新一のいとこですけど......   作:ヤヤヤンヤ

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2話目です。




身体は子供、頭脳も子供

 

皆さんこんにちは。工藤誉9歳です。

3年目に突入した小学生ライフを満喫しています。無事お友達もできました。白馬花(はくばはな)ちゃんと天童薫子(てんどうかおるこ)ちゃんの2人。白馬花ちゃんは原作キャラ白馬探のお姉ちゃんでお転婆だけど頼り甲斐のあるお嬢様。天童薫子ちゃんはお家が茶道の家元で奥ゆかしいお嬢様。私達3人は初等部1年生からずっと同じクラス。入学当初はガチ1年生のみなさまについていけず、休み時間は一人で本を読んで過ごしていた。(ぼっちだからといって、悲観的になりませんよ!!前世込みでバッチリ成人してますし!)

 

けれどある日の放課後、図書室で本を読んでいて司書の先生にもう帰りなさいと言われ、渋々図書室を出て廊下を歩いていると突然悲鳴が聞こえた。急いで悲鳴の方へ向かうと2人がどこからか入ってきたヤモリかイモリに腰を抜かして動けずにいた。実は私、昆虫類は無理だけど爬虫類は全然余裕なのでそいつを掴み窓から逃がしてやり「もうだいじょうぶですよ」と言い、2人を立たせるとキラキラした目で感謝を言われた。

 

自分的には大したことはしてないつもりでも、2人には絶体絶命な場面を助けてくれた人が私だったらしく好感度爆上げし、おともだちになって!と2人が言ってくれて初めてのお友達ができる!と舞い上がった私はぜひ!といった感じで齢6歳にしてやっと友達ができた。ちなみに私はクラスに馴染めていないと思っていたが、孤高の花?氷のプリンセス?という雰囲気を纏っていて話しかけては汚してしまうと思っていたらしい。…………若干つり目だから怖かったのかな?

 

3人で過ごすようになると、他のクラスメイトとも話すことも増えた。花ちゃんがヤモリorイモリ事件をクラスメイトに話したらしく「ほまれちゃんすごーい!!」と一時期プから始まる某魔法少女だと勘違いされたこともありました。女児の勢いってすごいね。陽キャ・陰キャの分類がされていない初心な魂たち……、日々眩しいと感じています。授業中の先生からの問いかけや小テストは毎回正解、毎回満点。そして1年生からずっと学級委員長を務めているため、女児のみなさんから尊敬の眼差しを向けられている。前世持ちという強みがあるから罪悪感が半端ないんです....。あと自慢ではないが警察から感謝状も貰ったこともある。これがプから始まる某魔法少女と勘違いされる一因というかこれが原因というか……。

 

遡り2年前の小1時代。

白百合学園の生徒は99.9%が車で送迎されている(残りの0.1%は私みたいなちょい庶民みたいな子と態々電車やバス通学したいという稀有な子)。お金持ちの娘や孫ばかりなので過去には誘拐事件もあったみたいで、学校側も送迎を推奨しているまでだ。しかしそれでもちょい庶民の私はバスと徒歩で帰宅している。優作さんに迷惑がかかると思って1人で通学しているが、優作さんが送迎させなさいと言うので天候の悪い日は優作さんに送迎頼んでいるけれど。

 

その日も私は一人でバスを待っていた。するとバス停の裏に面する路地から走っている足音が聞こえてきたので、私は呑気にバスに乗りたい人かなと思っていただけだった。でもバス停で待つ私を通り過ぎて男性が自動車がばんばん走っている大通りを乱横断しようとしてたので「ひ、引かれる!!」と慌てて男性の服を歩道側に引っ張った。子供でも火事場の馬鹿力って出るものだね。気づけば男性は歩道で尻もちをついていた。あやうく死亡事故になるのを防げてよかったと思っていると、男性が手錠をかけられていて何事!?となった。あとで警察署で手当てを受けた際に聞いたんだけど、飛び出そうとしていた男性は殺人事件の犯人で警察から逃げようとしてたらしい……。ひぇぇ……米花町怖ぇぇ……と慄いた。

 

