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第11羽、鬼達
僕はスキルやらなんやらの確認を終え、散歩をしていた。
流石にリムルがシズさんから受け継いだ『変質者』がないとスキルの廃統合なんかは完全下位互換とか以外は無理だし、純粋に確認をしただけだけどね。
『多重結界』とか欲しいけど……今の僕は、結界系のスキルを持っていない。
それに、リンクさせる耐性も『物理攻撃耐性』と『炎熱攻撃無効』しか持っていないからあまり役に立たない。
もっと色々な耐性が欲しいなぁ……
まぁ、僕の現状の防御手段は『漆羽』と『身体装甲』の重ねがけになるかな?
この『漆羽』というスキル、自分の羽を硬さが『魔鋼』並にあるのにしなやかさを保っている羽に変質させるとかいうアホなスキルだ。
しかも変質した後は任意で元に戻す以外は発動しっぱなし。
しかも、身体の一部だからか『身体装甲』を重ねがけできる。試しにやってみたら、ものすごく硬い装甲が出来上がった。
今の僕じゃどの攻撃でも突破できなさそうな硬さだ。
これで暫くは大体の敵に通用すると思う。僕の場合、攻撃の方がとっても強いから防御が薄いんだと思うけどね。
さて、散歩していたら警備隊が見えて来た。せっかくだし、合流しようかな。
「や、リグル!」
「おお、サリア様!お散歩ですか」
「うん。だけど暇だし、せっかくだからリグルたちについていこうかなって思ってね」
出会ったのはリグル率いる警備隊。ランガも同行してるってことは、リムルは封印の洞窟にすでに向かっているらしい。
「や、ランガも!」
「サリア様!必ず特上の獲物を仕留めてみせましょう!」
「お、おう」
なんかランガのテンションも高い。尻尾ぶんぶんだ。
そんなこんなで、僕はお散歩ついでに彼らについていくことにしたのだった。
まあ、別の思惑もあるんだけどね?
特に何事もなく進んでいく警備隊。僕は邪魔をしないよう、最後尾だ。
今の僕の服装はTシャツにズボンのような服装。上着はないよ?翼に引っかかるから。
Tシャツも翼を通すために背中側を大きく開けてあるから、前世のネットで流行ったことのある「童貞を殺すセーター」みたいなことになってる。色気は全然ないけどね。
そして、背中には1本の木刀を背負ってる。魔素による強化と魔法剣で十分な性能だから、まぁ問題ないはず。
「ん?」
「「「「「!!」」」」」
強力な
「サリア様、お下がりください。何かやって来ます」
「いや、この中だと僕が1番強いし下がらないよ?」
「ですが……」
リグルが僕を下がらせようと声をかけてくるが、僕はそれを止める。
「僕がいながらみんなに怪我させたら、リムルにどやされるし……僕にも戦わせてね」
「……はい」
わかってくれたみたいだ。
「「「…………」」」
ドサドサドサドサッ
「うわ、みんなどうしたっすか!?」
リグル、ランガ、そして今驚いて声を上げたゴブタを除く牙狼族とボブゴブリン全員が唐突に倒れた。
《導。睡眠系統の術式による干渉を感知。抵抗に成功しました》
そういや、原作でもみんなが戦ったわけじゃなくて大半は眠ってたっけ。
てことは……
「サリア様!」
「ん、敵が来るね。みんな眠らされただけみたいだけど……」
ガサガサと音を立て、森の中から6人の敵が現れた。
赤髪、青髪、白髪、紫髪、黒髪、朱髪の6人6様の髪色をした、ツノの生えた存在たち。
「あれは……オーガ!?」
少し森の開けたところで、僕たちとオーガ達は相対することとなった。
「……」
「……」
互いに無言。少し気まずいが……すでに攻撃は受けている。
僕はスッと背負った木刀を持ち、下段に楽に構えた。
「ランガ」
「はっ」
「黒髪と青髪を頼むね。リグルとゴブタは紫髪」
「……わかりました」
「わかったっす!」
僕はそう指示し、赤髪のオーガを見つめる。
「お前がリーダーか?」
「うん、ボクがリーダーだね。三人は部下が相手するから、赤と白とピンク……君たちはボクが相手するね」
「……舐めるな」
赤髪がそう言葉を発した瞬間、白髪が掻き消える……が。
カコォン!
「むっ!?」
「ふふ、不意打ちは卑怯じゃない?」
僕が後ろに振るった木刀が、白髪のオーガの放った剣閃を弾く。『嚮導者』の演算と『最適行動』を重ね合わせた防御だ。
後ろにリソースを集中させてたからギリギリ間に合ったけど、前から切られてたら間に合わなかったかも。
『リムル、不明な敵と接触』
僕は思念伝達でリムルに状況を伝える。
『何!?サリア、今どこだ!?』
『リグル達の警備隊。詳しく話す余裕はないから、早く来てね』
『ちょっ──』
思念伝達を一方的に切る、白髪オーガは初撃を弾いた僕を警戒して、距離を取っている様だ。
「まさか爺の剣が弾かれるとは思わなかったぞ、魔人」
「ん、魔人?」
赤髪のオーガが僕に話しかけてくる。
「魔素量を隠している様だが、その背中の黒い翼は言い逃れはできんぞ。仮面はつけていないが、貴様もあの魔人どもの仲間だろう!」
「いや、ボク別にそんなんじゃないんだけど……」
でもこの時の赤髪のオーガ……赤鬼は、話聞かないし……さっさと打ちのめすかなぁ?
