妖精の尻尾の悪魔の守銭奴   作:魔導士ギルド【ヴィーナスフィスト】

4 / 19
 ララバイ編ラスト

 最初はマスター視点で後にゼニス視点になります。

 残念ながら対エリゴールはカット……もうしわけありません。


ゼレフ書の悪魔

 クローバーの街、地方ギルドマスター連盟定例会場。

 

 【妖精の尻尾(フェアリーテイル)】のマスター、マカロフは定例会でかつての仲間であり、今は別ギルドでマスターをしている【青い天馬(ブルーペガサス)】のマスター、ボブ(♂)と【四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)】のマスター、ゴールドマインとともに酒を飲んで盛り上がっていた。

 

「マカロフちゃん、聞いたわよ。あんたのところの新人ちゃん、どっかの権力者コテンパンにしちゃったとか」

 

「おー、新入りのルーシィじゃあ! あいつはいいぞ! 特に乳がいい!」

 

「評議員はそのうち町一個潰すんじゃねえかって懸念してるらしいぞ?」

 

「うひょひょ、潰されてみたいの〜! ルーシィのおっぱいで!」

 

「あと、ゼニスちゃん、そろそろうちにくれない?」

 

「いやじゃ、ゼニスはやらん。というかいなくなったらうちは大破産するワイ!」

 

 マカロフは浮かれていると、一通の手紙が届く。

 

『マスター、定例会ご苦労さまです。実はマスターが留守の間にとても素敵なことがありました。エルザとゼニス、あのナツとグレイがチームを組んだんです。もちろんルーシィとハッピーも。ね、素敵でしょ? 私が思うにこれってうちの最強チームだと思うんです。一応報告しておこうと思って手紙を出しました。それでは〜』

 

 手紙の送り主はミラジェーンで彼女は特に心配もなさそうに手紙に綴っていたためマカロフも一瞬困惑しましたがそれはマカロフにとっては絶望に近い知らせでした。

 

「な、なんてことじゃああ!! 本当に町1つ潰しかねん!?」

 

「あら〜、ゼニスちゃんはともかく、ほかは大変ね~」

 

「今のうちにゼニスを引き抜いておくか?」

 

 ゼニスは金勘定がえげつないくらい完璧。キチンと管理するため、マスターや評議員のような管理職には人気の人材なのであった………

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

 時と場所は戻り、オシバナ駅ではカゲヤマがひん死状態で魔風壁を解除できず、八方塞りな状態だった。

 

 ナツは無鉄砲に魔風壁に体当り。ルーシィはそれを止めている。

 

 そしてナツはルーシィをみて何かを思い出したかのように声をあげる。

 

「そうだ、星霊! エバルーの屋敷で星霊界を通って場所移動ができただろ!」

 

「いや、普通は人間が入ると死んじゃうんだけどね。息ができなくて」

 

 ナツの言ってることはわからんがルーシィの言うそれは詳しい事情を知らない俺でもわかる。瞬間移動の魔法を使うやつならともかく俺やエルザの空間魔法やルーシィの星霊魔法は本人の周辺でしかゲートを開けないから魔風壁の外に一人でもいなければ移動はできない……

 

 すると今度はハッピーが………

 

「あーーーー! 思い出したよルーシィ! これ!」

 

 ハッピーは黄金の鍵を荷物から出してルーシィに見せた。黄道十二門の星霊の鍵である。

 

「バルゴの鍵!?」

 

 ハッピー曰く、エバルーとか言う前の契約者が逮捕されて新しい主としてルーシィと契約したいとハッピーのところを訪ねてきたらしい。

 

 しかし、俺等にはそんなことに構っている暇は………

 

「だってバルゴは地面に潜れるし、魔風壁の下を通って出られるかなって思ったんだ」

 

「何!?」

 

「本当か!?」

 

「そうか! 魔風壁は地中には影響しない! 行けるはずだ!」

 

 とはいっても、普通の魔道士がコンクリの地面に穴を掘って出るには数日かかるだろうが、魔法で穴を掘れるなら話が別だ。

 

「そっかぁ、やるじゃないハッピー! もう、どうしてもっと早く言わなかったの?」

 

「ルーシィがつねったから」

 

 ハッピーが辛辣……ともかくルーシィは星霊魔導士として、初めて召喚する星霊に使う呪文を詠唱する。

 

「我……星霊界との道をつなぐ者。汝……その呼びかけに応え、ゲートをくぐれ。開け! 処女宮の扉! バルゴ!!」

 

 カンコーン! と召喚音が鳴り、そこに現れたのはナツよりもピンクよりの髪色でショートヘアーの両手首に鎖のついた腕輪をつけたメイド服姿の女性だった。

 

 そして、ルーシィは何故かそのバルゴの姿を見て唖然としていた……前に仕事であったのでは?

