ブルア界樹の迷宮   作:伝説の超三毛猫

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しばらく体験版と称してぼちぼち書いて投稿しますが、別の連載がエタらない範囲で書きますので不定期更新になります。

ブルアカ×世界樹流行れ。


迷宮の街リカタ・ジュタと探索準備

 気が付いたら、見知らぬ樹海で身に覚えのない装備を身に纏っていたゲーム開発部の3人と、早瀬ユウカ。

 学園都市キヴォトス。その中の学校の一つ・ミレニアムサイエンススクールに通っていた4人からしてみれば、それは青天の霹靂であった。

 

「え…え……!!? なにこれ、ここどこ!?」

「何が起きてるの……? 直前の記憶がないから全く分からない……」

「なんで…? ここは、夢…?」

「お、お姉ちゃんどうしよう!!?」

 

 ここまで非現実的なことが起こったら、15、6の少女では受け止めきれずに狼狽えるのは当然だ。

 しかし、幸運なこともあった。彼女達が目覚めた場所から、人がいそうな街が見えたからだ。

 最先端の技術に溢れ、人に満ちた街の方が慣れている(約1名ほど慣れているか怪しいが)ミレニアムの生徒にとって、大自然の迷宮より人がいると思しき街へ進むのは当然であった。

 右も左も分からない中、やっとの思いで辿り着いた街。

 その入り口で、彼女達は見知った顔に出会った。

 

「……モモイ? ミドリ? ユズ? ユウカ?」

「アリスちゃん!!」

「アリスも来てたんだね!」

「…どうして皆がここに?

 ここは、皆の知っている世界じゃないんですよ?」

 

 ゲーム開発部の残り1人、天童アリス。

 彼女もまた、ミレニアムの制服ではなく、青い鎧に赤いマントを身に付け、剣と盾を下げていた。

 

「え、私の知ってる世界じゃないって……?」

「アリスは一足先にこの街に来ていたので、情報集めは終わっています!

 なので、少しずつ教えていきますね!」

「それってつまり……」

 

 荒唐無稽だが、可能性は一つしかない。

 あの自然やミレニアムでは見慣れない建物を捉えた視覚も、見知らぬ街の匂いも、アリスの言葉も、全てがウソじゃなかった。

 見知った場所から、急に見ず知らずの場所へ…本人の意思と関係なく、移動してしまう現象。その手のジャンルに少なからず触れているミレニアム生に、思い浮かぶ現象名は、一つしかなかった。

 そして……モモイの、ミドリの、ユズの、ユウカの、言葉が重なった。

 

「「「「異世界転移ってこと!!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 アリスは、モモイ達を連れ、立ち並ぶゴシック建築街の石畳を歩いていく。

 

「リカタ・ジュタねぇ……」

「はい。ここはミレニアムとはまったく違います。

 さっきユウカ達がいたのは“世界樹の迷宮”と呼ばれている場所です」

「世界樹の迷宮……?」

「リカタ・ジュタは、その世界樹の迷宮を探索する冒険者がやってくることで賑わっている街のようです!」

「いよいよ異世界って感じになってきたね…」

 

 歩きながらアリスから受けた説明も、4人にとっては受け入れがたいものであった。

 

 天を貫く程にそびえ立つ世界樹。そこに存在する迷宮。そして……そこへの冒険者が集まる街、リカタ・ジュタ。

 ミレニアムにいた頃には、見たことも聞いたことも無い地名だった。そもそも、キヴォトスにあそこまで巨大な樹があれば、どこからでもその存在を確認できたハズ。

 本当に自分の知る世界とは異なる世界に転移してしまったことを知り、内心焦りが心を侵食していく。

 

「モモイやみんなは、あの樹海の入り口で目覚めたんですよね?」

「うん…そう、だよ」

「だったら、帰る手がかりもきっとあの樹海にあるはずです!」

「そう、かなぁ…?」

「確かに、あの樹は気になるけど…」

「なんにせよ、私達はこの世界を知らなすぎるわ。帰りたいのは私も同じだけど、だからこそしっかり情報を集めないとね」

 

 だが、アリスとユウカの言葉が、不安を振り払った。

 確かに、何も知らない世界に困惑するばかりであった。

 しかし、最初に目覚めたのが世界樹の迷宮の入り口である以上、何かしらの手がかりがあるはずなのだ。少なくとも、無関係ではないはずだ。

 そこをハッキリさせるためにも、ユウカの言う通り……この世界がどんな世界なのか、知る必要がある。

 

