沢山の感想、誤字報告助かってます!!
*追記
少し足しました。
────────塔の街、ベルラート────────
「老婆よ。影の城で、これを見つけたのだが」
「これは、秘儀の巻物じゃないか。よく見つけてくれたね」
アンスバッハ殿と王朝で別れてから、俺はミケラとの決戦に備えるため。秘儀の情報を聞きに、塔の街、ベルラートに住む。角人の老婆を尋ねていた。
「そうか。やはり、これは角人たちの間に伝わる秘儀の巻物だったか。ならば、ちょうど良かった。聞きたいことがあるんだ」
「おお、何だい。角人の宝を取り返してくれたんだ。何でも聞きな」
「では、お言葉に甘えさせてもらおう。マリカの子供。神人、ミケラがこの地を訪れ。我が主の肉体を依り代に、秘儀を行おうとしている」
「ついに、かい」
「ああ、遂にだ」
老婆は俺の話を聞き、感慨深げに、そう言った。数年前、この地を訪れ。ここで、話したことを思い出しているのだろう。
「何か、秘儀に弱点はないだろうか」
「残念だけど、秘儀に弱点はないだろうね。いや。でも、あんたの主は確か、角人だったかい」
「ああ、そうだな。私たちの君主は、角人だ」
「で、誰の魂が帰還するんだい」
「星砕きの英雄、ラダーン将軍だ」
「そうかい。なら、あんた。隙が生まれてるかも知れないね」
「っ! 、それは本当か!」
「ああ、本当さ」
来るミケラと彼の約束の王との決戦。その対策のため。老婆に、儀式に付け入る隙があるのか、聞いたところ。儀式自体には弱点は無いだろうと返されてしまった。だが、老婆の話によると隙が生まれたらしい。
「角人に伝わる秘儀。巻物を見た。あんたは概要は知っておろうから。説明は省くぞ」
「ああ、構わない」
「秘儀は角人たちに伝わるもの。故に、儀式に求められるのは、角人としての資質。神降ろしの才能じゃ。ミケラはそこに目をつけたのだろう」
「なるほど。だから、モーグ様が。依り代に」
「そこまではいい。だが、帰還する魂は王の器と。まあ、これは話を聞く限り、持っているのじゃろう。だが、もう一つの性質も持っておらねばならん」
「もう一つの性質?」
「そうじゃ。もう一つの性質、坩堝の性質じゃ。これがなければ、神と王は繫ぎ止められん。仮に神が現界していようと非常に不安定じゃろうな」
老婆の話を聞けば。依り代には角人のモーグ様が使われるので、儀式自体は成功するが。帰還する魂は、人間であるラダーン将軍の魂のため、その神と王は非常に不安定であるとのことだった。
だが、それが分かったところで。それの……
「それのどこが。弱点になるんだ」
「はあ。あんたは自分が誰だか忘れたのかい」
老婆に疑問を提示したところ。なぜか。老婆に呆れられてしまった。
「? 、私か。私は血の君主、モーグ様につかえ……」
「そうじゃない。まあ、あんたにとってはそうでもあるんだろうけどさ。今、聞いてるのはもう一つ肩書のことさ。この地、ベルラートで築いた。絢と舞い、絢と舞い、すべてを祓う」
「……! なるほど、神獣、塔の戦士か」
老婆の求めていた答えは、俺が塔の神獣戦士であることだった。何となくだが、話が見えてきた。
「そうだよ。あれと王による神の帰還。神をその身に降ろす、原理は同じことだ。あんたが、角降ろしでミケラを降ろして。不安定な神と王を砕いてやりな」
「ありがとう、老婆殿。勝機が見えてきた。此度の神と王都の戦い。塔の民、王朝の純血騎士として、臨み、勝つことを約束しよう」
「いいってことさ。だから、あんた。塔の民との力と技、マリカの子たちに見せつけてきな」
どうやら、弱点はあったらしく。不安定な状態を利用して、塔の民としての技。角降ろしでミケラを降ろして、打ち倒すという考えだった。