 

「痩せたな」

 

「あの時はご迷惑をおかけしました」

 

「痩せたっていうか、別人!?」

 

 別人? 聞くところによると、バルゴは主の好みの姿に自身を変えることができるらしい。

 ナツが「前のほうが迫力あってよかった」などいうと、一瞬、ゴリラのような巨体になったがルーシィが全力で拒否しもとに戻った。

 

(そういえば、前にルーシィ達が仕事へ行った先の権力者、エバルーといえば女性に対する美的感覚がおかしいことで有名な奴だったが、なるほどさっきの姿が好みだったということか……)

 

 とはいえ、時間がない。契約にうるさい星霊魔導士のルーシィでも契約を後回しにするほど急いでるため、とりあえず主としての呼び方だけ相談して決めることになった。

 

「ご主人様」

 

「それはやめて」

 

「女王様」

 

「却下!」

 

「姫」

 

「そんなところね」

 

「「そんなところなのか!?」」

 

 てか急げ!?

 

 バルゴは地面に穴を掘り、俺達は追いかけるように穴の中へ入り、魔風壁に包まれた駅から脱出成功。

 

 そしてさっきの魔導四輪でエリゴールを追いかけ………

 

「あーーー!? こ、壊されてる………」

 

 レンタルした魔導四輪が破壊されていた……エリゴールがやったと思われる………この仕事が無事に終わったら弁償代を鉄の森(アイゼンヴァルト)の連中に請求してやる!

 

「仕方ない、別の魔導四輪を使って追いかけるぞ!」

 

「いや、乗り逃げになっちまうぞ!?」

 

「緊急事態だ!」

 

 追いかけようと思ったらすでにナツとハッピーがいなかった。

 

 どうやら先にエリゴールを追いかけたようだ。

 

 勝手な行動をとエルザやグレイは思ったようだが、ナツの乗り物酔いを考えたらこっちのほうが最善だと思える。

 

 ルーシィとグレイが一応、カゲヤマも魔導四輪に乗せる。オシバナの街の診療所には誰もいないからな……

 

 エルザはさっきの戦闘で魔力を大量消費しているため、俺が運転をしている。

 

 しかし、俺ではエルザみたいに大胆な運転ができず、少し遅い……

 

「ゼニス……もう少し急げないのか?」

 

「こんな狭い道で無茶言うな……一歩間違えたら奈落に落ちちまう……それに、ハッピーのMAXスピードならエリゴールにも追いつけるし、ナツがエリゴール倒してくれたら設けもんだ……それともエルザはナツを信じてないのか?」

 

「そうだな……ナツを信じよう……」

 

 エルザは俺の言葉に少し安堵したようだ。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 ナツとハッピーに追いつくと、激戦だったのかナツは裸マフラーというグレイですらドン引きの格好になっていて、エリゴールはぶっ倒れていた……

 

「そ、そんな! エリゴールさんが負けたのか!?」

 

 乗っていたカゲヤマは驚いていた。エリゴールが負けるなんて微塵にも思っていなかったのだろう……

 

 俺は地面に転がっていたララバイを拾おうとすると………

 

「油断したな、ハエども!! ざまぁみろー!!」

 

 ララバイをカゲヤマが拾い上げ、俺等が乗っていた魔導四輪を奪い、クローバーへの道を走っていった!?

 

 「よし! これで魔導四輪を盗んだのは鉄の森(アイゼンヴァルト)って事で誤魔化せる」

 

「言ってる場合か!? 追うぞ!!」

 

「どうやって!?」

 

「走ってだ!!」

 

 やっぱりそうなるよな………

 

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 

 俺達はクローバーの町へ到着し、定例会場へ向かうとうちのマスターマカロフとカゲヤマが対面していた。

 

「じっちゃん!」

 

「マスター!」

 

 俺等もすぐに向かおうとしたが俺等を止める人が一人……

 

「しっ、今、イイトコなんだから見てなさい」

 

「な、なに? この人……」

 

「魔導師ギルド【青い天馬(ブルーペガサス)】のマスターボブ(♂)さんだ」

 

青い天馬(ブルーペガサス)のマスター!?」

 

「ゼニスちゃんは代わらないわねぇ」

 

「ボブさん。いいかげんカレンの借金、立て替えて払ってくれません?」

 

「それはまた今度♡」

 

 ゾクッ!? と背筋が凍るが俺達は見守ることにした。

 

 カゲヤマはララバイに口をつけ、吹こうとするが何故か吹かない……

 

「吹いても良いが、吹いても何も変わらんよ」

 

