新一のいとこですけど......   作:ヤヤヤンヤ

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今回は公安組を登場させました。


夏の大冒険in東都

 

保育園を卒園・小学校に入学し色々な子と知り合い社交的になった新くんはサッカークラブに入団し、めきめき上手くなっている。クラスメイトで入団している子がいて興味を持ったみたい。もう一つ興味を持ったものが探偵。シャーロックホームズシリーズが子供向けのものから大人用の分厚い本にかわった時点で気づくべきだった。新くんは事あるごとに物事には全て真実があると言い出す論破boyになっている。この前なんか有希ちゃんと心理テストで遊んでいたら科学的根拠がないやらなんやら言ってた。心理テストに科学を持ち出すなよと思う。有希ちゃんは「新ちゃん余計な事言わないで!」と新くんの頭にグリグリ攻撃をおみまいしてた。絶賛夏休み中の新くんは7月中に夏休みの課題をほぼ全て終わらせたため暇らしく、サスペンスドラマを見ていてもこいつが犯人だ!とネタバレされたり…。さすがに怒ったよ!だってもう少しでクライマックスっていう1番の盛り上がりでそんなこと言われたら怒るでしょ。

 

それならばと私はぬくぬくと温めていた計画を実行に移すことにした。夏休みの1か月前、初めての夏休みなんだから!と謎解きゲームを作るため優作さんと盗一さんに協力してほしいと声をかけた。優作さんが問題を作成し、私と盗一さんで演出を考えた、んだけど、最初に作ってくれた問題は鬼むずで小学1年生には絶対に解けないものだった。そこから何回か注文をつけて新くんなら解けるレベルの難易度に下げてもらった。演出の私達は、一度有希ちゃんが外出する日に盗一さんに来てもらいあーでもないこーでもないと話し合い、最終的に何故か怪盗KIDが登場する謎解きゲームになった。楽しくなって気づいたらそうなってた。有希ちゃんにも(盗一さんや怪盗KIDのことを隠して)謎解きゲームについて話し、面白そう!と許可が下りたので遂に豪華な製作陣(私以外)によって作成された謎解きゲームをお披露目するときが来た。

 

「新くーん」

「んー?」

 

朝食後新くんはリビングで分厚いサスペンスものを読んでいた。優作さんは書斎で執筆中、有希ちゃんは夕食で出すスイーツを鋭意製作中。2人にはそ知らぬフリをしていてとお願いしている。

 

「ポストに新くん宛の手紙入ってたよ」

 

さも新聞を取りに行って手紙に気づいた風の演技をする。差出人不明の手紙は不審がられると思い、手紙の差出人の住所には別荘の住所を書きポストに投函にした。だから切手も消印も本物です。新くん対策のおかげでスムーズに手紙を渡せた。

 

「やまだ、たろう?」

「お友達?」

「しらない!だれだよコイツ」

 

新くんは警戒して、封も開けずダイニングテーブルに放り投げる。

 

「見なくていいの?」

「あぶないものかもしれないし」

「そっかぁ。…じゃあ私が開けてもいい?」

「うん」

 

もう手紙には興味が無くなった新くんは読書を再開する。放り投げられた手紙を手に取り封を開けて中に入ってる物を取り出す。ここからが正念場だ!

 

「……なにこれ」

「なにはいってた?」

「え、えと、挑戦状…?」

「!」

 

勢いよくこっちを向く新くん。よしよし食いついたぞ。

 

「みせて!」

「う、うん」

 

封筒の中にはポストカードほどの大きさの紙が2枚、挑戦状と数行の文章が書かれた紙と問題が入っている。挑戦状は簡単に言えば、君の大事なものを隠したよー。見つけられるかな?ヒントはこのなぞなぞを解いたらわかるよー。と書かれている。

 

「いたずらかな……。怖いし捨てとくよ」

「おれといてみる!」

「そ、そう…?一応2人には伝えとくね」

 

気が乗ってくれてよかったぁ。謎解き大好き少年の血が騒いでるんだね。伝えてくるねと有希ちゃんがいるキッチンに向かう。

 

「有希ちゃん成功~」

「子犬は罠にかかったか」

「あれ、優作さんだ」

 

有希ちゃんがいると思っていたキッチンでは優作さんが優雅にコーヒーを飲んでいた。あれ?有希ちゃんいない。どこいったんだろう。

 

「有希子は生クリームを買いに行ったよ」

「やっぱりもう1個買えばよかったのに」

「ふふ、有希子らしいじゃないか」

 

優作さんは微笑んでカップを口に運ぶ。余裕そうですけど執筆終わったのかな。

 

「執筆の進捗は?こんな所でコーヒー飲んでていいの?」

「あぁ、最終章まで書き進めたよ」

「それならまあ、いっか」

 

今執筆しているのはナイトバロンシリーズの続編らしい。優作さんの著書は色々読んでいるがミステリーが若干苦手な私的には難しいものが多い。ナイトバロンシリーズは人気作品だけどノートにメモを取って時系列や人物相関図を書かないと理解できないくらい難しかった。

 

