妖精の尻尾の悪魔の守銭奴   作:魔導士ギルド【ヴィーナスフィスト】

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ガルナ島編最終回

ゼニスはリオンに少し話します。


月を破壊せよ

 デリオラはウルによって殺されていた……

 

 これでもう月の雫(ムーンドリップ)の儀式をリオンたちがする意味はないので、村も元通りになる……はずもなかった。

 

 S級クエストは終わっていない。デリオラはクエストとは無関係であり、村人が悪魔化しているのは別問題なのだから……

 

「オレは知らんぞ」

 

 案の定、リオンは知らない。聞くところによれば、3年間、この島で儀式はしていたが村には干渉しなかったし村人から干渉してくることもなかったらしい………しかも、同じ光を3年間浴び続けたリオン達には誰も悪魔化らしき現象は起こっていないらしい………

 

(俺はこの島に来てからずっと身体がピリピリはするが……この遺跡周囲では特にピリピリが強い……しかし、これを言うわけにはいかないな……)

 

 俺達は村人に話を聞きに行くことにした。その前にグレイはリオンにいう。

 

「とりあえず、お前はどっかのギルドに入れよ。仲間がいて、ライバルがいて、きっと新しい目標が見つかる……」

 

 と、そうだ。俺も言っておかなくては……

 

「お前の仲間のユウカとトビーがいた蛇姫の鱗(ラミアスケイル)には、お前らの師匠だったウルも得られなかった【聖十大魔道】って称号を持つ魔道士が所属してるぞ? もし、お前がその称号を獲得できれば、師匠を超えたことにはなるんじゃねえか?」

 

「………なに?………」

 

「うちのギルドマスターも持っているが、流石にグレイと一緒は嫌なんだろ? ユウカやトビーに紹介してもらえよ」

 

「ふん……くだらん……さっさと行け」

 

 とりあえず、あいつの目標はまだ続けられそうだ………

 

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 

 俺達は村人がキャンプに使ってる資材置き場に戻ってきたが、そこには誰もいなかった……

 

 と思っていたら1人の村人が俺等を呼びに来た……そして案内された先には……

 

「なにこれ……村がもとに戻ってる」

 

 そうなのだ……まるで時が戻ったかのように……時が戻る?

 

 俺とナツはあのナマハゲ仮面のヤツを思い出す……リオンに聞いたが奴は【ザルティ】と言うらしいが、恐らく偽名だろうな……

 

悪魔の心臓(グリモアハート)……デリオラをどうするつもりだったのか……いや、ザルティとか言うやつがその闇ギルドの一員だっただけで別の黒幕がいる可能性もあるが……)

 

 これはバラム同盟をきっちり調べなおす必要もあるかもしれないな……

 

 それはさておき、村の村長さんと思われる悪魔?が俺達に言ってきた。

 

「魔導士どの! 一体、いつになったら月を破壊してくれるんですかな! ぼがーーーーー!!」

 

 月を破壊?

 とりあえずS級クエストの内容をおさらいすると、ここの村人達は夜、紫の月が出ている間、悪魔の姿になってしまうため、月を破壊してほしいという依頼だったらしいが……

 

 エルザも村人を集めて情報を整理する。

 

「ここよ村人達は紫の月が出ている間だけ、悪魔の姿となってしまう。それは3年前から……しかし、3年間、この島では毎日月の雫(ムーンドリップ)が行われていた、遺跡には毎日一筋の光が見えていたハズ……きゃあ!!!」

 

 エルザは落とし穴に落っこちた。

 

(誰だ!? こんな村に落とし穴掘ったやつは!?)

 

 確認するとルーシィだったらしい………

 

「つまり、この島で一番怪しい場所ではないか、なぜ調査しなかった?」

 

 エルザは何もなかったかのように続けた。落とし穴に落ちたことはツッコんだら死ぬな……

 

 話を戻して村長さんは語るが内容は村の掟で遺跡には近づいてはいけないとかなんとかいうが要領を得ない……

 

「もしかして……近づきたくても近づけなかったんじゃないか?」

 

 俺がそう言うと、村長含めて村人達は全員驚き、言い出す。

 

「そうです! そうなのです!! ワシらも掟だのなんだの言ってられず調査しようとばっちりもみあげを整えて遺跡へ向かいましたが、たどり着けないのです! 遺跡へ向かったはずなのに村の門に戻ってきてしまうのです!」

 

 やっぱりか……俺の身体のピリピリも今も感じてる……多分俺一人だったらあの遺跡へたどり着けなかった可能性もあるな……

 

 それにしてももみあげを整えての部分は必要だったのだろうか?

