導かれし魔剣戦士   作:神鳥ガルーダ

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世界一の武器屋を目指す者

 ボンモールの北方に位置する町、レイクナバ。

 ここに、トルネコと言う名の商人が住んでいた。

 今は雇われの立場だが、いずれは自分の店を持ち、世界一の武器屋になる。

 それが、彼の夢だった。

 商人としての立場では雇われだが、恐らくレイクナバ一恵まれた人間とも言える。

 肥満体のおじさんという風体にも関わらず、気立てが良く町一番の美人と評判のネネという女性を妻とし、可愛い息子もいる。

 町の人は、何故トルネコとネネが結婚したのか、今でも不思議に思っていた。

 

 

 

 

 

 トルネコが働く武器屋は、品揃えが『檜の棒』、『棍棒』、『銅の剣』という、それほど大きな武器屋と言う訳ではないが、時折、掘り出し物を店頭に出す事があった。

 大抵は『クロスボウ』や『くさり鎌』の様な、銅の剣よりもちょっと強い程度の武器だが、今回はなんと『破邪の剣』という鋼の剣以上の武器が出てきた。

 入手経路は、旅の神官がソレッタ地方にあるミントスいう名の町で万が一の為の予備として購入したが、彼には装備する事が出来ず、売りきたらしい。

 余談だが、その男はエンドールのカジノで『隼の剣』を景品交換してしばらく装備していたとの事だ。

 『隼の剣』はとても軽量で、達人が持てば神速に達すると言われる程の武器だが、その男の技量ではそこまではにはならず、その軽さ故に手に入れてから半年と経たずに駄目にしてしまったらしい。

 そこで予備として買った『破邪の剣』を装備しようとしたら、装備出来なかったという間抜け振りを発揮していた。

 その男は神職者としては有能だが、残念ながら戦士としては二流どころか三流レベルだったらしい。

 ついには同行者から、回復呪文や補助呪文に専念してくれと通告され、無用と化した武器を売りに来たとの事だ。

 トルネコは、夢を追う為にいずれ旅に出ようと思い、旅に必要な装備を買うため、いままでコツコツと貯金していた。

 金は貯まっていたので、『破邪の剣』を店頭には出さず自らが購入した。

 防具なども町の防具屋では最も守備力の高い『青銅の鎧』を購入しており準備はほぼ整っていた。

 働きながら、レイクナバの北方にある洞窟に赴き、旅をしながら貯金するのに有用な『鉄の金庫』を手に入れ、明日にはボンモールに向けて出発しようと考えていた。

 そして、閉店時間30分前、一人の戦士が来店した。

 

 ★☆★

 

 レイクナバに到着したヒュンケルは、武器屋に直行した。

 既にあたりは薄暗くなっており、屋外にある道具屋は既に店じまいしている。

 早く行かなくては閉店してしまう。

 

トルネコ

「いらっしゃいませ、ここは武器屋で……」

 

 客として入ったヒュンケルに応対をした恰幅の良い商人……トルネコは目を見開いた

 彼は雇われの身とはいえ、武器屋としての鑑定眼は一流の域に達していた。

 その彼から見て、目の前の戦士は、とてもこの店の武器が釣り合う様なモノではなかった。

 この店の武器は、どちらかといえば駆け出しや実力の低い戦士の為であり、超一流の戦士に相応しいモノではないのだ。

 何より、トルネコは目の前の男に奇妙の感覚が芽生えていた。

 それはヒュンケルも同様だった。

 

ヒュンケル

(この感じ……そうだ確かライアン殿と出会った時に感じたあの感覚と同じ……これは一体…?)

 

トルネコ

「……失礼しました。どの様なご用件でしょうか?」

 

ヒュンケル

「ああ。売っている物を見せてくれないか?」

 

トルネコ

「……こちらです」

 

 トルネコは苦渋を噛み締めながら、武器リストを見せた。

 目の前の戦士……明らかに今までで出会った中で最高クラスの戦士にこの店の武器は似つかわしくない。

 出会うのが早過ぎたのか……夢を叶え、世界一の武器屋になった時に彼と出会いたかった。

 そうすれば、この最高の戦士に最高の武器を売ることが出来ただろうに……。

 

ヒュンケル

「これだけか?」

 

 リストを見たヒュンケルの顔に失望が浮かんでいた。

 どうやら今回は掘り出し物はなかった様だ。

 そんなヒュンケルの顔を見て、トルネコの脳裏にある考えが閃いた。

 

トルネコ

「お客さん。この剣などはどうでしょうか?」

 

