転生したらカラスだった件   作:めろんムーン

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ヴェルドラ日記1-2

 

 

 

 我はリムルを信じ、その『胃袋』に収納されておる。

 こやつの能力(スキル)もカラスにまけず劣らず、大概ふざけたものであって、生まれながらにユニークスキル『捕食者』を所持しておったそうだ。

 

 リムルのやつもサリアと同様に異世界からやってきた"異世界人"、それも転生してこちらの世界に来たのだから"異世界転生者"とでも呼ぶべき存在であったらしい。我が魔素から生まれたこやつらは世界でも類を見ない特異性を持っておったようだ。

 

 リムルのやつもサリアのやつも、何を願ったのかは知らぬがとんでもない当たり能力を獲得しておるわ。

 

 

 

 という訳で、我は今、リムルの眼を通して外の様子を観察しておる。我は偉大なる"竜種"であるからして、我のユニークスキル『究明者』を駆使してリムルとの共通の"名"に干渉し、その得た情報を転送させて──

 

 

 

────とまあ、色々やって、ようやく成功したのだよ。

 

 尤も、なぜかサリアとの"名"には干渉できなかったが……まぁ、仕方あるまい。この『胃袋』という異空間はリムルのもの。リムルには干渉できても、完全に外の世界にいるサリアには干渉できなかったのであろう。

 

 なに?そんな事をしていないで『無限牢獄』を破ればいいのでは、だと?

 

 

 

 アホめ!!

 

 

 

 300年という年月で、我は暇というものが如何に恐ろしいものか実感したのだ。『無限牢獄』を破るということはいつでもできるが、暇を潰すのは今でなくてはならないのだよ。

 

 さて、現在リムルとサリアは洞窟の出口へ向けて移動しておるようだ。

 

(そういえば、『人化』を習得したって言ってたよな?使わないのか?)

 

 リムルがそんな事をサリアに言いおった。確かに、サリアは望んでいた人化を得たようだしな。この黒く美しいカラスが、どのように人の姿を取るのかは我も興味があったのだ、

 

(あ、確かに。早速使ってみるよ)

 

 お、サリアも乗り気になったようだ。早速黒いモヤに覆われ、姿を変えておる。

 

 

 

 現れたのは、子供と見間違えるほど幼く、絶世の美女の素質を十二分に感じさせるかというほどの美しい少女であった。

 

 整った長さの美しいスラリとした手足を持ち、可愛い顔立ちをしている。肌は白く、綺麗な色をしていた。

 背中からは吸い込まれそうなほど黒く、しかし赤みがかった一対の翼が生えている。羽は一枚一枚細やかで、しかし強靭さを感じさせる光沢をしており、綺麗に整っていた。

 人懐っこい印象を受ける、しかし確かな意志を感じさせる瞳をしており、その色は真紅。

 髪は黒く、しかし艶やかで、首元ほどまで伸びて整っていた。

 髪の間、耳の辺りから小さな羽が生えていて、それが耳の代わりのようであり、こちらも美しい黒い羽を持っていた。

 程よく膨らんだ小さな胸部に、子ども特有の柔らかい肌を備えていた。

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 ……………………

 

 ハッ!?

 

 ば、バカな!この我が見惚れるだと!?

 

 

 

 成長すればあの勇者をも超えるであろう素質を持つ美しい肉体を前に、我はつい見惚れてしまったのだ。まさかサリアがこれほどの素質を持つなど、我は考えもしておらんかったのだよ。

 

 我が暴風の証たる翠が入っておらぬのが気に入らぬが……いずれ進化すれば系譜を受け継ぎその素養も出てくるであろう。むしろ、繋がりを濃くするための何かを行なった方がより強く翠が現れるかもしれぬ……

 

 さて、どうすれば良いか……ぬっ、サリアが元のカラスの姿に戻ってしまった……常に人の姿でも良いものを……

 

 とりあえず、我とサリアの繋がりを深めるための策を考えねばならぬ。共通の"名"だけでは足りぬ、そう我は考え思案し始めたのであった。

 

 

 

 

 

 ……む?気がつけば、リムルとサリアは洞窟の外へ出ておった。

 

 ……そして、なぜか矮小なゴブリンなぞに囲まれ戸惑っておるな……

 我なら既に皆殺しにしておるが、リムルとサリアは心優しいようだ。ほんの少しの交渉の後、ゴブリン共の要望に応えて妖気(オーラ)を綺麗に抑えおった。まぁサリアはスキルの性質ゆえか、元々妖気(オーラ)を綺麗に抑え込んでおったが……

 

 そしてなぜかリムルとサリアはゴブリン共に忠誠を誓われ、助けることになったようだ。

 まぁ当然であるな。我が眷属であり盟友であるリムルとサリアが、ゴブリン程度に舐められようはずもないのだよ。

 下等な種族に慕われても邪魔なゆえに全て蹴散らしておった我とは違い、リムルとサリアは此奴らを庇護することにしたようである。

 我は圧倒的強者ゆえに孤高であったが、リムルとサリアのように相手に合わせ力を抑えておれば、このような生き方もあったのやも知れぬな……

 

 

 

 それにしても、サリアとリムルはいつの間にやらスキルの詳細を共有しておったようだ。

 

 ……2人とも、自立型のスキルを保持しておるのだと言う。そんなバカな!!

