影の地の純血騎士   作:王朝万歳

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赤獅子、ラダーン

 燃え上がる空をバックに。死の淵から蘇ったラダーンが立ち上がり。そして、隣に佇む愛馬に跨る。自身が最も信頼できる相棒の背に乗って、ラダーンは褪せ人たちの下へと駆ける。

 

「褪せ人殿、アンスバッハ殿、ティエリエ殿!!」

 

 馬に騎乗し、ラダーンがこちらへと向かってくるのを確認し。それぞれの得物を手に、俺たちは立ち向かった。

 

 互いの距離は直ぐに縮まっていった。そして、ラダーンがその両手に持つ大剣の間合いに入ろうかというとき。

 

「なんだと」

 

 突如、馬の手綱が引かれ。馬が消え。ラダーンが上空へと飛び上がり、こちらへ斬りかかってきた。

 

 予想外の攻撃に反応が遅れ、まとも喰らってしまう。俺と褪せ人は数メートル先へと吹き飛ばされていく。

 

「これはまずいな」

 

 吹き飛ばされる事は今までの戦いと何度もあった。だが、今回は明らかにその勢いが違った。

 

「ぐは」

 

 あまりの勢いに着地した地面に深くめり込んでしまう。こちらへ駆けつけてきたラダーンが重力をエンチャントした大剣を振るう。それをギリギリのタイミングながら後ろへと転がることで避ける。

 

「つうっ」

 

 剣に纏っている重力の影響か。微弱ながら引力が発生し、避けたと思ったはずの剣線が額をかすめた。叩きつけられた剣の衝撃で、岩が隆起し、津波が起こる。

 

 俺たちは衝撃でよろけるが、体を素早く立て直して。迫る岩の津波を避けた。

 

「ラダーン将軍、ミケラと共にその命を散らすはずだった、貴方が。なぜ、まだ生きているのか疑問だが。もう一度討たせて頂きましょう」

 

 剣を振り終えたのを確認し。生じた隙を狙って、ラダーンの体血晶をエンチャントさせて大剣で切りつける。肉を切り裂き、その体を深く傷つけるかに思われた攻撃は。

 

「先ほどより硬い」

 

 浅い切り傷をつけるにとどまった。

 

 ラダーンが片手で突きを放つ。

 

「まさか、また」

 

 我が主の血炎を。そう予測し、剣の横なぎを警戒して後ろへと下がった。

 

「これは赤獅子の技か」

 

 だが、予想ははずれ。追撃は剣による横一線ではなく、左手から生み出された炎による発火攻撃だった。火は勢い、そのままに彼の両大剣にエンチャントされる。

 

 ラダーンが使ったのは赤獅子の炎。赤獅子の騎士たちが使用する技だった。

 もし、前に避けていれば、左手の炎に焼かれていただろう。

 

「大丈夫か」

 

「ああ、それより聞いてくれ。先ほどラダーン将軍へ一太刀入れた。しかし、まったく刃が立たなかった。恐らく今の彼はミケラの王をしていた時よりも硬い」

 

「そうか。どうやって倒す」

 

「体の体表面に薄い切り傷ならつけれた。そこから血も流れていた。血が流れているなら出血が通る。ならば、時間がかかるだろうが。どんな奴だろうと倒せる。今まで通り、腐敗や出血の力で押し切る」

 

「了解だ」

 

 後ろにいる褪せ人から声がかかり、合流する。褪せ人に先ほど体感したことを共有する。どうやってかの将軍を倒すのかという話す。今まで通り、腐敗や出血などで攻めることにした。

 

 褪せ人と二人、攻勢にでる。ラダーン将軍が炎を纏った双大剣を構える。

 

「っ」

 

 褪せ人はそのラダーンの構えに見覚えがあった。いや、既視感が。

 自身の伴侶と出会った地で保管されていた宝剣に刻まれていた戦技。その片方である炎の構えに。

 

 大剣が振るわれ、その剣先から炎が生じる。炎が前方の褪せ人たちを飲み込む。勢いは止まらない。ラダーンは振り下ろしから、切り上げ、回転斬りへと繋げる。剣の軌道に追従するように巻き起こった。