「そろそろ頃合いかな。博士には連絡しているかい?」

「勿論!今日は夜まで予定入れないって言ってたよ」

「では私は兄さんに連絡しておこう。気をつけていってらっしゃい」

「うん、行ってきます」

 

キッチンからリビングに戻ると新くんが慌てた様子で出かける準備をしていた。

 

「ほーちゃん!しょうぼうしょにいくぞ!」

「消防署?」

 

1つ目の問題の答えがわかったんだね。

 

「家から距離あるのにどうやって行くつもり?」

「はかせにたのむ!だからほーちゃんはやく!!」

「はーい」

 

新くんは隣に住む阿笠博士の元へ走って向かう。私は自室から荷物を取りに行ってから外に出る。家の前には既に博士がおなじみの黄色のビートルを停めていた。

 

「博士忙しいのにありがとう」

「折角の夏休みに家に籠ってばかりではつまらんだろうと思っていたところじゃよ」

「はーかーせー!はやくはやく!」

「そう急かすな新一、では行くぞー!」

 

博士も楽しみに待っていてくれたみたい。博士は数年前から警察への科学技術協力を行っている。博士は日ごろからどこにでも売ってあるような市販の部品ですごいマシーンを量産していた。制作過程を見ることもあるけど意味わからない。気づいたら完成してる。そんなすごい技術を持っている博士をどこで知ったのか、警察が優作さん経由でコンタクトを取ってきた。警視庁?警察庁?から危険物処理時の防御服や工具などを博士に造ってほしいと依頼があったらしい。どこから聞きつけたのか…。確かにここら辺の地域では有名ですけど。最初は修繕や改良の簡単な仕事だったらしいけど、博士がもっと造りたいと言ったため日々家に籠って発明、発明、発明の毎日。それでも私達こどもを無下にせず遊んでくれるからありがたい。閑話休題。ビートルを走らせ20分ほどで消防署に到着した。新くんは車から降りると消防署ではなく、隣の公園に走っていく。

 

「む。誉、次のヒントは消防署ではないのか?」

「うん。流石に消防署の許可無しに張り紙なんてできないからね」

 

新くんを追いかけて公園に入る。朝9時ではもう炎天下で灼熱な公園には誰もいない。そんな中で赤色のブランコの前にしゃがむ新くんを見つける。ブランコの裏に次の問題を張り付けていたのを速攻で見つけられた。本当は消防車に貼りたかったけど、そんなことは無理なので赤色のブランコで代用した。優作さんにはブランコに誘導できるよう問題を少し変更してもらい、問題なく新くんは次の問題を解き始めている。でも暑いから車に戻ろうね。

 

「新くんお茶飲みなよ」

 

ビートルに戻り、涼しい車内で水分補給させる。このぐらいの子はすぐ熱中症になるってテレビで言ってたから気をつけておかないと。勿論引きこもりの私や汗っかきの博士も。

 

「んく、っぷは!」

「よし」

「新一、次はどこへ行くんじゃ?」

「ん~しろいウマがいるところ、まではわかったんだけど…」

 

も、もうそこまでわかったんだ。流石新くん。

 

「白い馬か、動物園ではないのか?」

「それならほかのどうぶつでもいいはずだし」

「ライオンの方が分かりやすいもんね」

「そうじゃのう」

 

うんうん悩んでいると、突然動きが止まる。気づいたのかな?頭の回転はやーい。

 

「はかせ、はいどとしょかんだ!」

「杯戸図書館?あんな所に馬がいたかのう」

 

博士は首を傾げながらも車を走らせる。消防署から30分かけて杯戸図書館に到着した。

杯戸図書館は本館と別館があり2つの建物の間には渡り廊下がある。そしてその渡り廊下には大きな絵が飾ってある。

 

「これだ!」

「白い馬じゃ…」

「東山魁夷の緑響く、だね」

 

青を基調とした森と湖に一匹の白い馬が歩いているようなこの絵は東山魁夷の代表作の一つ。渡り廊下を通ると嫌でも目に付く緑響く(バカでか絵画)に近づく新くんは、額縁の縁に貼ってある次の問題を見つけた。

 

「心が落ち着く絵じゃのう」

「うん」

 

幻想的な絵だけれど水面に映る木々や馬に少し怖さを感じることもある。私達が絵を眺めている間にも新くんは謎を解くのに夢中みたいだ。でもこの問題はちょっと手間がかかるように作ってある。わざわざ米花図書館ではなく杯戸図書館を指定した理由は絵だけじゃない。

 

「たんこう…?」

 

ひえ、もうそこまでわかったの……。

 

「炭鉱か?杯戸町に炭鉱は無かったはずじゃが」

「あ、でも杯戸町ってどこかの町か村が吸収合併してできたんじゃなかったっけ」

「!、ほーちゃんきゅうしゅうがっぺいってなに!?」

「えと、小さい村や町が集まって新しい町や市になることだよ。例えば米花町と杯戸町が集まって米花市になる、とかだね」

「はかせはいどちょうっていつできたの!?」

「わしが生まれた時にはもう杯戸町だったしのう。おおよそ70年前じゃないか?」

 

