両親が意識を取り戻した、という報告がまだ来ない。
つまり、闇のゲームを仕掛けた輩はこの二世議員では無いのだろう。
一体、どこに?すでに逃げてしまったのか?それとも、元々ここには居ない?
だが、そうなればここに戦力を集中する必要はない。
ふと、雷姫の耳に奇妙な笑い声が聞こえる。
「誰っ!」
『アヒャヒャ…』
これは幻聴などでは無い。そう判断し、雷姫は声がした方向へ走り出す。
たどり着いたのは、かなり厳重そうな扉。
だが、カギがかかっていない。
罠、という考えがよぎったが、ここまで来たなら罠ごと打ち砕く。
そう決心し、雷姫は重い扉を開ける。
そこに居たのは、異形。
燃える火が擬人化したとでもいうべきか。カードの精霊を想像したが、たとえ精霊だとしてもこれは善良な類いでは無い。
『初めまして。ワタクシは、紅蓮の悪魔のしもべ。』
「紅蓮の悪魔…。まさか!」
『ホウ?!まさか我が主をご存じで!』
「炎獄魔人ヘル・バーナー!」
その雷姫の発言に、紅蓮の悪魔のしもべはものすごく嫌な顔を浮かべる。
『…ワタクシの主は、そんな低級精霊ではありません。ところで、貴女はこの二人の子供ですかねぇ。』
カードに両親が苦悶の表情を浮かべた顔で封印されているのを視認した雷姫は、デュエルディスクを構える。
「父上!母上?!二人を解放しなさい!さもなくば」
『さもなくば?一体、貴女がこのワタクシに何が出来るとでも?まぁ、いいでしょう。挑まれた以上、お相手して差し上げますよ!ヒヒヒヒッ!」
紅蓮の悪魔のしもべが腕を構えると、赤と黒を基調としたまがまがしいデュエルディスクが出現する。
「「デュエルッ!!」」
雷姫 ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「私の先攻、ドロー!私は魔法カード、融合を発動!手札のロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-と神竜ラグナロクを融合!融合召喚!竜魔人キングドラグーン!」
父が叔父とのデュエルで使用したエースモンスターであり、今の雷姫にとっても思い入れが深い融合モンスターが出現する!
「ホウ!これは美しい!ですが、美しいだけではデュエルを制する事は叶いませんよ?」
「キングドラグーンの効果発動!手札のドラゴン族を特殊召喚出来る。私はチューナーモンスター、ラブラドライドラゴンを特殊召喚!」
「チューナー、ンッフフフフ…融合からシンクロに繋げるつもりですね?」
「私はクリア・エフェクターを通常召喚!レベル2の光属性、クリア・エフェクターに、レベル6のラブラドライドラゴンをチューニング!シンクロ召喚!光を纏いて現れろ!ライトエンド・ドラゴン!ここで、クリア・エフェクターの効果発動!シンクロ召喚のために墓地送りとなった時、カードを1枚ドローする!」
引いたカードを見て、雷姫は考える。
手札は「闇の量産工場」これで、墓地の通常モンスター、ラブラドライドラゴンと神竜ラグナロクを手札に戻せる。
そうなれば、シンクロ・フュージョニストと共にダークエンド・ドラゴンをシンクロ召喚。「融合」か、「再融合」を手札に加えられる。
「私はこれで、ターンエンド!」
雷姫 ライフ4000
手2 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「ワタクシのターン、ドロー!手札から永続魔法、通行税を発動!」
「つ、通行税?」
「おーっと、このカードをご存じない?ならばお教えシマショウ!お互いにモンスターで攻撃宣言を行う場合、500ポイントのライフを払わねばなりまーん!」
「なら、あなたにもリスクがあるはず!」
その叫ぶような声に、紅蓮の悪魔のしもべはクツクツと笑う。
「ええ、ええ、そうでしょうねぇ…ワタクシはこれでターンを終了しちゃいます!」
さほど動きを見せず、炎の悪魔はターンを終える。
雷姫 ライフ4000
手2 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠 通行税
「私のターン、ドロー!」
相手の手札が悪い、あるいはそう思わせるための手段か?
