【完結】ゼーンゼン・ツラクナイツ   作:タサオカ/@tasaoka1

1 / 20
『生誕未明』
1話 チュートリアルツ


 

彼女は最初会ってからしばらくして、色々と語ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

アークナイツって有名ゲームあったのは知ってる?

千年戦争アイギスみたいなやつって言えばわかるよね。

うっそ、どっちも知らない?……マジかよ……。

えっとジャンルで言うとタワーディフェンスゲームってやつなんだわ

侵攻してくる敵を、攻撃するコマを置いて、撃退するやつね。

 

んで、これ面白いんだけど、テキストがおせち箱みたいに重いじゃんね。

長いし、世界観が暗いし、テーマが重いし、何より長いし。

 

テラっていう地球とはチョット似てる場所が舞台。

まぁ、つまり指差すとするなら此処。

わんにゃんに龍とか天使とか悪魔っぽい民族が暮らしてる。

半分ないけど、俺の耳をみてみ、ほら、なんだか分かるか?

正解は……兎だ。フフフ、こんな感じなんだぜ凄いだろ。

天然物のバニーガールだな。

村から出たことないって言ってたもんな。

ある種のケモミミ天国だぜ?色街とかに行くとさぁ……。

 

ふー脱線したな、話を戻すと……。

 

このゲーム特徴的なのが、主人公陣営が製薬会社って所。

珍しいよね、傭兵団とか軍隊とかレジスタンスとかでもないの。

そしてプレイヤー操作キャラ、主人公はドクターって呼ばれてる。

博士って意味だけど、この病んだ世界のお医者さんでもあると思ってる。

もっともやることは戦闘の指揮だからそこは他のソシャゲとかわらないかも。

 

それでそれで、この世界には源石っていう不思議パワーのある鉱石がある。

これが社会を回しているのだけど、とても、重大な欠点がある。

鉱石病っていう病気を発生させるって点。

 

掛かっちゃうと石が体に出来ちゃって次第にデカくなる。

この石は癌とかの比喩じゃなくて、そのまんまの意味。

最悪でしょ?おまけに石ができると各部で障害が発生したりする。

不幸中の幸いというかアーツっていう魔法が強くなることもあるけれども。

結局それも、使えば使うほど進行が進むってクソ具合。

そして最後には爆発する、そう死体が爆発。

周囲に拡散して、これが新たな感染源になるの。

おまけに治らない、掛かったら終わり。

 

ここまで来たらどうなるか、わかるよね?

 

マジで、最悪な、差別の嵐が吹き荒れてる。

地球で暮らしていた俺達が知ってる『らい病』への差別以上と考えていい。

なんせ近くにいるだけで感染のリスクがあったりするからね。

ここで語るとあまりにも話しが長くなるけど、つまり差別がひどいってこと。

刺激が強いからやめとく。暗いしね。

 

それに天災とかいう空から降ってくる災害みたいなのもあってさぁ。

マジでね、悪意しか感じないよね。

あーいやいや、えっと私怨がにじみすぎちゃったね。

 

さてさて、そんな世界だから主人公たちドクターの所属する製薬会社ロドス・アイランドは、オリパシーを治すために色々やるのでしたーというわけ。

それが俺達、あーいや、私達の置かれてる世界だね。

もっと酷いこともあるけど、まあチュートリアルみたいなもんだし。

え? 私も感染者なのって? そうだけど、怖い?

 

俺はその時、ぜんぜんって答えた

彼女が悪意ある存在には見えなかった。

感染させるなら他の手は幾らでもあっただろうしな。

村の中であった沢山の忌むべきことを思えば、彼女はじゃれ合ってくれてただけだった。

なんならちょっと泣きそうだった、俺は。

遠い異国の地でやっと話が通じる人が出てきたときのような、いや実際そういうことだから。

ただ彼女の前で泣きたくなかったからグッと堪えてそういったのだ。

 

彼女はそれらをわかっていながら悪戯をするような笑みを浮かべて、感染するかも知れないのに?って聞いてきた。

それだったら貴方は一流の役者になれるよって俺は応える。

片方が半分ないコータス特有の耳を揺らすほど、ゲラゲラと品のない笑いをしたあと抱きつかれたな。

あれにはビックリした。

彼女はパーソナルスペースって概念を知らなかったからなんだろうなと思う。

そして、そのままロドスにこない?って言われた。

俺はもう選択肢を選んでいた、くそったれな村から抜け出したかったし、彼女のことを少し好きになっていたからだった。

彼女は俺のイエスを聞くと頭をグイグイと撫でて、よろしくねと言った。

 

 

 

 

 

 

 

それは彼女が、ウルサスの、あの地で殉職する数年前のことだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。