転生したらカラスだった件   作:めろんムーン

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第13羽、剣の道も一歩から

 

 

 

 

 リムルが低位活動状態(スリープモード)になってから数日。

 我々がお世話いたします!と立候補したシュナとシオンにリムルを預けて、僕は村のハズレの空き地にいた。

 

「よろしくね、()()()()

 

「ほっほっほ……よろしいのですかな?」

 

 目の前には、剣鬼──リムルから『白老(ハクロウ)』の名を与えられた存在がいる。

 

 

 

「稽古をつけて欲しい、とのことですが……サリア様にそのようなものは必要ないのでは?」

 

「うん。ボクの剣は型も技も何もなし、ただ武器を振っているだけのものだからね」

 

 最適行動によってハクロウの剣技に対応できていたとはいえ、それも過去の話。

 オーガから鬼人へと進化した今のハクロウは身体能力が飛躍的に向上していて、剣技は冴え渡っている。

 剣の持ち方と最適な振り方ぐらいしかわからない僕では、もはやハクロウに勝つことは敵わないと思う。

 

「実際、さっきハクロウの剣は見えなかったし」

 

「ほっほ……」

 

 実はハクロウが隠れて稽古していたの、見ちゃったんだよね。

 たぶん鬼人になって強くなった身体に技を慣らすための稽古だったんだろうけど、慣らしの時点で剣が見えない時点でもう僕は学ぶ側だって悟ったよね。

 

 

「では……ふむ。先ずは刀の持ち方から──」

 

 

 

 

 

 その後、僕はいろいろなことを学んだ。

 まず、剣の持ち方や振り方。最適行動によって補正されていたとはいえ、僕の剣の持ち方はどちらかというと棒の持ち方だったらしい。

 ハクロウの刀を貸してもらい、教わりながら正しい持ち方を学んだ。

 

 また、振り方も棒のそれ。棍棒を持つような振りだったらしい……まぁ、木刀……木剣?を使っていたから、切ることは考えていなかったせいだろうけど。

 正しい振りをしなければ、真剣の刀というのは斬れ味が悪い。また折れやすくもなる……最も大切な部分なのだと。

 

「サリア様は上達が早いですな。数度の矯正でもう太刀筋が美しい」

 

「買い被りだよ、ハクロウ……ボクはスキルの補助がないとやってられないからね」

 

「そのスキルの補助で儂の刀を弾いたのです、スキルとて実力の内ですぞ」

 

「ううん、そうなんだけど……何かズルをしているような気がしてね」

 

「純粋な技術を学ぶ点では確かにスキルは邪道かもしれませぬ。しかし実戦でそんなことは言ってはおれませぬぞ?」

 

「……それもそうだね」

 

 なんかこんなやりとり原作でもリムルとハクロウがしていたような気がする……

 とまあ色々ありつつ、最低限の基礎を学ぶことができたのだった。

 

「さて……ありがとう、ハクロウ」

 

「おや、もう良いのですかな?楽しそうにしておられたと思ったのですが……」

 

 教えるのも楽しかったらしい。

 僕が稽古を切り上げたらハクロウは少し寂しそうにしていた。

 

「ボクももっと続けたいんだけど、そろそろリムルが起きるからね」

 

「なるほど、リムル様が……では、ご挨拶に向かわねばなりませんな」

 

「そういうこと〜」

 

 そんなことを言いつつ、刀を返した僕はハクロウと一緒にリムルの家に行くのだった。

 

 

 

 

 

「リムル、起きた?」

 

「おお、サリア!」

 

 リムルのいる家に入れば、そこには他の鬼人が勢揃い。

 ベニマル、ソウエイ、シュナ、シオン、そしてクロベエだ。

 

「それに、サリアと斬り結んでた爺さん……ハクロウだな」

 

「ほっほっ、サリア様は見事な腕でございます……先ほども稽古をいたしておりまして」

 

「ほう!」

 

 リムルが嬉しそうにこっちを見る。

 なんだろう、配下と僕の仲が良くて嬉しいってやつかな?

 基本的にリムルは仲良しが好きだからね!

 

「にしても……お前ら着替えた方がいいな。服のサイズが合ってない」

 

「確かに……ガルム達にとりあえず用意してもらおうか」

 

 

 

 

 

 とりあえず全員に着替えてもらった後、僕はクロベエのところにやってきていた。

 

「やあ、クロベエ」

 

「おお、サリア様!」

 

 ここにきた理由はもちろん武具のこと。

 リムルは“刀鍛冶”を請け負ったクロベエに魔鋼塊を渡してみんなの武器を依頼した。

 そして自分の武器の注文をする訳で、僕の番になったって訳。

 

 ベニマルの紅蓮やシオンの剛力丸武器のように、僕も固有の武器欲しいよね!

 

「どんなのも任せて欲しいだ!」

 

「うん、それじゃあ……これを」

 

「これは……」

 

 僕が渡したのは、羽……自分の『漆羽』。

 

「こ、これ……羽……?でも、金属みたいだ……」

 

「それは漆羽……ボクのスキルによるものだね。まぁボクの羽だよ」

 

「サリア様の……これを使って武器を作るってことだ?強靭で、しなやかで、使うのには全く問題はないんだけど……」

 

 理解が早くて助かるね。

 さすが鍛治師、使えそうな物に対する目聞きが優秀だ。

 

「うん。魔素をたくさん含んでるから、ボクの使う武器に使えばよく馴染むと思うんだ」

 

「なるほど……問題ないだ!オラに任せて欲しいだよ!」

 

「うん、お願いね!!」

 

 さすがクロベエ、頼りになるね!