いずれにせよ、ここで足止めしていて勝てる相手ではない。
「魔法カード、闇の量産工場を発動!墓地よりラブラドライドラゴンと神竜ラグナロクを手札に戻す!そしてキングドラグーンの効果発動!ラブラドライドラゴンを特殊召喚!」
「オウ!またしてもチューナーを!」
「シンクロ・フュージョニストを召喚!レベル2の闇属性シンクロ・フュージョニストに、レベル6のラブラドライドラゴンをチューニング!闇と切り裂き現れろ!ダークエンド・ドラゴン!」
「シンクロ召喚のために墓地へ送られたシンクロ・フュージョニストの効果発動!デッキから融合を手札に加える!」
「上級ドラゴン族が3体!中々の器ですねぇ。」
三体の上級ドラゴン族を前にしても、余裕の態度。何かあると雷姫は直観的に察してはいたが、それが何なのか分からない。
だが、ここで攻めずして何時攻めるというのか。
「ダークエンド・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「ではここで通行税により、500のライフを払って頂きまショウ!」
「構わない!」ライフ4000から3500
「キーッヒッヒッヒ!ワタシは手札からモンスター効果を発動!速攻のかかし!ダイレクトアタック宣言時、その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了。」
「待ちなさい!キングドラグーンが場にいる限り、相手はドラゴン族を効果の対象には」
「おっとっと。この効果は対象を取らないのよん」
「えっ…。」
事実、デュエルディスクはメインフェイズ2を表示している。
万丈目準の指導は悪くはなかった。だが、この短期間で数千種類を超えるデュエルモンスターズのカード効果、そして複雑なルールを全て理解させる事は出来なかった。
彼自身、バーン効果や破壊効果を好み、防御カードについてはそこまで重視しない気質があった。師がそれなのだから、弟子も似たようなデュエリストになってしまった。
とはいえ、素人同然を一端に鍛え上げるなら、持久戦よりも速攻を重視するのは悪手ではない。
ただ、「力で押し切る戦い方」は「力をいなすデュエリスト」が相手だと顕著に弱点となってしまう。それだけの話だ。
「ターン、エンド。」
雷姫 ライフ3500
手3 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠 通行税
「ワタシのターン、ドロー!カードを2枚伏せてターンを終了っ。」
雷姫 ライフ3500
手3 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手4 フィールド
魔法・罠 通行税 伏せ2
「私のターン、ドロー!魔法カード、融合を発動!」
「アナタの手札には、神竜ラグナロクが居るはず。となれば呼び出されるのは。」
「私は、真紅眼の黒竜と、融合呪印生物-「闇」を手札融合!ブラック・デーモンズ・ドラゴンを融合召喚!」
攻撃力3200の悪魔竜が現れ、咆哮を上げる。
一瞬、紅蓮の悪魔のしもべが『ドラゴンと悪魔族が融合する』という不快な融合モンスターを前にした事で何やら不穏な雰囲気を醸し出したが、即座に表情を取り繕う。
「バトル!ライトエンド・ドラゴンでダイレクトアタック!」
「通行税で500ポイントのライフを払って頂きまショウ!」
「っつ!」ライフ3500から3000
攻撃は通った。
だが、ライトエンド・ドラゴンのブレスが直撃する寸前、伏せカードが発動する!
