ある男が報道機関に就職した。他の道もあったが、彼は報道番組の企画・運営に興味関心があった。
だが、現実は厳しかった。周囲のライバルは自分よりも才能があったり、営業で大口のスポンサー契約を取ってくる交渉力といった強みがあった。
一方で男にはそういう実力と才能に欠けていた。故に男は妨害工作を行う事にした。
企画書を奪って手柄にし、誹謗中傷を行い、上司に陰口を吹き込み…ライバルを蹴落として地位を向上させていった。
男は気づいていなかった。その代償として自分の倫理観が壊れていった事に。やがていつの日か、彼は犯罪行為に対する抵抗感が一切無くなっていた。
ある日、プロデュエリストの少年をメインに番組を立ち上げることになった。
男は今まで得てきた経験から『トークショーや着ぐるみをデュエルに取り込む』などの助言をしたが、聞き入れられる事は無かった。
そこで男はその少年の付き人に目を付けた。その少年をプロデュースして成功すれば、自分はさらに高みに登れる。
途中までは上手くいっていた。自分の助言を袖にしたプロデュエリストの少年は引退。自分がプロデュースした少年は一躍有名になった。
次の段階に進ませるために、引退したプロデュエリストを再び舞台に引っ張り出し、叩きのめす事でやられ役からスターにする為の踏み台にしようとした所…。
すべてが崩れた。開発費1000億のカードを盗んだ事を公衆の面前で暴かれて千里眼グループの関係者に捕まり、犯罪者として地位も名誉も失った。
機会を得て男は逃亡に成功するも、逃亡生活は過酷な物だった。いつ見つかるか分からないというストレスの中、男は逃げ続けた。
そんな男はある一団に見つかった。その一団が万丈目グループと敵対していると知った瞬間、男は自分を売り込んだ。
曲がりなりにも報道機関でしのぎを削ってきた男は使えると判断され、彼らは自分を受け入れてくれた。
長作議員が倒れた際の報道番組の台本を仕上げ、男はニヤニヤした。
「…これで政界は崩れた。俺のおかげでプロになれたにも関わらず、俺を擁護しなかった事をたっぷり後悔させてやるぞ、万丈目。その次はエド、お前だ…。」
男の名は、マイクという。
「マイク君。少しいいかな?」
「何でしょうか?」
話しかけてきたのは、万丈目グループの乗っ取りを計画する一派において、政界を担当している二世議員。
マイクにとっては、年下で苦労知らずなお坊ちゃまの癖に自分を見下すような目つきをしている事もあって快く思っていない。
まぁ、今は表立って行動するつもりはない。
「長作議員の一人娘、雷姫の身柄を確保しようとしたデュエルモンスターズの教員が敗れた。」
「なっ?!ま、まさかおジャ万丈目が?!」
マイクにとって、万丈目準はエド・フェニックスに及ばないと思っていたが、あの後実力で勝利したと聞いており彼の中での評価は大きく変化していた。
「いや、彼ではない。彼の姪である雷姫に敗れた。彼女が通っている学園の教員という事で期待していたのだがね」
「しかし、彼女は被選挙権すら持っていないはず。貴方の敵にはなりえないのでは?」
「ここで身柄を押さえておけば兄弟に対して人質になる。三男坊に対し『姪の命が惜しければ…』と脅迫すればデュエルを有利に進められる。」
「なるほど!」
「万丈目グループを乗っ取った暁には、そのまま婚約するのも悪くない。14才年下だが、愛があれば関係ない。」
悪人たちは謀略を張り巡らせる。
「ところで、雷姫を倒す方法は?」
「今のところ、父親が使っていた竜魔人キングドラグーン軸の【宝石ドラゴン】を使っている。とりあえずデュエリストにアンチドラゴンデッキを構築させた。」
そう言って去っていく二世議員を見送った後、マイクは考える。
長作議員が倒れた後の台本を仕上げたものの、それ以降の自分は反万丈目グループの雑用しか任されていない。
もっと手柄を上げて足場を固めておかないと不安だ。となれば…。
マイクはそっと部屋を抜け出す。目指すは対ドラゴン族デッキだ。
数時間後。
デッキが盗まれたという報告を、二世議員は黙って聞いていた。
「構わない。」
「よろしいのですか?」
