「今日は双子の牢番か」
「まあ、どちらもおとなしいし、普段の地下警備より楽だからいいじゃねえか!!」
「それはそうだが……」
どうも、狭間の角人こと俺だ。今日は地下の警備任務ではなく、王家の忌み双子の牢番に同僚の忌み子と向かっているところだ。
俺たち看守は月に一度、地下警備以外にも二人一組をつくり忌み双子の牢番を担当することになっている。牢番する対象も交代するので双子の片方と会うと、もう一度再開するとなると二ヶ月後となる。
「前回は俺がモーグの担当だったから、今回はお前がモーグを担当する日だな」
「おう、そっちもモーゴットの警備頑張れよ」
俺は同僚と別れ、モーグの牢屋のある建物へと入っていった。
建物を歩くこと数分、俺の目の前に牢屋がみえてきた。薄汚れた地下牢の中、顔に坩堝の諸相である角が発現した忌み子モーグがいた。俺はモーグの姿を確認するといつも通り、牢屋の前に歩いていき監視を始めた。監視していると視線を感じた。視線の先へ、顔を向けるとモーグが俺の顔を観察するように牢の中から見ていた。何なのだろうか。普段、俺たち看守と多少会話することはあれど、ここまで関心を向けられることはないのに。モーグと視線をあわせているとモーグが話しかけてきた。
「そこの看守殿、暇しているのだが、暇つぶしに話をしないか」
「いいぞ。聞きたいことでもあるのか」
「では、失礼して。看守殿と話すのは二ヶ月ぶりだな。我が兄モーゴットは元気にしているだろうか」
「お前の兄か。もちろん、元気にしているぞ」
「それはよかった。兄は真面目すぎる気質でな」
「ああ、確かにな。お前が心配するのも頷ける」
「これでも、幼い頃にはよく助けられた。兄には感謝しているのだ。例えば、私がまだ、この地下に投獄されて……」
「へえ、それは感謝するわけだ。俺も幼い頃、地下に捨てられてな。ここで拾われて訓練生になったんだ。そこでよくしてくれた人がいたんだよ」
「ほう。貴方にも、よき出会いがあったんですね」
思いのほか会話は弾み、場の雰囲気も和んでいった。だが、和んでいた空気もモーグの次の質問で霧散した。
「ところで、質問なのだが。看守殿はこの地下から出たいのですかな。地図を探しておられる様子ですし」
「なぜ、そのことを」
なぜか、モーグは俺の地下脱出計画を知っていた。まさか、あの場にいたというのか。
「それで、どうなのですか。地下出たいのか、出たくないのか」
「出たいと思っている」
「それは素晴らしい。実は看守殿にもある計画に協力してもらいたいと考えています。協力願えますかな」
「ああ、いいぞ。俺に出来ることならな」
「もちろん。無理強いはしませんとも」
看守たちに俺が協力しているのを言いふらされたら困る。今は協力するしかないだろう。
「ええ。それにこの計画は貴方の助けにもなりえる。きっと私の計画を聞けば、貴方も協力したくなるはず」
うん? どういうことだ?
「私は地下から出て、王朝を開闢することを目指している。そのために、貴方にも地下からの脱出を協力してほしい。そして我が王朝の臣下に……」
そこから、モーグは真実の母を主神とするモーグウィン王朝の開闢を目指していること。そこに狭間の地のはぐれ者を集め、安息の地をつくること。今は少ないが、自分の思想に共感したアンスバッハという一人の青年の臣下がおり、彼に血を介した移動で会いにいき王都の情報を受け取っていることなどを話していった。最後には、臣下に勧誘された。
「なるほど……」
俺は心の底から安心した。モーグはこのころから既に王朝開闢を目指していたのか。
「是非とも協力させてくれ。もし地下からの脱出が叶うのならば、その時は貴方に忠誠を誓おう。何をすればいい」
「では、貴方は私が動きやすくなるように看守の当番を増やしてください。それと並行して、私を縛っている拘束具の捜索もお願いします」
「わかった。看守の当番はすぐに増やせるだろうが、拘束具の捜索は時間がかかるかもしれん」
「ええ。構いませんよ」
「「それではまた今度」」
脱出計画も決まった時、当番の時刻も終わりに差し掛かっていた。俺は次の当番の看守に牢番を交代すると早速行動を開始した。手始めにモーグの当番の牢番の日を増やし、それと並行してモーグの拘束具の捜索も進めていった。
「最近はどうなんだ。こちらはまだ、拘束具は見つけれていないが」
「私のところは王都の地図は書き終えたところだ。今は王都近郊の地図を書いて貰っている」
モーグの牢番の担当となった日には彼と話すことでおたがいの近況報告した。
各々が目的のために行動し、月日は流れていった。
アンスバッハたち王朝勢との出会い話いる?
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いる。そういうのもっとちょうだい
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(いら)ないです