ブルア界樹の迷宮   作:伝説の超三毛猫

12 / 36
ブルアカ×世界樹の迷宮、略してブルア界樹の迷宮です。
対戦よろしくお願いします。

自分、新世界樹の迷宮2をちょくちょくやっているんですが、そのデータが…
ギルド名:LS鉄幻想
メンバー
ブロントさん(パラディン)、妖夢(ブシドー)、アリス(アルケミスト)、霊夢(ドクトルマグス)、文(レンジャー)、天子(ダークハンター)、椛(ペット)、依久(メディック)、ミスティア(バード)、鈴仙(ガンナー)

―――なのよね。
うん、世代がバレそうだなぁ。


リカタ・ジュタの現実

 跳び回る黒蟋蟀の素材は、その後イチジョウ工房に持って行けば、有用な武具の材料として活用することが出来た。

 漆黒の羽は、頑丈な黒鎧に。ミドリが関節に撃ち込んだことでうまく動かせなくなった結果容易に切り取れた大きな脚は切れ味抜群の新たな剣となって販売されるようになった。

 

「アリスは新たな装備を手に入れた!」

「これが虫の羽だったとは思えないわ…」

「気に入って貰えて嬉しいデース!」

 

 最初、素材を売った際にシフォンが「一家総出で、コレをいい装備に変えて見せマース!」と言った際は虫の羽や脚から出来る装備品がどのようなものかが想像できずにアリス以外若干引いてしまったが、いざ完成品を目の当たりにすると、その完成度に舌を巻いたのだ。

 それらの武具は…何も知らなければ、金属製のソレだと勘違いする程原型を留めない見た目であった。

 

「どうデスか?買っテ行きマスか?」

「見た目がどうなるかだけが気がかりだったけど…」

「いいじゃん!ユウカが硬くなるなら私達も安全になるってことだし!」

「……そうね。ありがとうございます、シフォンさん。有難く使わせていただきますね。……虫の甲殻だけど」

 

 コンコンと叩いて、新調した鎧の感触を確かめるユウカに、新たな剣を目を輝かせて掲げるアリス。

 元の素材がどうあれ、彼女達にとって、それらの装備は有用なものには違いない。

 ほかに買うものはないだろうと考えていると、シフォンがある一点を見ていることに気付く。

 

「ミドリ、腰のソレは銃デスか?」

「え、そうだけど…」

「チョット見せてくだサイ!!」

「え、ちょっと!」

 

 ミドリにくっついてリボルバー―――コルトSAAを鑑定し始めるシフォン。

 困惑するミドリを無視してしばらく観察していたシフォンだが、しばらくして、彼女は真剣な眼差しでミドリにこう尋ねた。

 

「急なお願いでゴメンナサイなのデスが…ミドリ、ソノ銃をシバラク貸してくれマセンか?」

「え、どうして!?」

「ミドリの銃…ワタシ達の銃とは違いマス。オソラク、構造からまったく違ウと思うんデス……ダカラ、その銃ノ部品ヲ見る事デ、ワタシ達の銃ノ改良に繋がルかもしれナイのデス」

「そ、それは…」

「モモイにも言われマシタが、品揃えで不満ヲ持たせタままナンテ、鍛冶屋の名折レデスからネ」

「お、覚えてたんだ……」

 

 シフォンの言葉に、モモイは顔を青ざめる。

 だが、こればかりはシフォン自身の、彼女達のプライドなのだという。

 曰く、武具を取り扱う鍛冶屋にとって、客の要望に答えられないということは、屈辱である。それは己の非力を示したことにしかならないからだと。

 

「でも、もし預けちゃったら探索の時の武器がなくなっちゃうんだけど…」

「そう言うと思いマシテ、コチラを用意してみマシタ!」

 

 預けている間の武器を懸念すると、シフォンから、新たな拳銃を渡される。それは、2つの銃身がついたフリントロック式の拳銃だった。

 

「これは?」

「イチジョウ工房の新製品、ポイズンバレルデース!