結果的に犯人逮捕に貢献した私は感謝状を貰った。

しかし、今回は擦り傷程度で済んだけれど一歩間違えば私も事故に巻き込まれていたかもしれないと優作さんと有希ちゃんはかんかんに怒って警視庁にクレームの電話+書状を送ったらしい。優作さんは捜査協力の要請があっても断るとすら言ったそう。あの時は危ないと思って咄嗟に動いたけれど、逆に私が捕まった男性に引っ張られていたらと思うと……。母もこの件にはガチギレして警視庁の上部組織の警察庁に警察体制の見直しを求める嘆願書を提出したって言ってた。漢字ばっかりでよくわからんね。クラスメイトや教員もすごいと褒めてくれる一方で、工藤さんが無事でよかったと心配してくれていた。担任の先生なんて「無事でよ゙がっ゙だでずぅぅぅ!!!!」って私を抱きしめて号泣してた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー。ぶー!」

 

突然の喃語に驚かれたことでしょう。

この子はわたくしの従弟、名探偵コナンの主人公、新くんこと工藤新一君です!かわいいぃぃぃぃぃぃ…!!

 

「新くーん?」

「あー!」

 

う”っ…!!かわいすぎる!!!

 

工藤新一、1歳の姿です。去年生まれた新くんは順調にすくすく成長しております!天性の才能なのか生まれてすぐ捕まり立ちをし始め、今ではよたよたながらも歩いてどこへでも進んでいく。2階にも階段をよじ登って探検してる。書斎はもう少し大きくなったら開放するんだって。新くんが生まれたということは、天下の大女優藤峰有希子は引退して一児の母になりました。あの時の世の中の衝撃といったら……。騒ぎが治まるまで優作さんがずーっと満足気だった。気持ち悪いくらいニコニコしてた。あと去年から原作の工藤邸に居候しています。気づいたら完成していて、隣に住んでいる阿笠博士にもご挨拶済み。博士に2人の実子だと間違えられたとき優作さん「はいそうです」って言ってた。違います、姪ですって強く言ったらわかってくれたからよかった。博士涙目だったけど……なんでだろうね?

 

「ほー!ほー!!」

「んー?どうしたの新くん?」

 

回想していると新くんが突撃してきたため受け止める。どんどん重くなってきている新くん。ちゅき。

 

「新一は誉が大好きだね」

「妬けちゃうわ~」

 

それはどっちに?とは聞けない。聞いたら最後、新ちゃんとほーちゃんどっちもよ~!誉ヤキモチかい?と2人にハグされる。夏以外はハグされても別にいいけど真夏はダメだ。暑いから嫌だ。2人の会話を知らないフリして新くんとつみきで遊ぶ。まだ喃語しか喋れない新くん。かわいいのは勿論だけれど、早くおしゃべりしてる新くんも見たい気持ちもある。でもこのままでいてほしいような…!だって成長したら「うるせえブス!」とか「お前に関係ないだろ!」とか言われちゃうのかな。でもでも蘭ちゃんに対してのみあの幼馴染ムーブをしていたのかもしれないし…。高校生の新くんにはもう認識されない影の者として生きるしかないかも…!

 

「ほー?」

「新くん、そのままの新くんでいてね…!」

「うー?」

 

ぎゅっと抱きしめるときゃらきゃらと笑う新くん。

 

「なになに~?私もぎゅってしたーい!」

「私も混ざっていいかな?」

 

え、2人も近づいてきて抱きしめられる。

 

「あついー!」

「はっはっは、照れるな照れるな」

「心頭滅却すれば、火もまた涼しよ~」

「きゃー!」

 

――――――――――――――――――――

 

ほのぼの工藤家with居候で過ごし、早4年。早いとか言わないでください!!ちゃんと小学生ライフ満喫しましたから。普通の授業以外にもお茶や社交ダンスなんかを選択科目として選ぶという話はしましたよね?私は絵画を選んだ。人気の授業では無いらしいが、絵画室(美術室は別にある)に飾ってあった風景画に魅かれて絵画を選択した。授業では絵を描くだけではなく、画法や名画の作者なども学ぶことができて6年間で1番好きな授業だった。中等部でも同じ授業が選択できるので継続して受講している。ほら、満喫してるでしょ?

 

閑話休題。

 

私は中等部2年生、新くんは5歳になった。中等部に進級すると部活動への入部ができるけれど、私は部活動はせず偶然見つけた道場で空手を習っている。未だ事件に遭遇したことがないけれど(事故は除外してる)、いつ危険な目に遭うかわからないから自己防衛のために習い始めた。新くんはというと、今年から保育園に通う予定。適度に外で遊びながらも本の虫になっていた新くんは、昔の私のようにまだお友達がいなかった。そのため人慣れとあわよくばお友達ができないかと考えた有希ちゃんは今年で卒園になってもいいから保育園に通わせるんだって。私にそんなこと言ってなかったのに、なんでだろ?母が通わなくて良いと言っていたのだろうか。