まだこの世界はスマホがないから簡単に調べられない。でも図書館なら地元の歴史コーナーとして当時の新聞などの資料が豊富にある。米花図書館には歴史に関する書籍が少なく、米花町にも炭鉱はあったらしいけど図書館の資料だけでは調べられなかったので仕方なく、杯戸図書館に誘導する問題にしてもらった。優作さんにはいくつもお願いを聞いてもらって頭が上がらない。このお礼として海に行こうと言われたので、暑いのと人が多いのダブルコンボで嫌だが頑張って逝こうと思う。ん?漢字はこれで合ってますよ。

 

新くんは博士のサポートがありながらも頑張って分厚い資料から問題の答え、次の問題へのヒントをを探す。私は外に出て携帯で優作さんと盗一さんに現状をメッセージで伝える。さて、この問題が解けたら一旦昼食にしますか。携帯をしまい、2人のところへ戻る。2人は別の資料を開いて何かを見ていた。

 

「博士、見つかった?」

「あぁ、1935年ごろに現在の米花町と杯戸町の境界付近に炭鉱があったそうじゃ」

「へー。じゃあそこに行けばいいんだ」

「わしもそう思ったんじゃがなぁ」

 

新くんはこんなに簡単に解ける訳がないと、新しい手がかりがないか調べ続けてるらしい。新くんが別の本を持ってくるために席を外した隙に、博士には行き先を伝える。

 

「何、米花出張所か?じゃが炭鉱跡とかなり距離があるぞ」

「杯戸町の炭鉱跡はそこなんだけど、米花町の炭鉱跡は米花出張所の敷地内にあるんだよね。本当はそっちに行きたかったけど誘導できる資料が米花図書館に無くて仕方なくこっちの図書館にしたの。でもまさか杯戸町がミスリードになるなんて思わなかった」

 

意図せず新くんを困惑させてちゃった。これも作戦の内てことにしておこう。博士と話していると新くんは東都の歴史というこれまた分厚い本を持ってきた。東都で拓かれていた炭鉱が紹介されているページを開いている。

 

「あった!ていとたんこう……。あ、いまはしやくしょがある!」

「米花町の市役所……、米花出張所かな?」

「そう!」

 

次の目的地がわかったので図書館を出て向かう、その前にお昼時なので昼食を食べることにした。米花出張所は蘭ちゃん家のすぐ近くなのでポアロに向かう。博士は午後から警察の人と会議があるらしいのでここでお別れ。

 

「はかせありがとうございました!」

「ありがとう博士。すごく助かった」

「気にするな。わしも久々に楽しめたからのう。2人とも気をつけて帰るんじゃぞ」

 

博士はポアロまで送ってくれてそのまま帰っていった。仕事大変そうなのに本当にありがたい。ポアロに入ると杯戸図書館から40分ほどかけて戻ってきたためお昼のラッシュは終わり、店内は落ち着いていた。

 

「あ!ほまれちゃんとしんいち!」

 

ポアロに入ると蘭ちゃんと小五郎さんがいた。

 

「らん!」

 

新くんは蘭ちゃんに近づき2人で話し始めている。新くんってば本当に蘭ちゃんが好きだねぇ。2人の隣のソファ席に座りマスターにナポリタンを2つとアイスコーヒー、オレンジジュースを注文する。

 

「よう誉」

「お久しぶりです小五郎さん。今日はお休みですか?」

「いや今日は昼からなんだよ。お前らこそこんな暑ぃ中出歩いてんのか?」

 

小五郎さんに謎解きしながら色々回っていたと伝える。小五郎さんは私が主催だと気づいてると思うけど新くんの前だから当たり障りのないように伝えた。

 

「お前もよくやるなあ。今年中三だろ?」

「白百合はエスカレータ式なので進級試験に合格すれば大丈夫なんです」

「はぁぁ、流石はお嬢様学校だな」

 

その進級試験がはちゃめちゃに難しいから勉強しないと普通に落ちる。中学3年分と高校1年分がランダムに出題されるらしい。だから高校1年の分野の勉強しておく必要がある。まあ元々偏差値が高い学校ではあるから不合格になる人なんていないけどね。でも日々の自習すごく大事。そんなことを話しているとナポリタンが出来上がりマスターが持ってきてくれた。ポアロのマスターは東都一と言われる杯戸シティホテルの料理長を務めていた過去があるので食事系は勿論だが、スイーツや飲み物もおいしい。私が一番おすすめしたいのがナポリタンとアイスコーヒーの組み合わせ!本当に美味しい。人生で1回は食べたほうがいい。いやせめて3回は食べてほしい。ナポリタンを食べ終えると新くんは米花出張所にすぐにでも行きたいらしく、そわそわしている。長居しても邪魔になるし出ようとしたところで小五郎さんが蘭ちゃんも連れて行ってほしいとお願いされた。

 

「小五郎さんお仕事ですもんね。私は大丈夫ですよ。新くんもいいよね?」

「いいぜ!」

「すまねぇな。蘭気をつけてな」

「うん!おとうさんもがんばってね!」

 