まぁ、勝てばそれでよし。負けたとしても失うのは試作デッキともはや用済みとなったマイクだけ。
時間を稼いでいる間に、プロデュエリストを雇う。雷姫を倒し損ねたなら改めて刺客として送り込み、始末した後は万丈目準にぶつける。
同時刻。
万丈目雷姫は、父の部下と共に行動していた。
「こんな時期にお嬢様を連れ出すなんて」
「この時期だからだ。万丈目グループは健在という事を知らしめ、庄司様のご負担を少しでも減らさねば。」
父の地元の有力者との交流。彼らから意見を聞き、利害関係を調整し、争いがあれば落としどころを模索する。
そんな彼らに向かって、ジャーナリストが数名突進してくる。
「何だお前達は!」
「ZTVの者です!長作議員が倒れたという件についてお話を」
「ノーコメント!ノーコメントだ!アポも取らずに押しかけおって!」
「そこを何とか。」
「くどい!」
非礼なジャーナリストに、殺気を放つ男たち。
だが、黒服の一人が違和感を感じる。
「…ん?おかしいぞ?」
「何だ!」
「いや、あいつらのカメラ…そもそも回っていない」
「はぁ?!じゃあ、こいつらは一体何者」
そこまで言い終わった次の瞬間。後ろからデュエルディスクを構えた男が駆け寄ってくる。
派手な指輪から闇の瘴気が噴き出て、雷姫と男を包み込む!
「よし、成功だ!」
「しまった!こいつらは囮か!」
ジャーナリストに扮していた者たちは報道機材のジャンク品を投げつけると、そのまま逃亡する。
残ったのは、闇の瘴気に包まれた謎の空間。非科学的な光景を前に、黒服達は手も足も出せない。
「何だ、なんなんだよ!デュエルモンスターズって!」
万丈目長作議員の腹心として、初当選の頃から従っているベテランの男は、大声で叫ぶ。
「カードゲームじゃあ無いのかよぉおおおおおお!」
同時刻。
万丈目準は闇のゲーム特有の気配を察知していたが、そちらに向かって動けないでいた。
「さぁ、我とデュエルだ!万丈目!」
自分にデュエルを挑んできている白地に金色の縁取りがされたプレートアーマーを着込んだ西洋人は一体何者なのか?
このタイミングでの襲撃を考えれば、連中の一人というのが妥当なのだろうが。万丈目の鋭い推理は『無関係』であると告げていた。
「何者だ。」
「我はカルマ・ド・ランスボウ!古の血を引く騎士!お前を倒すべく来日した。逃げるというなら逃げるがいい、だがその場合、我の不戦勝とさせてもらう!」
プロ相手にアポも無しに押しかけてデュエルをしろと騒ぎ、断るなら不戦勝とさせてもらうと言い出す相手を、冷たい眼で睨む万丈目。
「いいだろう、後悔するなよ!」
「いざ!」
「「デュエルッ!!」」
サンダー ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
カルマ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「我の先攻、ドロー!我は切り込み隊長を召喚!効果発動、手札よりマスクド・ナイトLV3を特殊召喚!効果発動、攻撃宣言を行わない代わりに、400ポイントのダメージを与える!ヘルソナー・ブラストォ!」
「フン」ライフ4000から3600
「魔法カード、レベルアップ!を発動!マスクド・ナイトLv3を墓地に送り、デッキよりマスクド・ナイトLv5を特殊召喚!効果発動!攻撃宣言を行わない代わりに、1000ポイントのダメージを与える!ヘルソナー・ツイン・ブラストォ!」
「ちっ」ライフ3600から2600
「二枚目の魔法カード、レベルアップ!マスクド・ナイトLv5を墓地に送り、デッキより我のデッキ最強モンスター、マスクド・ナイトLv7を特殊召喚!効果発動!1500ポイントのダメージを与える!ヘルソナー・ビッグ・ブラストォ!」
「ええい!」ライフ2600から1100
この時、万丈目はカルマのコンボはここで終わると思っていた。
マスクド・ナイトLv7を最強と呼んでいる以上、攻撃力2900のこのカードを場に残しておくだろうと。
だが。
「速攻魔法、レベルダウン!?を発動!マスクド・ナイトLv7をデッキに戻し、墓地より召喚条件を無視してマスクド・ナイトLv5を特殊召喚!効果発動、攻撃宣言を行わない代わりに、1000ポイントのダメージを与える!ヘルソナー・ツイン・ブラストォ!」