 トルネコが差し出したのは、先日彼が蓄えを出して購入した掘り出し物『破邪の剣』であった。

 

ヒュンケル

「この剣は…!?」

 

トルネコ

「これは売り物ではございませんが、『破邪の剣』という武器でございます。『鋼の剣』より攻撃力が高く、さらには『閃熱呪文(ギラ)』の力が込められております。一人旅の戦士や商人などに親しまれている一品です」

 

ヒュンケル

「…ほぅ…!」

 

 『鋼の剣』を上回る切れ味を更に『閃熱呪文』が使えるのは便利だろう。

 前の世界には存在しない剣なので、鋼の剣よりも少し攻撃力が上程度の武器にヒュンケルの興味を引いた。

 何より、魔法が篭っている剣は、普通の剣よりも耐久力が上なので、使い勝手も鋼の剣よりもいいだろう。

 

ヒュンケル

「しかし、これは売り物ではないのだろう」

 

トルネコ

「確かにこれは私個人が使う為に購入した剣ですが、私が使うよりもお客さんに使って頂く方が良いでしょう……その代わりと言っては何ですが……私の旅に同行して頂けないでしょうか?」

 

 トルネコは自身の夢を語った。

 今は人に使われる身だが、何れは自分の店を持ち世界一の武器屋になるのが夢だと…そして、明日からその夢を追う為に旅に出る予定なのだと…。

 トルネコもある程度は武器を扱う事が出来るが、やはり一介の商人に過ぎない。

 レイクナバ周辺の怪物(モンスター)程度ならば何とか戦えるが、数が多ければやはりプロフェッショナルの様にはいかない。

 

トルネコ

「貴方はエンドールの傭兵ギルドの一員でしょう」

 

 ヒュンケルは仮とはいえ、一応ギルドの一員なのでギルドの紋章を胸に着けていた。

 

トルネコ

「この破邪の剣は、中古とはいえまだ一度も使われていない新品同様です。どうでしょう?この剣を担保に私に雇われませんか?」

 

ヒュンケル

「さて…どうしようか」

 

 店を持つ為に旅に出るというが、店などそう簡単に持てるモノでもない。

 余程の幸運に恵まれれば兎も角、常識的に早くて数年、遅ければ10年以上は掛かるだろう。

 『破邪の剣』は確かにエンドール、ボンモール、サントハイム地方では、最高の武器だろう……ヒュンケルの技量に合うわけではないが…。

 それにヒュンケルの雇い賃は、5日間3000G…破邪の剣の値段は3500G。

 単純計算で6日未満程度でしかない。

 いくら何でも僅か6日で店など持てるはずが無い。

 しかし、何故か断るのを躊躇ってしまう。

 先ほどこの男から感じたアリーナやライアンと出会った時の様な惹かれる様な感覚。

 それが気になるのだ。

 

ヒュンケル

「俺の料金は5日間3000Gだ、その破邪の剣の値段の5/7に相当するぞ」

 

トルネコ

「…エッ!?」

 

 目の前の戦士が凄腕とは思っていたが、まさかそこまで高額とは流石のトルネコも思いもしなかった。

 

ヒュンケル

「だが、おれは傭兵ギルドの客員(ゲスト)だ。なので6日以降からは出世払いにしてやろう」

 

トルネコ

「と、いうと…?」

 

ヒュンケル

「つまり、最初の5日間と6日目の夕方までは正式契約として雇われよう。それ以降は出世払い、お前が店を持てた時に纏めて払ってもらう」

 

トルネコ

「と、いう事は店を持つまで同行していただけると…?」

 

ヒュンケル

「そうは言っていない。俺は傭兵が本業ではなく、ある目的を持っている。その目的に関する情報が手に入れば其方を優先するが、それまではお前に雇われてやろう」

 

 元の世界に戻れる手段、もしくはこの世界にいるかも知れないダイに関する情報が手に入れば、そちらを優先するが、それまではトルネコに付き合うと言っているのだ。

 トルネコが店を持つまでに元の世界に戻れるのならば、タダ働きなってしまうが、傭兵は生活費を稼ぐ為の手段に過ぎないので惜しくはない。

 

ヒュンケル

「無論、雇われている間の旅費に関してはお前に持ってもらうが…それでいいか?」

 

トルネコ

「願ってもありません。よろしくお願いします。ではもう直ぐ閉店なので、店の前で待っていて貰えますか?」

 

 こうして、ヒュンケルとトルネコの奇妙な旅が始まろうとしていた。

 

 




自分でも思います。
強引な展開だと…。

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