 

「誉には私達がいるだろう?」

「え、ヤンデレ…?」

「冗談だよ。私達もまさか誉が半年経っても友人をつくらないとは、思っていなかったんだよ」

「だ、だって図書室の本が面白くて……」

 

口をとがらせると優作さんは笑いながら頭を撫でてくる。絶対面白がってる。

 

初等部1年生の時にお友達になった花ちゃんと薫子ちゃんとは親友と呼べるほど仲良くなった。2人とは初等部6年間&中等部に上がっても同じクラスだった。もはや神様の力が働いていると考えるしかない。偶然にもほどがある。担任の先生も1年、2年、5年、6年の4年間一緒だった。同じ学校とはいえ、形だけの卒業式をするけど先生一人だけ大号泣だった。「田中さん、工藤さん、白馬さん、4年間、ありがとうございましたぁぁ!!!」と普通生徒側が言うはずの言葉を大号泣しながら言われてしまった。私達も先生にクラスでのものとは別に小さな花束と個別で書いた手紙を渡して、ありがとうございましたと伝えた。恐らく30過ぎの大人のガチ泣きを母以外で見るとは思わなかったなあ……。少し引くくらいにはガチ泣きしていた。泣く泣く卒業式に参加できなかった母はお友達と一緒に楽しんでと三ツ星ホテルのアフタヌーンティー招待券をプレゼントしてくれた。「ありがとうママ。大好き、……あ、愛してる!」と電話口で伝えた。最近は照れくさくて好きとは言っても愛してるなんて言わなかったために恥ずかしくなって、すぐに電話を切ってしまった。そのあとの母は誉のささやきボイス&愛の言葉で即死攻撃を受けた(母談)らしく職場で鼻血吹きながらぶっ倒れたそう。隣で聞いていた薫子ちゃんもなぜか鼻血出しながら

 

「しゅ、しゅごいですわぁ…!」

 

と言ってた。花ちゃんはというと、

 

「Jesus!!録音しておけばよかったわ!」

 

と言いながら私と鼻血垂れ流しの薫子ちゃんを携帯で撮っていました。年を重ねるにつれて2人のことがわからなくなってきました。

 

閑話休題。これから有希ちゃんが新くんを連れて保育園の入園手続きに行くけれどなぜか私も参加必須なんだって。本当は工藤家の3人で参加予定だったけど締め切りが3日後の原稿(未完成)を見つけてしまったので優作さんを強制的にお籠りさせ原稿を完成する任務を与えた。それゆえ優作さんの代わりに私が行くことになったのでした。なんで??回想してみてもわかんない。

 

「ほーちゃんもいくのか?」

「うん。優作さんはお仕事サボってたからお籠りデーになるの。優作さんじゃなくて私でもいい?」

「とうさんよりほーちゃんがいい」

「ありがとう」

 

新くんの頭を撫でる。新くんこの歳でスパダリの気があるんだよなあ。こりゃあ蘭ちゃんも惚れちゃうぜ。蘭ちゃんといえば、多分原作のサクラ組の思い出がこれから始まるんだと思う。ちっちゃい蘭ちゃんや園子ちゃんを見たい。見たいよ、でも蘭ちゃんの誘拐未遂事件で男性の保育師が辞めてしまうのも止めたい。良い先生ぽいしこの人が辞めないように軌道修正したいというのが第一の目的です。どう切り出せばいいんだろう。……いったん泳がせるか。有希ちゃんの運転で保育園まで15分ほど。多少大きめだけれど、どこにでもあるような保育園に到着した。

 

「ほーちゃんのがっこうよりちいさい」

「もう新ちゃんったら、ほーちゃんはお姫様なんだから大きな学校に通うのは当たり前でしょ」

「そうだな」

「新くん今の説明で納得しちゃうんだね…」

 

先生探してくるわ~と先に行ってしまった有希ちゃん。私達は手をつないでゆっくり歩いて園内に入る。

 

「保育園ってこんな感じなんだぁ」

 

前世でも今世でも来なかった保育園に13歳になって入ると何とも言えない気持ちになる。これが背徳感というもの?今はお昼寝の時間なのか静かな園内。有希ちゃんどこ行ったんだろう。

 

「有希ちゃーん」

 

大声で叫ぶと子供達を起こしてしまうので小声で呼んでも誰も気づかない。

 

「あそこいってみよ」

 

新くんが指さしたのは桜の画用紙が出入口に貼られている部屋だった。おぉ、これがあのサクラ組。でも流石にアポ無しで入るのはいただけない行為、というか普通に迷惑でしょうから。

 

「新くん、ここで待っておかない?」

「……いく」

 

珍しい、私がやんわり注意したり断るとすぐ「わかった」と言ってくれるのに。やっぱり蘭ちゃんとは赤い糸で結ばれてるのね!