 あとは武器の諸々の要求を擦り合わせて、僕は工房を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豚頭帝(オークロード)?うわ、あぶなっ!」

 

 

ズババババッ!

 

 

「ぎゃーーっ!!」

「死ぬー!死んじゃうっスーー!!」

「うわーーっ!」

 

「あははははっ!」

 

 

 

 町外れの未整備の空き地にて、斬撃が飛び交っていた。

 

「うおっ、今のやばいな!」

 

「大丈夫ですか、リムル様!ハクロウの稽古は初めてだとキツイですよ!サリア様も!」

 

「大丈夫!楽しいよ〜!」

 

 ゴブリンたちと共にその斬撃に揉まれている中に、リムルとベニマル……そして僕がいた。

 

「そんでそのオークロードってやつはなんだ?」

 

 リムルが斬撃の前にベニマルに聞いていた質問をもう一度聞き返す。

 

「まだ簡単にいうと……化け物です」

 

「あはは、わかりやすいね!」

 

「おい、簡単すぎるだろ……てことはいま俺たちの目の前にいるハクロウはオークロードってことか?」

 

「アレも似たようなもんですね」

 

「ハクロウってオークロードだったんだね」

 

 そんなことを言いつつ僕たちは今ハクロウから稽古を受けていた……ハクロウの稽古を以前から受けていたベニマル、『嚮導者』と『最適行動』のある僕と比べると、『大賢者』の補正のみで戦っているリムルが一番大変そうだよね。

 

「ホッホッ、言ってくれますな。稽古がしたいと望まれたのはリムル様とサリア様ですのに」

 

「俺ちょっと休憩」

「僕も〜」

 

「仕方ありませんのぅ」

 

 剣術を学ぶのは時間がかかるからゆっくりね。時間はあるから。

 

「オークロードというのは数百年に一度生まれるというオークの特殊個体(ユニークモンスター)です。なんでも味方の恐怖の感情すらも喰らうため、異常に高い統率能力を持つんだとか」

 

「恐怖って食べれるのかな」

「さぁ……」

 

「里を襲ったオーク共は仲間の死にまるで怯むことがなかった。あるいは、と思いまして」

 

「なるほど……」

 

「まぁ可能性で……いや、非常に低い話です」

 

 残念ながらそれが正しいんだけど……僕が知ってるのもおかしいし、知らないふりをするしかないよねぇ……

 まぁリムルたちなら楽勝だから言う必要も特にないけど。

 

「他になにかないのか?里が襲われた理由の心当たり」

 

「……そうですね。関係あるかわかりませんが、襲撃の少し前にある魔人がやってきて『名をやろう』だとか言ってきたんです。俺を含め全員から突っぱねられて結局悪態つきながら帰って行きましたがね」

 

「名をやろうとか押し付けがましいよね」

 

「うっ」

 

 リムルが僕の言葉に怯む……そういやリムルは名付け大好きだからね。

 まぁ識別のために名前が欲しいのは僕もそうだけどさ。

 

「そ、そいつから恨みを買ってるかもしれないってことか」

 

「仕方ありませんよ、主に見合わなけりゃこっちだって御免だ。そいつの名前なんだったかな……たしあゲレ……ゲロ……」

 

「ゲルミュッドだ」

 

「そう、それだ」

 

 ベニマルの疑問を解いたのは、その場にいなかったソウエイ。

 気がつけば現れてるの、かっこいいよね……『影移動』かな、便利なんだけど僕は使いたくても使えない……というより万能な『多重結界』すら使えないんだけど。

 

「ソウエイか、どうした?」

 

「報告がございます。リザードマンの一行を目撃しました。湿地帯を拠点とする彼らがこんな所まで出向くのは異常ですので取り急ぎご報告をと」

 

「リザードマン?オークじゃなくて?」

 

「はい。何やら近くのゴブリン村で交渉に及んでいるようでした。ここにもいずれ来るかもしれません」

 

 リザードマン……来たね、登場人物が揃ってきた。

 

 

 

「リムル様、サリア様〜!」

 

「ん?」

「……シオンだね」

 

 やってきたのはシオン……待って、そういやこのイベントもあった……!

 完全に忘れてた……!!

 

「お昼ごはんの用意が整いました。今日は私も手伝ったんですよ!」

 

「おう、ありがとうなシオン……ベニマル、ソウエイ、お前らも行こう」

 

「や、俺は今日は遠慮します」

 

 まずい、僕も遠慮しなきゃ……というかソウエイはもういない!?

 

「あ、そう?じゃあ行くか、サリア」

 

「待ってリムル。ボクはハクロウの稽古をまだ受けたいからあとで行くよ……稽古が終わったらハクロウやベニマルたちと一緒に食べようかな」

 

「そうか?まぁわかった、じゃあまたあとでな」

 

 セーフ……セーーフ……危なかった……

 

 リムル、健闘を祈るよ

 

 

 




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