お待たせして申し訳ない……
作者の忙しさが落ち着いてきたので、投稿を早めていきたいところです……
宙に浮かぶ燃え盛る炎。
リムルのエクストラスキル、『黒炎』が凄まじい魔素を伴いながら、この場を圧していた。
「あれは……あの炎は、周囲の魔素を利用した妖術ではありませぬ!」
桃髪の鬼が叫ぶ。
その顔に浮かぶのは焦りと驚愕。
「あの炎を形作っているのは純粋にあのものの力のみ……!炎の大きさがそのままあの者の力──!」
黒炎は術式など使わない、完全に自分の魔素を扱って生み出すもの。
リムルの馬鹿げた魔素量に比べたら今の消費量なんてほんの少しだろうけど、それでもこの場の空気を塗り替えるには十分なようだ。
「あれは……お主ら、力を隠しておったか」
目の前の剣鬼がちらりとこちらを見る。
「うーん、そうといえばそうだし違うと言えば違うんだけど。別に君たちを殺すつもりもなかったってだけで……どうしようもないならそうするしかなくないかな?」
こちらも威圧する目的で、すこし言い方を尖らせて剣鬼に言葉を向ける。
「お待ち下さい!」
そこに、桃髪の声が響き渡った。
「この方は敵ではないかもしれません、お兄様!」
「そこをどけ!」
赤鬼と桃鬼が言い争いを始めた。
剣鬼はこちらから手を出す気がないとわかってはいるらしく、構えてはいるが敵意は薄れている。
「この方は里を襲った者と同じく仮面をつけた魔人、ですがあの二人のボブゴブリンや狼、そして翼の生えた魔人に慕われているようでした!」
翼の生えた魔人って僕のこと?
もうすこし捻りが欲しいけど……まぁ、特徴的な翼があるから仕方ないか……
「オーク共を率いていた魔人の有り様とはあまりに違うように思えます!」
その言葉に、ムッとする赤鬼。
戦意も薄れているのが見て取れる……どちらかというと困惑している感じかな。
「ねえ、お爺ちゃん。もうそろそろいいんじゃない?」
「むぅ……」
向こうが話し合いをしていて、戦う空気ではなくなったのを感じたのだろう。
素直に剣鬼は刀を下ろした。
場を圧倒していた黒炎はリムルによって消され、リムルがスライムであることの証明も同時にやっているようだ……概ね原作通りといった感じかな?
「にしてもお爺ちゃん強かったなぁ……」
「……全く、儂の剣を全て捌いておいて何を言う。確かに技は荒削りだが、儂は命を削ってもお主を斬ることはできんだろう」
少しむすりとした様子。
ははん、さては不満だな……?
大丈夫大丈夫、もう少しすれば僕のこと斬れるくらい元気になると思うよ!
「おーい、サリア!帰るぞ!」
「はーい!」
リムルがオーガたちを連れ、街の方向へと帰っていく。
無事に和解できたみたいだ。
「やれやれ……」
「まぁまぁ、そんなに疲れた顔しないで……」
剣鬼を諌めつつ、僕たちもまた街へと帰るのだった。
ワイワイと賑やかな夜の街。
広場では焼肉が行われ、皆浮かれ気分だね。
僕はリムルの近くでお肉を頬張りつつ、赤鬼の話を聞いていた。
なんでも話によると、
武装したオーク数千に、300人いたオーガたちは蹂躙されたのだという。
原作通り、何にも変わってはいない。
だって僕は何にも介入していないのだから。
それでも僕は、知っていた悲劇を見過ごした。それが少し辛い。
「で、お前らこれからどうすんの?」
「……どう、とは?」
リムルの尋ねに、意図がわからないと言うふうに返す赤鬼。
「今後の方針だよ。再起を図るにせよ他の地に移り住むにせよ、仲間の命運はお前の采配に掛かっているんだろ?」
「……知れたこと。力を蓄え、再度挑むまで」
赤鬼はそう答えるが……その顔は、涼しいように見えて苦々しさを隠しきれていなかった。
「当てはあるの?」
僕がそう聞けば、言葉に詰まる。
「……ノープランか」
「……ノープランだね」
「ぐぅ……」
僕とリムルが口を揃えて言うと、赤鬼は口をつぐんだ。
ふむ、と一呼吸おいたリムルは、少し考える素振りを見せてから口を開いた。
「……なら、提案なんだが──」
翌日。
僕はリムルのものとして割り振られている建物で、リムルと相対している赤鬼を見ていた。
「オーガの一族は戦闘種族だ。人に仕え、戦場を駆けることに抵抗はない。主が強者なら、なおのこと喜んで仕えよう」
赤鬼が片膝を突き、リムルに礼を取る。
「昨夜の申し出、承りました。我らオーガ一同、貴方様の配下に加わらせていただきます」
声から伝わってくる、悔しさ。
自らの不甲斐無さを飲み込んだ上での、助力を請うもの。
族長としての決断を赤鬼は行ったんだね。
「わかった。オーガ達をここへ呼べ。全員に俺の配下となった
気がつけばリムルはスライムから人になり、そう赤鬼に告げた。
「いいの、リムル?」
「なにがだ?」
赤鬼が他の鬼達を呼びに出ている間、僕はリムルと会話していた。
「『嚮導者』に聞いたら、名付けって言うのは結構危険な行為らしいけど」
「危険ってあれだろ?魔素を使いすぎて俺が眠るやつ。一度に大量に名付けなければ大丈夫だろ」
「うーん、そう簡単なものなのかなぁ」
そうこうしているうちに、鬼達が入ってくる。
「我ら一同、揃いました」
「ああ、よし!じゃあ名付けるぞ!実は最初に見た時から閃いてたんだ!」
一列に並ぶ鬼達。
赤鬼、青鬼、桃鬼、白鬼、黒鬼、紫鬼。
六人六様の、リムルの配下たち。
リムルはまず、黒男と白鬼に向けて名前を授けた。
「お前の名は
「はっ、ありがたく頂戴するだ!」
「承った……」
次に、紫鬼と桃鬼に向けて名を与える。
「お前の名は
「ははっ!」
「はい、ありがたく承ります!」
そして最後に向けられたのは、青鬼と、そして族長の赤鬼への名。
「お前は
「……はっ!」
「その名、頂戴しよう!」
全員の名が、本人達にも受け入れられたその時──
「……あれっ」
どろり、と人型だったリムルの体が溶け、液状となり地面に叩きつけられ──る前に、僕が事前に用意していたお皿に乗せる。
「よっと」
「「「「「「!?!?!?」」」」」」
困惑するオーガたち。
当然だ、名付けをした直後に主が溶けたなんて洒落にならない。
「な、大丈夫ですかリムル様!!?!」
ベニマルが声を上げるが応答はない。
「ストップストップ、慌てないで〜」
「さ、サリア様……」
リムルを逃さないよう丁寧に身体を掬い上げてお皿に乗せると、僕は椅子に座り直した。
「リムルは魔素を使い果たして寝ただけだから安心して!」
「は、はぁ……」
僕の説明に、とりあえず落ち着く鬼達。
「それよりも……力が漲っている感じがしない?」
僕の言葉にハッとなり、皆が内なる魔素を確かめる。
「本当だ……」
「リムルはボクが見ておくから、皆は安心して進化して」
「……わかりました」
こうして、ベニマルたちオーガは鬼人へと進化した。
見知った顔がようやく仲間になって、僕もすごく嬉しいよ……!
間が空いてしまったからか拙さが目立つ……!
リハビリします……!
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