蘭ちゃん満面の笑み……。かわいい。そんなに喜んでくれるなんて新くん良かったね。小五郎さんを見送り、マスターに美味しかったですと伝え店を出る。会計時にマスターからいつも美味しいと仰っていただけるので、とレモン水を貰ってしまった。え、ファンサ?しかもレモン水はカフェインレスで水分補給に適しているしビタミンが豊富で疲労回復にもってこい。気遣いもスマートなんてマスター、イケオジすぎる。過度なファンサはオタクを殺しますよ。

 

「ほまれちゃんそれなにもらったの?」

「レモン水だよ。お水にレモンを入れてるの」

「ジュース?」

「ジュースではないけど、お水より美味しいよ。あとで一緒に飲もうね」

「うん!」

 

蘭ちゃんかわいい。新くんはというとなぜか不貞腐れている。急に機嫌が急降下したな。

 

「新くんどうしたの?お腹痛い?」

「なんでもない!はやくいくぞ!」

「あ!まってよしんいちー!」

「転ばないでねー」

 

どうしたんだろ?思春期かな?

次の問題は米花出張所の敷地内にある炭鉱跡と書かれた石碑の裏に貼ってある。出張所の中に入り問題を解き始める2人。

 

「しろい、はねは、おまえ、の、すぐそば……」

「この11このすうじもなんのことだろうね?」

「これもなにかにかんけいしてるはずだ」

 

これというのは紙の下に小さく書かれた15→19のこと。さてさて謎解きゲームも終盤になってきた。

 

「じかんのけいかのことか?」

「じかん?」

「今が15時すぎだね」

「!、19はよるの7じまでまてってことだ!」

 

うんうん、そうだね。白い羽は皆さんわかりますよね?怪盗1412号、怪盗KIDのことですね。盗一さんの出番までもう少しだ。

 

「しんいちこのすうじは?」

「なんかみたことある」

 

090から始まる11桁の数字に頭を悩ませる2人。

 

「あ!」

 

突然蘭ちゃんが何かを指さす。それは向かいのビルの看板広告だった。

 

「しんいちあれだよ!あれも090からはじまってる!」

「そうか!でんわばんごうだ!」

「あー、これ優作さんの電話番号だ」

 

携帯を見ながらわざとらしく呟く。ほらと携帯を2人に見せる。

 

「なんでしんいちのおとうさんのでんわばんごうがかかれてるの?」

「わかったぞ!!これとうさんがつくったんだよ!おれがいえにずっといるから、そとであそぶようにしむけたんだ」

 

わー、ほぼ当たってるー。真相を確かめるために携帯で優作さんに電話をかける。

 

『謎は解けたかい新一?』

「やっぱりとうさんだったんだな!ぜんぶといてやったぞ!」

『それは素晴らしい。全問正解の君達にはご褒美を用意しているよ。蘭君も誘って帰ってきなさい』

 

優作さんの仕業だったと勘違いしたまま帰宅した新くんは自慢げに優作さんに解いた問題を見せている。

 

「ほーちゃーん!」

「何有希ちゃん?」

「英理ちゃんがね、急なアポイントメントが入って夕方までに帰ってこれないそうなの。だから蘭ちゃんウチに泊めようと思うんだけどいい?」

「いいよ。蘭ちゃんに伝えとくね」

「お願いね~」

 

リビングでそわそわと落ち着きのない蘭ちゃんにかけよる。新くん恋人候補放って何やってるんだか。

 

「蘭ちゃん、今日蘭ちゃんのお母さん遅くなるらしいの」

「そっか……」

 

悲しそうな蘭ちゃん。共働きの家庭は大変だよね。年中無休と言っても過言ではない刑事さんに、業績を挙げたい新人弁護士なら尚更子供を一人にしてしまうこともあるだろう。

 

「だからね、ここにお泊りしない?」

「おとまり?」

「そう。私、蘭ちゃんと一緒にご飯とケーキ食べて、お風呂入って、ベッドで寝たいな~」

「!」

「!!!」

 

背後でただならぬ気配を感じるのだが。……気のせいか。

 

「蘭ちゃんをぎゅーって抱きしめて寝たいな~」

「!!??」

「ぶほっ…!!」

 

優作さんが爆笑してる声が聞こえる。また新くんが何かしたな、新くんも懲りないよね。

 

「お、おとまりしたい…!」

「よし。じゃあ先にお風呂入ろうか」

 

まだ17時過ぎたくらいだけど、汗びっしょりだからお風呂入りたい。背後ではまだ優作さんが爆笑してる。そんなに新くんの冒険譚が面白かったのかな?

 

お風呂に入りさっぱりしたら、蘭ちゃんに私のパジャマを貸す。小学1年生の時の服はまだ保存している。自室のクローゼットの奥に閉まっていた衣装ケースを取り出す。

 

「ほまれちゃんのおへやもこもこがいっぱいだねぇ」

「私はいらないって言ってるんだけど、みんなが買ってくるんだよね……」

 

自室にはもこもこのぬいぐるみが何個も陣取っているが、一番目を引くのが150㎝もあるバカでかテディベアの熊治郎だ。母からの初等部卒業祝いに届けられた熊治郎(母命名)。いつもは読書やゲームするときの背もたれに使用させていただいている。

 

「いいなぁ」

「蘭ちゃん欲しいものがあるならあげるよ」

「……ううん、だいじょうぶ」

 