 

「仕方ない。有希ちゃん探そうか」

 

そう言うと新くんはぐいぐい私を引っ張りながらサクラ組の部屋に向かう。すばやく靴をぬいでカーテンをくぐり中に入っていく。私は部屋の出入口を閉めて廊下が面する出入口から中に入る。廊下から部屋に続く引き戸の小窓から中の様子を盗み見ると、新くんが蘭ちゃんだと思われる子と話している姿が見えた。するとほどなく足音が聞こえてくる。振り向くとサングラスと帽子を取らずにそのままな有希ちゃんと、その後ろから男性保育士が慌てたようについて来ている。

 

「ほーちゃん見つけた!ねぇ新ちゃんどこ~?」

「……有希ちゃん」

「…ひゃ、ひゃい!」

 

ちょっとだけ低い声色で名前を呼ぶと、怒っていることが伝わったのか有希ちゃんが歩みを止める。

 

「お説教は帰宅後、みっっっちり、するから。今は静かにしてて」

「はい……」

 

先生に会釈し話しかける。

 

「叔母がご迷惑をおかけしました。私工藤新一の従姉の工藤誉と申します。本日は入園手続きのためお伺いしました」

 

再度謝罪の意味を込めて頭を下げる。

 

「有希ちゃんも」

「うぅ……」

 

元大女優でも迷惑かけたら謝るの!まったく…、嫁姑劇再開しようかな。あれやってた時の方が有希ちゃんお淑やかだった気がする。

 

「い、いえこちらこそ失念していました。サクラ組を担当しています江舟と申します。今の時間はお昼寝の時間でしてご案内できずすみません。それで新一君は一体どこへ?」

「そうよほーちゃん!新ちゃんどこ行っちゃったの?」

 

口を開いた瞬間、部屋から子供たちの歓声が聞こえてきた。終わったかな。

 

「新くん、新一は部屋の中に入りたかったようで。多分自分が通うクラスが気になったんだと思います。勝手に入らせてしまいすみません」

 

私はそう言いながら後手で引き戸をノックする。新くんが気づいたようで、というか部屋の子達みんな気づいてしまった。江舟先生を先に中に入れて子供達が布団を片付けている間に、有希ちゃんを前に私達も中に入る。

 

「ほーちゃんがママみたい…」

 

端で座っていると有希ちゃんが唇を尖らせてそう言う。ぶすくれてもかわいい有希ちゃんに笑ってしまう。

 

「何言ってるの。有希ちゃんがママでしょ?」

「ん~でも~」

「有希ちゃんも新くんと一緒にこれから学んでいけばいいと思うよ。レッツ礼儀作法!」

「お勉強嫌いですぅ!」

 

有希ちゃんだいぶ拗ねてるなぁ。でもサングラスと帽子は室内では外そうね。片付けが終わりもう1人の先生が入園手続きのため有希ちゃんを園長室に案内するそうなので(有希ちゃん手当たり次第に新くんを探して手続き忘れてたな)、私はここに残って新くんの社会性デビューを見ておこうと思います。江舟先生が新くんを紹介し始めるのを見つめる。

 

「くどうしんいち、5さい」

 

…………え、それだけ?もっとサッカーが好きですとかあるでしょ?江舟先生も困ってるよ?家ではもっとおしゃべりなのに……、もしかして新くん人見知りだったのかな。だからドライな態度になってしまう、とか?人見知りかあ。こればっかりは時間が解決することを祈るしかない。簡単すぎる自己紹介が終わりみんな自由に遊んでいる。何人か私のもとへ来て話しかけてくれた子もいた。その中に蘭ちゃんと園子ちゃんもいたよ。

 

「こんにちはー!あたしすずきそのこっていうの!」

「わ、わたしもうりらんだよ!」

「こんにちは、2人ともお名前教えてくれてありがとう。私は工藤誉です」

「おねえさんしんいちくんのおねえちゃんなの?」

「ちょっと違うんだ。いとこってわかるかな?」

「あたしわかる!」

「わたしもわかるよ!」

「物知りだね〜。2人とも新くんと仲良くしてくれると嬉しいな」

 

新くんの話題を出すと蘭ちゃんが涙目でいまにも泣きそうな顔をする。その新くんはなぜか江舟先生を凝視してる。

 

「……新くんが何かしたの?」

「らんちゃんのことなきむしっていったの」

「わ、わたし、なきむしじゃないのにぃ」

 

若干泣いている蘭ちゃんの背中を優しく撫でる。するともっと泣き出してしまった。えぇぇ、ど、どうしよぉ……。抱きしめて背中をさすり続ける。ちょ、江舟先生ヘルプヘルプ!あっだめだ!先生人気すぎてワンオペでこっちに気づいてない!