「ぐううううっ!おのれっ!」ライフ1100から100
追い詰められた万丈目の様子を見て、カルマは勝ち誇る。
「どうだ!レベルアップだけでなくレベルダウンも組み合わせた、我のマスクド・ナイトコンボは!これで貴殿のライフは残り100!勝負あったな!レベルアップモンスターの真の使い手は、このカルマ・ド・ランスボウ!次のターンで貴殿を倒せば、我を『ランスボウ家の次期当主失格』として廃嫡した父上の眼もきっと覚めるはずだ!ターンエンド!」
サンダー ライフ100
手5 フィールド
魔法・罠
カルマ ライフ4000
手0 フィールド マスクド・ナイトLv5 切り込み隊長
魔法・罠 伏せ1
「なるほど。お前もプレッシャーをかけられ続けた存在か。」
「ふざけるな、万丈目準!何不自由なく甘やかされて育った貴殿に、周りから弟と比べ続けられてきた我の苦悩が分かるものか!」
その物言いに万丈目準はかなりのいら立ちを覚えたが、直後に思い直す。
これはあの時の自分自身。がラム財閥の御曹司であるアモン・ガラムに無理やりデュエルを挑んだ自分自身。
「…そうだな。俺には貴様の気持ちなどわからん。だからデュエルで語る!俺のターン、ドロー!このスタンバイフェイズに速攻魔法、おジャマッチングを発動!手札のおジャマ・グリーンを墓地に送り、デッキからおジャマ・ブルーとアームド・ドラゴンLv10を手札に加える。その後、手札からアームド・ドラゴンを召喚する!現れろ、アームド・ドラゴンLv3!」
「来たか!アームド・ドラゴン!相手にとって不足なし!」
「さて、このスタンバイフェイズにアームド・ドラゴンLv3の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキからアームド・ドラゴンLv5を特殊召喚!魔法カード、レベルアップ!を発動!アームド・ドラゴンLv5をLv7に進化させる!」
「出てきたか、アームド・ドラゴンLv5!我がマスクド・ナイトLv5より攻撃力は100ポイント上だが、我の場に切り込み隊長が居る限り、貴殿はマスクド・ナイトLv5に手出しは出来ない!」
「俺はアームド・ドラゴンLv7をリリース!アームド・ドラゴンLv10を特殊召喚!アームド・ドラゴンLv10の効果発動!手札のおジャマ・ブルーを墓地に送り、キサマのモンスターをすべて破壊する!」
「ぐううっ!我のマスクド・ナイトLv5と切り込み隊長が!」
悔しそうにするカルマだが、その口元は笑っている事に万丈目準は気づく。
となれば、あの伏せカードはこちらにダメージを与えるバーンカードか何かだろう。
フリーチェーンではないはずだ。となれば攻撃反応型の罠か。
万丈目は神の宣告を見ながら考える。ここは一ターン待って次のターンに仕掛ける。
「手札から永続魔法、武装竜の震霆を発動!アームド・ドラゴンLv10の攻撃力をそのレベルの100倍アップさせる!よって攻撃力は4000だ!」
「こ、こここ攻撃力4000だと!!白兵戦はダメージを受けた時、相手に700ポイントのダメージを与える罠カード…、一撃でライフを0にされては、発動出来ないではないか!」
この慌てっぷりは演技とは思えない。
マスクド・ナイトのモンスター効果を連発させたものの、ライフを削り切れていない状況で勝ちを確信する、ポーカーフェイスも下手。
おまけに追い詰められたら伏せカードを自白する。
彼の弟とやらがどれほど優秀なのか知らないが、少なくともこの調子では父親が見限るのも頷ける。
「バトルだ、アームド・ドラゴンLv10でダイレクトアタック!アームド・ビッグ・バニッシャー!」
「うわあああああああ!」ライフ0
ライフが尽きたカルマは膝をついて項垂れる。
そんな彼を放置し、万丈目は姪の元へ向かう。
一方、闇の空間に閉じ込められた雷姫は眼前の恰幅の良い角ばった顎の男を睨む。
「お前が万丈目雷姫だな?」
「何者だ。」
「俺はマイク。かつておジャ万丈目と組んでいた。」
「叔父上の?ならば何故私を狙う!」
「お前の叔父が、俺を裏切ったからだ!」