有希ちゃんが小さかった頃の私を懐かしむためだけにある思い出クローゼット(有希ちゃん命名)を開け蘭ちゃん用のパジャマを探す。これも似合うしー、このハートがらのパジャマもいいな。蘭ちゃんなんでも似合うしな~。ん~。

 

「じゃあ今度の漢字テストで100点取れたらプレゼントするね。それなら私が勝手にあげるだけで気にしなくていいでしょ?」

「!、が、がんばる!」

「んふふ、よしこれかなぁ。蘭ちゃんこれ着ようか」

 

紫を基調としたフリルがたくさんついているパジャマを着てもらう。母のブランドの子供服だから着心地はいいはず。母は多種多様な雰囲気の服を制作している。この前はジュエリーデザイナーと合同制作で商品出して飛ぶように売れていた。有希ちゃんはお取り置きできるはずなのに自力で手に入れたみたい。すごい満足気だった。

閑話休題。フリルパジャマを着た蘭ちゃんを見て新くんは顔を赤らめていました。

 

「もうほーちゃんはいつもそればっかり着て~!」

「これが楽なの」

 

私はウサギの着ぐるみパジャマを着ている。これが一番脱ぎ着が楽だしこれも母のブランドのものだから着心地抜群。でも傍から見たらピンクの怪物に見えるらしい。新くん小さいころガチ泣きしていた。さて、もうすぐ19時。そわそわする新くん。蘭ちゃんは疲れたのかもう寝落ち寸前。

 

「蘭ちゃん寝ようか」

「ぅん…」

「じゃあみんなおやすみ~」

 

蘭ちゃんを連れて2階の自室に向かう。部屋の扉を開けると、ベランダに誰かいるのに気づいた。私の部屋だったかー。

 

「だれぇ…?」

 

まずは眠い目をこする蘭ちゃんをベッドに寝かせる。秒で寝てくれたのでベランダに近づきカーテンを開けると白いタキシードにシルクハットそしてまるで翼のようなマントを風になびかせている、

 

「怪盗KID…」

「初めましてレディ。今宵月明かりに導かれ、貴女を頂きに参上しました」

 

盗一さん改め怪盗KIDがベランダの柵に腰かけている。ウサギの着ぐるみパジャマを着ていると場違い感がすごい。

 

「はじめまして。今日は態々来てくださりありがとうございます。新くん呼びますか?」

「ご心配は要りません。探偵はすぐに匂いを嗅ぎつけます」

 

新くん気づくかなぁ。もう終わったと思ってるだろうから。

 

「レディ、お手を」

 

KIDがいつの間にか鳩を手に乗せていた。あ、いつも来てくれる伝書鳩さんだ。KIDに言われた通り手を出すと伝書鳩さんが飛んでくる。

 

「あの、この子をどうすればいいんですか?」

「老いぼれの鳩でして、余生を貴女の元で暮らしたいようです」

 

そ、そうなんだ。確かに獣医さんにもこの子はおじいちゃんだと言われたな。

 

「わかりました。お世話させていただきます」

「ありがとうございます」

「…じゃ、じゃあ私も一つ、お願いしていいですか?」

「勿論。私に不可能はありません」

「え、えと…」

 

怪盗KIDを前にして若干緊張気味なので軽く深呼吸をする。

 

「み、みんなで、遊びに行きたいです!工藤家と、…黒羽家のみんなで!」

「!」

 

だ、だめかな……。

まだ黒羽家にご挨拶できていないし、快斗くんと千景さんに会いたい!!

 

「お願いします!!」

 

勢いよく頭を下げる。

 

「…レディ、頭を上げてください」

 

やっぱりだめか…。しゅん…となりながら頭を上げると視界が白一色になる。もしかしてハグされてる?急になぜ?

 

「あ、あのぉ?」

「ありがとう誉。君のお願い、必ず叶えるよ」

 

耳元でKIDではなく盗一さんがそう呟いた。

 

「…!、うん、約束だからね」

 

こちらこそお願いを聞いてくれてありがとうという思いが伝わってほしいと、盗一さんの背中に腕を回しぎゅーっとハグをする。ほんの数秒でも感謝の気持ちが伝わったと思う。いや、伝わってる!

 

「レディ、貴女と楽しい時間を過ごすことができ大変嬉しく思います」

「はい、私もです。でも新くん来なかったですね」

「そちらにはすでに置き土産がありますので、ご心配なく。ではいずれまた何処かで」

 

そう言うとKIDはベランダから夜の闇へ飛び立つ。KIDが見えなくなるまでベランダで見送っていた。それにしてもキザだったなあ。部屋に入り伝書鳩さんを鳥かごに入れる。あ、この子の名前聞くの忘れたな。……伝書鳩さんだから、でんちゃんはどうだろう。

 

「きみは今日からでんちゃんだよ。いい?」

 

嫌がってないしでんちゃんに決まりだ。私も眠くなったので蘭ちゃんを起こさないようにしてベッドに入る。今日は色々巡ってへとへとだった私はベッドに入ると数秒で寝てしまった。いや気絶だったかも。