 2連射のできる設計で、毒アゲハのリンプンを弾丸に込めて撃つ事がデキマース!!」

「2連射………」

「コレまでは1発ずつしか撃てなかったんデスが、このタイプは連射が効くようにナリましタ!」

「そ、そうだよね……これまでは一発ずつしか撃てなかったもんね…」

 

 ミドリに限らず、キヴォトスの民にとっては、銃が連射できるなんてものは、常識であった。

 しかし、リカタ・ジュタでは銃はフリントロック式が主流で、リボルバーは画期的な技術の一つ、自動小銃なんてものは夢物語。そんなレベルの技術なのだ。

 頭では分かってはいたが、嬉々としてフリントロックの2連射について語るシフォンを前に、話を合わせるのが精いっぱいであった。

 しかも、これまでリボルバーを使っていたミドリにとって、戦力低下には間違いない。

 これまで使っていた銃と新作の銃を交換しないか、という提案に「仲間と相談したい」と言いつつ、ミドリはこのことを仲間に伝える。

 

「大丈夫なの? そんな骨董品を使う事になって。………固定式のリボルバーもけっこうな骨董品だけど…」

「う~~~ん、欲を言えばあの自動小銃(G3A3)が欲しいよね!少なくともミドリの分は!」

「ある訳ないでしょ、この世界に………アリスちゃんはどう思う?」

「シフォンを信じましょう! 武器のことは武器屋に任せるのが一番です!」

「そう、だね……私達も銃に詳しいわけじゃないから」

 

 キヴォトスは銃に溢れた社会だ。

 だが、だからといってその全ての人が銃の内部構造に詳しい訳じゃない。

 技術進歩のめざましかったミレニアムでさえ、銃に詳しそうなのといえばエンジニア部*1とC&C*2くらいだ。

 下手に口を出すよりは…不安であっても、シフォン達の腕を信じるしかない。あわよくばリカタ・ジュタの銃の技術が進歩して、結果的に戦いやすくなるかもしれないのだ。

 

 ミドリは、相談を終えるとシフォンの提案を受け、リボルバーを預ける。代わりにポイズンバレルと呼ばれていた銃を手に入れ、それを樹海のお供にすることになった。

 

 

 

 

 

 装備を新調した一行は、引き続き淡碧ノ樹海の探索に戻っていく。

 コオロギと戦って以降、彼女達にはある程度樹海で戦っていけるという風に自信はついたものの、樹海に住まう魔物たちも油断できない相手ばかりであった。

 足を蔓で封じてくる上に、倒すと断末魔の金切り声を上げる人型植物・マンドレイク。彼らを倒す時は、たいていパーティメンバーの誰かが頭痛を訴えるハメになった。

 サイミンフクロウ。この鳥は後列で眠らせてくるので、危険なギラファビートルやはさみカブトの前で眠らされてしまう事態が多発。ヒヤリハットが多く続いた。

 極めつけは………巨大なオオテントウである。これは、とある衛兵の危機にたまたま出くわした時の事だ。

 

「う…うわぁぁぁぁ!!!」

「!!!」

「誰かの悲鳴!」

「助けなきゃ!」

 

 衛兵たちの悲鳴を聞きつけて『ミレニアム』の5人が、急いで駆け付ける。

 妙にひんやりする空気の中、草木をかき分けて、やってきたその時に見つけた光景。

 それは、衛兵小隊を氷漬けにし、今にも捕食しようかと冷気で凍り付いた衛兵ににじり寄る花の姿だった。

 見過ごすことなど出来る訳がない。生き残った衛兵を助ける為、アリス達は武器を手に取り、巨大な花に挑みかかろうとした。

 

 その時である。

 傍らから、見覚えのある術士が出て来たかと思えば、手甲から巨大は炎の矢を生み出し、巨大花を焼き尽くしてしまったのは。

 

「リノア!?」

「大丈夫ですか、ユウカちゃん♪ ほかのみなさんも………っ」

 

 彼女達には見覚えのある錬金術師(アルケミスト)は、一瞬で巨花を焼き尽くすと、衛兵の惨状を見て、目を伏せる。彼女もまた、衛兵の悲鳴を聞いて駆け付けたようだった。

 

「………皆さんはあまり見ない方が良いですよ」

「え、いったい何の―――っ!?」

 

 モモイ達も、改めて衛兵の惨状を見ようとして―――それに思わず顔をしかめる。

 

「ひっ…」

「なに、これ…」

「ぜんぶ、さっきの花の仕業、なの?」

 

 樹海の広間の、未だ霜が降りている部分には、見るも無残な衛兵たちの亡骸が横たわっているではないか。

 その衛兵の数々の全てから血の気が失われており、口の中や瞳、そして怪我をした部分が須らく凍っていて。この暖かな樹海では想像できないくらいの、一瞬で人命を奪える程度の冷気を、先程の巨大な花が放ったことは疑いようもない。

