変わらずみんなは不安げな顔を浮かべながらこちらの様子を窺っているけど、もう大丈夫だ。

 

私はもう、大丈夫。

だって、ずっと先生が私の傍に居てくれるのだから。

 

 

「……ありがとう。先生」

 

「どういたしまして。感情は整理出来たかい?」

 

「うん、おかげさまで。あのさ先生…約束、破らないでね?私の味方になってくれるんだもんね?」

 

「もちろんだよ」

 

 

我ながら重たい台詞を口にしてしまったなと、声に出した後で気付いた。こんなふわふわとした、嬉しいような、胸が締め付けられるような感覚は初めてだ。

 

 

「ん、いつものホシノ先輩が戻ってきた」

 

「だ、大丈夫ですか……?ホシノ先輩…?」

 

 

痺れを切らしたのか、シロコちゃんとアヤネちゃんが不安げに声を掛けてくれる。私のせいで立ち止まることになってしまったのはかなり申し訳なく思う。

 

 

「あーごめんごめん。情けないとこ見せちゃったよね…。出来れば忘れて欲しいなぁ〜なんて……」

 

「ふふっ、忘れてあげませんよ?ホシノ先輩のメソメソ姿は今後も滅多に見られない光景なので〜」

 

「うへ……。ノノミちゃんもいい性格してるよホント……」

 

 

こうなってしまっても仕方ないかと、私は渋々諦めた。

頭を切り替えてこの状況から冷静になって思考を纏める。

 

今はとにかくユキちゃんとセリカちゃんを助ける事だけを考えよう。立ち止まるのはもうやめだ。

きっと二人とも生きている。私がそう信じないでどうする。先生いわく、目的地はもう直ぐそこにまで迫っているらしい。

 

 

「みんな、ごめんね。改めて二人を助けに行こう。協力して欲しい」

 

「当たり前です!私たちは同じアビドスの仲間なんですから!」

 

「うへ…そうだね。そうだよね」

 

 

協力して欲しいというのは余計な一言だった。みんな最初から同じ気持ちなんだ。

私はちらと先生の方に視線を向ける。相変わらず先生は優しげな瞳を投げかけてくれる。目が合った瞬間、私が次に言いたいことを察してくれたのか、小さく頷き口の端を少しだけ緩めた。

 

 

「よし、それじゃあみんな。再出発しようか。絶対に二人を取り返そう」

 

 

気が付けば真っ暗だったはずの夜空の向こう側がぼんやりと白み始めている。恐ろしく長かった夜も終わりに近付いているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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