転生したらカラスだった件   作:めろんムーン

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書き忘れがあったので修正しました


第3羽、進化

 

 しばらくして。

 

(ん?なんかきたよヴェルドラ)

 

(ふむ、あれはスライムだな。ここは魔素濃度が濃いゆえ、来られる生物も限られておるのだが……お前のようなイレギュラーなのかもしれん)

 

(ふーん……じゃあ、僕みたいに接してみれば?なんか返ってくるかも)

 

(うむ)

 

 そんな話をしてると、遠くにいたスライムが地底湖に落ちた。

 

(あっ、落ちたね)

 

(ちょうど良い。知性があればあの湖から這い上がってくるであろうよ)

 

 そうヴェルドラが念話で答えた直後。

 

 バビュン!という音と共に、スライムがヴェルドラの体に叩きつけられた。

 

(…………)

 

(なかなかアグレッシブな子だね、この子)

 

(うむ)

 

 

 

 ちなみに僕は、ヴェルドラの近くに水晶のかけらで作った巣のようなものの上に座って一部始終を見ていた。ま、邪魔にならない定位置って感じ?

 

(聞こえるか、小さき者よ)

 

 スライム、あたふたし始めたな……

 

(おい、返事をするが良い)

(無茶言うなハゲ!!)

 

(はげっ……ほ、ほほぅ……貴様死にたいらしいな)

 

 ショックを受けるヴェルドラ。側から見ても苛立ちがわかるくらいに揺れてるなぁ……

 

(プッ!あははははははっ!ハゲ、ハゲだってよ!!確かに毛はないけどさぁ!!)

 

(わ、笑うな!!我は仕方ないであろう!!)

 

(す、すんません!スキル相手以外に心で思っただけで返事できるとは思わず……というか、2人いる?)

 

(うむ。そうだな、2人いるぞ?そして、これは念話という)

 

(自分、目も見えない状態でして……ええと、貴方がたは……)

 

(む、我が名は……)

 

(待ってよ、見えるようにしてから自己紹介した方がいいと僕は思うよ)

 

(む、確かにな。よし、小さき者よ。見えるように手助けしてやろう)

 

 そうしてヴェルドラは名無しのスライムに『魔力感知』を教えた。うまくいったらしく、スライムは嬉しそうに跳ねてるな

 

(じゃ、改めて僕たちも自己紹介しようか)

 

(はい!よろしくお願いしま──)

 

 振り返るスライム。

 

 そして、眼前には暴風竜。

 

(我が名はヴェルドラ!!この世に4体のみ存在する竜種が1体である!!クァーーーーハハハハ!!)

 

(!!!???)

 

(そして僕は、ヴェルドラの魔素溜まりから生まれた嵐鴉(テンペストクロウ)。よろしくね、スライムくん)

 

(りゅ、竜とカラス???)

 

 

 

 

 

 その後はなんだかんだと話し、原作のようにヴェルドラとリムルは仲を深めた。僕も混ぜてもらったけどね。

 

(へえ、カラスさんも転生者なんですね)

 

(うん。といっても、僕は転生してくる前は学生でね。そんなに畏まられても困るんだけど)

 

(ああ、うん。わかった、楽に話すよ)

 

(我にもそう話すがよい)

 

(えっ……あ、ああ、わかったよ)

 

 いま絶対偉そうな奴がタメ口聞けって言ってきたのにビビったよね……

 

(スライムさんの前世の名前は?)

 

(俺の前世の名前は、三上悟。カラスさんは?)

 

(柳田蒼って名前だったよ)

 

(えっと、女性?)

 

(あはは、昔から名前が中性的だし、喋り方も男っぽくないから間違われてたけど、前世は男だよ)

 

(あ、そうなのか……ごめん)

 

(いいよいいよ。聞いただけだと分かりづらいし、あんまり気にしてないからね)

 

(ふむ?お前、男だったのか?)

 

(……えっ?なにそれ、気がついてなかったの?)

 

(いやなに、お前の今世は雌のようだからな)

 

(…………はっ?????)

 

(まぁ傍目には分かりづらいな。解析鑑定でそう出ておるぞ)

 

 

 

(えっ)

 

 

 

 そういえば、カラスなどの鳥類は総排出腔から排泄物などを出すから、見た目じゃ確認がほぼできないんだ!