「ワタシは罠カード、ガード・ブロックを発動!戦闘ダメージを0にして、カードを1枚ドロー!」
手札が増えた。時間をかければ、バトルフェイズを終了する効果を持つモンスターを引き当ててくるかもしれない。そう察知した雷姫はこのターンで終わらせようと決心する。
「なら、竜魔人キングドラグーンでダイレクトアタック!通行税で500ポイント、ライフを払うわ。」ライフ3000から2500
「罠発動!ディメンション・ウォール!ワタシが受ける戦闘ダメージは、貴女が受けて頂きまショウ!」
「きゃああああああああっ!」ライフ2500から100
「残りライフが500を切りました。通行税を払えない以上、攻撃宣言は出来ません。キヒヒヒ」
「…ターン、エンド。」
まだ、自分のデッキには砂塵の大竜巻やサイクロンといった除去カードがある。それを引き当てて通行税を破壊する。
雷姫 ライフ100
手1 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン ブラック・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠 通行税
「ワタシのターン、ドロー!手札から、儀式魔法発動!大地讃頌!」
「儀式召喚?」
「手札から、レベル7のフレイム・オーガをリリースして、地属性の儀式モンスターを儀式召喚。現れろっ!オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴン!」
現れたのは、未知のドラゴン。咆哮を上げ、雷姫を威嚇する。
「攻撃力2800!」
「キヒヒヒヒ!ワタシはこれでターンを終了。」
「えっ?」
「だってもう、何もする必要無いんだもん。」
雷姫 ライフ100
手1 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン ブラック・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手3 フィールド オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴン
魔法・罠 通行税
「私のターン、ドロー!ダークエンド・ドラゴンの効果発動!」
「それは許されない!」
強い口調で宣言され、雷姫は怯む。
「な、なんのつもり?」
「オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴンが場にいる限り、相手は500ポイントのライフを払わねば、カード効果を発動出来ない。」
「という事は…。」
「貴女はもう!通行税を破壊するカードを発動する事も!オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴンを戦闘で破壊する事も出来ないってコト!」
「…私は、場の竜魔人キングドラグーンとダークエンド・ドラゴンを守備表示に変更して、ターンエンド。」
雷姫 ライフ100
手2 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン ブラック・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手3 フィールド オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴン
魔法・罠 通行税
「ふむ。デッキ切れを待つつもりですか?ですが、どちらのデッキが先につきますかね?」
「……」
「クリアエフェクターでのドロー、シンクロ・フュージョニストでのサーチ。一方、ワタシはガード・ブロックでのドローのみ。」
「そっちのターンよ。やる事がないなら、ターンを終了したら?」
「ふむ、確かにそうですねぇ…。カードを1枚伏せて、ターンを終了。」
雷姫 ライフ100
手2 フィールド 竜魔人キングドラグーン ライトエンド・ドラゴン ダークエンド・ドラゴン ブラック・デーモンズ・ドラゴン