 

「新くんがいじわるしてごめんねぇ」

 

あの子人見知りなんです。多分初めて好きな子できてどう接していいかわからないだけなんです。

 

「ふぅぅ、うぅぅ、ひっく、う”ぅぅ…」

「泣かないで~。泣いたら目が痛くなるよぉ」

「ひっく、ひっく」

 

頑張って泣き止もうとしてくれてる。新くんが泣き虫なんて言うからぁ。園子ちゃんも心配して背中さするの手伝ってくれている。いい子…!

 

「らんちゃんだいじょうぶ?」

「……ずびっ、ぅん」

「泣き止めて偉いね。目は痛くない?冷やすもの先生に持ってきてもらおうか?」

「だいじょぶ…」

 

大丈夫じゃないくらい目が真っ赤だけど、本人が大丈夫と言っているので良しとしましょう。持っていたハンカチで目元に溜まった涙を拭く。

 

「ほまれおねえさん、ありがと」

「気にしないで」

「そのこちゃんもありがとぉ」

「きにしないで!」

 

ま、真似してる。園子ちゃんが私の真似してる!か、かわいい。この慈しみの感情の勢いで2人の頭を撫でておく。

 

「ほーちゃん!!!」

「わっ」

 

突然新くんが大声で私を呼ぶ。怒ってますと顔に書いてあるくらいの怒りようの新くんに首を傾げる。(新くん的には)大股でこっちに歩いてきて、蘭ちゃんを押しのけて、私を抱きしめる。

 

「え?ど、どうしたの新くん」

 

江舟先生見ていたんじゃなかったの?

新くんは私を抱きしめながら肩におでこを押しつけている。これは優作さんと話しているとよくされるやつ……。なるほどなるほど。蘭ちゃんが取られると思って私に妬いてるんだ。幼児のヤキモチの表現方法かわいすぎだろ。そのまま新くんに抱きしめられながら有希ちゃんが来るまで子供達と話していた。有希ちゃんが手続きが終わり帰るため、みんなにさようならと言って(新くんはそっぽ向いていた)車に乗り込み帰宅する。初めての場所で疲れたのか新くんはベビーシートで熟睡している。

 

「ほーちゃん、新ちゃん馴染めそう?」

「ん”~、どうだろう。人見知りしてたからねぇ」

「えっ、新ちゃんって人見知りだったの?」

「私も違うと思ってたんだけど、毛利蘭ちゃんていう子に泣き虫って言って泣かせてたし。あと自己紹介が工藤新一5歳、だけだったからなぁ」

「ぶはっ…!!!」

 

有希ちゃん爆笑しながらの運転は危険だと思います。そんなに人見知り新くんが面白いかな。私は心配が勝つけど。優作さんにも同じようなことを話すと笑いすぎて悶えてた。ヤキモチのくだりとか2人とも腹抱えて笑ってたし、新くんはそうじゃないし!!と怒って自室に行ってしまうし。

 

「新くんおやすみ~」

「おやすみ!!」

「ひー、ひー、し、新ちゃんが、か、かわいそう…!!!」

「わ、我が息子、ながら、へ、ヘタレだな…!!!」

 

もう、2人して息も絶え絶えになっちゃって。母にも手紙でこのことを書くと手紙の字がへにょへにょの部分があったから、思い出して笑ってたんだろうな。

 

人見知りしていた新くんも数日のうちにクラスに馴染めたようで、蘭ちゃんや園子ちゃんを呼び捨てにしていた。ほーちゃんはほっとしましたよ。そして江舟先生の件は、優作さんにお任せした。新くんが家で江舟先生が怪しいと言っていたところに便乗して私も蘭ちゃんを見る目や話し方が他の子たちと多少違うかもとだけ付け加えていた。すると数日後、新くんが江舟先生は辞めたと言っていたので、優作さんが解決してくれたんだろうと思いながらも詮索せずに暮らしている。でも辞めちゃったか。良い人そうだったけどなあ。

 

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