俺一人では絶対に出せなかったであろう考えだった。俺は角人の老婆に礼を言った。
「ここを出る前に、あの若造の所に寄っていきな。あんたに用があるって言っていたよ」
「了解だ」
老婆から、角人殿が俺に用事があると伝えられ。最近、この街で鍛治の仕事を始めだした。角人殿の下へ挨拶に向かった。
ガアン、ガアン
「精が出るな、角人殿」
「ああ、お前か。少し待ていってくれ」
「わかった」
再会した角人殿は鍛治台に武器を置き、手に持った槌で激しく叩き上げ。武器を鍛えていた。影の城で別れるときの言葉通り。剣を捨て、今は昔のように鍛冶師として働いているらしい。
「待たせたな。外せない作業だった」
「そんなには待ってはいない。こちらこそ、鍛治仕事中に失礼した。もう大丈夫なのか」
「ああ、打ち終わらせてきた。老婆からあの塔に向かうのを聞いた。これはお前のために打った鎧と武器だ。受け取ってくれ」
「大切に使わせてもらおう」
作業が終わったのか。角人殿から声をかけられ、完成したであろう武器と防具を渡された。どうやら、先ほど打っていたのは俺の装備品だったらしい。
「そういえば、影の城であった時に言い忘れたが。角人殿がメスメルを打ち倒しに行った後。角人殿を追ってきた褪せ人殿とレダと戦いになってな……」
「ふん。あの雌犬のやりそうなことだな。しかし、あの褪せ人も俺の暗殺に加わっていたのか」
「「…………」」
「だが、奴には火種を手にする目的があったといえども、敵であるあの蛇を打つ手助けをしてもらった。許してやってくれ」
「安心してくれ。別に、褪せ人殿を恨んではいない。褪せ人殿も本意ではなさそうだったしな。褪せ人殿はアンスバッハ殿と共闘してくれるだろうか……」
角人殿とレダ一行と褪せ人について話していいった。
────────エニルイリム────────
side:褪せ人
「ああ、君か。君は黄金樹に導かれて来たのだろう? ……まあ、いい。この先、ミケラ様の元へ向かうというのなら。何者であれ、我が剣で貫くだけだ」
場面は変わり、褪せ人は清めの場でレダと対面していた。
「待っているぞ」
その言葉ともにレダが消えていき。褪せ人の足元にサインが残った。
サインを見れば、
レダとその同志たちの敵対者として召喚される
そう書いてあった。
(……果たし状なのだろう)
そのサインからは、レダのミケラの障害となるものは必ず排除するという強い意思を感じられた。
「影の地で、同志たちと共に数多の苦難や喜びを共にした。正直に言えば、彼らとは戦いたくない」
褪せ人の頭の中で、同志たちと過ごした影の地での記憶が浮かびあがり、声が出る。
「だが……」
「ふふ、アンスバッハ殿に伝えておいてくれ。戦場で会うのを楽しみにしていると」
「はは、フレイヤ殿は知らないのでしょうな。身が凍るようなこの恐れを」
同志たちであるフレイヤとアンスバッハのやり取りを思い返せば。
「だが、戦うべきだろうな。互いに譲れないものがあるのだから」
褪せ人の中で答えは出ていた。
「これは……協力サインか」
自然後退していた足を止め。目線を足元に向ければレダが書いたものとは別の二つのサインが見えた。
「アンスバッハ、ティエリエ」
協力サインの主は影の城の保管庫で別れたアンスバッハと泥濘の大穴で戦ったティエリエだった。
「よし、レダとその同志たち、決着をつけよう」
二人のサインに触れ、召喚する。
心強い仲間と共にレダとその同志たちと戦い。決着をつける。そう覚悟を決め。
褪せ人はレダの敵対者として彼女の世界に召喚された。
「ミケラ様に近づくな。針の騎士レダが、落葉のダンが、その同志たちが、お前たちを許しはしない」
召喚された先で、レダによる宣告を告げられた。