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手3 フィールド オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴン
魔法・罠 通行税 伏せ1
「私のターン、ドロー。」
「このスタンバイフェイズに罠発動!自業自得!貴女の場のモンスター一体につき、500ポイントのダメージを与える!」
「きゃああああああああっ!」ライフ0
打ち負かされた雷姫は、その場に倒れる。
そんな彼女に、紅蓮の悪魔のしもべは楽し気に近づく。
「我が主の依り代としては不合格ですが…。ワタシが使う分には問題なさそうですねぇ…。キヒヒヒ」
人間との契約で、ある夫婦の意識を奪いはしたが…。ダークシグナーになれる器でもない連中とこれ以上一緒に居た所で益は無い。
それより…主の依り代足りうる肉体を持つ人間を探すために、この少女を利用するとしよう。
ややあって立ち上がった雷姫は、自分の体を見下ろす。
「…ふむ…。胃腸の強靭さだけは認めてもよさそうですねぇ。」
ただ、この空腹感はやや頂けない。
どうしたものか、と思考をめぐらせつつ、奪ったデッキをパラパラと確認し、この部屋にあったカードを組み込んでデッキ調整を行う。
これでいいだろうとデッキをケースに収納した次の瞬間。
重い扉を押し開けて、ブラック・コートを纏った青年が突入してきた。
「無事か!」
そう万丈目準が叫ぶと、『雷姫』は振り返る。
「はい。大丈夫です。」
その声色は紛れもなく姪の物だったが、万丈目準は動きを止める。
ナニカが、姪に取りついている。
「…お前は、誰だ。」
「嫌ですね。私は。」
「隠しても無駄だ。俺にはカードの精霊が見える。キサマは何者だ!」
その言葉を聞いた瞬間、雷姫は端正な顔に不釣り合いなほど歪んだ笑みを浮かべる。
「なるほど、隠しても無駄なようですね。」
「雷姫の体から出て行け!」
「嫌だといったら?」
無言でデュエルディスクを構える万丈目準に、紅蓮の悪魔のしもべは笑みを深くする。
「…ふむ。我が主の依り代としてはやや貧弱。もう少し背が高ければ」
「何だとっ!」
ろくでもない目的だろうが、「貧弱な肉体」呼ばわりされるのは万丈目準にとって心外だ。
腰回りが細く、強靭な体躯とは確かに言い難いのだが、それはそれとして。
とはいえ、主がいるという事は。目の前の精霊よりも厄介な敵が居る事になる。
「この肉体も悪くはありませんが。折角なのでもっと強い肉体を戴くとしましょう!」
「「デュエルッ!!」」
サンダー ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「俺の先攻、ドロー!俺は砲撃のカタパルト・タートルを召喚!モンスター効果発動!こいつをリリースする事で、デッキから暗黒騎士ガイアか、Lv5のドラゴン族を特殊召喚出来る。現れろ、アームド・ドラゴンLv5!永続魔法、強欲なカケラを発動してターンエンドだ!」
サンダー ライフ4000
手4 フィールド アームド・ドラゴンLv5
魔法・罠 強欲なカケラ
しもべ ライフ4000
手5 フィールド
魔法・罠
「ワタシのターン、ドロー!相手の場にのみモンスターが存在する事で、バイス・ドラゴンを特殊召喚!」
「攻撃力2000か。」
「ただし!この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力と守備力は半分になる。攻撃力1500以下のモンスターを特殊召喚した事で速攻魔法、地獄の暴走召喚を発動!」
「なっ?!」
「ワタシは!バイス・ドラゴンをデッキから2体特殊召喚!」
「ならば俺様もアームド・ドラゴンLv5をデッキから2体、特殊召喚する!」
「チューナーモンスター、魔轟神獣ケルベラルを召喚!レベル5のバイス・ドラゴンに、レベル2の獣族、魔轟神獣ケルベラルをチューニング!雲海を駆け抜ける雷獣よ、我が盟約に従い現れよ!シンクロ召喚!ボルテック・バイコーン!」
現れた攻撃力2500のシンクロモンスターを見た万丈目準は若干顔をしかめる。