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

翌日

遮光カーテンのおかげで朝日が入ってこない私の部屋は真っ暗なまま。7時のアラームが鳴ったがすぐにアラームを止めて二度寝する。二度寝に勝るものはないよね~。むにゃむにゃと惰眠を貪ろうとしていたのにバンッと勢いよくドアが開いた音がした。

 

「ほーちゃん!!!!」

「ほまれちゃんあさだよー」

 

おかしいな、2人のテンションに差があるような気がする。新くんに怒られそうな気配を察知し、布団を深く被る。

 

「ほまれちゃんあさごはんできてるよ?」

「ほーちゃんおきろ!!!!」

 

どうして新くんはそんなに怒っているんだい?私にはさっぱりだ。全く起きない私にしびれを切らした新くんはカーテンを開ける。仕方なく布団からズズズ...と顔を出す。ゔお゙ぉぉぉまぶしいぃぃぃ。

 

「蘭ちゃんおはよ…」

「おはよう!」

 

蘭ちゃんは今日も今日とてかわいいね。

 

「新くんもおはよ。……どしたの、顔がしわしわだよ」

「ん゙!!」

「なに」

 

新くんが写真を見せてくる。なんの写真?寝起きでコンタクト付けてないのでベッドサイドのテーブルからメガネを取って掛ける。写真には怪盗KIDとウサギパジャマの私が抱き合っていた。

 

「いつの間に…」

「しんいちかいとうキッドからおてがみもらったんだよ!」

「ん゙!!」

 

手紙?新くんから渡された紙には

「Dear KudoShinichi. 貴殿の大切なもの頂きました。No.1412」

と書かれている。

 

「ありゃー、新くん何盗まれたの」

 

このままだと朝ご飯を食べ損ねるのでベッドから降りる。

 

「なにもぬすまれてないし!」

「じゃあいいじゃん」

「よ゙くな゙い゙!!」

「怪盗KIDに会えなかったから拗ねてるの?」

「すねてない!」

 

本当は怪盗KIDに会いたかったと思うから代わりに私で申し訳ないが、新くんを抱きしめる。

 

「!?」

「新くんだいすきー」

「!!?」

「しんいちよかったねぇ」

 

よーしよし、大きく育てよ~。キモいとか言いだしても抱きしめ続けるよ〜。

 

「うぅっ…!!」

 

新くんは恥ずかしいのか腕の中でジタバタと暴れる。はいはい下に行きますよ〜。新くんを抱っこして1階に降りる。

 

「蘭ちゃんごめんね。新くんうるさかったでしょ」

「ううんだいじょうぶ!しんいちはほまれちゃんがだいすきだから」

「えーほんとー?照れるなー」

「ち、ちげぇし!」

 

そうだよね、新くんは蘭ちゃんにぞっこんだもんね。安心して日本国民のほとんどが知ってたから。下に着き新くんを降ろし朝食を食べに行く。本日の朝食は和食でした。豆腐のお味噌汁美味しかったです。

 

「では向かおうか」

「楽しみだわ〜!」

 

ん?朝食を食べ終え食器を洗っていると、大人2人が何か言い出した。向かうって言った?

 

「どこか行くの?」

「話していただろう誉」

「海に行くのよ〜!」

「え、……いまから?」

 

た、確かに海に行くと約束したよ?したけどこんなすぐだとは思わないじゃん……。

 

「ら、蘭ちゃんはどうするの?英理さんまだ帰ってきてないんでしょ?」

 

急なアポイントメントが泊まりがけの仕事になってしまったと英理さんから、小五郎さんも早朝に呼び出しで今家にいないって言っていた。

 

「英理ちゃんは許可済みよん♡」

「毛利君が早朝に着替えなどを届けてくれたよ」

「ま、まじか……」

 

新くんは隣で黙々と食器を洗っていて驚いたりしていない。ということは事前に伝えていたな。蘭ちゃんもそういえば部屋に来たときから目がキラキラしていたし。こんな時ばかり夫婦で連携するんだから……。

 

「わかりました、準備しますよ……」

「やったー!!」

 

食器を片付けて自室で水着やらを小さめのボストンバッグに詰め込む。あの灼熱地獄、人地獄と噂の海水浴に行くなんて……。海水浴は前世を含めてもこれが初めてだ。海の家でバイトしようと考えたこともあったけれど、夏の暑さを恐れて応募しないままだったしなぁ。荷台にボストンバッグを入れて助手席に乗る。体力温存するために寝とこ。ぐう。

 

――――――――――――――――――――

 

「誉着いたよ」

「んぅ?…………わかった」

 

着いてしまったか…。車から降りて遮光率100%の日傘を差しサングラスをかける。UVカットの薄手パーカーも羽織って紫外線対策は完璧。私の白い肌を黒くするわけにはいかないのでね!

