【完結】ゼーンゼン・ツラクナイツ   作:タサオカ/@tasaoka1

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13話 プライドナイツ

重装オペレーター訓練場に、鈍い音が響き渡る。

 

「やはり筋が良い、もう一度だ」

「ありがとうございますっ!」

 

エースさんの余裕ありありイケオジ・ボイス。

それに吠えるように答え、俺は一歩踏み出して加速する。

 

俺は攻撃側だった。

だが迫ったエースさんの盾を払って、再度迂回して仕掛けるも、簡単にいなされてしまう。

これで喋りながら対応してくるのだから、恐ろしい。

ガンダムでNTとかが富野節な会話しながら戦闘してたのを思い出す。

そんな豪勢な真似を俺の脳内cpuは処理しきれない、答えを返すだけで手一杯だ。

着いた当初から比べれば、身体能力は格段に向上したはずだというのに。

それでも、もしエースさんが本気で襲ってきたら俺は1分と持たず頭蓋骨から脳みそ垂れ流してる。

そう思うぐらいには、戦闘技術やあらゆる経験に隔絶した差が存在した。

ロドスのエリートオペレーターは、彼女の言う通り格が違う。

俺の技術なんぞ所詮は付け焼き刃、それをいいだけ思い知らされる時間だった。

素人の食い詰め野盗やホモレイプ野郎の首をねじ切ったところで、大した経験値にはならなかったということだ。

 

それが、なんだか悔しい、いや、めっちゃ悔しい。

何でだろう、どこかで変な自信があったからだろうか。

井の中の蛙とは言うが、多少なりとも自分には力があると思ってた。

ソシャゲのレアぐらいには価値があるものだと。

もしかしたらこれは、この世界で俺の手元に残った唯一つの尊厳だったのかもしれない。

いつの間にかすっかり毒されていたようだった、あの村の価値観というものに。

あの村ではそれが全てだったからだ、力さえあれば道理なんて関係がなかった。

ロドスでこうして職を見つけて1週間、自分には足りないものばかりだと気付かされる。

なら、もっと、もっと力をつけなければならないだろう。

そして時間もほしい、俺にも彼女にも沢山の時間が。

 

8度目の突撃を見事に打ち砕かれた所で、エースさんの言葉が聞こえた。

 

「では反撃する」

「お願いします!」

 

気持ちをリセットし、気合を入れるため、大声で答えた。

今度は、俺が防御側だ。すでに腕の筋肉は、悲鳴を上げ続ける棒のよう。

プルプルしてしまうのを抑え、持ち出し構えたるはロドスの標準的盾、訓練用の物である。

それを構えてエースさんの攻撃を何とか阻止するというのが、今回の目標の一つだ。

盾が弾き飛ばされないように鋼のように握りしめ、俺はエースさんを睨んだ。

自分の小隊の訓練の後に、俺をこうして相手にしてくれてるんだ。

今度こそ、絶対に負けない!

イマジナリー・スー!力を貸してくれ!!

え?やだ?

一人でもヤるぞおおおおお!うおおおおおおお!

 

 

 

 

 

 

そして、俺は────普通にボコボコにされた。

 

 

 

 

 

 

 

まだ内臓が揺れてる気がする。おえっぷ。

エース小隊の皆さんの前で危うく口から虹色吐くところだった。

小隊の皆さんはにこやかに俺を見守ってくれている所から、なんとなく皆これやられたことあるんだな……かわいそ……となる。

何とか肺とか胃を落ち着かせられたので、礼と感謝のアイサツを行う。

 

「ありがとうございました!」

「ああ、しかし、君には焦りがあるな」

 

ズバリと言われ、俺は動きが固まってしまった。

 

「図星か」

「はい、まぁ……」

「Bigearsから話は聞いている」

「ええ、皆さんの足を引っ張りたくないんです、出ちゃいましたねぇ……ハハハ」

 