「ワタシがシンクロ召喚に成功した事で、チューナーモンスター、シンクロ・マグネーターは手札から特殊召喚出来る!ワタシは!レベル5の闇属性、バイス・ドラゴンにレベル3のシンクロ・マグネーターをチューニング!終焉より来たりし竜よ、我が盟約に従い現れよ!シンクロ召喚!ダークエンド・ドラゴン!」
「キサマ!」
姪の身体を乗っ取っている時点で許せないのに、その上デッキまで好き勝手に使っている事まで判明した事で万丈目準の怒りはボルテージを上げる。
「バトルフェイズ!ボルテック・バイコーンでアームド・ドラゴンLv5を攻撃!」
「ちっ」ライフ4000から3900
「さらにぃ!ダークエンド・ドラゴンでアームド・ドラゴンLv5を攻撃!」
「おのれぇっ!」ライフ3900から3700
「バトルは終了!ダークエンド・ドラゴンの効果発動!攻撃力と守備力を500ポイント下げ、相手モンスターを墓地へ送る。アームド・ドラゴンLv5を墓地へ誘うYO!」
「くうっ…。」
サンダー ライフ3700
手4 フィールド
魔法・罠 強欲なカケラ
しもべ ライフ4000
手2 フィールド ボルテック・バイコーン ダークエンド・ドラゴン バイス・ドラゴン
魔法・罠
「俺のターン、ドロー!強欲なカケラに、強欲カウンターが一つ乗る。魔法カード、予想GUYを発動!俺はデッキからV-タイガー・ジェットを特殊召喚!さらに、W-ウィング・カタパルトを召喚!そしてV-タイガー・ジェットにW-ウィング・カタパルトをユニオンさせる!これでV-タイガー・ジェットの攻撃力は400ポイントアップし、カード効果で破壊されるとき、このカードが身代わりになる!」
「ヒヒヒヒッ!攻撃力2000で何をしようと?」
「手札を1枚捨てて、魔法カード、ライトニング・ボルテックスを発動!お前の場の表側表示モンスターをすべて破壊する!」
「な、なんて事を!」
稲妻が降り注ぐと、紅蓮の悪魔のしもべの場には何も残らなかった。
「だ、だが!ここでボルテック・バイコーンの効果発動!相手によって破壊され墓地へ送られた場合、互いのデッキから7枚のカードを墓地へ送るYO!」
「フン。」
万丈目のデッキから死者蘇生、破壊輪、闇の量産工場、おジャマジック、強化支援メカヘ・ビーアーマー、アームド・ドラゴンLv10、おジャマトリオが墓地へ送られる。
一方で紅蓮の悪魔のしもべのデッキからは、スキル・サクセサー、巨竜の羽ばたき、カーボネドン、闇の誘惑、光の護封霊剣、オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴン、スキル・サクセサーが墓地へ送られる。
「墓地へ送られたおジャマジックの効果発動!デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」
「そんなカードを手札に加えた所で、何をするつもりで?」
「バトルだ!VW-タイガー・カタパルトでダイレクトアタック!」
「させるわけがない!墓地へ送られた罠カード、光の護封霊剣の効果発動!墓地から除外する事で、このターンのダイレクトアタックを封じる!」
墓地から罠カードが発動した事に万丈目準は素直に驚く。
「墓地から罠、味な真似を…。俺様はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
サンダー ライフ3700
手3 フィールド V-タイガー・ジェット
魔法・罠 強欲なカケラ(1) W-ウィング・カタパルト 伏せ1
しもべ ライフ4000
手2 フィールド
魔法・罠
「ワタシのターン、ドロー!魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地からバイス・ドラゴン3体、魔轟神獣ケルベラル、シンクロ・マグネーターの5体をデッキに戻し、シャッフル。新たに2枚のカードをドロー!」
「ここで手札を補充してくるか。」
「カードを2枚伏せて、墓地のカーボネドンの効果発動!墓地から除外する事で、デッキからレベル7以下のドラゴン族・通常モンスターを守備表示で特殊召喚!ワタシは、チューナーモンスター、ラブラドライドラゴンを特殊召喚!さらに神竜ラグナロクを召喚!私は、レベル4の神竜ラグナロクに、レベル6のラブラドライドラゴンをチューニング!」
