翌日。
ゴブリンに胸と股を隠すための布をもらい、人型になって服を纏った僕は、リムルに話しかけられていた。
僕が人型になったことで少しゴブリン達には驚かれたね。やっぱり、人型に変化できる魔物は魔人みたいなものとして認知されるみたい。
「サリア、やっと人型で生活できるな!」
「うん、ボクもやっと慣れた感覚で動けるよ!」
「……それにしてもなかなか際どくないか?ボロ布を美少女が着てるって、なかなか危うい光景だぞ?」
「まぁそれはわかるよ。でも、これしかないし仕方なくない?元の世界のアダムとイブみたいに葉っぱで隠してないだけマシだよ」
そもそもイブは胸隠してないし……
「それもそうか……ところでサリア、俺はこの村の住民たちに名前をつけようと思うんだが」
「了承をとったらいいんじゃない?」
「ああ、了承はとってあるよ。それでなんだが、サリアも手伝ってくれないか?数が多くてな……」
「え、やだよ」
「えっ、なんで?」
「名付けっていうのは、魂で名付け親と繋がる儀式なんだよ。ボクやヴェルドラとも、魂で同格として繋がったでしょ?」
「ああ、それが?」
「つまり、この村を統治するなら、リムル1人がトップにならないといけないってことなんだよね。魂で繋がっている人がボクとリムルで別れてたら、いらない混乱を招くよ」
「そういうものか……」
「そうそう、てなわけで頑張ってねー」
「ああ、わかった!」
そんなわけで僕はいま、リムルが名付けをしている横でそれをニコニコ見ている。
『嚮導者』、名前の暗記をしておいてね?
《導。了承しました》
よし、これで一安心。名前を覚えてないトップとかあんまり思われたくないからね。
さて、リムルの名付けは順調だ。原作通り村長にリグルド、息子にはリグル、お調子者の鼻でか君にはゴブタと名付けているし。
おや、牙狼族のボスの息子の番だね。
「リムル、どうするの?」
「うーん、そうだなぁ……そうだ!嵐の牙で"ランガ"!お前の名はランガだ!」
そういうと同時にリムルがどろっと溶ける。
「あ、主!?」
「リムル様!?」
「リムル様!!」
「はいはい落ち着いてみんな。リムルは魔素切れになっただけだから、数日すれば元に戻るよー」
「サリア様……その、そうなのですか?」
「うん、大丈夫大丈夫。リムルもわかっててやったし」
ウソである……
「おお、リムル様はそこまで……我らのためにそれほどまでのことを……」
「そうそう。そして、君たちもなまえをつけられたことで進化が始まるはず。リムルの世話はボクがしておくから、君たちはゆっくり休んでね?」
「は、はい!わかりました!」
そうしてみんなは急いで進化の準備に入り、僕はリムル用に建てられていた一つの小屋に入ってリムルのお世話をしだしたのだった。
「ふふふ、リムルの驚く様子が目に浮かぶよ……」
さらに翌日。
「サリア様!おはようございます!」
進化したリグルドが僕とリムルのいる小屋に入って来た。
「お、リグルド!おはよう!ムキムキになったね!」
「はい!これもリムル様とサリア様のお力のおかげです!」
「ん?ボクも?名付けはリムルのやったことだよ?」
「はい、ですがサリア様とリムル様はご友人。そして、お二方がこの村をお救いにならなければ、我々は進化どころか今頃生きてはいなかったでしょう!」
「ああ、うん……まぁ、よかったね?」
「はっ!ありがたき幸せ!!」
うーん、予想外に僕への忠誠心が高い……まぁリグルドは真面目だしね……
そう思っていると、今度は進化したランガが小屋に入って来た……うーん、大きいね。狭いぞ?