 

「乗り切った」

 

 炎の渦を突きって。褪せ人と俺。続いて、アンスバッハとティエリエがラダーンへと迫まった。衣服に火を燃え移らせながら。

 4人、それぞれの得物でラダーンを攻撃する。出血が溜まったことで、ラダーンが出血する。

 

(今ので大分削れただろう。もう一息だ)

 

 そう考えたとき、ラダーンが叫んだ。重力が働く。褪せ人とティエリエは回避できたが、俺とアンスバッハは回避に失敗し。ラダーンの正面に引き寄せられた。

 独特な構えからの止まらない連撃が俺たちへと向かい。それを、バックステップ、ローリング、大剣での防御で捌く。

 

 ラダーンの攻撃を捌ききり、また攻撃のチャンスが訪れた。再び攻撃が始まる。毒、冷気、出血が起こり、ラダーンを大きく削る。

 

「褪せ人殿、あと一息だ」

 

「そのようだな」

 

 ラダーンは足をふらつかせ、その呼吸も荒かった。もう一息。そう確信した。

 

「ああああああああ!」

 

 ラダーンが咆哮をあげ、空へと飛びあがった。

 

「星砕き」

 

 褪せ人が呟く。

 

 空へ飛びあがったラダーンが自身の愛馬に乗って、空を駆け抜け。敵へと狙いをつけ。

 

「褪せ人殿、もっと早く」

 

 星を砕く隕石となって、褪せ人たちへと衝突した。衝突によって、生まれた凄まじい熱量と光が塔を覆い隠す。塔全体が激しく揺れ動いた。

 

「ラダーン。これで決着を」

 

 粉塵の中。星砕きによって、更地となった大地を駆け抜け。俺たちは爆発の中心地にただずむラダーンへと最後の一撃を加える。

 

「みごとだ」

 

 ラダーンは一言。そうとだけ、褪せ人たちを賛辞し、消えていった。

 

「勝った?」

 

「ええ、勝ちましたな」

 

「ああ、勝てた」

 

「はい。勝てました。信じられないことに」

 

 王が消え。戦いが決着した。褪せ人たち側の勝利で。塔の屋上。神の門から差し込んだ光に照らされ。俺たちは互いの奮闘を称え、勝利を喜びあった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

満月の月を背景に。親子が会話を交わしていた。狭間の地を離れ、星の律を生きることになる彼との、今生の別れをしのんで。

 

「彼らは強かったでしょう」

 

「ええ、本当に。それに強い意思と信念も持っていた。彼らもまた、道を拓いていく。そんな彼らと戦えて私は満足でした。では、そろそろ」

 

「旅立つのですね」

 

「ええ、母様。私にはまだやることがありますので。それでは母様、お元気で」

 

「いってらっしゃい、ラダーン。愛しき我が子。あなたたちは貴方たちの道を行きなさい。ラニにもよろしく伝えておいて」

 

「はい。必ず」

 

満月の女王と別れ。赤獅子は一人、暗月へと歩みを進めていく。

 

「さて、我が妹は壮健だろうか。それに伝えなければならないこともある」

 

彼の家族の一員である妹と再会するために。そして、暗月の女王に。褪せ人との戦いで。空へと飛びあがった先で。最後に見た凶兆について伝えるため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




*赤獅子、ラダーン

ミケラの魅了が解けたことでをその意識を完全に取り戻し。モーグの力を使いこなすことで、ラダーンは全盛期の肉体で蘇った。角人としての霊呼びの才能も生かされ、遠い狭間の地にいる愛馬の霊を呼び寄せた。その呼びかけに愛馬は応えた。友とまた、戦場を駆けるため。

戦いでは大剣に重力魔法をエンチャントして戦う。剣を振るうたびに微弱な重力が働き褪せ人達を剣に引き寄せる。

追憶交換

戦技:重力剣

エンチャント戦技。魔力に比重が傾いた岩石剣。R1、R2攻撃をする際、重力が働き敵を引き寄せる。

ラダーンの大剣(赤獅子)

構え後、R1なら重力をエンチャントさせた約束の王、R2なら炎の構えの連撃を放つ。




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