 

 それは置いておいて、エルザは何やら納得したかのように「やはりか……」と言って……

 

「ナツ、ゼニス、ついてこい。これから月を破壊する」

 

「わかった……」

 

「おおっ!!」

 

「「「ええーーーーー!!」」」

 

 俺とエルザは事実に気がついた。ナツは多分ただのノリ、そしてその他は突拍子もない事を言ったみたいで驚く。

 

 エルザはナツを連れて村の見張り台に登った。

 

 俺は下からサポートして欲しいらしい……

 

 エルザは投擲力を上げる【巨人の鎧】に換装し、闇を退ける【破邪の槍】を出す。

 

「ゼニスはありったけの【弾力魔法(バウンド)】と【強化魔法(ブースト)】のメダルを使って私達をさらに上へ飛ばし、力を底上げしてくれ、ナツは私が槍を投げるタイミングで石づきを全力で殴れ、この3連コンボで月を破壊する」

 

「おしっ! わかった!!」

 

「いくぞ【弾力魔法(バウンド)】✕20 【強化魔法(ブースト)】✕30」

 

 空にジャンプ台の魔法陣がいくつも出て、エルザとナツに強化がかかる。そして2人はジャンプ台を利用して空へ飛んでいき……

 

「おぉう!!」

 

「そらぁ!!! 届けぇェェェ!!!」

 

 エルザが放った【破邪の槍】が月へ向かって飛んでいき………

 

 

 

 ピキッ!

 

 

 

 月にヒビが入った。

 

「「嘘だああああああああああっ!!!」」

 

 ルーシィとグレイはありえないものを見たように驚く。

 

 しかし………

 

 

 

 パキィィィィン!!!

 

 

 

 割れたのは月ではなく、空が割れた。

 

 そう、この島の紫の月は月の雫(ムーンドリップ)によって出た邪気の幕で覆われていたのだ。

 

 そして村人達から光が放たれる………

 

「邪気の幕は破れ、この島は本来の輝きを取り戻す」

 

 しかし、村人達の姿は悪魔の姿のままだった。

 

「けど、戻らねぇのか?」

 

「いや、戻ってはいる」

 

 俺も身体のピリピリが消えたし、もう間違いないと言えるだろう。

 

「は?」

 

「そう、邪気の幕は彼等の姿ではなく記憶を冒していたのだ」

 

「記憶?」

 

「夜になると悪魔に変身するってのが、間違った記憶だったんだよ……つまり……」

 

「彼等は元々悪魔だったのだ」

 

 この話をエルザがし終えると、村人達はまだちょっと混乱していたようだが、自分達が悪魔であることを再認識したようだった。

 

「ここの村人は人間に変身する能力があったんだよ。だけど儀式の影響で悪魔になるという記憶障害が起こっていた。リオン達が平気だったのは影響は悪魔にだけ起こる現象だったからって事だ。遺跡に近づけなかったのも悪魔は遺跡みたいな神聖な場所には近づけないってのは相場だろ?」

 

 俺が説明を終えると「流石だ」と1人の悪魔が現れた……

 

「魔道士さん、ありがとう」

 

「ボ……ボボ!!」

 

 聞くところによると村長さんの息子さんらしい……ナツ達をこの島に連れてきた船乗りさんでもあるらしいのだが……

 

 何でも彼は自分だけ記憶が何故か戻って、外の人間になんとかして貰うために姿をくらませていたらしい……

 

 そして村人達は全員、本格的に記憶が戻ったのかみんなバサバサと空を飛び周っていた。

 

 そんな姿を見て俺達は、彼等の姿が悪魔ではなく天使にも見えていた………

 

 

 ………………。

 …………。

 ……。

 

 昨晩、村で散々に騒いだあと、グレイは頭にキズが残ったり、ナツが火を食ってるところをみて村人に驚かれたりといろいろあったが、報酬の話を村長と行う。

 

「なんと、報酬は受け取れないと?」

 

「ああ、今回はギルドから正式に受理された仕事じゃない」

 

「いや、エルザ……お前が受けた仕事ってことにすれば……」

 

「ゼニスは黙ってろ」#

 

「はい、黙ります」

 

 クソ、金だけでも受け取れるようにしようと思ったのに……

 

「それでも我々が救われたのは変わりません。でしたらギルドへの報酬ではなく、友人へのお礼という形で受け取ってはもらえませんか?」

 

 おおっ!? それなら問題ない! エルザ! イエスと言え!?

 

「そう言われると拒みづらい……しかし、受け取ってしまえばギルドの理念に反する。追加報酬の鍵だけありがたくいただくとしよう」

 

「「「いらねーーーーーっ!!!」」」

 

「いるいる!!」

 

 こうして、俺達はガルナ島での仕事を終えたのだった……

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「ごめんなさい、ジークレイン様。あの女の魔力があそこまで強大だとは……それに悪魔の心臓(グリモアハート)の事もバレちゃった」

 

「そんな言い方するもんじゃねぇぞ。しかし、ゼニスとか言うやつは何者だ? デリオラに因縁があるとか……」

 

「さあ? でもあの島の影響を少し受けてたみたい……てことは……」

 

「なるほど……ということは【奴等】か?」

 

「可能性はあるわね……ふふふ」

 




 ジェラールとウルティアはゼニスの正体に感づいた。

 次回からファントム編です。
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