転生したらカラスだった件   作:めろんムーン

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第8羽、来訪者

 

 それから、村……もう小さな町と言っていいような規模になったかな?について。

 

 シズさんと、冒険者3人組にご飯を奢った。

 

 僕とリムルはシズさんの身の上話を聞いたり、この世界の話を聞いたりした。

 

 

 

 ランガに乗って、3人で散歩にも出た。リムルは脳内風景をシズさんに見せたみたいだね。

 

「ねえ、サリアさん」

 

「うん?どうしたの?」

 

「サリアさんは、どうしてスライムさんと一緒にいるの?さっきから、スライムさんはたくさん話してくれるけど、サリアさんは聞いてばっかりだよね。私は、サリアさんの話も聞いてみたい」

 

「うーん、そうだなぁ……リムルといると、楽しいから、かな?」

 

「ふんふん」

 

「リムルはね、おっちょこちょいのお調子者で、能天気で、行き当たりばっかりだけど」

 

「おいサリア?」

 

「でも、ボクやみんな……周囲の人間では考えつかないような、途方もないことを考えついたり、不可能を可能にしたりするんだ」

 

「へぇ……」

 

「だから、ボクはそれを側で見ていたいんだよね。退屈しなさそうだし!」

 

「ふふふ、サリアさんはスライムさんが好きなんだね」

 

「うん、大好きさ!」*1

 

「うぇっ!?ちょ、サリア!?」

 

「どうしたのリムル?」

 

「よ、よくそんな恥ずかしいことを……」

 

「特におかしなことはなくない?ボクは友達はみんな好きだったよ?」

 

「あ、ああ……そういう……」

 

「?」

 

「ふふふ、仲良しだね2人とも」

 

「うん!」

 

「あ、ああ!」

 

 

 

 その後は、シズさんをこの世界に召喚したのが魔王レオンだと聞かされ、シズさんは「彼に呪いを与えられた」と語ったあと、リムルは仕事があるとリグルドに呼ばれていった。

 

 もちろん行くこともできたけど、せっかく原作の流れを変えて、シズさんが力を使わないようにできたんだ。時間の猶予はある。

 

「ね、サリアさん。どうして私たちはいかなかったの?」

 

「ふふふ、聞いてよシズさん。ボクはね、強くなりたいんだ」

 

「うん、いいことだね」

 

「だからね、ボクに稽古をつけてほしいな。シズさんは、同郷の子たちに先生として接していたんでしょ?」

 

「そうだね」

 

「だから、はい」

 

 リムルにさっき即席で作ってもらった、シズさんの剣を模した木剣を渡す。

 

「わ、すごいできだね……重さも、普段使ってるものと変わらないかも」

 

「さすがリムルだね」

 

 そういう僕の手には、刃渡70cmほどの、反りの浅い木刀が。

 

「あ、サリアさんは刀なんだね」

 

「うん、ボクは前世で少しだけ剣を振ったことがあるんだ……あいにく、型とかそういうのが身につく前に死んじゃったけどね」

 

 そう、僕は前世ですこし、本当に少しだけ剣道をやっていた。まぁ覚えてるのなんて木刀の持ち方ぐらいだから、がむしゃらに戦うしかないけどね。

 

「じゃ、やろうか」

 

「うん、いいよ」

 

 

 

 返事が返ってくると同時に、シズさんの元へ走り出す。

 シズさんは動かない。

 

「ふっ!」

 

 下段からの切り上げを行う。

 

「踏み込みはいいね」

 

 簡単に受け止められるが、今度は後ろに回り込み上段からの振り下ろしを放つ。

 

「うん、攻撃の重さも十分だ」

 

「やっぱりそう簡単に攻撃は通らないよね!」

 

 数合打ち合うが、やはり全て受け止められる。反撃は飛んでこない。

 

「太刀筋もいいし、経験を積むべきだと思うよ?」

 

「ふふ、そういってくれるなら嬉しいよ。守りの特訓もしたいから、よろしくね!」

 

「うん、じゃあ、いくよ」

 

 急接近され、一文字が飛んでくる。

 

「うわっ!」

 

 咄嗟に弾くが、流れるように袈裟斬りが来て、逆袈裟、真向と連撃が続く。

 