女性陣と男性陣に分かれて女性陣は更衣室に行き、男性陣(主に優作さん)は場所取りに行ってくれる。

 

「有希ちゃん、その水着焼けない?」

 

有希ちゃんはどピンクで背中が丸見えの水着を着ている。

 

「ちゃんと日焼け止め塗ってるわよ!ほーちゃんこそ、なんでそんな水着着てるのよ~」

 

私は有希ちゃんが用意していた白いビキニではなく、スポーティなパンツタイプの水着の上に紺色のラッシュガードとオーバーサイズのTシャツを羽織っている。

 

「あんなの着れないし。これが一番焼けないの」

「やだー!かわいい水着着てよー!」

「はいはい。蘭ちゃん行こうね~」

「うん!」

 

蘭ちゃんはかわいい薄ピンクのワンピースタイプの水着に、すでにうきわを被って今にも海に飛び出しそう。かわいい。更衣室を出て、優作さんから連絡があった場所に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

人多い。砂浜に反射した日差しが眩しい。人多い。暑い。焼きそばおいしそう。

 

「いらっしゃいませー!かき氷いかがですかー!……あら?」

 

かき氷食べたい。暑い。優作さんどこ。有希ちゃんナンパについていこうしないで。パリピ邪魔。

 

「Hey!ほまれー!ほーまーれー!」

「ほまれちゃんよばれてるよ?」

「んー?」

「ほーまーれー!」

 

蘭ちゃんにTシャツの裾を引っ張られ後ろを振り向くと、金髪の女性がこっちに手を振りながら走ってきている。あの子、花ちゃんぽいな。

 

「......え、花ちゃん!?」

 

いつもはおろしている長い金髪をポニーテールにして白Tの裾を腰で結んでハイウエストのデニムショートパンツという、The夏の美少女にコスチュームチェンジした花ちゃんがいた。

 

「もう!やっと気づいたわね!」

「は、花ちゃんなんでこんな所に…?」

「父様の友人が海の家のオーナーなの。手伝いに来ないかって言ってくださったから、社会勉強として1週間お手伝いしてるのよ」

「はえ~、頑張るねぇ」

「誉は海水浴?そちらは妹さんかしら?」

 

1か月ぶりに会ったから花ちゃんのテンションが高い。蘭ちゃんに興味津々。蘭ちゃんと花ちゃんが話しているのを見ていたが、気づけば有希ちゃんがいない。ナンパについていったな、焼きそばでも奢ってもらう気だ。放っておいても帰ってくるでしょ。

 

「花ちゃん話しているところ悪いんだけど、優作さん見てない?」

「誉パパ?見たわよ。確かあっち方面に行ったと思うわ、……ほら!いたわよ!」

「パパじゃないよ。どこだ~……あ、いた」

「しんいちいたー!」

 

あらら、蘭ちゃん走って行っちゃった。また遠いところに場所取りしてるんだから。ちょうど休憩時間らしい花ちゃんも一緒に男どものところへ歩く。

 

「そういえば花ちゃん、よく私ってわかったね」

 

今の私は肌を出している部分が頭と顔の下部分しかない。

 

「何年一緒にいると思っているのかしら?白馬花を舐めないでいただきたいわ!」

「うんうん、私達仲良しだもんね」

 

1か月ぶりの花ちゃん節、疲労困憊の体に効くわ~。

 

「優作さんおまたせ~」

 

今日は眼鏡ではなくサングラスをかけている優作さん。新くんは蘭ちゃんともう1人女の子と一緒に海で遊んでる。新くんまた新たな女児を誑し込んでるわ。

 

「遅かったね誉。おや、そちらは花君かい?」

「誉パパお久しぶりです」

「久しぶりだね。これからも娘をお願いするよ」

「勿論ですわ!」

「娘じゃないんだよなー」

 

いつも会うとこのくだりやるの飽きないの?有希ちゃんがいないことを聞かれたけど、ナンパに奢ってもらっていると言い優作さんの隣に座る。バカでかパラソルのおかげで多少は涼しい、気がする。ここでならラッシュガード脱いでもいいか。ラッシュガードを脱ぎ、水着の上にTシャツを羽織るだけの格好になる。

 

「ほーちゃーん!ゆうさくー!」

「来た来た」

 

後ろに若い男性2人を引き連れて有希ちゃんがやっと現れた。

 

「Wow、誉あの2人イケメンよ」

「ホントだー。有希ちゃんの美貌に勝てなかった人達だね」

 

しかも有希ちゃんの後ろにいる2人のうち1人は見覚えがあるカラーリングしている。金髪に褐色の肌で青い目。皆さん大好き降谷零氏ですね~。じゃあ隣は諸伏景光氏ですね。すごーい!メインキャラ集合だー!(死んだ目)どうしよう、事件発生率が大幅に急上昇している。

 

「優作ったら、どうしてこんな遠くにいるのよ!探したでしょー!」

「違うでしょ有希ちゃん。有希ちゃんがナンパについてって離れて行ったんだよ。そちらに何を奢っていただいたの」

「ち、違うわよ~!!」

 

何が違うんだ!!というか既婚の身で異性に媚びを売ること自体おかしいんだから。有希ちゃんてば、既婚者で一児の母という事実がわかっていないよね?日ごろから若いイケメンに色目使って。私新くんの保育園突撃事件忘れてないからね?今日という今日は我慢できない。教育的指導だ!!

 

「花ちゃん、ヤるよ」

「OK!Search and destroyね!」

 

私と花ちゃんで有希ちゃんを両側から挟んで海の方へ連れていく。

 

「嫌ぁぁっ!!!」

 

公安組(未来)が困惑顔で見ているが今は知ったこっちゃない。

有希ちゃん元女優なら気合見せろ!!

