それから、村……もう小さな町と言っていいような規模になったかな?について。
シズさんと、冒険者3人組にご飯を奢った。
僕とリムルはシズさんの身の上話を聞いたり、この世界の話を聞いたりした。
ランガに乗って、3人で散歩にも出た。リムルは脳内風景をシズさんに見せたみたいだね。
「ねえ、サリアさん」
「うん?どうしたの?」
「サリアさんは、どうしてスライムさんと一緒にいるの?さっきから、スライムさんはたくさん話してくれるけど、サリアさんは聞いてばっかりだよね。私は、サリアさんの話も聞いてみたい」
「うーん、そうだなぁ……リムルといると、楽しいから、かな?」
「ふんふん」
「リムルはね、おっちょこちょいのお調子者で、能天気で、行き当たりばっかりだけど」
「おいサリア?」
「でも、ボクやみんな……周囲の人間では考えつかないような、途方もないことを考えついたり、不可能を可能にしたりするんだ」
「へぇ……」
「だから、ボクはそれを側で見ていたいんだよね。退屈しなさそうだし!」
「ふふふ、サリアさんはスライムさんが好きなんだね」
「うん、大好きさ!」*1
「うぇっ!?ちょ、サリア!?」
「どうしたのリムル?」
「よ、よくそんな恥ずかしいことを……」
「特におかしなことはなくない?ボクは友達はみんな好きだったよ?」
「あ、ああ……そういう……」
「?」
「ふふふ、仲良しだね2人とも」
「うん!」
「あ、ああ!」
その後は、シズさんをこの世界に召喚したのが魔王レオンだと聞かされ、シズさんは「彼に呪いを与えられた」と語ったあと、リムルは仕事があるとリグルドに呼ばれていった。
もちろん行くこともできたけど、せっかく原作の流れを変えて、シズさんが力を使わないようにできたんだ。時間の猶予はある。
「ね、サリアさん。どうして私たちはいかなかったの?」
「ふふふ、聞いてよシズさん。ボクはね、強くなりたいんだ」
「うん、いいことだね」
「だからね、ボクに稽古をつけてほしいな。シズさんは、同郷の子たちに先生として接していたんでしょ?」
「そうだね」
「だから、はい」
リムルにさっき即席で作ってもらった、シズさんの剣を模した木剣を渡す。
「わ、すごいできだね……重さも、普段使ってるものと変わらないかも」
「さすがリムルだね」
そういう僕の手には、刃渡70cmほどの、反りの浅い木刀が。
「あ、サリアさんは刀なんだね」
「うん、ボクは前世で少しだけ剣を振ったことがあるんだ……あいにく、型とかそういうのが身につく前に死んじゃったけどね」
そう、僕は前世ですこし、本当に少しだけ剣道をやっていた。まぁ覚えてるのなんて木刀の持ち方ぐらいだから、がむしゃらに戦うしかないけどね。
「じゃ、やろうか」
「うん、いいよ」
返事が返ってくると同時に、シズさんの元へ走り出す。
シズさんは動かない。
「ふっ!」
下段からの切り上げを行う。
「踏み込みはいいね」
簡単に受け止められるが、今度は後ろに回り込み上段からの振り下ろしを放つ。
「うん、攻撃の重さも十分だ」
「やっぱりそう簡単に攻撃は通らないよね!」
数合打ち合うが、やはり全て受け止められる。反撃は飛んでこない。
「太刀筋もいいし、経験を積むべきだと思うよ?」
「ふふ、そういってくれるなら嬉しいよ。守りの特訓もしたいから、よろしくね!」
「うん、じゃあ、いくよ」
急接近され、一文字が飛んでくる。
「うわっ!」
咄嗟に弾くが、流れるように袈裟斬りが来て、逆袈裟、真向と連撃が続く。
「うん、けっこういいと思うよ?初めてなのに、しっかり対応できてるし」
「ううん、まだまだだよ!つづき、お願いね!」
「うん、分かった。それじゃ、行くよ」
その後、数時間は攻守を交代しながら剣の特訓をした。
「おーい、2人とも!」
「はぁ……はぁ……ん、リムル?」
「あ、スライムさん」
さすがは爆炎の支配者……英雄クラスは伊達じゃないね……剣の腕が凄まじい……
そういや、アニオリでディアブロと戦ってたよねシズさん……
あのバトルジャンキーの猛攻を、手加減されていたとはいえ防ぐだけの技量はあるんだよね……
「もう少ししたら夕飯ができるから、そろそろ戻ってきてくれ」
「うん、わかった」
「わかったよ、スライムさ──グッ」
唐突に胸を抑えるシズさん。
「シズさん?」
「……」
恐れていたことが起きた。時間が来てしまった……まだ猶予はあると思ってたけど……
「は、離れて……」
シズさんが後退りし、僕たちから距離を取る。
「どうしたんだ、シズさん?顔色がっ……」
「離れてリムル!」
「サリア!?」
リムルを後ろに庇い、シズさんに剣を構えて相対する。
《導。対象の魔力が増加しました。警戒してください》
嚮導者が警告してくれるが、わかっている。
「何してるんだサリア!シズさんの魔力も増加したし、何がどうなって……っ!」
「あれは、シズさんじゃない!」
僕がそういうと同時に、シズさんから炎が吹き出し、地面を焼き、火柱が空高く上がる。
「おおいリムルの旦那ー!」
「カバル!?」
「なんかすげぇ火柱が見えたけど……げ!?あれ、シズさんか!?」
「ん?」
「どうしたのギド?」
「シズ……シズエ?シズエ・イザワ!?」
その名を呼ばれると同時に、ギドに向かって炎が放たれる。
「リムル!」
「お、おう!『捕食者』!」
リムルが炎を捕食者によってかき消す。
「ギド!説明して!」
「彼女は『爆炎の支配者』シズエ・イザワ!イフリートを宿す最強の
「エレメンタラー……!?」
リムルが驚いた声を上げる。
「……シズさんは、多分暴走してる。3人とも逃げて。ここは、ボクたちがなんとかする」
僕は冒険者3人にそう呼びかける。けど、
「そんな訳にはいかねえよ。あの人が殺意を剥き出しにしてる理由がなんであれ」
「俺たちの仲間でやす」
「ほっとけないわ!」
「……わかった、気をつけてね」
「……サリア、俺たちはどうしようもないのか?」
「……わからない」
そういいながら警戒していると、
「……ハナ……レテ」
「!!」
「オサエキレナイ……ワタシカラ……ハナレテ……」
「……シズさん。さっきボクたちに、シズさんは呪いを与えられたっていってた」
「……エレメンタラーとしての力は、望んだわけではなく、与えられたものってわけか……」
「ぐぅぅ……」
シズさんは苦しんでる。分かっていたはずなのに、胸が痛む。
僕の後ろにいたリムルが、僕の横に並ぶ。
「心配するな、シズさん。あんたの呪いは、俺達が解いてやる」
そういって、リムルは僕に視線を投げる。僕も視線を返し、2人で前を向いた。
「任せろ!」
「任せて!」
「……オ…ネ、ガ……イ…」
シズさんの体が炎に飲まれ、変質していく。
「勝利条件はイフリートの制圧とシズさんの救出だ」
「……今回、僕はあんまり役に立たなそうだね」
「やるしかないさ」
「うん」
目の前には、炎でできた巨人が姿を現していた。
「行くぞ!」
ヴェルドラ日記は
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ヴェルドラ復活後にまとめて投稿