叔父とマイクの事情を詳しく知らない。だが、自分を狙うというなら叩き潰すだけだ。
「「デュエルッ!!」」
マイク ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
雷姫 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「先攻は俺だ。ドロー!俺は魔法カード、手札抹殺を発動!互いに手札をすべて捨てて、新たに捨てた枚数分ドローする!」
「手札入れ替え…。」
雷姫は融合呪印生物-「闇」、神竜ラグナロク、真紅眼の黒竜、魔法の筒、死者蘇生を捨てて新たに5枚ドローする。
マイクはエレクトリック・ワーム、トロイホース、竜殺者、二重召喚、エクトプラズマ―を捨てて新たに5枚ドローする。
「俺は魔法カード、名推理を発動!」
「め、名推理?」
「何だ、知らないのか?お前はレベル12まで宣言、その後俺はデッキをモンスターカードが出るまでめくる。それが宣言されたモンスターと同じレベルなら墓地へ送られる。ただし、宣言されたモンスターと異なるレベルなら、そのモンスターを特殊召喚する!最も、それまでめくったカードは全部墓地へ送られるが。」
「そんなカードが…。」
「さぁ、レベルを宣言しろ!」
雷姫は考える。デュエルモンスターズというルールでは基本的にレベルが高ければ高いほど強力なモンスター。となれば。
「私は、レベル12を宣言!」
この場に万丈目準か、彼の知り合いが居れば唖然とするレベルを宣言する雷姫。
とはいえ、デュエリストとしての経験が浅い彼女は名推理で宣言すべきレベルなど知らないのだから無理も無い。
「ククク…さぁ、カードをめくるぞ!」
竜殺しの剣、ドラゴン族封印の壺、ビッグバン・シュート、ミクロ光線、断頭台の惨劇と捲られ。
「レベル7!バスター・ブレイダーだ!」
現れた上級戦士族を見て雷姫は警戒心を強める。
「攻撃力、2600。」
「おっと、それだけではない。このカードはお前の墓地・フィールドのドラゴン族の数×500ポイント攻撃力がアップするのだ。お前の墓地にはドラゴン族が2体、よって攻撃力は3600!」
「なっ?!」
「さらにウィクトーリアを通常召喚!効果発動!1ターンに1度、お前の墓地からドラゴン族を選択して、俺の場に特殊召喚出来る!」
「えっ?!」
「というわけで…お前の墓地から真紅眼の黒竜を俺の場に特殊召喚!」
パラレルレア仕様の真紅眼の黒竜を見て、マイクは眼を輝かせる。
「ほほぅ、これは素晴らしい…。高く売れそうだ!」
「よくもっ…あれっ?」
雷姫は訝し気にマイクのバスター・ブレイダーを見る。
「攻撃力が3100に下がった…。」
「何?ああ、そうか。墓地のドラゴン族を俺の場に特殊召喚したから攻撃力が500ポイントダウンしたのか。まぁいい。ドラゴン族相手なら攻撃力3100もあれば十分!カードを2枚伏せてターンエンド!」
マイク ライフ4000
手1 フィールド バスター・ブレイダー ウィクトーリア 真紅眼の黒竜
魔法・罠 伏せ2
雷姫 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「私のターン、ドロー!」
「この瞬間!永続罠発動!ドラゴン族封印の壺!これにより、場のドラゴン族モンスターは守備表示になる!」
「ドラゴン族を守備表示に…。相手のフィールドと墓地のドラゴン族の数だけ攻撃力を上げるバスター・ブレイダー、そしてドラゴン族を奪うウィクトーリア…そのデッキは」
「そう!アンチドラゴン族デッキ!このデッキに勝てる【ドラゴン族】デッキなど存在しない!」
「だけど、ドラゴン族封印の壺により、真紅眼の黒竜は守備表示になる。」
「それがどうした。」
相手の場と墓地のドラゴン族の数だけ攻撃力を上げるバスター・ブレイダー。相手の墓地のドラゴン族を奪うウィクトーリア。
しかし奪ったドラゴン族はドラゴン族封印の壺によって守備表示になるため、攻撃宣言が出来ない。
…どうにもかみ合っていない気がするが、どれもこれも厄介なカードである事は確か。一つ一つ打ち砕いていくしかない。