 5人が5人、そのありさまに言葉を発する事も出来ない中で………生き残った衛兵が、彼女達の前に立った。

 

「あまり見るものじゃないよ」

「あ、貴方は……」

「こいつらの仲間だった者さ。俺達はここを調査しようとして……あの花にやられた」

「それは……」

「テントウムシだ。オオテントウがあの馬鹿でかい花を呼びやがったのさ。リノアさんがいなければ、俺もどうなっていた事か」

 

 オオテントウ。

 この惨状を招いた元凶として出てきた名前を聞いて、5人の少女は顔を見合わせた。

 今までの探索で、何度も戦ったことがある。その時は、風に乗るように飛び回っていただけだったのに、そんな一面があったとは。

 もしかしたら、自身がこのような目に遭っていたかもしれない。もし自分達が戦っている時にあんな巨大花を呼ばれたらと思うと、本当に凍り付くかのように身が竦む。

 

「皆さん…オオテントウを見かけたら真っ先に倒すようにしてください。

 オオテントウがあの花―――ラフレシアを呼ぶのは、残り一匹になってピンチになった時が多いですから」

 

 リノアの手が順番に『ミレニアム』の少女達の背中を撫でていく。

 ショッキングな光景を見てしまった後というのもあったが、それだけで身体が温まるような心地がした。

 巨大花(ラフレシア)を一瞬で消し炭にしたその実力が、そうさせているのだろう。

 

「リノアさん、助かりました」

「いいえ、私は何も。……少し、場所を変えましょうか」

 

 衛兵の惨状を見た5人を少し離れた場所へ連れて行く。

 そして、リノアは荷物の中から火打石を取り出すと、あっという間に火を点け、焚火を作った。

 持ってきていた水を沸かし、粉末状の何かを人数分のコップに入れてから湯を入れると、あっという間にコーンスープが出来上がった。

 

「これでも飲んで落ち着いてくださいね」

「あ、ありがとうございます」

 

 コーンの匂いが、樹海の中に漂っていく。

 受け取ったコップの中のそれを一口飲めば、温かな味が全身に行きわたった。

 ラフレシアとは戦っていないにもかかわらず、冷えた身体が活気を取り戻すかのようだ。

 

「……」

「………」

 

 しばらく、コーンスープを飲むだけの音と、風が木を撫でる音だけが聞こえては消えていく。

 その静寂は、アリス達が落ち着くには十分すぎる時間だった。

 やがて、アリスが口を開く。

 

「リノア、あぁいったことは、良く起こるのですか?」

「アリスちゃん!?」

「いえ、良いんですユズちゃん。………残念ながら、樹海の魔物によって命を落とす衛兵や冒険者が多いのは、事実ですから」

 

 思い出されるのは、先程の衛兵たちの亡くなった際の死相。

 どれもこれも、恐怖に歪んでいた。きっと、ラフレシアの捕食の冷気に包まれた瞬間、その死が迫った感覚は、誰にも想像できまい。

 あのような悲劇が……「よくある事」なのだ、と。熟練冒険者であるリノアは、沈痛な顔をしながら肯定した。

 

「あれは…どうにもならないのですか?」

気付け薬(ネクタル)*3は希少ながら、ありますが……命が失われてしまったら、どうしようもありません」

 

 続くアリスの問いにも、肯定。

 その真剣で悲しそうな表情は……リカタ・ジュタにおける真実を物語っていた。

 これは…ゲームなどではない。命を落としたら終わりの、理不尽な現実であると。

 言葉だけだったら、納得しなかっただろう。しかし、先程ゲーム開発部とユウカは、ラフレシアの冷気にやられた衛兵たちを見たばかりである。

 今まで若干ゲーム気分でいたモモイなど、一切叱られていないのに罪悪感にさいなまれているのが表情だけで丸わかりだ。

 

「皆さんがイピリア討伐のミッションを受けたであろうことは、なんとなく理解しました。

 ですが、私は心配なんです。世界樹の迷宮では、なにが命取りになるか分かりませんから」

「………えぇ。私達は、慎重に探索して、無茶は絶対にしない、って条件付きで探索を進めるつもりよ」

「是非そうして下さい。私は、この辺りから皆さんの後ろをついて行って、バックアップをしたいと思います」

「ブランさんは『お前らは永遠に引っ込んでろ』とか言いそうですけどね」

「……ふふっ、それ、モノマネですか?」

 

