転生したらカラスだった件   作:めろんムーン

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第9羽、爆炎の支配者

 

「念の為に聞くぞイフリート!お前に目的はあるか!?」

 

 そうリムルが問いかけるが、帰ってきたのは無数の炎の玉。

 

「ランガ、回避に専念しろ!サリアは隙を探してくれ!」

 

「御意!」

「うん!」

 

「エレン、カバル、ギド!お前たちは──」

 

「うおおおお!?」

「きゃああ!?」

「うひゃあ!?」

 

「……なんとかなりそうだな」

 

 冒険者3人組はなんとか凌いでるね。

 

 それよりも、いま僕が考えなければならないのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 未受肉の悪魔や、精霊種といった精神生命体は、物理攻撃によるダメージが通らない……

 

 『嚮導者』先生!なんとかならない!?

 

《導。断頭処刑(ギロチン)による即死攻撃、又は『嚮導者』による『法則操作』により、魔素を用いた攻撃を行うことを提案》

 

 『断頭処刑』は母体がシズさんなんだからダメ!というか『法則操作』ってそんな能力だったんだ?

 

《導。『法則操作』は魔素を用いて法則に影響を与える能力です》

 

 ふーん……なら、剣に魔素を纏わせた魔法剣のようなものを作ることは?

 

《解。可能です》

 

 ならそれで!

 

「リムル!」

 

「なんだサリア!」

 

 リムルは、ちょうど水刃をイフリートに放ち、蒸発させられたところだった。

 

「リムル!精霊には物理攻撃は効かないらしいよ!」

 

「なにっ!?じゃあどうやって攻めるんだ!?」

 

「ボクがなんとかするから援護して!」

 

 リムルにそう言ってイフリートに駆け出す。

 

「ちょっ、サリア!?」

 

 イフリートは、僕が近づくのを悠々と眺めながら、炎を散らせて分裂した。

 

「くっ……」

 

 分身が僕に近づいてくる。しかし、

 

 

 

水氷大魔槍(アイシクルランス)!!」

 

 唐突に僕に迫っていた分身のうちの一体が消される。

 

「ありがとうエレン!」

 

 僕の言葉に頷いたエレンは、再度水氷大魔槍(アイシクルランス)を発動させようと構える。

 

「もういっちょお……」

 

 あとは原作通りにリムルが水氷大魔槍(アイシクルランス)を捕食するだろう。

 

《導。イフリートの分身体を断頭処刑(ギロチン)により倒すことを推奨》

 

 えっ!?なんで!?

 

《解。観測されたイフリートの魔素量は主人(マスター)より低いため、抵抗を突破可能であると推測」

 

 えっそうなんだ……というか分身体でも断頭処刑でスキルとか得られるの?

 

《導。分身体に付与されたスキルであるならば可能です》

 

 じゃあやるか!

 

水氷大魔散弾(アイシクルショット)!」

 

 あっまずい!間に合え!

 

「『断頭処刑』!」

 

 なんとかリムルが分身を全滅させる前に1体だけ首を落とすことに成功した。

 

《『炎熱操作』『分身体』及び『炎熱攻撃無効』を獲得。『炎熱操作』が『法則操作』に統合されました》

 

 なんで耐性まで獲得しているのとか、聞きたいことはいろいろあるが、それを言う前にすでに僕はイフリートの前に辿り着いていた。

 

 

 

「ごめんねシズさん!」

 

《導。『法則操作』により妖気と魔素を練り上げ剣に付与……『効果付与:魔法剣(エンチャント:マジックソード)』に成功しました》

 

 その声を聴き流し、できるだけ頭や首などの急所を狙わないようにしながら打ち据えていく。

 

『!!??』

 

 物理攻撃が効かないはずの自分に攻撃が与えられ、困惑しているようだ。

 

 ……シズさんに少し鍛えてもらっただけのはずなのに、すごい剣技が冴え渡る感覚がある。

 

 

 

《"無冠の武芸"を確認しました。これにより、隠された条件が満たされ、ユニークスキル『執行者(オコナウモノ)』の隠された権能が解放されます。発動させますか?YES/NO》

 

 

 

 ちょっと聴き流したくないことが聞こえたような気がするけどYES!

 

 

 

《確認しました。『執行者(オコナウモノ)』に新たな権能を追加……成功しました。これより、『最適行動』が発動します》

 

 

 

 その『世界の声』が聞こえたあと、僕は何をどう動かし、どう振る舞えばいいのか、体の細部、細胞の一欠片まではっきりとわかったような気がした。

 

「はあぁぁぁぁぁああ!!」

 

 腕や足を打ち据え、胴を突き、体の側面を薙ぐ。

 

『!!!!!!』

 

 なんとか僕の猛攻から逃れようとするイフリートだが、僕が逃さない……逃がしてやるもんか!!