「私は魔法カード、龍の鏡を発動!墓地の融合呪印生物-「闇」と神竜ラグナロクを除外!竜魔人キングドラグーンを攻撃表示で融合召喚!」
「フン、キングドラグーンか。墓地のドラゴン族は減ったが、場にドラゴン族が現れたことで攻撃力は3100!さらにドラゴン族封印の壺により守備表示になってもらうぞ!」
結局守備表示にされるのだが、それでも雷姫は強気の姿勢を崩したくない一心で竜魔人キングドラグーンを攻撃表示で出した。
これが万丈目サンダーであれば相手の墓地に断頭台の惨劇が送られていた事から、安易に表示形式を変更するのは危険と判断。守備表示で出しただろう。
「…カードを2枚伏せてターンエンド!」
マイク ライフ4000
手1 フィールド バスター・ブレイダー ウィクトーリア 真紅眼の黒竜
魔法・罠 ドラゴン族封印の壺 伏せ1
雷姫 ライフ4000
手3 フィールド 竜魔人キングドラグーン
魔法・罠 伏せ2
「俺のターン、ドロー!リバースカードオープン!メタル化・魔法反射装甲!これは場のモンスターを選択!攻撃力と守備力を300ポイントアップ!さらに装備したモンスターの攻撃力は、戦闘を行う時のみ、攻撃対象モンスターの攻撃力の半分だけアップする!」
「なっ?!攻撃をするときも、されるときも攻撃力の半分だけ数値が上がるの!」
その効果の凶悪さに、思わず驚愕する雷姫。
戦闘破壊を狙うなら、守備表示にするしかないではないか。
最も、マイクが「攻撃を行うとき」というのを「戦闘を行うとき」と勘違いしているせいである。
「俺はこれを、真紅眼の黒竜に装備!」
「ドラゴン族封印の壺で守備表示になって、攻撃宣言出来ない真紅眼の黒竜に罠カードを装備?一体何を狙っている…。」
デュエリストとしての経験は浅いが万丈目一族の子女として努力してきた才媛は、単なるミスではなく次の一手だろうと推察する。
「俺はメタル化を装備した真紅眼の黒竜をリリースする事で、デッキからこのモンスターを特殊召喚!現れろ、レッドアイズ・ブラックメタルドラゴン!」
全身に金属の鎧をまとったレッドアイズが現れる!
「だが、結局お前のドラゴン族封印の壺により守備表示に」
「ならないんだよ!こいつはドラゴン族では無くて機械族だからなぁ!さらに、ウィクトーリアを召喚!」
「またその天使…。」
「このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お前は表側表示で存在する他の天使族モンスターを攻撃対象に選択する事はできない。つまりお前は天敵のバスター・ブレイダーに戦いを挑むしかなくなったわけだ!バトルだ!」
「ならばこの瞬間!罠発動!バースト・ブレス!」
雷姫は、伏せカードの一枚を発動する!
「なっ?!」
「竜魔人キングドラグーンをリリースして発動!攻撃力2400以下の守備力を持つモンスターをすべて破壊!消えなさい、バスター・ブレイダー!二体のウィクトーリア!そして、レッドアイズ・ブラックメタルドラゴン!」
「ぐうううううっ!お、俺の、俺のモンスターがぁあああああ!」
場が一掃され、マイクは悔しがる。
「だが、たとえモンスターが全滅しようと、俺にはドラゴン族封印の壺がある!振り出しに戻っただけだ!ターンエンド!」
「エンドフェイズに罠発動!砂塵の大竜巻!私は、ドラゴン族封印の壺を破壊!」
「ぐっ?!ふ、フン!そんな効果ならサイクロンの方が使い勝手がいいじゃあないか!」
「砂塵の大竜巻の効果!私は手札の魔法・罠カードを1枚セットできる。カードをセット!」
マイク ライフ4000
手1 フィールド
魔法・罠
雷姫 ライフ4000
手2 フィールド
魔法・罠 伏せ1
「私のターン、ドロー!永続罠、リビングデッドの呼び声!墓地から竜魔人キングドラグーンを特殊召喚!効果発動!手札のドラゴン族を特殊召喚。現れろ、トライホーン・ドラゴン!」
攻撃力2850のドラゴン族が現れ、マイクの顔色が悪くなる。
「ば、馬鹿な!く、くそっ!何がドラゴン族抹殺デッキだ!まるで役に立たないじゃあないか!」
「バトル!トライホーン・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「うぎゃあああああああああ!」ライフ4000から1150
