導かれし魔剣戦士   作:神鳥ガルーダ

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第一章 お転婆姫の冒険
攫われた王女?


ヒュンケル

「……そろそろ昼時か…」

 

 先の暴れ牛鳥との戦いから数時間後…それ以降も様々な怪物モンスターに襲われるも、苦も無く一蹴していた。

 

ヒュンケル

「どこかで昼飯でも調達……ムッ…あれは町か?」

 

 都合の良い事に近くに町を発見した。

 

ヒュンケル

「今日は、あの町で一泊するか…、ここがどの辺りなのか調べる必要もあるからな…」

 

 情報がない為、未だ異世界に居る事に気付いていないヒュンケルは、食事と情報収集の為に、その町に足を向けた。

 

 

 

 

 

 町に入ると、まるで祭りの様に騒いでいた。

 

ヒュンケル

「失礼ですが…この騒ぎは何ですか?」

 

村人A

「ああ。実はこのフレノールにサントハイムのお姫様がお泊りになられているんですよ」

 

村人B

「お姫様は、二人の御供を連れて今、宿屋の二階に御滞在中ですよ」

 

村人C

「宿屋の主人は大層、お姫様をもてなしておるそうじゃ…ワシも蓄えを差し出そうかのぅ」

 

 成る程、この騒ぎはそういう理由か…と、ヒュンケルは思った。

 確かに、地方の町に一国の姫君が滞在となると騒ぎになって当然だ。

 

ヒュンケル

(それにしても…サントハイムの姫君?サントハイムという国など聞いたこともないが…?)

 

 今、現在ある諸国といえば、カール、テラン、ベンガーナ、リンガイア、ロモス、パプニカの六カ国であり、オーザム、アルキードは滅びている。

 新たな国が興ったなどという話も聞いていない。

 訝しむがとにかく宿を取るためにも宿屋に向かう事にした。

 

 ★☆★

 

老人

「泊まれないというのはどういうことですかな?」

 

宿屋の主人

「ですから、本日はサントハイムのお姫様の貸切となっておりますので、一般の方はお断りさせて頂いております」

 

神官

「私達はともかく、ひめさ……連れの女性だけでも泊めさせていただきたいのですが…」

 

宿屋の主人

「…駄目です。御滞在の姫様に何か粗相があっては困りますので……」

 

 ヒュンケルが宿屋に入ると、宿屋の主人と旅人が口論していた。

 旅人は三人連れで、押しの弱そうな見習い神官と見るからに頑固そうな老人、最後の一人は美しい少女だが、おしとやかというよりは勇ましい感じがしている。よく言えば明朗快活、悪く言えばお転婆…そんな感じだ。

 話を聞いていると、どうやらサントハイムとやらの姫君が宿を貸切にしている為、宿泊が出来ない様だ。

 

少女

「…困ったわね…貴方もこちらで宿を取るつもりだったの?」

 

 後ろで口論を眺めていた少女が、傍にいたヒュンケルに話しかけてきた。

 

ヒュンケル

「…まあな。宿泊出来ないのは構わんが、食事くらいはさせてもらいたいが…」

 

少女

「あの様子じゃ…無理なんじゃないかしら…」

 

ヒュンケル

「…その様だな…」

 

 などと話していると神官と老人が話を切り上げ、少女の下に戻ってきた。

 

老人

「……まったく話になりませんな…」

 

神官

「……申し訳ありません。この宿では泊まる事は出来そうにありませんので、この町の教会で宿を借りようと思います」

 

 ここの教会はかなり小さいが、夜露をしのぐ程度なら何とかなる。

 

少女

「それしかないわね…」

 

老人

「ところで、その者は?」

 

 老人は、訝しむ様にヒュンケルに視線を向けた。

 

少女

「この人も、宿を取りに来たみたいよ」

 

神官

「…お互い残念ですね…」

 

ヒュンケル

「…まあ、一国の姫君が滞在するとなれば止むを得まい……何処かで食料を調達してくるしかないな…」

 

 ヒュンケルが、三人に会釈して出口に向かおうとしたその時…二階から大きな音が響いた。

 

少女

「何事かしら!?」

 

???