 

 そのようなものを我は聞いたことがないぞ!?と言いたいところだが……持っておると言うものが2体も我が眷属にいるのだ。信じてやらぬわけにもいくまい……

 

 リムルは『大賢者』、サリアは『嚮導者』というのが自立して発動しておるようだ。なかなか訳がわからぬが、持ってないものにはわからぬ何かがあるという訳であろう……こればかりは我でもわからぬ。『究明者』は自立型ではないゆえにな……

 

 

 

 村にやってきたリムルとサリアは、早速怪我人を治療し村を守る柵を作り上げた。リムルによると、漫画や小説とやらで得た知識をもとに作ったようだ。他にも映画やアニメなんていう言葉もあり、我の知的好奇心をバシバシと刺激してきおる。

 

 これは調査が必要であるな。我は『無限牢獄』の解除に向けているユニークスキル『究明者』のリソースを少し割いて、リムルの深層記憶野へと接続を行った。

 抵抗にあったが、我はかなり必死に頑張ったのだぞ?

 

 その甲斐あってか、深層記憶野の一部情報が解禁されたのである。その副産物としてリムルとの情報共有がより円滑化されたのだが、それはまあ我にとっては好都合。

 リムルがよく言う"計算通り"というヤツなのだ。

 

 そしてやってきたのは情報の宝庫。素晴らしい叡智の数々だったのだ。我は夢中になって読み漁ろうと思ったのだが……状況が動こうとしていたのでな、流石に分別のある我は解読を後にし、そちらを見ることにしたのであった。

 

 

 

 はてさて、夜になり牙狼族とやらが攻めてきおった。狼どもはリムルの糸に絡め取られ、ゴブリン共に矢を射られておる。

 

 何匹か抜けてきたようだが、サリアがユニークスキル『執行者』の『断頭処刑』にて首を断ち、処理しておった。

 

 ……サリアのスキルは、サリアからの干渉に対して抵抗(レジスト)が成功しなければ容赦なく首を断ち切られるというものらしい。説明された時もなかなかに凶悪なスキルであると感じたが、こう見せられれば恐ろしいと我でも感じるものだ。

 

 なんせ、ユニークスキルレベルの力を持っていなければサリアからの干渉を抵抗(レジスト)することなど不可能。この世界の大半の生物はサリアの前には無力という訳なのだ。

 ユニークスキルを持っていても、抵抗(レジスト)を失敗すれば一巻の終わり。サリアも強力なスキルを得たものよ。

 

 

 

さて、狼どもとの決着はもう間も無くつくであろう。我は、漫画とやらの大いなる英知を手に入れるため、そちらに意識を移したのであった。

 

 

 

 

 

 グ、グォォォォ!?

 

 我が絵画と文字で表現された奥深い物語を読み解いていた時、それは起きた。急激な脱力感が我を襲ったのだ。

 

 慌てて意識をリムルに向ければ、何やらゴブリンと狼を1列に並べて名を授けておった。

 

 

 

 アホかーーーーーーーーッ!!??

 

 

 

 この名付けという行為、サリアにも教えた通り、一種の契約のようなものなのだ。親子よりも強い絆で両者を繋ぐのである。力を分け与える関係上、かなりの信頼関係がないと行わないのだ。

 

 それを此奴はポンポンと、しかも我の魔素まで使って名付けておったのだ。慌てて流出を防ごうとしたものの、情報共有が円滑化していたことでそれが困難になっておった。

 ここまで計算して我に許可を出しておったとは……末恐ろしいスライムよ。

 結局、リムルの名付けは低位活動状態(スリープモード)になるまで止まらなかったのであった。

 

 

 

 

 

 リムルが目覚めた時、名付けた魔物たちは進化しておった。まぁ、当然のことよな。

 

 そして、先の戦いで柵にするために家を壊したのだが……当然のことながら、ゴブリンが進化しホブゴブリンとなっても、建築技術など持ち合わせていない。家は粗末な荒屋であったわ。

 

 これをなんとかするために、リムルはドワーフ王国とやらにいくことになったようだ。

 

 む?サリアがリムルとの関係をはっきりさせたいだと?同格ではないのか?

 

 どうやらサリアは前世の年齢差やこの村での関係性から、自分がリムルと同格ではなくなるのを危惧したようであった。

 リムルというお人好しがそのようなことをするはずがない……と思ったが、リムルはここまでを見るになかなか狡猾で自分本位。忠告、もとい同格であるのをはっきりさせておくのはいいことであろうな。

 

 そんなこんなでリムルはドワーフ王国とやらに出発した。サリアがついてこないのは何故だと怒りたくもなったが、庇護する村を守るためならば仕方あるまい。我は存分に人類の街とやらを観察することにしたのだった。

 

 

 




リアルが忙しいので、投稿を不定期にさせていただきます。
リアルが落ち着いたら、また定期投稿を開始する予定です。

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