「まずは、冒険者として登録をする必要があります!」

「その冒険者、ってのは何なの、アリスちゃん?」

「冒険者とはその名の通り、未知の場所を冒険したり、モンスターと戦ったりする人たちのことです!」

「も、モンスター出るの、この世界!?」

「はい。今まで何人もの冒険者が命を落とした危険な迷宮だそうです」

「そ、そんなに…?」

「この街で住むには冒険者じゃなくってもいいみたいですが、あの樹海を探索するには冒険者にならないといけません」

 

 世界樹の迷宮の危険度を知り、尻ごみしてしまう。

 だがアリスの言う通り、帰る手がかりはあの迷宮にしかない。

 そして、その迷宮を探索するには…冒険者になることが必要不可欠だ。

 

「覚悟は、できていますか?」

「そりゃ、ミレニアムに帰らないといけないし」

「手がかりを探さないといけないし」

「大丈夫。戦いは慣れてはいるわ」

 

 だが、この少女達は、元はと言えば銃を持ち歩き、銃撃戦が起こる事が当然の世界で生きてきたのだ。

 戦いに関する能力や意識に個人差こそあれど、ここで引く選択などするはずがなかったのだ。

 やがて、アリスはレンガで出来た建物の中で、ひときわ大きくて青い屋根が特徴の建物の前で止まる。

 

「ここが冒険者ギルド。ここで冒険者として登録を行います!」

 

 冒険者ギルド。

 モモイ達が、帰るための手がかりを探すうえで必要になる手続きをする場所である。

 扉を開けると、豪華ではないが荘厳さを感じる装飾と、木製の席に座る一人の男と目が合った。

 眼鏡をかけ、剃った青髭が目立つ、若々しい男だ。彼はアリス達を見つけると、怪訝な顔をして問いかけた。

 

「お嬢ちゃん達、見ない顔だな。

 まさかあんたらも世界樹の迷宮の噂を聞いてやってきた冒険者か?」

「はい!アリスはアリスと言います!」

「元気があっていいことだ。俺はこの街で冒険者ギルドを任されているショウという。

 冒険者になりたいってヤツはわんさかいたが、お嬢ちゃんたちに覚悟はあるのかねぇ」

 

 冒険者になることに覚悟はあるか、と問うショウ。

 だがそれは奇しくもアリスがモモイ達に問うたものと一緒であった。

 決意を聞き届けたショウは、係の者に登録証用の絵を描かせるよう命じつつ、正式な冒険者になるには試練が必要だと言う。

 

「詳しくは辺境伯の宮殿に行きな。最初の試練をこなすことが、冒険者として認められるための第一条件だ」

 

 それだけ言って、登録証を渡す。

 これで冒険者登録は完了だ、と告げる。

 後は辺境伯の宮殿とやらに行き、試練を受けるだけ。

 

「なんか、あっさり登録してくれたね。もっと手続きが長くなると思ったけど」

「それもそうね。私達みたいな子供でも、普通に許可は出してくれたし」

 

 あまりにもつつがなく冒険者登録が終わった事で、拍子抜けした様子のミドリとユウカ。

 だが、彼女達は知らない。本当の戦いはこれからであることを。

 

 

 

 

 

 辺境伯の宮殿に行く前に寄った商店。

 そこでは、冒険者のための装備品やアイテムを買いそろえる場所なのだが。

 お店のラインナップを見たモモイは、信じられないような叫びをあげた。

 

「銃がこれだけしかない!!?」

「そうデース。これ以外に銃の売り物なんてありまセンよ?」

「品揃えが薄すぎるって!!!」

 

 売品として飾られていたのは、簡素なつくりをした手筒と、前装式で前から火薬と丸い弾丸を詰め込むタイプの火銃―――以上。

 キヴォトスでは信じられないレベルの品薄度合いである。

 

「すみません!うちの後輩が!」

 

 怒るモモイに対して、何故怒られているのか分からないように戸惑う、店員なのだろう銀髪の女性。

 そこに割って入ったのはユウカだった。モモイを宥めさせ小声で話す。

 

「落ち着いてモモイ。ここはミ…うちとは違うんだから、そんなに何種類も銃があるワケないでしょ」

「うぅ……でもー!」

「私だって、普段使ってる銃がなくって不安なのよ。1人じゃないんだから、怒らないの」

「おかしいと思わないの!?」

「ここはキヴォトスとは全く違う世界なんだから、作られてるものも違うに決まってるじゃない」

 

 この世界に来て判明したこと。

 その中で1番衝撃的だったのは、銃があまり存在しないことであった。

 銃という概念こそあれ、前装式(フリントロック)火縄式(マッチロック)の猟銃・散弾銃・拳銃が主流。オートマチックどころか、リボルバータイプの拳銃すらない。連射可能なサブマシンガンなど、夢のまた夢であった。

 どうやらここは、元の世界とは技術力に天と地ほどの差があるらしい。そう判断したユウカは、納得いかずとも己を理解させ、モモイと共に頭を下げた。

 

「イエイエ! こちらこそキタイに答えられズ申し訳ないデース。

 デモ、武具の出来ナラどこにも負けまセーン! コレカラも、イチジョウ工房をよろしくお願いしマース!

