影の地の純血騎士   作:王朝万歳

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黄金の寵児。その終わり。続いて・・・

「褪せ人達よ。我らに道を譲りたまえ」

 

 神の門から帰還した。ミケラから、優しい律のため手を引くよう告げられた言葉

 

「ありえんな。褪せ人殿たち、作戦開始だ」

 

「私は後ろに下がって、降ろしを行っていく。その間は無防備になるだろう。ミケラたちの抑え込み。頼んだぞ」

 

「ああ、了解した」

 

 俺たちはそれを否定し、事前に決めていた作戦を開始した。褪せ人が手に持っている暗月の大剣をしまい、指紋が刻まれた大盾を取り出す。そして、前衛組のアンスバッハ殿たちに合流して、時間稼ぎに向かった。

 

「さて、通じるか。どうか」

 

 前衛から、着かず離れずの位置。前衛組からやや離れた場所に到達し。

 

 ……新世紀の神。普段接する機会が多い。母や嵐の神獣とは神であることは同じであろうが、新世紀の神ともなれば現行の角人の理が通じるものか

 

「だが、やるしかない。ミケラよ、角人の技、とくと味わうがいい」

 

角降ろし・神

 

 老婆にお墨付きを貰った上でも、不安を抱ぎながらも。その身に神を降ろす儀式を実行した。

 

「……っ」

 

「ミケラが薄まっている?」

 

 効果は早めに現れた。褪せ人たちと交戦していたミケラたちの動きが止まったのだ。ラダーンにしがみ付くミケラの霊体も色が薄まって、帰還当初の多大なる存在感を減らしていた。

 

「剣からミケラとの繋がりが感じられる」

 

 角降ろしの影響か。手元の剣からはミケラとの繋がりが感じられた。

 

 ミケラの存在感がラダーンから手元の剣に移った。この事実はミケラをラダーンの体から分離させられることを示していた。ラダーンと俺とのミケラという縄をめぐる綱引きだ。

 

「なるほど。私ではなく、剣が触媒になったか。ますます、好都合」

 

 まあ、肝心のラダーンは魅了されているため。禄に引っ張れていないし。触媒が剣だったことで、憑依される心配もなくなった。俺が有利だろうが。

 

「褪せ人殿ら、このまま行けそうだ。感触的に後二回といったところだ!!」

 

「後……二回。抑えきって見せましょう!!」

 

 俺が原因であると悟ったミケラが攻撃を仕掛けてくるが。自身の存在を保つことに力を回したことで。光の残像や光柱。ミケラ由来の力はその悉くが先ほどよりも弱体化していた。

 

「ラダーンはこちらの思惑に勘づいていたぞ。パートナーとは意見を交わしておくべきだったな」

 

 攻撃は前衛組に遮られていく。その裏で、俺は準備を整え。

 

角降ろし・神

 

 再度、角降ろしを行う。飛び上がりから放たれる光の残像が消え、剣の振りから光柱が生まれなくなる。

 

角降ろし・神

 

 三度目の角降ろし。遂にミケラがその存在を維持しきれず、こちらに引き寄せられていく。

 

「ミケラ。新たなる神となった者よ。聖樹で我が君主が奪われ。何もかもを失った、あの日。私は終わりゆく王朝で再起と復讐を誓った」

 

 角人の下へ、引き寄せられていくミケラ。彼は目の前に迫る危機に抗するため、その手に光輪を生じさせ、投擲する

 

「ぐうぅぅ。今が、その復讐の時だ!!」

 

 投擲された光輪は、確かに目の前の角人へと直撃した。だが、目の前の角人の足は止まらなかった。光輪によって、肉が裂かれ、その身に激しい痛みが走りながらも。痛みに耐え、大剣を振り下ろした。

 

「くぅ」

 

 振り下ろされた剣は、ミケラの体へと到達し。彼を袈裟切りにした。

 

「すみません。ラダ……にぃ……さま」

 

 兄への遺言を残して、真っ二つになったミケラは塵となって消えていった。

 

 そして、ミケラが消えたことで、ラダーンの動きも完全に停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 影の地、天高く、塔の頂上。

 

 新時代を切り開かんとする神の手によって、引き起こされた。狭間の王を決める戦いは、旧律の王と新時代の神と王がぶつかり合い。激闘の末、旧律の王が勝利し、戦いは終わった。

 

 決着が着いた塔の頂上は、先ほどまでの戦いが嘘のように静けさに包まれていた。

 

「褪せ人殿、貴殿のおかげで、ミケラを倒すことができた。感謝し……」

 

 長年の悲願を果たせたこと。その感謝を伝えるため、勝利を喜びあっている褪せ人、アンスバッハ、ティエリエたちの輪へと混ざりに行く。

 

 

 だが、その歩が辿り着く寸前。とてつもないプレッシャーに襲われた。突如、赤い蒸気が前方から噴出した。蒸気は、前方にいた褪せ人たちを吹き飛ばし。その勢いを衰えさせることもなく。後方に控えていた、俺をも巻き込んで、飛ばしていった。

 

「褪せ人殿!!」

 

 先ほどまで、戦っていた影響か。吹き飛ばされた後、俺たちは直ぐ様、武器を手に取り構える。

 

「ウオオオオオ────────-!!」

 

 全員が体勢を整え終わった。その時、指笛と雄たけびが聞こえてきた。

 

 赤い霧が消えた。

 

 そこには……

 

 赤獅子の王がいた。

 

 意思を取り戻し、体の自由が効くようになった彼は。先ほどまでの戦いの中で、朧気ながら掴んだ。体の持ち主であった男の力を完全にモノにする。そして、自分の全盛期の姿。ケイリッドの戦いに赴いたときの姿へと肉体を創りかえる。

 

「ヒヒンンン」

 

 肉体が完成した同時、馬のいななきが聞こえた。勇壮を誇った彼に似つかわしくない。みすぼらしい霊体のやせ馬が空から現れ、彼の下へ駆けていった。

 

「来てくれたのか。また、俺と戦場を駆け抜けよう」

 

「ブルルル」

 

 馬の返事に、彼は笑みを浮かべた後。眼前の敵を見据え……

 

「我は赤獅子、ラダーン。満月の女王レナラと赤髪の英雄ラダゴンの息子。褪せ人よ。我が妹の伴侶、暗月の王よ。お前に戦を挑む」

 

 宣戦布告した。

 

 空は赤く燃え上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




*ミケラの王、ラダーン戦

同行者に純血騎士サングリアを連れ、挑むと。

彼女が三回「角降ろし・神」を唱えるか、ミケラの王、ラダーンの体力を削り切れば勝利できるようになる。

「角降ろし・神」を唱える度に、ミケラの追撃が弱まっていく。




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