「よく、来たな。褪せ人と角人の戦士よ。この先へは何人たりとも進ません」
褪せ人と共に地下墓の奥、入口の霧をくぐり抜け、部屋の中に入りこんだ。部屋の中央には、金の鎧を身に纏い、右手に長柄の斧を持った骸骨の騎士がいた。騎士は部屋に入り込んだ俺たちの存在に気付いたようで、上半身を大きく左に傾け。古竜の紋章を展開し、左手に複数の雷槍が円を描くように連なった巨大な雷槍を創り、こちらに投げつけてきた。
「褪せ人殿!! 回避を!!」
騎士から放たれた騎士の雷槍を確認した俺と褪せ人は直ぐに回避行動に移り、地面を転がって回避した。転がった俺たちを、騎士は右手の斧を両手持ちにし、斧を振り上げ追撃してきた。俺は武器を急いで両手持ちに構え、騎士から放たれる斧の振り下ろしを防ぐ。
「褪せ人殿。私が前に出る。貴方はあの騎士に隙が生まれたら、攻撃を加えてくれ」
起き上がり、こちらに向かってきた褪せ人に、役割分担することを伝え。騎士の正面に立ち、騎士の攻撃を手に持った大剣でガードしながら、ガードカウンターを駆使しながら切り結んでいく。
「了解だ」
褪せ人は俺の提案に了承し、騎士の隙を伺い。俺が正面で騎士と戦っている際に、隙が生まれると騎士の背後に回り、手に持った逆手剣で致命の一撃を加えていった。
時折、褪せ人の致命攻撃を嫌った騎士が、褪せ人に攻撃対象を変え、襲いかかるが。褪せ人は逆手剣の戦技、死角の一撃で攻撃を回避しながら、騎士に手傷を負わせていく。
「よそ見とはな……」
俺も後ろを向いた騎士へ大剣の貯め攻撃で、痛烈な一撃を加え。再びこちらに敵意を向けさせる。
俺が騎士の正面に立ち、大剣の防御性能を生かし、騎士の攻撃を受け止め。逆手剣の身軽さを生かした褪せ人が騎士を致命攻撃で削っていく。お互いの武器を生かした。連携攻撃で戦いは順調に進んでいった。騎士の体力も少なくなってきており、後一、二撃。攻撃をすれば倒れるだろう。
「掴み攻撃だ!」
(もう。その技には慣れた)
死の騎士が最後の力を振り絞り、戦技・瞬雷を使い。文字通り、雷速の移動によって、瞬きの間に距離を詰め、褪せ人に掴みかかるが。この戦いで何度もその技を見てきた褪せ人は慣れたように、死角の一撃で回避し逆に攻撃を加えた。
ブシャァァ────────────────────
出血が蓄積していたのだろう。褪せ人の攻撃に合わせて、騎士の体から黒い血が溢れ、出血した。褪せ人の攻撃と出血が決め手となり、騎士は倒れ伏した。
「褪せ人殿。協力感謝する、報酬だ、受け取ってくれ。実はこの地下墓を訪れた理由なのだが……」
騎士が力尽きたのを確認し、俺は褪せ人に今回、協力してくれた礼と地下墓を訪れた理由を伝えに行った。
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side:[褪せ人]
エンシスの城塞で、針の騎士レダと協力して、城塞を守っていた。双月の騎士、レラーナを倒し、影のアルターへ進んだ褪せ人。同志であるレダと角人に合流した時に、レダから新しい同志だと紹介された。角の戦士、サングリアからの頼みを聞き、サソリ川の地下墓攻略を協力し、ボス、死の騎士を撃破した。今は彼から、協力の礼を言われていた。
「褪せ人殿。協力感謝する。私だけでは、きつかっただろう。助かった。これは礼だ。受け取ってくれ。私が一時期、塔の街、ベルラートに住んでいて、そこで、ある老婆から、教わり作ったものだ」
彼から、礼として。贈られたのは螺旋の塔を象ったタリスマンだった。彼が塔の街に住んでいた間、教えを授かった、相手とはあの小部屋にいた、老婆なのだろうか。
(まあいい。それより気になることがある)
褪せ人は気になっていたことを聞くことにした。
「何故。こんな地下墓に訪れたんだ?」
「ああ、そういえば、理由を伝えていなかったな。すまない。地下墓を訪れた理由だが、あの樹を見てくれ」
「あの樹って。ただの地下墓の根だが。…っ!」
「気付いたか?」
「ああ、根に死王子の顔がある。それに、若返っている?」
彼の言葉通り。褪せ人は地下墓の樹の根を観察した。初めはただの、根のように思えたがよく観察すると人の顔があった。狭間の地の地下墓で見かけた死王子の顔よりも若返った顔が。
「褪せ人殿。私は一度、死王子の霊体と遭遇し、この身を呪われた。かの黄金の丁子もこの影の地に訪れている。彼が、この地で何かを起こすのか。私は探るため、この地下墓に訪れたのだ。褪せ人殿。私はここでしばらく、この根について調べようと思う。同志たちにも、伝えてくれ」
「ああ。伝えておこう」
褪せ人は、調査を続ける彼と一旦別れ、地下墓を出ると。トレントに乗り、他の同志たちと合流しに向かっていった。
「死王子の目的も分かった。一度、王朝の民と話し、作戦を変更してミケラの大ルーンが壊れるまで待つことを伝えなければ」
地下墓をでていく褪せ人をみて、純血騎士サングリアは血の移動を行い。作戦変更を伝えるため、ヴァレーたちが待つ新王朝へ向かっていった。
「……あの、こんにちは。貴方は、もしかして褪せ人ですか? 私は、ティエリエといいます」
「そして、ミケラ様は、あの地で神になろうとしている。我々がよく知る神のように」
同志たちと合流した褪せ人は、まだ合っていない同志と会い、彼らの頼みを聞きながら、アンスバッハから頼まれたミケラの十字探しを行っていた。全ての十字探しも終え、アンスバッハからミケラの目的を聞いた褪せ人は影の城へと進んでいき。
パリィイイイイイイイイイン
城の門前に到着した時、ミケラの大ルーンが砕けた。
─────サソリ川の地下墓──────────
「ミケラの大ルーンが壊れたか。一度、王朝の同志たちとは会って作戦の変更を伝えているが。計画についてはレダ一行にも左右される。褪せ人の同行を探らなければ」
(ミケラァァァァァァ!!)
ミケラの魅了が解除され、怒り狂う自身の半身をなだめながら。魅了が解けたことでミケラの大ルーンが壊れたことに気づいた俺は。計画実行に向けて、動き出した。
「待っていてくださいね。アンスバッハ殿、角人殿」
螺旋のタリスマン
坩堝の整流である、螺旋
その螺旋を信仰する角人が建てた塔を象ったタリスマン
新しい勇人が老婆の指導の下、造り上げた
坩堝の祈祷と螺旋の祈祷、二つの祈祷の攻撃力を高める。