 

 『嚮導者』!僕の性別は!?

 

《導。主人の性別は雌であると解析されました》

 

 な、なんだと……我思う故に我ありの精神で今まで男としてやってきたのに……

 

 

 

(あ、あのー……大丈夫か……?)

(う、うむ……すまん、お前がそんなに衝撃を受けるとは……)

 

(い、いや気にしないで……性別の一つや二つ変わっても……僕の自意識は男、そう思えば男だから……)

 

(そ、そうであるか……?)

(あ、ああ……まぁ、多様性の時代だしな……問題ないんじゃないか?)

(そういうものなのか……)

 

 

 

(まあ、何はともあれ、異世界人はこの世界にいるんだな?ヴェルドラ)

 

(うむ、もしかしたら貴様らの同郷のものとも会えるかもしれんぞ?)

 

(そっかぁ……僕も少し会ってみたいなぁ)

 

 マサユキとかヒナタとかね!

 

《導。個体名『マサユキ』と個体名『ヒナタ』についての情報が不足しています)

 

 あ、気にしないで。というか、転スラはNGで未来に登場するキャラは認識できるのか……これは、未来を他人に話したりするのは世界の修正力に引っかかるけど、一般知識程度ならば大丈夫ってことでいいのかな?

 

(むぅ……行ってしまうのか、貴様ら)

 

(あ、寂しそう。ヴェルドラはここから動けないもんね)

 

(え、ヴェルドラ動けないの!?)

 

(うむ……300年前に勇者に封印されて以来このままだ)

 

(勇者とかいるんだ)

 

 その後、スライムに勇者について熱く語るヴェルドラ。僕はもう、スライムが来る前に全部聞いてたからスルー。

 

(よし、じゃあ俺と友達にならないか?)

 

(発想の飛躍!?どうしたの急に)

 

(ス、スライムの分際でこの暴風竜ヴェルドラとトモダチだと!?)

 

(ヴェルドラもテンパってる……)

(嫌なら別にいいんだけど……)

 

(バカお前!誰も嫌だとは言っておらんだろうが!!)

 

(お、おう……)

 

 

 

(というかさ、僕はもうヴェルドラとは友達だと思ってたんだけど、どうなの?)

 

(むっ?うむ……うむむ?確かにそういえばそうだな……我も貴様とは何故だか気さくに話しておった)

 

(じゃあ友達だね)

 

(う、うむ)

 

(あのー……おれは?)

 

(……ならば貴様も我の友としてやろうではないか!)

 

(決まりだな!よろしく、2人とも!)

 

(うむ!)

(うん)

 

(さて、じゃあこの封印をどうにかしなきゃな)

 

(えっ?スライムさんできるの?)

 

(そりゃわからないけど、なんとかやってみたくないか?友達を助けたいし)

 

(……確かに)

 

 やっぱりこの人は善人すぎるよ〜〜

 

 その後いろいろあって、スライムがヴェルドラを胃袋の中に格納して解析鑑定を行う、という方針に決まった。

 

(じゃ、俺の『捕食者』でお前を喰うけど……)

 

(待て、その前に我からお前らに名を与えよう)

 

(名?名前か?)

 

(いいの?ヴェルドラ。あんなに懸念してたのに)

 

(なあに、心配はいらん。我らが同格ということを魂に刻むのだ。貴様らも我の名を考えよ)

 

(ふむ……なるほど、名字ってことだな)

(なるほどね?じゃあ、考えようかスライムさん)

 

(暴風竜だろ?暴風……嵐……テンペスト?)

(僕の種族も嵐鴉(テンペストクロウ)だし、いいね)

 

(じゃ、ヴェルドラ。『テンペスト』、でどうだ?)

 

(素晴らしい響きだ!!今日から我は、『ヴェルドラ=テンペスト』だ!!)

 

(おー)

 

 鳥だから拍手はできないけど。

 

(そしてスライムよ。貴様には、『リムル』の名をやろう)

 

(『リムル=テンペスト』か!ありがとうな、ヴェルドラ!)

 

(うむ!そして、カラスよ。お前には……)

 

 

 

(『サリア』の名を与える!!)

