第10話「ギガプラント」
「・・・完敗です。有難う御座いました・・・」
「うおおぉぉ、マジかよ。あの勝人に勝ちやがったぞ、アイツ!!」
仮にも全国大会ジュニア部門チャンピオンの称号を得た白木 勝人に見事デュエルで勝利した宇宙は、周りの人達からの注目の的になった。
「いやーははは・・・」
「凄いじゃないお兄ちゃん。今までのデュエルで一番かっこ良かったよ」
「あぁ、有難う」
「え?お兄ちゃん?あの可愛い娘、アイツの妹なの?」
星が宇宙に話し掛ける様子を見ていた周りの客達からは、嫉妬に満ちた声が聞こえてきたが、気分が良いのでボッチの戯言として聞き流してやった。
まぁ、自分に話し掛けた相手は自分の妹なので、実質自分もボッチな訳なのだが・・・。
それにしても流石は、全国大会優勝者、負けた後でも潔い。
どこかの誰かと違って、言い訳をしないところは宇宙と星ちゃんも見習うべきだな。
俺はそう思いつつも、視線を宇宙から柳原の兄貴に移した。
「宇宙の勝利も見届けたし、俺とデュエルしようぜ?兄貴」
「お?やるか?良いだろう。かかって来い」
俺達は宇宙がデュエルしていたテーブルの隣のテーブルでデュエルする事にした。
俺も兄貴も学校では有名人だが、それ以外の場所では無名なデュエリストの為、観客といったら宇宙と星ちゃんくらいだったが。
じゃんけんの結果、先攻は兄貴からとなった。
「最後にデュエルしたのは1年前だったな」
「あぁ、兄貴とやるのは1年振りだ。久々に腕がなるぜ・・・」
2人は2人にしか分からない会話をすると、デッキのシャッフルとカットを済ませ、お互いに5枚のカードをドローした。
「それじゃ俺からいかせてもらうぜ?俺のターン!!」
先攻を取った兄貴は手札から1枚のカードに手を掛ける。
「俺はローンファイア・ブロッサムを召喚!!効果発動!!」
(ローンファイア・ブロッサム・・・場の植物族モンスターをリリースする事でデッキから植物族モンスターを呼び出すモンスターか)
「へぇ、生徒会長のデッキは植物族デッキか」
初めて兄貴のデッキを知った宇宙は、ローンファイア・ブロッサムのカードを見入っている。
「俺はローンファイア・ブロッサムの効果を発動。デッキから新たなロンファイア・ブロッサムを特殊召喚する。そして今、出したローンファイア・ブロッサムをリリースして次はイービル・ソーンを特殊召喚だ」
(イービル・ソーン、確かこいつは・・・)
「イービル・ソーンの効果発動!!このカードをリリースする事で相手に300ポイントのダメージを与える」
勇吾:LP8000→7700
「あの勇吾相手にいきなりダメージを与えた!?」
「・・・流石に生徒会長はかなりやる様ね・・・」
「いや、驚くにはまだ早い。兄貴の実力はこんなものじゃない」
「ご名答!更にイービル・ソーンの効果で俺はデッキから2体のイービル・ソーンを特殊召喚!!そして永続魔法、超栄養太陽を発動!!自分の場のレベル2以下の植物族モンスター1体をリリースし、そのモンスターのレベル+3以下のレベルを持つモンスターを手札またはデッキから特殊召喚する。リリースしたイービル・ソーンのレベルは1、よってレベル4以下の植物族モンスターを特殊召喚する。俺はデッキからスポーアを守備表示で特殊召喚!!」
「わっ!可愛い!!」
星がスポーアのイラストを見て軽くはしゃぐ。
「見た目は可愛いが、こいつは凶悪な効果を持ったモンスターだぜ?更に俺はイービル・ソーンを手札に戻してA・ジェネクス・バードマンを守備表示で特殊召喚!!カードを1枚セットしてターンエンドだ」
達也:手札:2枚 モンスター:A・ジェネクス・バードマン(DEF/800)スポーア(DEF/800) 魔法・罠:世界樹(カウンター:0)伏せ:1枚 LP:8000
「やっと俺のターンか、ドロー!!」
(先程の兄貴のプレイングを見れば宇宙も星ちゃんも理解しただろうが、植物族デッキはサーチに特殊召喚などが豊富で、1度回り出すとかなり厄介な結末になる。だから、早めに手を打たなければあっという間にこちらが不利になってしまう・・・)
「俺は召喚僧ーサモン・プリーストを召喚、効果で守備表示になる。そして手札から魔法カード、ソウル・チャージを捨ててデッキから終末の騎士を特殊召喚!!効果発動!!」
「・・・チェーンは無い」
俺は終末の騎士の効果発動宣言までフェイズを進めると、それに対してチェーンは無いかどうかを兄貴の顔を見て、目で訴えた。
実はこの行動、フリーデュエルの時は対戦相手全員にやっている俺の癖だ。
それ故に実はサモン・プリーストの効果を発動する際にもやっていた。