「竜魔人キングドラグーンでダイレクトアタック!トワイライトバーン!」
「うぎゃあああああああああ!」ライフ0
マイクのライフが尽きると同時に、闇の障壁が消滅する。
周りを見渡す雷姫の眼に、父の部下達の姿と叔父の姿が映る。
万丈目準も姪の安全を確認すると、相手の男を見て目を丸くする。
「お前は、マイク?!何故ここにいる!お前は最後のDを盗んだ事が千里眼グループにバレて逮捕されたはず。」
「ま、万丈目ぇ…お前さえ、お前さえ居なければ」
「ふざけるな!エドのカードを盗んだのはお前の意思だろう!!」
「くそっ、俺は、俺はあきらめないぞ!必ず…う、うががガガガッ!」
次の瞬間、マイクは白目をむき、口から泡を吹いて倒れこむ。
「おい、一体どうした…?ええい、口封じか。お前達、こいつを連行しておけ!」
兄の部下がマイクを連行する中、万丈目準は電話をかける。
相手は見知った相手だ。2コール後に電話が通じる。
『…ボクだ。』
「エド。マイクを確保した。」
『マイクを?!まさか、万丈目グループがマイクの脱走を手引きしていたのか!』
「そんな訳ないだろうが!マイクは俺の姪を襲ったんだ!」
『何?!無事なのか?』
「撃退したが、この落とし前はどうする?」
『待て、事が事だ。僕から会長にお伝えする。これはもはや千里眼グループと万丈目グループの問題になってくる。』
「頼んだぞ。」
電話を切り、万丈目は考える。
「…さて。」
マイクが使っていたというデッキを、万丈目準は回収する。ざっと確認し、デッキ傾向を把握する。
「…真紅眼の黒竜が入っていないのに、黒炎弾とレッドアイズ・ブラックメタルドラゴンとメタル化魔法反射装甲が入っているのは、雷姫の真紅眼の黒竜を奪う事を想定しているのか。ドラゴン族封印の壺の影響下だと奪ったドラゴン族が守備表示になり戦闘に参加できない。だが機械族になれば問題ない…と。ウィクトーリアやエレクトリック・ワームでドラゴン族を奪い、竜殺者やバスター・ブレイダーのアドバンス召喚を狙う。光の護封剣で攻撃を妨害される事態になれば、ウィクトーリアで奪ったドラゴン族をエクトプラズマ―でリリースする事によるバーンに切り替える…。」
万丈目はマイクがこのデッキを組んだとは微塵も思っていない。誰かが組んでそれをマイクに与えたと判断する。
ならば大事なのは、このデッキビルダーがどれほどの実力の持ち主なのかを探る事だ。
デッキ構築というのは、デュエリストの個性が色濃くでる。
万丈目ならば、バスター・ブレイダーとドラゴン族封印の壺に絞り、貫通効果を付与する装備魔法で戦う…というビートダウンにする。
三沢であれば、ウィクトーリアで相手のドラゴン族を奪う戦略を取るだろう。まぁ、あの男の事だから他にも戦略を組み込むかもしれないが。
「リミッター解除?おいおい、このデッキの機械族モンスタードはレッドアイズ・ブラックメタルドラゴンしかいないぞ。」
本気か、あるいは試作デッキか。いずれにせよ、雷姫のデュエリストレベルをさらに上げる必要がある。
『うわぁ~…これを組んだヤツ、相手をびっくりさせようとしているのねん。』
おジャマ・イエローは、そのデッキに込められたロマンを感じ取っていた。
『相手の真紅眼の黒竜を奪った物の、ドラゴン族封印の壺で守備表示になって攻撃出来ない』
『だがそこで黒炎弾とメタル化魔法反射装甲でデッキからレッドアイズ・ブラックメタルドラゴンを出して攻撃すれば…ワンターンキルとなる。』
おジャマ・グリーンとブラックがそれぞれ感想を述べる。
三匹のおジャマ達の感想を聞き、万丈目準の記憶にそんな奴がいたような気がする。
だが、どうにも思い出せない。
遊戯王GXの二次創作は多いですが、マイクがデュエルをするのは二つしか知りません。
そもそも登場時期が終盤な上に作中でデュエルをしていないので当然ではあるのですが。
5D’sのキャラの親族が参戦です。カルマ・ド・ランスボウは万丈目グループ乗っ取りを目論む一派とは無関係で、万丈目を倒して名を上げようとして返り討ちにあったというのが真相です。