影の地の純血騎士   作:王朝万歳

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決闘

 ドンっと音を立てて。褪せ人達の攻撃を受けて、体力が尽きた古龍フォルサクスは地面に倒れ伏した。

 

「一先ず、奴が騎乗する龍は倒せたな」

 

「となると、次は」

 

「ああ……」

 

 褪せ人が前を見据えれば、次に戦うことになる件の人物は、倒れた龍の頭に手をかざす後ろ姿が見えた。

 

「ここまで、感謝する。我が友、フォルサクスよ」

 

 男は龍の頭を優しく撫で、友に対して、労いの言葉をかけた後。ゴッドウィンが手に双斧を握り、褪せ人たちへと振り返る。

 

「俺とお前は、最後まで一緒だ。力を借りるぞ」

 

「っ!」

 

 赤雷が降り。右手の斧に赤い雷のエンチャントがされた。それに合わせるように、左手の斧には、金色の雷エンチャントが施される。

 

「褪せ人殿、来るぞ!」

 

 次の瞬間、ゴッドウィンがこちらへと雷速で迫ってくる。

 

「くぅ」

 

「ぬううう」

 

 ゴッドウィンが、一塊となっていた俺たちに狙いを定め、両手に斧を携えて回転突っ込んだ。その攻撃を喰らい、一同が吹き飛ばされた。

 

「な」

 

 吹き飛ばされた状態から、すぐに立ち上がるが。ゴッドウィンは、もう目の前に迫っていた。右手の斧による2連撃が、俺を襲う。

 

 その攻撃を、咄嗟に大剣で受け止めて防御する。

 

「ヌオオオオオオーーー!」

 

「オラァァァァァァーーー!」

 

 褪せ人やアレキサンダーたちが、駆けつけ、タックルや大剣の一撃を繰り出し、怯ませる。

 

 メリナやアンスバッハたちも駆けつけ、追撃を加える。

 

 怯みから、立ち直った。ゴッドウィンが、斧を振るって、攻撃していた仲間たちを吹き飛ばす。

 

「ヌ。次はこちらか」

 

 そして、今度は俺からアレキサンダーへと狙いを、ずらし。アレキサンダーを執拗に狙い始めた。

 

 ──ー回復役から、潰すつもりか。

 

「アレキサンダー、ゴッドウィンはお前を先に潰そうと考えているらしい。できるだけ、耐えてくれ」

 

「了解だ。褪せ人よ」

 

 褪せ人も狙いに気づいたらしく。アレキサンダーにできるだけ耐えるように、指示を出す。

 それに了承したのか。アレキサンダーも、防御に専念する。

 

「こちらにも、関心を向けてもらおうか」

 

 祈祷、坩堝の角を唱え、ゴッドウィンにタックルする。他の面々も、関心を向けるため、攻撃する。

 

 それを鬱陶しく思った。ゴッドウィンが、再び俺たちに狙いを変え、あわよくば、誰か一人倒せないかと願いながら、追い払おうとする。その繰り返しが、何度か続く。

 

「すまない。褪せ人殿たち、もう回復できそうにない!」

 

「アタシも、もう無理ね」

 

 途中から、回復の補助に回っていたメリナの分も合わせて、二人の精神力が切れた。

 

 回復のため、注意をそらさしていた二人から、そう連絡が伝わる。

 

「そうか。二人とも、よくやってくれた。おかげで、奴を大分削れた」

 

 それを聞いて、褪せ人が二人に返事を返す。

 

 褪せ人の言うように、集中的に回復役を狙い、潰したゴッドウィンだったが。その代償に、攻撃を多く受け、深い傷を背負ってた。

 

 ──ーここからが勝負だ。

 

 だが、こちら側も、攻撃を何度か受けており。聖杯瓶も残りわずか。この残り少ない聖杯瓶で、ケリをつけなければいけない。

 

 fpがきれたアレキサンダーとメリナの二人も、それぞれ拳と短剣を構え、攻めの姿勢をとる。

 

 ──ーこれが、最後の攻防になる。

 

 そう確信をもって、全員でゴッドウィンへと、襲い掛かる。

 