「俺は終末の騎士の効果でデッキからシャドール・ドラゴンを墓地に送る。シャドール・ドラゴンの効果でその伏せカードを破壊する」
「OK。リビングデッドの呼び声は破壊だ」
(リビングデッドの呼び声だったか。破壊して正解だったな)
「俺はサモン・プリーストと終末の騎士でオーバーレイ!!2体の闇属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚!!No.66覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル!!」
「マスター・キー・ビートル?」
俺が初めて召喚したカードに宇宙と星が見入る。
「マスター・キー・ビートルは自身のX素材を1つ取り除く事で、場のカード1枚を相手のカード効果から守る効果を持っている。そして自身が破壊される場合、代わりに自身の効果で守っていたカードを墓地に送る事で破壊されない!!」
「・・・加えて攻撃力2500、なかなか厄介なモンスターを召喚したな・・・」
「バトル!!俺はマスター・キー・ビートルでスポーアを攻撃!!」
「スポーアは守備表示、ダメージは無い」
「カードを2枚セットして、マスター・キー・ビートルの効果発動!!X素材(サモン・プリースト)を1つ使い、1枚はマスター・キー・ビートルが存在する限り、破壊されない。ターンエンド!!」
勇吾:手札:2枚 モンスター:No.66覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル(ATK/2500 X素材:1つ)魔法・罠:2枚(1枚は破壊不可)LP:7700
「・・・俺のターン!ドロー!!」
「この瞬間!永続罠発動!!」
「なっ!?このタイミングで?」
「虚無空間発動!!」
「なっ、ヴァ、虚無空間だとぉ?」
「そう、このカードが場に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。しかし、このカードは場のカードが1枚でも墓地に送られると自壊してしまう」
「くっ、ならば俺は・・・」
「おっと、こいつを破壊しようたって無駄だぜ?このカードはマスター・キー・ビートルに守られてる」
「なっ、そ、それじゃあ・・・」
「そう、別の方法で除去しない限り、この鉄壁は崩せない」
「・・・俺は魔法カード、強欲で謙虚な壺を発動する」
俺の鉄壁のコンボを前に、今は成す術が無いのか、兄貴は顔をしかめながら手札のカードを発動する。
「俺がデッキトップからめくったカードはこの3枚。この中から1枚を手札に加える」
ギガプラント 強制脱出装置 デブリ・ドラゴン
「!!・・・俺は強制脱出装置を手札に加える。カードを2枚セットしてターンエンドだ」
達也:手札:1枚 モンスター:A・ジェネクス・バードマン 魔法・罠:伏せカード:2枚 LP:8000
(強制脱出装置を手札に加えられたか。拙いな・・・)
「・・・俺のターン、ドロー!」
「俺もこのタイミングで罠カード発動だ!!強制脱出装置!!」
「・・・チェーンは無い。マスター・キー・ビートルはEXデッキに帰還し、X素材になってた終末の騎士も虚無空間も墓地へ送られる」
「だが兄貴の手札はたった1枚!!このターンで更に追い詰めてやる!!俺は手札から死者蘇生を発動!!対象は召喚僧ーサモン・プリースト!!サモン・プリーストの効果発動!!手札の魔法カード、月の書を捨てて、デッキから光天使セプターを特殊召喚!!セプターの効果発動!!」
俺はセプターの効果発動を宣言すると、相手の表情と手元を確認し、デッキから光天使スローネを手札に加えた。
「更にセプターとサモン・プリーストでオーバーレイ!!エクシーズ召喚!!No.101S・H・Ark Knightを特殊召喚!!」
「・・・Ark Knight・・・自身のX素材を2つ消費して、相手の攻撃表示の特殊召喚モンスターを自身のX素材にする効果を持ったモンスターか」
「バトル!Ark Knightで子羊トークンを攻撃!!」
トークン:4→3
(よし、ここで勇吾がターンエンドを宣言すれば、トークンは後3体も残る)
「更に手札から速攻魔法発動!!クイック・カオス!!」
「く、クイック・カオス!?」
「場のArk Knightを対象に発動!!EXデッキからNo.101S・H・Dark Knightを特殊召喚!!バトルフェイズ中にモンスターが特殊召喚された為、バトルは続行される」
「くっ・・・」
「俺はDark Knightで2体目の子羊トークンを攻撃!!」
子羊トークン:3→2