 

 

 

(『サリア=テンペスト』……うん、ありがとう、ヴェルドラ。いい名前をもらえて嬉しいよ)

 

(うむ。そして、サリアには我の力を分けてやろう)

 

(えっ?)

 

 そんなの原作になかったけど……

 

(テンペストを我に刻んだのは厳密にはリムルだ。その主導権はリムルにある。つまり、名前を交換したことによるサリアと我の間の関係は曖昧だということだ)

 

(な、なるほど?)

 

(つまり、ここで我がお前に力を与えることで繋がりを強固にするということだ!!)

 

(で、でも力の回復とか……)

 

(なに、お前のスキルがやってくれるのだろう?)

 

 そうだ!『嚮導者』!

 

《導。力の流入を確認。個体名『ヴェルドラ=テンペスト』からの力の流入を、同個体の回復可能点で制限します》

 

 頼んだ!!

 

 それと同時に流れ込んでくる膨大な力。これが、名付けってやつか……すごいね!

 

 

 

《導。条件を満たしました。 嵐鴉(テンペストクロウ)暴風鴉(テンペストレイヴン)へと進化します》

 

 うわっ!?急に力がみなぎってくる!?

 

 

 

(だ、大丈夫かサリア!?)

 

(心配するなリムルよ。あれは進化だ)

 

(進化……)

 

 

 

 身体は大きく、よりしなやかに、頑丈になっていく。

 羽毛は元のただの黒い羽根から、暗黒を感じさせるような深い闇の色に。しかし、所々赤く変色している。

 嘴は鋭く、脚は強く、鉤爪も発達した。

 

 

 

(どうやら終わったようだな)

 

《導。進化が完了しました。続けて、リソースをスキルの獲得に割り当てます》

 

 よろしくね!

 

《導。固有スキル『漆羽』を獲得。続けて、リソースを消費しエクストラスキル『人化』の獲得に挑戦……成功しました》

 

 やった!あたり!!ありがとう『嚮導者』!

 

《導。『嚮導者』が『物理攻撃耐性』の獲得に挑戦……成功しました》

 

 うん?おまけがついてきた?

 

《導。続けて、『法則操作』を『嚮導者』に追加……成功しました》

 

 まってまってまって!?追加がおかしくない!?めっちゃ便利で強いやつそんな簡単に得ちゃっていいの!?

 

 それきり進化報告が来なくなったので、たぶん進化は終わったんだろうけど……ええー?

 

 

 

(どうしたのだサリア?)

 

(いやあ、進化したのはいいんだけど……進化のリソースを使って、『法則操作』を『嚮導者』に追加したらしくて)

 

(なに?『法則操作』か……なかなか強力な力を得たようだな?だが、お前の強さで進化するならさらに伸び幅があるはずだが)

 

(あと、『人化』と『物理攻撃耐性』をもらったかな)

 

(ふむ、ならば納得だ。『人化』は本来お前の種族では持っていないものだ、リソースも多く使っただろう)

 

(なるほどー)

 

 進化というのは不思議だな……まぁ、この後進化する機会は魔王になるまで訪れないだろうし、気にしないほうがいいかな。

 

(じゃあ、進化も終わったことだし、ヴェルドラともお別れだね)

 

(さっさと『無限牢獄』から脱出してこいよ?)

 

(うむ、任せておけ!そんなに待たせず相見えようぞ、サリア、リムルよ!!)

 

 

 

 この日、世界に激震が走った。

 

 天災級モンスター:『暴風竜』ヴェルドラの消滅が確認されたのだ。

 

 そんな原因をつくったスライムと、このモノローグを心の中で思い浮かべているカラスは、呑気に洞窟の外を目指して動き始めたのだった。

 

 

 




 
ステータス
名前:サリア=テンペスト
種族:暴風鴉(テンペストレイヴン)
加護:暴風の紋章
称号:なし
魔法:なし
ユニークスキル:『嚮導者(ミチビクモノ)』『告示者(ツゲルモノ)』『執行者(オコナウモノ)
エクストラスキル:『魔力感知』『漆羽』『人化』
コモンスキル:『念話』
耐性:『痛覚無効』『物理攻撃耐性』

ヴェルドラ日記は

  • 各章終わりにヴェルドラ日記の章に投稿
  • ヴェルドラ復活後にまとめて投稿
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