「イヤ――ッ離して!誰か、助けて―――!!』

 

 女性の甲高い悲鳴が聞こえた瞬間、ヒュンケルと少女は二階に駆け出して行った。

 

 ★☆★

 

 二階に駆け付けたヒュンケルと少女が見たのは、謎の三人組に拘束される姫君と、倒れ伏す二人の従者。

 

従者A

「…や…やられた」

 

従者B

「姫が人攫いに……誰か…メ…姫をお救い下され…」

 

 少女が拘束された姫を助けようと駆け出すと、三人組が待ったを掛けた。

 

覆面男

「止まれ!それ以上近付くと、姫の命はないぞ……しかし、まさかこんな宿屋にお姫様が来ているとはな!では、先生方行きましょう」

 

 覆面の男は左右に居る黒ずくめの男たちを促すと裏の非常階段から姫を連れて逃走した。

 

少女

「待ちなさい!」

 

 賊たちを追う為、ヒュンケルと少女も非常階段を駆け下りると、黒ずくめの男たちが待ち構えていた。

 

覆面男

「先生方…よろしくお願いしやす!ほら、姫はこっちに来るんだ!」

 

「イヤ…離して…許して…」

 

ヒュンケル

「逃がすか!」

 

黒ずくめA

「キィーヒッヒッヒッ…残念だがここから先は通さぬ…火炎呪文(メラミ)!」

 

 覆面の男を追おうとしたヒュンケルに黒ずくめの男が『火炎呪文(メラミ)』を撃って来た。

 それに対しヒュンケルは、鋼の剣を抜刀し『火炎呪文(メラミ)』を斬った。

 

黒ずくめA

「なんと!魔法を剣で斬るとは…!?人間風情が中々やるな…キィーヒッヒッヒッ!」

 

ヒュンケル

「チッ…その不愉快な笑いを止めろ!」

 

 黒ずくめの男の笑いは、ヒュンケルが心底軽蔑するとある男の笑い方そっくりであった。

 

 

 

 

 少女の方にも黒ずくめの男が立ちはだかっていた。

 ヒュンケルの方の黒ずくめの男は魔法使い型だが、この男はどうなら戦士型の様である。

 

少女

「どきなさい!」

 

 少女は黒ずくめの男に飛び蹴りを放つが、男の手の平から黒い霧の様な物に覆われるとそこから糸の様な物が現れ、少女を拘束した。

 

黒ずくめの男B

「闘魔傀儡掌!」

 

少女

「な…何これ…」

 

黒ずくめの男B

「クククッ…これで貴様は俺の操り人形だ…」

 

 黒ずくめの男が指を動かす度に、少女の間接が捻り上げられる。

 

少女

「…クゥ…!」

 

 激痛が走るが、少女は呻き声を発するだけ悲鳴を上げず耐えていた。

 

黒ずくめの男B

「フッ…なかなか根性がある様だが…いつまで耐えられるかな…?」

 

 

 

 

 

ヒュンケル

「何っ…あれは…闘魔傀儡掌!?」

 

黒ずくめの男A

「ほう……暗黒闘気を知っておるとは…お主、只者ではないのぅ…キィーヒッヒッヒ!」

 

 闘気とは、攻撃的生命エネルギーの事であり、剣や呪文に並ぶ闘法の一つである。

 正義の戦士が使う『光の闘気』と対極に位置するのが心を悪に染めた者や邪悪なる生命体が用いる『暗黒闘気』である。

 『闘魔傀儡掌』とは、その『暗黒闘気』を糸の様に使い、相手を体を操り人形の様に操る技である。

 

黒ずくめの男A

「キィーヒッヒッヒッ…あの小娘…五体満足で済むかな…」

 

 ヒュンケルは、少女を救おうと黒ずくめの男Bに直接攻撃しようとするが、それを黒ずくめの男Aが立ちはだかり遮った。

 

黒ずくめの男A

「おっと…そうはいかんぞ……閃熱呪文(ベギラマ)!」

 

 発せられた『閃熱呪文(ベギラマ)』を躱すと鋼の剣を鞘に納刀する。

 黒ずくめの男は諦めたのかと訝しむと、ヒュンケルはその場で再び抜刀する。

 

ヒュンケル

「アバン流刀殺法、空裂斬!」

 

 抜刀された鋼の剣の刀身から『光の闘気』の斬撃が放たれ、少女を拘束していた暗黒闘気の糸が切断された。

 

黒ずくめの男B

「…馬鹿な……俺の暗黒闘気を!?な…何者なのだ貴様は!」

 

 余程自信があったのか、自分の技をあっさりと破られた黒ずくめの男は、呆然とヒュンケルに視線を向けた。

 

黒ずくめの男A

「…どうやら旗色が悪いようじゃのぅ…あの人間(おとこ)も無事に姫を連れ去れた事じゃし…我らも退くとするかの…」

 

 黒ずくめの男達の姿がフッと消えた。

 

ヒュンケル

「…合流呪文(リリルーラ)か…どうやらあの黒ずくめ達は、普通の人間では無い様だな…」

 

 流石のヒュンケルも『瞬間移動呪文(ルーラ)』系の呪文を使われれば追い着くことは不可能なので、『闘魔傀儡掌』を受け倒れた少女を抱き、宿屋に戻る事にした。




 にじファンで連載していた方の作品では、サントハイムからアリーナ達と出会わせましたが、こちらではフレノールからにしました。
あちらではフレノールに行く前で中断しましたしね……。

 では、これからも私の駄文にお付き合い下さい。
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