「まだまだぁ!!更にリバースカードオープン!!リビングデッドの呼び声!!蘇れ!シャドール・ドラゴン!!」
最初のターンに、サモン・プリーストの効果で特殊召喚された終末の騎士から墓地に送られたシャドール・ドラゴンが場に現れる。
「トークンを攻撃!!」
子羊トークン:2→1
「最後に俺は魔法カード、地砕きを発動!!A・ジェネクス・バードマンを破壊する」
「・・・A・ジェネクス・バードマンは自身の効果で特殊召喚されていながら、場を離れる時、ゲームから除外される・・・」
「カードを1枚セット、俺はこれでターンエンド!!」
勇吾:手札:0枚 モンスター:CNo.101S・H・Dark Knight(ATK/2800 素材:3つ)シャドール・ドラゴン(ATK/1900)魔法・罠:2枚(リビングデッドの呼び声)伏せ:1枚 LP7700
「俺のターン、ドロー!!いやぁ、流石だな勇吾、たった1年で見違える程、強くなりやがって」
「褒めても何も出ないぜ?」
「無論、手加減してもらおうなどと思ってない。寧ろ、年下に手加減されていてはプライドが傷付く。お前程の相手なら俺自身ももっと強くなれる気がする。それだけの事さ。俺は墓地のスポーアの効果を発動する。ローンファイア・ブロッサムを除外して特殊召喚。この効果でスポーアのレベルは除外されたローンファイア・ブロッサムのレベル分、レベルがアップする」
スポーア:Lv1→4
「生徒会長の墓地にはまだ植物族が大量に存在する。スポーアが墓地に送られる度に、この効果を使われてたら勇吾は・・・」
「安心しろ、スポーアのこの効果はデュエル中に1度しか使えない。俺はレベル1の子羊トークンにレベル4となったスポーアをチューニング。シンクロ召喚!!TGハイパー・ライブラリアン!!更に魔法カード、貪欲な壺を発動!!墓地にあるスポーア、ローンファイア・ブロッサム、3体のイービル・ソーンをデッキに戻してシャッフルし、2枚ドロー!!」
達也:手札:1→3
「そして魔法カード、ワン・フォー・ワンを手札のダンディ・ライオンを墓地に送って発動!!デッキからスポーアを特殊召喚!!更にダンディ・ライオンが墓地に送られた事により、綿毛トークンを2体特殊召喚!!」
「また場にチューナーモンスターと非チューナーモンスターが・・・」
「俺はレベル1、綿毛トークンにレベル1、スポーアをチューニング!来い!フォーミュラ・シンクロン!!TGハイパー・ライブラリアンとフォーミュラ・シンクロンの効果でカードを1枚ずつドロー!!そして、俺はまだこのターン、通常召喚を行っていない」
「!!そう言えば・・・」
あまりにも長い1ターンだった為に忘れ掛けていたが、兄貴はまだこのターン、通常召喚を行っていない。
「行くぞ!俺は魔法カード、フレグランス・ストームを発動!!場の植物族モンスター1体を破壊し、1枚ドロー、更にそのドローカードが植物族モンスターだった場合、もう1枚ドローできる」
「たった1枚で成功すれば2枚ドローか。実質、強欲な壺だな」
「そういう効果だから仕方ない。まずは、この効果で綿毛トークンを破壊し、1枚ドロー!!・・・ドローカードはギガプラントよってもう1枚ドロー!!更に俺は魔法カード、死者蘇生を発動!蘇れスポーア!!そしてスポーアをリリースして、ギガプラント召喚!!」
(スポーア、過労死じゃねぇか・・・)
俺は頭の中でそう思いつつも、兄貴の次なる一手を待った。
「そして装備魔法、スーペルヴィスを発動!!これで次のターンを待たずしてギガプラントの効果が使える」
ギガプラントは効果モンスターではあるが、同時にデュアルモンスターでもあり、それゆえに通常召喚を行ったターンは、通常モンスターとして扱われるのだ。
「ギガプラントの効果!墓地からスポーアを特殊召喚。そしてレベル6のギガ・プラントにレベル1、スポーアをチューニング!シンクロ召喚!パワー・ツール・ドラゴン!!シンクロ召喚に成功!!」
スポーアは過労死状態、兄貴の場は白く染まりつつある。
これが植物デッキの恐ろしいところだなと、改めて思った。
「本当はもっと後に打ちたかったが仕方ない。そいつは厄介な効果を持ってやがるから今のうちに破壊してやる。カウンター罠、神の警告を発動!!2000ライフ払ってパワー・ツール・ドラゴンの召喚を無効にして破壊する」
「何?クソ・・・シンクロ召喚そのものを止められたんじゃ、TGハイパー・ライブラリアンの効果も発動しねぇ・・・」
勇吾:LP7700→5700
「これ以上、1人回しは続けさせないぜ?」
to be bontinued
スポーア「・・・・・・・休ませて下さ(ry・・・」