頭に手を当ててごまかすように笑った。

まあ見透かされているか、小隊のリーダーなんだからそこら辺の人心掌握能力もあるのだろう。

おお恥ずかしい、恥ずかしい。

 

「君は日数を考えれば良くやっている」

「ありがとうございます」

「だが、そもそも1週間で追いつかれたら俺達は廃業を考えなければならない、なぁ、サンドウォッシュ」

「ちょっちょっ、なんで俺に振ってくるんですか~!?」

「さあ何でだろうな、よし、走り込みを再開する! 君もいけるか?」

 

正直、足がガクガクしてきていた。

だが、こんな所でついて行けなきゃ原作のげの字にもたどり着けないだろう。

強くもなりたい、何よりも彼女を安心させてやりたい、そしてエースさんにも褒められたい!

この三点の気持ちと盾を体の支えにして、ようやく立ち上がる。

立ち上がっちまえばこっちのもんよ、盾持ちのフル装備で体が温まってきたところだ!

彼女の言うテロリストが跋扈し、源石が降るという戦場となったら、きっとこんなに休ませてくれないだろうしな。

目一杯、大声を出す。自分を叱咤するように。

 

「ウッス!!いけまぁす!!」

「いいぞ!ついてこい!」

 

その後、訓練を終えて抜け殻みたいになった俺は自らの部屋に転がることになった。

訪ねてきてくれたリアル・スーが、ぴえっと悲鳴を上げたくらいである。

驚かせて悪かった、エースさん凄いマジリスペクト、頑張りたいね原作開始。

ベッドに座りながら、彼女はそんな俺の三本立て話を聞いて、結論を出した。

 

「その心意気誉れ高い、私の彼ピッピに相応しい、合法ロリ膝枕刑に処す」

 

彼女がそう言ってくれるもんだから、彼ピッピに突っ込む余裕もなく、俺も素直に甘えて太ももの上に頭を乗せた。

ズッシリとした疲労感と確かな充実感が、俺をすぐに眠りへと導いてくれる。

 

そこで、俺は夢を見た。

 

内容は、テロリスト達のボスをチートで倒して、彼女を救い出し、ついでにドクターも助け出して治療薬の開発に近づく、というものだった。

 

起きてしまえば赤面もの、それは100%な欲望に近いものではあった。

だがそれを現実に近づけるためにも、俺は強くならなければならないだろう。

 

目指せ、SSRキャラ……!

 

 

 

 

 

 

 

「彼……どうですか?」

「1週間でこのトレーニングについて来れるだけ、規格外と言っていい」

「でしょう、彼のテストを監督した時、俺もそう思いましたよ」

「鼻が高いようだな」

「だって彼がエリートオペレーターになった暁には、俺が育てたって言えますからね!」

「そんな考えが出来るぐらいには余裕があるようだなサンドウォッシュ! 走り込み10週追加!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『再生開始』

 

 

「分かりません……何も分かりません……」

 

「私達は、あの街、チェルノボーグにたどり着いた時が一番士気が高かったはずなんです」

 

「レユニオンの志と共に、一致団結して」

 

「皆でアイツらに正当な復讐ができるって笑い合ってたんです」

 

「そこで何故、彼が突然狂いだして、術師たちを殺し始めたのかが、わかりません」

 

「何度考えても、理由が、ないんです」

 

「それにあんな所で裏切っても、すぐ殺されるってわかるでしょう?」

 

「前の晩も、彼におかしなところは何もありませんでした」

 

「それでも、彼のもった剣は私達に向けられていたんです」

 

「彼はそのまま周囲の仲間たちを道連れにして、仲間たちの手で八つ裂きにされました」

 

「それから進軍を再開するたび、また一人、一人、狂いだしていきました」

 

「天災も起こって、散り散りになって」

 

「怪我を負って弱った人から死んでいきました」

 

「……あの村の生き残りは、もう私だけです……」

 

「この大地は、私達が、歯向かわなかったほうがいいというの……?」

 

「おしえてください……どうして……」

 

(嗚咽)

 

『再生終了』























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