「私が一番槍だ、赤獅子フレイヤ、いざ参る。褪せ人よ、存分に燃え上がろう」
同志たちの一番槍として、フレイヤが現れ。そういうと裂帛の気合をもって、褪せ人に切りかかった。
「っ。だが、隙だらけだ」
獅子斬りか
飛び上がったフレイヤの構えを見て。褪せ人は戦技獅子狩りを予想し、バックステップを踏み回避する。そして、剣の振り終わりに合わせ、両手に持ったグレートソードで巨人狩りを発動する。
「そうでもない」
フレイヤは自身に突撃する褪せ人を確認し、もう一度飛び上がり獅子斬りを行う。
「な。まさか」
「そう、これは獅子斬りではない。猛獅子斬りだ」
「っ。ぐうぅ」
回避は間に合わず、褪せ人は戦技をもろに喰らい、地面に叩きつけられる。
「逃がさんぞ」
深い傷を負った褪せ人が聖杯瓶で回復するために下がろうとするが。フレイヤは火炎壺を投げ、それを咎める。
な、なんとか。回復を
「純血騎士アンスバッハ、今、刃を掲げ、再び、血に狂わん、我が主、モーグの尊厳のため」
「さて、フレイヤ殿、私の刃は気に入っていただけますかな」
「感謝します、アンスバッハ殿。貴方の刃は戦慄するほどに美しい、だからこそ、我が手でへし折りたくなります!」
その思いは通じたのか。名乗りと共にアンスバッハが召喚され。フレイヤとの戦闘を交代された。
その隙に褪せ人は聖杯瓶で回復し、体制を整えた。
「君と戦う、悲しいことだ」
だが、直ぐにあちら側にも増援がやってきた。
「ぐはぁ……?」
重厚な鎧で包まれたムーアは鈍重な動きながら、盾を構え。突進してアンスバッハとフレイヤとの戦いに加わろうとする褪せ人を吹き飛ばす。
バリン
「っ。があぁ」
盾のバッシュによって、吹き飛ばされたもののダメージないことに困惑していた褪せ人に。ムーアが投げた腐敗大坪が直撃した。
腐敗状態を発症した褪せ人の体がジュクジュクと腐敗に侵されていく。
「火よ、癒しを」
褪せ人は急ぎ、祈祷を唱え、腐敗を治療した。
そして、
「よくも、よくもやってくれたな!!」
「……!?」
手に握る武器を万力かのような力で握りしめ、ムーアに切りかかった。
「…………」
更に戦いは進み、落葉のダンが呼び出される。
「くっ。あぶな……」
接近してきたダンによる光輪を褪せ人はギリギリの所で回避する。
「増援を……」
褪せ人がアンスバッハとフレイヤの方を見れば。
「ラ……ダン……様」
戦いには決着がついたようで。アンスバッハが勝利していた
「今、いきます。褪せ人殿」
「あと少し、耐えれば」
アンスバッハが合流するまでの間、ダンとムーアによる猛攻を逃げ回る褪せ人。
だが、離れているため。追いつかれるのが先だろう。
「……ただ、トリーナ様のために。……すみませんでした。貴方を疑って、けれど今は、トリーナ様の願いが、私の全てです。……ミケラ様を止めます」
だが、その口上の元。召喚されたティエリエが二人に立ちはだかり。
調香瓶によって、毒の霧を生み出し、彼らの行く手を阻む。
「助かった、ティエリエ」
(これが……最後か)
猛攻から抜け出した褪せ人は、最後の聖杯瓶を飲み。戦いに向かう。
「ティエリエ、私は君を見誤ったようだな。それに、すまなかったな、褪せ人。あの繭の上で勘違いし、君を勝手に同志と呼んでしまった。……せめても詫びに、我が剣の神髄を見せてやろう」
戦いに向かう褪せ人と同時に、レダも戦いに向かう。
褪せ人とレダが合流したことにより、再び三対三になった戦い。
「剣では切れず、鎧では防げぬ。侮るな、ティエリエの毒を」
譲れない思い、それに同志であったムーアとの戦いに決着をつけるため。ティエリエは見栄をはり。
「存外と、蘇るものですな、戦の昂ぶりというものは!」