 イチジョウ工房の、シフォンデスよ!」

 

 商店の女性―――イチジョウ工房のシフォンは、クレームをつけられたことなど気にも止めず、今後とも贔屓にして欲しいと笑顔で送り出した。

 モモイとユウカから銃のことを聞いたミドリとユズは、ユウカ同様世界の違いを感じながら、難しい顔をした。

 

「そうなんだ……じゃあ、サブマシンガンやグレネード…なんて、ある訳ないよね……」

「でも、だとしたらおかしいよ」

 

 ミドリは、腰のホルスターに入っていたリボルバーを引き抜いた。

 それは、ミドリがこの世界に転移した時にいつの間にか身に着けていたものだ。

 スイングアウトが出来ない、固定式のリボルバー……近い種類で言うと、コルトSAA(ピースメーカー)だろうか。

 

「どうして、いつの間にこんなもの持ってたんだろう」

 

 当然ながら、ミドリはピースメーカーなど買ったことがない。

 にも関わらず、今は自らの手に収まっている。

 手に入れた経緯が分からない、だが今では、キヴォトスに最も近いもの。

 

「うぅぅ…この際もうその銃でいい! ミドリ!貸して~~」

「イヤだよ! これ1挺しかないんだよ!?」

「ダメですよモモイ! 自分の装備をうまく使いこなしていくしかありません!」

「私杖なんだけど!? ゲームの魔法使いじゃないんだから、上手くできる自信ないよ~!!」

「ちょっとモモイ! こんな時になにをやってるのよ!」

「そういえば…アリスは、剣を持ってるよね。それでいいの?」

 

 騒がしくピースメーカーの奪い合いを始めるモモイとミドリ、そしてその喧嘩を目の当たりにして声を張り上げたユウカを傍に、ユズはここに来てから思っていたことをアリスに聞いた。

 当然の質問に、アリスは答えた。

 

「もちろんです! ゲームの勇者は皆、剣を片手に世界を救っていました! アリスもそうなれるように努力するだけです!

 たとえ『光の剣』がなくっても、アリスはこの剣を使いこなして、いつか本物の勇者のようになってみせます!!」

 

 その笑顔は、キヴォトスにいた時のアリスと全く変わることなく。

 それを見たユズは、安心したかのように微笑み。モモイとミドリは、急に拳銃の奪い合いをやめた。仲裁を試みていたユウカも、安堵の息をつく。

 そうして、5人は冒険者として最初の試練を受けるため、辺境伯の宮殿に向かって歩いて行った。

 

 




Tip!:世界樹の迷宮
アトラスが2007年から発売しているRPGのタイトル。
さまざまな容姿・職業の冒険者をみずから考え編成し、世界樹の迷宮と呼ばれる樹海の奥地へ探索しに行くゲーム。
戦闘の難易度が高いのが特徴で、序盤から敵がトンデモなく強い。階層到達時のレベルでは全く敵わない強敵がいるうえ、雑魚敵も容赦なくスキルを使うため、よく考えて戦わなければ全滅する可能性は他RPGと比べても高い。
さらに、樹海探索では未知の場所を探検するため地図がない。そのため、冒険者自身が探索をしながら地図を描いていかなければならない。地図の描き方に決まりはなく、冒険者(=プレイヤー)ごとに多種多様な地図ができるため、そこも世界樹の迷宮の醍醐味とも言える。



Storyモードでは、
アリス(ヒーロー)/ユウカ(パラディン)/モモイ(アルケミスト)/ミドリ(ガンナー)/ユズ(メディック)
で、行きます。

ここまで読んでくれた君は、この小説に感想を送ってもいいし、高評価をつけてもいい。
もちろん、違う世界線の透き通った世界樹の迷宮を創造するのも自由だ。

先生、世界樹の迷宮は知ってますか?

  • “うん、もちろん知ってるよ”
  • “いや、知らないなぁ。ごめんね?”
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