 ミドリのモノマネに、笑顔が戻ったリノア。

 「絶対に無茶はしないでくださいね」と言いつつ、彼女は小分けにした袋をユズに渡した。

 袋の中には、回復薬(メディカ)*4気付け薬(ネクタル)、アリアドネの糸……といった、冒険の必需品が入っていた。

 それは、『ミレニアム』の5人を死なせたくない、無事に帰って来て欲しいという願いがこもっている証であった。

 心配してくれるリノアを通して“現実”を知った彼女達は、休息に使っていた焚火を消して、探索に戻る事にする。

 

「それにしてもさー、ミドリ」

「なに? お姉ちゃん」

「アイツのモノマネ、似てなかったよ」

「う、うるさいな…」

「きっと…ミドリなりに、リノアさんに気を遣った…んだよね?」

「だって、似てるんだもん……あの人に」

「あ、ミドリもそう思った? 私もなんか面影あると思ったんだよね~、()()()()と」

「わ、私も……」

 

 リノアと別れてから、ゲーム開発部は自分達を気遣ってくれる彼女が、どこかセミナーにいるミレニアムの先輩と重なっていることを話しだす。

 

「ユウカもそう思わなかった? リノアさん、ノア先輩に似てるって!」

「……そうね。考えていることは、みんな一緒みたい」

「アリスもそう思ったよね?」

「………そう、ですね。ノア先輩に…似ていたような気がします」

 

 リカタ・ジュタの現実は、現実として受け止める。

 しかし、それはそれとして、リノアへの優しさも忘れない。

 樹海の現実を自分達よりもきっとよく知っていて……それでも、自分達のような新米の無事を願える。

 そのような優しさに答えたいと願う彼女達は、母校関連の話題で空気を緩めながらも……先程までとは違い、慎重に樹海の探索を進めていったのであった。

 

*1
ミレニアムサイエンススクールにあった部活。校内の武器を製作・修理することを生業としている。部員たちがブッ飛んでいるため、トラブルの元になる。モモイ曰く「頭良いのにバカの集団」。

*2
ミレニアムサイエンススクールにあった戦闘部隊の部活。メイド服の姿で任務をこなすことから「メイド部」というあだ名もあった

*3
世界樹の迷宮における、戦闘不能者蘇生アイテム。戦闘不能を復活させ、HPを20回復させる。

*4
世界樹の迷宮におけるやくそう的ポジションの回復薬。HPが50回復する。




Tip!:商店
世界樹の迷宮では、魔物を倒すと素材をドロップする。
また、迷宮各所には採取・伐採・採掘ポイントがあり、そこでも素材を入手できる。
それらを商店に売却することで、商店の武器・防具・道具のラインナップが整っていく。
最低限の回復薬・メディカと脱出用アイテム・アリアドネの糸以外はほぼ迷宮で手に入れた素材がないと売ってくれず、ナンバリングによっては素材分しかアイテムが販売されない、なんてこともある。



魔物図鑑
ラフレシア
世界最大の花として名高いラフレシアだが、世界樹の迷宮ではツルや冷気、毒で冒険者を無力化し捕食する人食い花として登場する。オオテントウに呼ばれたり、『*ああっと!!』で奇襲したりすることで幾多の冒険者を単騎で滅ぼしてきた。リカタ・ジュタの樹海でもその悪名は轟いており、オオテントウを残した冒険者を絶望の淵に叩き落している。冷気を扱う反面炎には弱く、焼き尽くされた花蜜は希少な蘇生薬の原料になるともいう。



ここまで読んでくれた君は、この小説に感想を送ってもいいし、高評価をつけてもいい。
送る感想は短くても長くても構わない。作者のモチベーションが出れば、よりハイペースでリカタ・ジュタの樹海の謎が明らかになるだろう。

好きな戦闘曲は?(通常戦闘編)

  • 鉄華 初太刀
  • 鉄華 討ち果て朽ち果て
  • 鉄華 恍惚
  • 戦場 初陣(Ⅱ)
  • 戦場 響く剣戟の調べ
  • 戦場 戦慄
  • 戦場 初陣(Ⅲ)
  • 戦場 討ち果て倒れる者
  • 戦場 疾風
  • 戦場 己が信念を杖に
  • 戦場 双眸爛爛と
  • 戦場 始動
  • 戦場 明日を掴むは死闘の先
  • 戦場 刀光剣影
  • 戦場 高揚
  • 戦場 死が分かつ十字路
  • 戦場 戦いの火蓋
  • 戦場 振り上げし刃
  • その他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。