 攻める褪せ人たち一同。それを待ち受けるゴッドウィンは、右手の持っていた斧を正面へと投げ捨てる。

 

「オッと」

 

「くっ」

 

「ヌン」

 

 正面にいる調香師、純血騎士、壺人への狙い定めた、斧の投擲が外れる。だが、狙いはそれだけではない。

 

「オオオ。俺の拳を喰らえ!」

 

 空いた右腕で、赤雷で武器を造り。炎を滾らせた鉄拳を繰り出してくる壺人を、迎え撃つ。

 

 リーチの優れる槍が、拳より先に届く。

 

「ぐうう。押しとおらせてもらおうううううう」

 

 だが、壺人はそれを受けてもなお、止まることはなく一撃を入れる。その一撃で、少し後方へとゴッドウィンが下がる。

 

「お前たち、後は任せたぞ」

 

「ああ、任せろ」

 

 最後の一撃をいれ、力尽きたアレキサンダー。彼から、後を託され。俺たちは、戦いを続ける。

 

「どうやら、限界のようですな」

 

「ごめんなさい。後はお願い」

 

 ゴッドウィンが飛び上がり、空中で巨大な雷の槍を造り上げ、投擲する。その槍が、メリナとアンスバッハに当たり、二人が倒れる。

 

 ──ー後、少し。

 

 あと少し。必死に4人で武器を振るう。

 

 ゴッドウィンも、焦っているのか。大技を繰り出そうとしてくる。

 

 ゴッドウィンの手に再び、赤雷が生じる。赤雷はゴッドウィンの手によって、形を変え、槍から斧槍へと変わる

 

 ──ー大技が来る。

 

 そう確信し、俺たちは回避を試みる。

 

 始めは、斧槍による横なぎ、続いて縦の振り下ろしと振り上げが来た。

 

 俺たちは、それをジャンプやローリングを駆使し、回避していく。斧槍が降られるたびに、それを負うように赤い雷の追撃が降る。周りの時間がゆっくりと流れていく。

 

 連撃も終わるのだろう。回転斬りをした後、ゴッドウィンは頭上へと武器を掲げる。

 

 ──ーこの一撃をかわせさえすれば、隙が生まれる。その隙に仕留める。

 

 大技を乗り越え。出来るであろう隙を生かして、仕留める。それが、この場にいる4人の共通認識だった。

 

「あれ、振ってこない」

 

 だが、その認識は間違っていた。最後の振り下ろしに備え、身構えていた一同。常ならば正しい判断のそれが裏目に出た。ディレイ攻撃でも、なんでもなく、ゴッドウィンは大技のため、エネルギー貯めていた。

 

 予想される攻撃範囲は、この闘技場全体。ゴッドウィンは、褪せ人たち全員をこの一撃で倒すつもりだった。

 

「急げ、奴が貯め終わるまでに仕留めるぞ!」

 

「もう遅い」

 

 褪せ人たちと、大剣を手にゴッドウィンの下へと走る。ゴッドウィンの手には、おびただしい雷を発生させる斧槍が握られ、それが振るわれる。

 

 ──ー間に合わない。あと少し。

 

 ──ー後ほんの少し足りない。後、一歩ぶん踏み込む時間さえがあれば。

 

 振り下ろさる斧槍。それが、地面に到達するのを防ぐのに、一手ほど遅かったことが予想された。

 

「戦士たちよ。よい戦いだった」

 

 ──ーこのまま、終わるのか。

 

「させません」

 

「な!?」

 

「「「……!?」」」

 

 暗殺者の一突きが、敗北の運命を変えた。ゴッドウィンの背後から、影に隠れていたティエリエが現れ。永眠が付与された針で、ゴッドウィンを刺して一時的に眠らせた。

 

「ナイスだ! ティエリエ殿」

 

 流石はデミゴッドといったところで、ゴッドウィンはすぐに目を覚ましたが。もう遅い。俺たちは、剣をもう振りかぶっていた。

 

「まさか、敗れるとはな。だが、何度でも……」

 

 大剣の3連撃が決まり、ゴッドウィンは倒れた。それと同時に、闘技場を囲っていた嵐も霧散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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