「なっ?!れ、レベル10のシンクロモンスターだと!」
「紅蓮の槍よ!我が盟約に従い、灼熱の大地を打ち砕いて現れよ!シンクロ召喚!トライデント・ドラギオン!」
巨大な翼をもつ三つ首の竜が現れ、それぞれの口から炎を吐き出す。
「シンクロ召喚に成功した、トライデント・ドラギオンの効果発動!ワタシの場のカードを2枚まで破壊する事で、このターン、破壊したカード1枚につき、攻撃回数を一回増やす。ワタシは融合と高等儀式術を破壊!」
それが何を意味するのかが分からない万丈目準ではない。
「これが…お前の『力』か。」
「ヒヒヒヒヒ、覚悟は出来ましたね?さて、これで」
そこまで言ったところで、トライデント・ドラギオンの身体に異変が生じる。
万丈目準ではなく、プレイヤーであるはずの雷姫に顔を向ける。
「な、何?トライデント・ドラギオンが…。ぐっ、たかがドラゴン如きがこのワタクシに逆らうなど許されない!お前の相手はあっち」
万丈目準を指さし、自身も顔を向けた紅蓮の悪魔のしもべはようやく伏せカードが発動している事に気付く。
「調律師の…陰謀?」
「御大層なモンスターだな。だがキサマの手には余るようだから、俺様が使ってやるとしよう。」
「ぐ、ぐぐぐぐぐっ!あの伏せカードはリミッター解除では無かったのか…。」
その発言に、万丈目準は怪訝な顔を浮かべる。
トライデント・ドラギオンの攻撃力は3000、リミッター解除で攻撃力が倍になればV-タイガー・ジェットの攻撃力は4000になる。
3回の連続攻撃でどうやってライフを削り切ろうというのか?他に攻撃力を上げる手段でもあったのか?
サンダー ライフ3700
手3 フィールド V-タイガー・ジェット トライデント・ドラギオン
魔法・罠 強欲なカケラ(1) W-ウィング・カタパルト 調律師の陰謀
しもべ ライフ4000
手0 フィールド
魔法・罠
「俺様のターン、ドロー!強欲なカケラにカウンターが一つ乗る。そして強欲カウンターが2つ乗った強欲なカケラを墓地へ送って、カードを2枚ドローする!俺はフィールド魔法、おジャマ・カントリーを発動!魔法カード、融合を発動!手札のおジャマ三兄弟を融合する!現れろ、おジャマ・キング!フィールド魔法、おジャマ・カントリーにより、攻撃力と守備力は入れ替わる!」
「攻撃力3000っ!」
「バトルだ!トライデント・ドラギオンでダイレクトアタック!焼き払え、トライデント・ブレス!」
「ぐううううう!」ライフ4000から1200
「トドメだ。おジャマ・キングでダイレクトアタック!」
「おのれ、おのれおのれぇっ!ただの、ただの人間風情にぃいいいいいい!」ライフ0
ライフが尽き、紅蓮の悪魔のしもべはその場に膝をつきそうになるが、人間風情に、それもシグナーですらない相手にそんな無様な姿をさらす事は出来なかった。
意地で体制を整えるが、ダメージは思ったより大きい。
「フンッ。その程度か。これならキサマよりおジャマ共の方がマシだな。」
「ぐうっ!」
低ステータスなおジャマにも劣る、と言われた紅蓮の悪魔のしもべは怒りをにじませるが、負けた事で肉体の主導権も失い、さらには封印した人間の夫婦の意識も解放されつつある。
ここでこれ以上争うのは余り旨味が無い。
「…ここは引かせて頂きまショウ。もう、貴方と関わる事は無いでしょうからね!」
意識を失ってその場に倒れこみそうになった姪っ子を抱きかかえ、息がある事を確認した後、万丈目準は落ちているカードに目を向ける。
「トライデント・ドラギオン…か。」
そのカードを拾い、万丈目準は姪と共に脱出する。
拙作の紅蓮の悪魔のしもべ。
原作の黄泉と名の付く闇属性・悪魔族が未OCGなため、代用として「やや受動的」「力を受け流す」デッキに変更。
戦慄のアースバウンドがOCG化されていればそちらを使っていました。
力を受け流すタイプのデッキを使うものの、追い詰められれば力で押し切ろうという一面もあるので、オッドアイズ・グラヴィティ・ドラゴンという高打点モンスターを採用。
万丈目サンダーの肉体については「悪くは無いが強靭さに欠ける」として不採用。デュエルマッスルで無い事が幸いした。