 

 そのとき、僕の瞳がイフリートの後ろに陣取ったリムルのことを捉えた。

 

「リムル!」

 

「シズさんは返してもらうぞ!!『捕食者』!!」

 

『!!!!!!!!──』

 

 

 

 こうして、イフリートはリムルの胃袋へと消え、後にはシズさんが残ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから一週間。シズさんは寝たきり目覚めない。

 

「……」

 

「……起きないね、シズさん」

 

「……そうだな」

 

 リムルはしっかりシズさんのことを看病している。

 

 ……小説や漫画、アニメの中ではなく、こうして知っている人が死の淵に立っているということは、なかなか心に来る。

 

「……スライムさん、サリアさん」

 

「シズさん!?気がついたのか!」

「シズさん……」

 

「ずっと傍にいてくれたの……?」

 

「あ、ああ……良かった、もう目を覚さないんじゃないかと思った」

 

 僕は、この会話に口出しをしない。これは、リムルとシズさんが向き合うべき話だから。

 

「僕は水を持って──

「サリアさん、いいよ。必要ないから」

──そっか……」

 

「もう何十年も前にこっちに来て、辛いことも沢山あったけど良い人たちにも沢山出会えて」

 

「最後はあなたたちとの奇跡みたいな出会いがあった」

 

「心残りがないわけじゃないけど……私はもう十分生きたから」

 

 シズさんの体が若々しい姿から老婆へと変貌していく。

 

「シズさん……俺たちに何かできることはないか?心残りがあるなら言ってくれ」

 

「頼めないよ……君の人生の重荷になってしまうもの」

 

「俺たちがあんたの力になりたいんだ。言ってくれ」

 

「……フフッ、じゃあ、そうだね……サリアさんには何も頼めないんだけど……」

 

「いいよ、シズさん。ボクのことは気にせず、我儘を言ってよ」

 

「……じゃあ──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべきことの終わったボクは、リグルドたちとすれ違いになりシズさんのいた小屋を後にした。

 

 

 

 

 

『──スライムさんの見せてくれた懐かしい故郷の景色のなかで、眠りたい……』

 

 

 

 

 

 知っていたことだった。けれど、その姿は何よりも悲痛で、しかし幸せそうだった。

 

 僕は、まだこの世界が現実だと実感していなかったのかもしれない。ヴェルドラやリムル、リグルドやランガといった存在と出会い、浮かれていたのかもしれない。

 

 このままではダメだ。心を強く持たなくちゃ……未来で起きることに、僕は耐えることができなくなるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……心を切り替えていこう。『嚮導者』、イフリート戦で獲得した僕のスキルや能力面を教えて!

 

《導。『断頭処刑』により、イフリートから『炎熱操作』『分身体』『炎熱攻撃無効』を得ています。このうち、『炎熱操作』は『法則操作』に統合されました》

 

 ふむ、『分身体』が手に入ったことは良かった。とても便利なスキルだからね……それはそうと、なんで僕は耐性まで?

 

《解。イフリートを『断頭処刑』したことにより、炎熱への耐性の情報を獲得したためであると推測》

 

 へぇ、そんなことあるんだ……で、僕としてはそのあとの方が重要なんだけど……

 

 

 

 たしか、《"無冠の武芸"を確認しました。これにより、隠された条件が満たされ、ユニークスキル『執行者(オコナウモノ)』の隠された権能が解放されます》だったっけ……そして、その結果『最適行動』が発動するようになった。

 

 

 

 この流れには聞き覚えがある。マサユキの持つユニークスキル、『英雄覇道(エラバレシモノ)』だ。

 

 最もあれと違い、隠された条件は一つのみで、解放された権能も『最適行動』とかいう便利な機能だし、オンオフ可能っぽいけど……

 

 ……もしかして、『執行者』ってなかなかやばいスキルなのでは?不安になってきた

 





ステータス
名前:サリア=テンペスト
種族:暴風鴉(テンペストレイヴン)
加護:暴風の紋章
称号:なし
ユニークスキル:『嚮導者(ミチビクモノ)』『告示者(ツゲルモノ)』『執行者(オコナウモノ)
エクストラスキル:『魔力感知』『漆羽』『人化』
獲得スキル:『粘糸』『鋼糸』『身体装甲』『分身体』
コモンスキル:『念話』
耐性:『痛覚無効』『物理攻撃耐性』『炎熱攻撃無効』

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