「うん、けっこういいと思うよ?初めてなのに、しっかり対応できてるし」

 

「ううん、まだまだだよ!つづき、お願いね!」

 

「うん、分かった。それじゃ、行くよ」

 

 

 その後、数時間は攻守を交代しながら剣の特訓をした。

 

 

 

「おーい、2人とも!」

 

「はぁ……はぁ……ん、リムル?」

 

「あ、スライムさん」

 

 さすがは爆炎の支配者……英雄クラスは伊達じゃないね……剣の腕が凄まじい……

 

 そういや、アニオリでディアブロと戦ってたよねシズさん……

 あのバトルジャンキーの猛攻を、手加減されていたとはいえ防ぐだけの技量はあるんだよね……

 

「もう少ししたら夕飯ができるから、そろそろ戻ってきてくれ」

 

「うん、わかった」

 

「わかったよ、スライムさ──グッ」

 

 唐突に胸を抑えるシズさん。

 

「シズさん?」

 

「……」

 

 恐れていたことが起きた。時間が来てしまった……まだ猶予はあると思ってたけど……

 

「は、離れて……」

 

 シズさんが後退りし、僕たちから距離を取る。

 

「どうしたんだ、シズさん?顔色がっ……」

 

「離れてリムル!」

 

「サリア!?」

 

 リムルを後ろに庇い、シズさんに剣を構えて相対する。

 

《導。対象の魔力が増加しました。警戒してください》

 

 嚮導者が警告してくれるが、わかっている。

 

「何してるんだサリア!シズさんの魔力も増加したし、何がどうなって……っ!」

 

「あれは、シズさんじゃない!」

 

 僕がそういうと同時に、シズさんから炎が吹き出し、地面を焼き、火柱が空高く上がる。

 

 

 

「おおいリムルの旦那ー!」

 

「カバル!?」

 

「なんかすげぇ火柱が見えたけど……げ!?あれ、シズさんか!?」

 

「ん?」

「どうしたのギド?」

 

「シズ……シズエ?シズエ・イザワ!?」

 

 その名を呼ばれると同時に、ギドに向かって炎が放たれる。

 

「リムル!」

 

「お、おう!『捕食者』!」

 

 リムルが炎を捕食者によってかき消す。

 

「ギド!説明して!」

 

「彼女は『爆炎の支配者』シズエ・イザワ!イフリートを宿す最強の精霊使役者(エレメンタラー)でやす……!!」

 

「エレメンタラー……!?」

 

 リムルが驚いた声を上げる。

 

「……シズさんは、多分暴走してる。3人とも逃げて。ここは、ボクたちがなんとかする」

 

 僕は冒険者3人にそう呼びかける。けど、

 

「そんな訳にはいかねえよ。あの人が殺意を剥き出しにしてる理由がなんであれ」

「俺たちの仲間でやす」

「ほっとけないわ!」

 

「……わかった、気をつけてね」

 

 

 

「……サリア、俺たちはどうしようもないのか?」

 

「……わからない」

 

 そういいながら警戒していると、

 

「……ハナ……レテ」

 

「!!」

 

「オサエキレナイ……ワタシカラ……ハナレテ……」

 

「……シズさん。さっきボクたちに、シズさんは呪いを与えられたっていってた」

 

「……エレメンタラーとしての力は、望んだわけではなく、与えられたものってわけか……」

 

 

 

「ぐぅぅ……」

 

 シズさんは苦しんでる。分かっていたはずなのに、胸が痛む。

 

 僕の後ろにいたリムルが、僕の横に並ぶ。

 

「心配するな、シズさん。あんたの呪いは、俺達が解いてやる」

 

 そういって、リムルは僕に視線を投げる。僕も視線を返し、2人で前を向いた。

 

「任せろ!」

「任せて!」

 

 

 

「……オ…ネ、ガ……イ…」

 

 

 

 シズさんの体が炎に飲まれ、変質していく。

 

「勝利条件はイフリートの制圧とシズさんの救出だ」

 

「……今回、僕はあんまり役に立たなそうだね」

 

「やるしかないさ」

 

「うん」

 

 目の前には、炎でできた巨人が姿を現していた。

 

 

 

「行くぞ!」

 

*1
友達として、転スラのキャラとして

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