リムルが来るまでの時間稼ぎだから、そろそろ来るはずだけど。
「儂も耄碌したものよ……まさか、剣を弾かれるなどのぅ……」
「いや、素晴らしい腕だったよお爺さん?ちょっと遅れてたら死んでたかもね」
「……ならば、その首貰い受けるぞ」
瞬時に白髪のオーガの姿がまた掻き消える。僕は翼に『身体装甲』を使い、背中側を翼で覆い防御を固める。
ズッ……
(下!)
紙一重で切り上げを弾き、後退する。
「危ないな、もう──「爺に気を取られ隙ができたな」──あれっ?」
『魔力感知』や『嚮導者』の演算、『最適行動』をすべて白髪オーガの対策に向けていたせいで、赤鬼のほうに気が付かなかった。
「はぁっ!」
ガキィィィン!!
背中から振り下ろされた太刀はしかし、僕の翼に弾かれる。
「なにっ!?」
「そりゃ防御固めないわけにもいかないよ!」
一旦距離を取った僕は、またオーガ達と相対した。
「若。相手は儂の剣に反応する技量と、若の剣を弾くほどの防御を持っております。攻撃はまだされていないのでわかりませんが……おそらく、この分であれば非常に強力でしょう」
うん、強力だよ?君たち殺すわけにはいかないから、使えないけど……
それに、防御も翼と最適行動頼りだから、二人一気に正面から来られたら普通にやばい。
「……ちっ、化け物め」
赤鬼がそう悪態をつくと同時に……
ドォン!
「ぎゃー!?」
ゴロゴロゴロと、ゴブタが吹っ飛んできた。
「ぐっ!」
続いてリグルも吹き飛んでくる。
「リグル、ゴブタ……ダメだった?」
「申し訳ありません、サリア様……!」
謝られるが、しょうがないと思う。
確かホブゴブリンの進化先にオーガがあった気がするから、そもそも格が違うんだ。
「いいよ。それに、そろそろ……」
「なんだ、お前ら……?」
「ほらきた」
リムルが、到着した。
「サリア、これは?」
「オーガ達が襲って来た。
倒れてるのは眠ってるだけ。
訳ありそうだから生かしたいけどボクだと無理」
「おお、3行ピッタリ……オーガ?あれが?」
「あれが」
サクッと説明を終わらせる。
「仮面──!」
赤髪のオーガが、リムルを見て瞠目する。
ガキガン!ギンガン!!
上から聞こえてくるのは、ランガと黒髪、青髪のオーガの戦闘音。
一対二でも負けてはいなかったが、リムルを見てランガもこちらに戻って来た。
「主。我がいながら……」
「いや、大丈夫だランガ。よく頑張ってくれたな」
そんなやりとりをこちらがしている間に、オーガ達もまた話していた。
「……若。あの仮面の者は我らを相手取れる翼の魔人とおそらく同格でしょう。勝ち目は薄いですぞ。ここは儂が──「黙れ爺」──……」
赤髪のオーガが白髪のオーガを一喝し、黙らせる。
「生き恥をさらすくらいなら、命果てようとも一矢報いてくれるわ」
「ううん……なんだか、ものすごく敵視されてないか?」
「なんでかなぁ……まぁ、任せたよリムル。あの白髪のオーガはボクが受け持つから」
「ん、なんでだ?」
至極当然の問い。原作では朱髪のオーガ以外一人で相手してたもんね。
「あの白髪のオーガ、めちゃくちゃ強いよ。ボクが全力で集中しないと捌けないくらい」
「……じゃあ、白髪のオーガはサリアに任せる。ランガ、お前は姫さん任せたぞ?」
「はっ!」
そこからは、だいたい原作通りだった。赤髪のオーガとリムルが仮面やら魔人やらの問答をして、紫髪と黒髪と青髪を即座に制圧。白髪を僕が受け持ってるから負担が軽くなってるけど、さすがに赤髪オーガはリーダーなだけあって強く、リムルの拘束を何度も掻い潜っていた。
カコカコカンッ!カンキンカンカン!!
そんな状況の中、僕は年老いた白髪のオーガ……剣鬼と、幾手も打ち合っていた。いま、僕はかなりギリギリの綱渡りで戦いが成立している。
僕が剣鬼と打ち合えている要因は、ひとえに剣鬼側の老いによる身体能力の低下によるものだ。これのおかげで攻撃の瞬間だけ剣鬼と剣鬼の剣閃が見える様になっている、見てから攻撃を弾いている。
おそらく名付け後だったら手も足も出ずにやられてただろうね。
技量が大きく開いているから、僕は全リソースを剣鬼の剣戟に割くことでなんとかギリギリ対応している。
また、背中側は翼があるため攻撃されても問題ない。実際一度攻撃を喰らったが、弾くことができた。
つまり、
・老いによる身体能力デバフ
・正面に限定した戦い
・全リソースを割いて攻撃対応
でやっと攻撃に対応できているってこと。
さらに、僕が技量が高いわけではなく対応できているだけ、ということはすでに剣鬼にはバレていて、攻撃が前より苛烈になっている。
既に何度か防御を崩されかけている……さすが転スラ界屈指のイレギュラーだ。肉体の衰えや技の鈍りによってまだなんとかなっているが、本当に僕が打ち合えているのは奇跡だと思う。
そうして打ち合い続けること数十秒。僕にとってこの打ち合いは数時間の出来事にも思えたが、実際は1分ほどしか経っていない。それぐらい、濃密な時間だったってこと。
ゴゥ、と濃密な魔素があたりに満ち、熱を持った風が吹き荒れる。
「おお」
「……!?」
俺と剣鬼がそれの発生した方向を見れば、そこにはリムルと赤鬼がおり。
リムルが手を掲げ爆炎を生み出していた。
もしハクロウが老いてなければオーガのままでも首を落とされます
ハクロウ好き(おじいちゃんっ子)