そうさく部!〜天才と出逢ったので、ゲームを作ろうと思う〜   作:藍間道逸

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第三話「先輩とのランチタイム」

◆

 

「先輩のハンバーグ美味しそうですね」

 

 ただの感想のつもりだったのだが、先輩からはジト目を向けられる。

 

「……あげないわよ?」

 

 元より、貰うつもりなどない。

 しかし、そう言われてしまうと欲しくなってくるのが不思議だ。

 

「卵焼きと交換でどうですか?」

「いやよ。」

 

 ふむ。

 他の具材が……というより主に野菜は早々に姿を消した中で未だ残り続けているハンバーグ。

 どうやら先輩は好きなものは後に残す派らしい。

 

「…………」

「…………」

 

「……あ、あげないからね」

「先輩、ハンバーグが好きなんですか?」

 

「べ、別にそういうわけじゃ」

「それなら卵焼きと交換してくれてもいいじゃないですか」

 

「具材の問題じゃないわよ!私は、ただあなたにあげるのがいやなだけよ」

「そんなに僕のこと嫌いですか?」

「自分の胸に手を当ててよく考えてみることね」

 

 言われた通り、胸に手を当てよく考える。

 僕が先輩にしたことなんて、毎日先輩のクラスに特攻したり、帰りを待ち伏せしたり、こうして昼休みを狙って部活勧誘をしてるくらいだ。

(あれ?もしかして僕ってギリギリ違法?)

 

 なんだか、我に帰ると自分がヤバいことしてるように思えてきて、考えるのをやめる。

 そうこうしてるうちに、先輩の弁当は残り半分程度になっていた。

 

「先輩?」

「なによ。あげないったらあげないわよ」

 

 普通に聞きたいことがあっただけなのだが、どうやら僕は先輩の中でハイエナか何かに見えてるらしい。

 それなら、と。

 どうせそう思われるなら、僕はあらゆる手を使ってハンバーグを取ることにした。

 

「先輩、好きなものは後にとっとくタイプなんですね」

「……」

「あ、飲み込んでからで全然いいですよ」

 

 2本あるウインナーのうちの1本を口に放り込んだ先輩。

 僕も卵焼きを口に放り込む。

 

「ん。えぇまぁ、そうね。だって最後に口が美味しい方がいいじゃない」

「なるほろ、でもぼかははきにはべるほうなんれすよね〜」

 

「……飲み込んでから喋りなさいよ。何言ってるかわからないわ」

「ん。これは失礼。でも僕は先に好きなの食べる方ですね」

 

「でも、そしたら最後苦しいじゃない」

「まぁそこは、最初楽しんだ分は頑張ろうかな、で乗りきります」

 

 なるほどね、と先輩はお茶を喉に流す。

 

「ところでなんですが、」

「あげないわ」

「…………」

「露骨に話題を逸らしすぎなのよ」

 

 ふん、としかしどこか得意げに鼻を鳴らす先輩。

 流石にそう簡単には行かないらしい、が僕にはまだ切り札がある。

 

「……今なら、うずらの卵フライもあげます」

「え」

 

 その時、先輩は初めて僕の弁当を見る。

 

「僕おかずとご飯一緒に食べたい派なんですけど、間違えてご飯もう一口分しかないんですよ。だからこんなにもいらないので、卵焼きとうずらの卵フライのセットとハンバーグを交換でどうですか?」

 

 刹那、先輩は弁当を交互に見て固まる。

 先輩もわかってるはず、この交換はメリットしかない。

 故に、恐らく先輩の中で起こってるのは、ただの自分とのプライドの勝負だ。

 故にここで、すかさず最後の一手を打つ。

 

「先輩の方はまだご飯残ってるみたいですし、よければどうですか?」

 

 そうして、弁当の端に卵焼きとうずらの卵フライをオールイン。

 これで、ベットだ。

 そしてーー

 

「ま、まぁそういうことなら。……はい」

「ありがとうございます。あ、それとこのミニ春巻きもあげますよ」

「え、いいの?その、お腹の方は」

「えぇ、僕はもう十分なので」

 

 ーー賭けに勝った。

 

 平静を装ってはいるものの、内心では小さな相上達が雄叫びでガッツポーズをあげている。

 

「あ、おいしい」

 

 僕が、感無量で口にハンバーグを放り込む傍ら、横からそんな声が聞こえた。

 お腹がいっぱいなんてのは嘘だ、というかそんなこと最初から一言も言ってない。

 くだらないことに労力を使ったせいで無茶苦茶お腹空きまくりである。

 しかし、それと引き換えに得たリターンは先輩のプライド、そしてハンバーグ。

(よかった)

 最後に、自分の手作り料理を褒めてもらえたと言う事実。

 この褒賞達に比べたら、安すぎるほど掛け金である。

 

「あ、うま」

 

 そして、口に入れたハンバーグは今まで食べたハンバーグで1番美味しかった。

 

◆




 どうも藍間です。こんばんは。
 今回は先輩とのランチ回でした。そろそろ、本題に入っていこうかなぁ〜と思います。
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