 

――――――――――――――――――――

 

「ははっ、誉も楽しんでいるようだね」

「あ、あのぉ……」

 

優作が優雅に3人を見送っていると横から諸伏が声をかける。

 

「ん?あぁ、君達には悪い事をしたね。私の妻を助けてくれたんだろう?」

 

有希子に連れてこられた2人はナンパではなく、有希子がナンパ男の押しに負けそうになっていた場にちょうど居合わせ、ナンパ男を追い返していた。有希子はその礼として焼きそばを2人に奢り、2人は有希子の誘いを断れず優作が待つここまで連れてこられたのだった。

 

「い、いえ荷物持ちを願い出たのは自分達なので…」

「すまないね。ここまで来てくれたんだ、ゆっくりするといい。とは言っても私のファンなようだし、サインでも書いた方がお礼としては良いのかもしれないな」

「やはり工藤優作先生なんですね…!」

 

降谷が興奮したように身を乗り出す。

 

「あぁ」

「じゃあ奥さんって藤峰有希子さんですか!?ゼ、ゼロ俺芸能人と話しちゃったよ!!」

「お、落ち着けヒロ!」

「ふっ、サインで良さそうだ」

「あ、でも今紙とペン持ってないし……」

 

途端に悲しげな表情をする諸伏。降谷も全面には出さないが、心なしか表情が暗くなる。

 

「問題ないよ。誉!」

 

――――――――――――――――――――

 

有希ちゃんを砂浜に埋めていたら急に優作さんが私を呼ぶ。まだ6パックの造形にも着手してないのに。

 

「花ちゃん頼んだ!」

「了解!」

「うぅぅ、おもいぃぃ…」

 

まだいた公安組を横目にし優作さんに近づく。あ"-やっぱり日陰は天国だー。

 

「優作さんどしたの?」

「サイン色紙とペンが必要でね、誉あるかい?」

「あるよー」

 

人がこんなにいるんだから、工藤優作ファンや藤峰有希子ファンの1人や2人いるよね。持ってきて正解だった。ボストンバッグからサイン色紙2枚とマジックペンを取り出す。

 

「はい」

「ありがとう」

 

優作さんがサインを書いている間に昼食の準備でもしますかね。有希ちゃんは何を買ったのかね。って先に2人にお礼言わなきゃ。公安組の2人の方を向く。

 

「先ほどは失礼しました。工藤優作の姪の工藤誉です。叔母がお世話になったようで、ご迷惑おかけしました」

 

2人にむけて頭を下げる。私、有希ちゃんのことで頭下げるの多くないか?

 

「いや、俺達が勝手にしたことだから気にしなくていいよ」

「うん、俺達にまで焼きそば買ってくれたんだ。こっちがお礼言いたいくらいさ」

 

やっぱりナンパ男は別の人だったか。

 

「ありがとうございます。そう言っていただけて安心です」

 

はあ。2人の心が広くてよかった。有希ちゃんは罰として関係各所に6パックムキムキ有希ちゃんの写真を送るつもりだ。母、盗一さん、シャロンさんには絶対に送る。家のリビングに飾ってもいいな。

 

「よし、できたよ」

「「ありがとうございます!!」」

 

2人は嬉しそうにサインが書かれた色紙を眺めている。よかったねぇ~。じゃあ私は焼きそばと焼き鳥を並べますかね。飲み物は優作さんが保冷バッグで冷やしてくれているから大丈夫。公安組は連れがいるそうなのでもう一度お礼を言いバイバイした。

 

「ほまれー!完成したわー!」

「りょうかーい!今行くー!」

 

昼食の準備が終わったのと同時に花ちゃんの仕上げができたようだ。美術5の私達の技術力により、ボディビルダーのような立派な筋肉がついた有希ちゃんが完成してしまった。流石私達。自分の力が怖いですね……。

 

「写真撮らなきゃ」

「有希さんvery beautifulだわ!」

「いやぁ!!撮らないでぇ!」

 

色んなカットで撮り満足したので有希ちゃんを砂から掘り出す。

 

「工藤有希子さん、反省したかね」

「うぅぅ…、はい……」

「うむ、よろしい」

「これにて一件落着ね!」

 

いつの間にか戻ってきていた新くんに呼び戻され6人で昼食を食べる。そういえば新くん達と一緒に遊んでいた子、誰だったんだろう。

 

「新くん、一緒に遊んでた子誰だったの?」

「ピエロのおにいさんのいもうと」

「ピエロの、お兄さん…?」

 

誰?いや待てよ、どこかで聞いたとこあるな……。どこだっけ。たしか家で、何かを見てて聞いたような……。思い出そうと海の方を眺めていると視界の端で何かが落下してくる。

 

「え、」




意味深な終わり方ですが、別に次の話には意味深な要素はありません。
普通にさざ波の魔法使い+αです。
ちなみに主人公は赤井秀一とは全く話してもないし見てもないです。
ニアミスしてます。
ただウイスキートリオは互いにバッチリ会話してます。

追記
諸伏景光さんのお名前間違えてました。すみません。
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