「やぁランガ、おはよう!」
「はっ!我が主たちよ!おはようございます!」
「うん、おはよう。ところで、ボクも主なの?」
「はい!リムル様とご友人であり、この村の守護者でもあるサリア様も、リムル様と同じく我が主です!」
「そうなんだ……うん、よろしくね!」
「はいっ!」
うーん、やっぱり大きいワンちゃんは可愛いなぁ……もふもふしたい。
その後、リグルドには村の状況整理と、環境を整えるように、ランガには、村の警備をするように言って、仕事を割り振った。
え?僕はリムルを撫でてたよ?サボってたわけじゃないよ?この村の主人をお世話するのは、立派な仕事だよ???
リムルが
「ん……」
「お、起きた?リムル」
「ああ、サリア。おはよう。俺のお世話をしてくれてたのか?」
「うん、おはよう。そうだよ?スライムボディ、触り心地良くてね……3日はあっという間だった!」
割と本当だよ!
「じゃ、リムルはさっそく村の様子を見て来てね!」
「ああ、わかった!」
そうして小屋の外に出て行くリムル。
しばらくして、外から念話が飛んでくる。
(おい、おいサリア!?これは一体どういうことなんだ!?誰だよこいつら!?)
(誰って……リムルが名付けたゴブリン達や牙狼族たちだけど)
(変わりすぎだろぉぉ!?)
そんなリアクションが数分は続き、静かになった頃、宴会を行ってその日は終わった。
次の日。僕とリムルは、村の広場でゴブリンと牙狼族たちに対して集会を開いていた。
「……はい、今みんなが静かになるまで5分掛かりました」
「「「「「……?」」」」」
「ねえリムル、そのネタ……というかリムルの持ちネタは全部スベると思った方がいいと思うんだけど」
「う、うるせー!!おほん、気を取り直して」
リムルがゴブリンたちを見渡す。
「見ての通り、俺たちは大所帯となった。そこで、なるべくトラブルを避けるため、ルールを決めようと思う」
「1つ、仲間内で争わない」
「2つ、進化して強くなったからと言って他種族を見下さない」
「3つ、人間を襲わない」
「以上だ。最低この3つは守ってもらいたい」
うんうん、大事なことだね。
「宜しいでしょうか?何故人間を襲ってはならないのでしょうか?」
「俺が人間が好きだから、以上!」
「なるほど!理解しました!」
(えっ軽!ど、どうしようサリア!)
「ちゃんと説明しなきゃダメだよリムル。ええとね、人間は数が多いから、こっちから襲うとこっちを上回る数で反撃されるだろうね。だから、こっちから手出しをしてはいけないんだ」
「なるほど……」
「さすがはリムル様にサリア様……考えが深い……」
「人間にもお詳しいとは……」
「ただし、あちらから攻撃され場合は交戦しても構わない。正当防衛ってやつね?自分の身は自分で守らなきゃいけないから。わかった?」
「「「「「はい!」」」」」
(説明してくれてありがとうな、サリア)
(これくらいならお安い御用だよ〜)
そうしてルールを決めた後、リムルはリグルドを『ゴブリンロード』に任命して、村を治める役割を与えた。
けれど、ゴブリンだけでは限界があるよね。
「うーん、建築技術が足りない……」
「そうだね、ボクもずっと荒屋で過ごしたいとは思わないなぁ」
「グッ……申し訳ございません……」
「ああ、リグルドのせいじゃないし、しょうがないよ。技術者がいればなぁー」
「おお、それなら!」
そうして話すうちに、リムルはドワーフの存在を知り、技術者を確保しにドワーフ王国へ行くことになった。
「俺が直接行く。リグルド、準備は任せてもいいか?」
「はっ!昼までには全ての用意を整えましょうぞ!!」
そうして走り去って行くリグルド。
「さて、サリア。お前にはここに残って欲しいんだが……」
「うん、いいよ?」
「いいのか?」
「ここの防衛のために、ボクが残った方が安心でしょ?それに、ボクもみんなと親しくなる時間が必要だしね」
「なるほどな、わかった!!」
「あ、それと」
「ん?」
「ボクとリムルの関係をハッキリさせておきたいな」
ステータス変化無し
この小説は、漫画版と書籍版をベースに書いております。
【挿絵表示】
Picrewの「YSDメーカー」で人間形態のサリアの立ち絵を作りました!
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#Picrew #YSDメーカー
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