アンスバッハはかつての血の騒ぎを取り戻し。モーグの尊厳のために。
二人の仲間がそれぞれの思いを背負って、戦いの最終盤に臨む。
その二人の覚悟に
「「……」」
ダンとムーアは拳と盾をただ無言で構える。
言葉は不要
言外にそう表していた。
ただ、六人の間で、一つの思い共通する考えがあった。
この戦いの勝者が歴史を作ると
そうして、同志たち、最後の戦いは激しいものとなり。
「ずっと、悲しいまま?」
一人
「ミケラ様……神にお成りください」
また一人と倒れていき。
「ミケラ様、どうか、世界を優しく……」
最後には、同志たちののリーダーであった針の騎士レダが倒れ。
褪せ人たちは勝利した。
「戻ったか」
元の世界に戻った褪せ人。来た時には、純白であった清めの間は、戦いによって流れた血で、赤く染め上げられ。すっかり荒れ果てていた。
恐らく、誰が見てもこの場所で凄惨な戦いがあったことは予想できるだろう。
「持っていかせてもらおう。お前たちの思いと共に」
そう言って、褪せ人は力尽き倒れている。かつて仲間であった同志たち、フレイヤ、ムーア、ダン、レダの遺品を回収していった。
同志たちとの戦いに勝利した褪せ人たちは次の戦いに進む。
「サングリア殿、同志たちとの戦い、決着が着きました。ええ、こちらに来てください」
一足先に神の門に着いたアンスバッハは王朝での約束通り。今も、対策を練ってくれているであろう。一人の純血騎士に連絡を入れた。
「しかし、彼からの連絡は来ませんでしたな。影の地に向かうとは聞いていたのですが……」
純血騎士、その言葉から。ふと、アンスバッハはもしもの時に、後釜を頼んだ血の貴族を思い浮かんだ。
「アンスバッハ殿、褪せ人たち、素晴らしい戦いでした! このナタン、お三方の戦いに、深い感銘受けました!」
「しかし、アンスバッハ殿から、私が死んだら。後釜として、褪せ人殿に協力を頼むといわれていましたが。不要でしたな」
「では、私はここを去るとしましょう。この先の戦い、応援しております」
同志たちの戦いを見届けた。血の貴族は去っていった。
────────塔の街、ベルラート────────
「ミケラの十字が蝕まれていた。この地で……かの黄金の英雄が」
「地下墓の根の人物か」
ザ……ザザ……フフォン
「む、これはアンスバッハ殿の幻影か」
内容はミケラ一行と褪せ人についてのことから移り変わり。角人殿とこの地の異変について、話をしていた時。目の前にアンスバッハ殿の幻影が表れ、連絡が入った。
「サングリア殿。レダ一行との戦い、終わりました。次は神と王との戦いです。来てください」
幻影から伝えられた内容は同志たちとの戦いは終わった。次の戦いに向かうので、こちらに来てほしいというもだった。
同志たちとの戦いに勝利を収められたようで何よりだ。
「勝ってこい」
「ああ、もちろん」
角人からもエールを送られ、塔の街を去っていった。
彼女たちの激励の元。影の地で、もっとも高い場所にあるあの塔、エニルイリムへ向かっていく一人の純血騎士。
その足取りはしっかりとしたもので。騎士が着る鎧の手足は螺旋の修飾が施され。荒れ狂う風に煽られたマントには螺旋を描く、王朝の大槍が写っていた。
サングリアの防具一式
角人が自身が見出した王のために鍛え上げた鎧たち。
手足には螺旋の修飾がされており、鎧には持ち手部分に螺旋が描かれた、モーグウィン王朝の聖槍が描かれたマントが取付られている。
王朝と角人の螺旋信仰を練り合わせたもので、色合いも赤、黒、金で調和がとれている。
それは、王朝と角人の融和の証であろうか。
血盟祈禱、坩堝祈祷、螺旋の祈禱など。全ての血と坩堝に関する力を強化する。