 マスターが語りだした。

 

「弱い人間はいつまでたっても弱いまま。しかし弱さの全てが悪ではない。元々人間なんて弱い生き物じゃ。1人じゃ不安だからギルドがある、仲間が居る。強く生きる為に寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶち当たるし、遠回りするやもしれん。しかし、明日を信じて踏み出せばおのずと力が湧いて来る、強く生きようと笑っていける。………そんな笛に頼らずともな」

 

 そうか……マスター、全てお見通しだったのか……

 

 カゲヤマはララバイを地面に落として「参りました」と土下座した。

 

 それを気に、エルザ、グレイ、ナツ、ルーシィはマスターに駆け寄った。

 

「ぬぉぉ!? なぜお主らがここに!?」

 

 マスターのさっきの言葉に感動してか、エルザは自身の鎧にマスターを打ち付け(抱擁のつもり)、ナツはマスターの頭をペシペシする。ルーシィはカゲヤマに病院へ行くように言う。

 

 俺はララバイを拾おうとすると………

 

『カカカ、どいつもこいつも根性のねぇ魔導師どもだ』

 

 ララバイから声がした……まさかこいつ!?

 

『もうガマンできん! ワシ自ら喰ってやろう! 貴様らの魂をな!!』

 

 ララバイから煙が出てきてその煙が形を造り、怪物となっていく!!

 

「なるほど、魔笛をゼレフが進化させたってのはこういうことか?」

 

「どういうこと?」

 

「【呪歌のララバイ】は元から呪殺の為の魔笛だった。それを黒魔道士ゼレフがさらなる魔笛へ進化させた……つまり、自ら動き自発的に音色を発することが可能な生きた魔法へ進化させたって意味だったんだ。つまり奴は魔法生物……【ゼレフ書の悪魔】って事だ」

 

「ゼレフ書の悪魔!?」

 

 俺等が驚いていると、ララバイは語りだす。

 

「くくく、その通り。しかし、意思を持つと当然、腹が減ったりと不便な部分も出てくる……貴様らの魂を喰わせてもらうぞ」

 

「なにーーーー!! 魂って食えるのか!? うめぇのか!?」

 

 論点はそこじゃない!? いや、火食えるナツならではの反応かもしれないが……

 

「全員まとめて喰ってやる」

 

 ララバイは自ら音色を発するべくか息を吸い込む。が、その一瞬の隙をついてエルザがやつの足に一撃を入れた。

 

 バランスを崩したララバイ。そして今度はナツがララバイによじ登り、顔に向かって炎をまとった足でキック!

 

 続けてララバイは「小癪な」といい、周りに向かって玉のような魔法弾を吐き散らす。

 

(不味い!? マスターたちが巻き込まれる!?)

 

 しかし、その近くにはグレイがいる。

 

「アイスメイク……‘シールド’!!」

 

 グレイお得意の氷の造形魔法で大きな盾を作りガード!

 

 俺もメダルを大量に出して魔法を使う。

 

「【鎖魔法(チェイン)】&【拘束魔法(バインド)】×30 【光線魔法(レーザー)】&【弾力魔法(バウンド)】×30!!」ジャラララッ!!

 

 メダルから魔法陣が現れ、 そこから出た鎖がララバイを拘束、そして光線が放たれ、それが魔法陣に当たり反射……もとい跳ね返り乱獲攻撃となりララバイを襲う!! 見ていた人たちは言う。

 

「おお! ゼニス殿は財政管理だけでなく本当に強い魔道士だったのか!?」

 

「本気で戦っているところは初めて見たぞ!」

 

 少し失礼だが、たしかに人前で全力で戦うことも少ないので何も言わないでおく。

 

 そして、ナツの全力の【火竜の煌炎】が決まり、ララバイは崩れた。

 

「す、すごい……これが……【妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チーム】」

 

 周りもゼレフ書の悪魔をたった5人と1匹で倒したことで声援が贈られた……が、マスターは【あること】に気が付き、先に逃げ出した。

 

「ぬあああぁぁぁっ!!? 定例会の会場が粉々に!?」

 

 俺等も全力で逃げたのだった。

 

「とりあえず、今回かかった費用は全てエルザ持ちでいいな?」

 

「なにぃ!? 一部は鉄の森(アイゼンヴァルト)だろう!?」

 

「言ってる場合か!?」

 

 なんにせよ、また面倒なことになりそうなのだった………

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 

「……くくく、我等ゼレフ書の悪魔は死んでも滅びん……あとはラボへ……絶対に復讐してやるぞ………くくくくくっ!!」




 次回からガルナ島編……の一歩手前まで

 お楽しみに
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。