教室近付まで歩みを進めると、俺に気が付いた1人の生徒が「あ!」と一言、叫ぶ。
すると、その声に反応した付近の生徒が一斉に振り返り、俺目掛けて駆け寄って来た。
これは何だ?いわゆる集団リンチというヤツか・・・?
第3話「E・HERO Great TORNADO」
(この人達は何だ?見た所、上級生の様だが)
「君!君が影井 勇吾君かぃ?」
「はい、そうですけど・・・」
俺がそう答えると辺りから「おぉぉ」や「やっぱり」といった声が聞こえて来た。
彼等は一体何なのだろうか?
「君、良かったら昼休みに屋上でデュエルしないか?」
「え?あ、はぁ・・・まぁ別に構いませんが・・・」
俺がそう答えると、今度は教室全体が歓喜の声に包まれた。
という事は、この人達全員、俺のファンなのか?
それにしてもどうしていきなり、俺なんかにファンが・・・?
俺はその事が気になったので、「どうして俺とデュエルがしたいのか?」と訊ねてみると何でも昨日、俺が荒木 先輩にデュエルで勝った事がきっかけらしい。
「・・・荒木 先輩とデュエルをしたのは昨日の放課後、それも閉門ギリギリまでデュエルをしてて、その結果を知ってるのは俺と荒木 先輩と宇宙と星ちゃんだけ。俺が荒木 先輩に勝ったという噂が広まるには早過ぎるのでは・・・?」
「あぁ、その事なんだけど、さっき教室に行ったら荒木の奴が珍しく凹んでてさ、何があったのか聴いてみたら、昨日、君とのデュエルで負けたって言うからさ。それで俺達、今日から君のファンになったんだよ」
「凄いよね、仮にも全国大会ベスト8進出のあの荒木君に勝っちゃうなんて」
「え?マジで?荒木 先輩に勝ったの?」
「おい、マジかよ影井!!」
先輩達がその話で盛り上がっていると、教室にいた同級生達も先輩達に便乗してきた。
悪い光景ではないが、いい加減席に座りたい・・・。
キーンコーン・・・
数分後、ようやく予鈴が鳴り響いた。
予鈴を聞くと、先輩達は自分達のクラスに戻り、クラスの連中も各々の席に戻った。
あれからHRとつまらない授業を4時間にもわたって受けると、ついに昼休みが訪れた。
屋上までの移動時間を考えて、急いで昼食を済ませるとデッキケースを持って屋上へ急いだ。
屋上に着くと、そこには既に15名程の先輩方がいらした。
数人が俺の存在に気が付くと、そこから朝の教室の光景が再現された。
「待ってたよ影井君!!」
「影井君!こっちこっち~!!」
「早速だけど俺とやらない?」
「あ、抜け駆けすんなよテメェ!!」
「えっと、あの・・・」
残り時間30分にも満たない短時間で、どれだけの人の相手を出来るか分からなかったが、取り合えず、じゃんけんでデュエルする順番を決めて頂く事にした。
今日相手を出来なかった分は、放課後にでも相手をするという条件付きで。
数分後、デュエルをする順番が決まると、残り時間20分ちょっとという、デュエルをするには少し物足りない時間内でのデュエルが始まった。
相手は眼鏡を掛けた優等生タイプの女子生徒だった。
「あぁ~、勇吾君とデュエル・・・緊張するぅぅ・・・そ、それじゃ取り合えずじゃんけんで先攻・後攻を決めようか・・・」
「あ、それなんですけど、先輩からどうぞ」
「え?良いの?勇吾君て優しいね。それじゃ私からいかせてもらうね。私は手札からE-エマージェンシー・コールを発動!!この効果でデッキからE・HEROエアーマンを手札に加えるね」
(エマージェンシー・コールにE・HEROエアーマン、成程ヒーローデッキか)
「そしてエアーマンを召喚して効果発動!デッキから・・・」
「あ、待って下さい。俺はエアーマンの効果にチェーンして、手札のエフェクト・ヴェーラーの効果を発動します」
「え、エフェクト・ヴェーラー・・・」
「このカードを手札から墓地に送って、エアーマンの効果を無効にしますね」
「うーん、じゃあ私はカードを2枚伏せてターンエンド」
女子生徒:手札2枚 モンスター:E・HEROエアーマン 伏せカード:2枚
「俺のターン、ドロー」
ターンが俺に回ると、俺は手札から1枚のカードを発動する。
「俺は手札から魔法カード、おろかな埋葬を発動!!この効果でデッキからシャドール・ドラゴンを墓地に送ります。そしてシャドール・ドラゴンの効果発動!!このカードがカードの効果で墓地に送られた場合、場の魔法・罠カード1枚を破壊します。対象は先輩のEXデッキ側のカード」
「・・・超融合は破壊されるわ・・・」
(超融合だったか。あぶねぇ、下手にモンスターを召喚してたら早くも劣勢になるところだったな。まぁ、俺のデッキのモンスターは殆ど、裏側守備表示で出すものだから、あまり意味は無いけどな)
「・・・続いて俺は召喚僧サモン・プリーストを召喚します。効果で守備表示にしますが、何か発動するカードはありますか?」
「・・・何も無いわ。続きをどうぞ」
「では次に俺は手札の影依融合を捨てて、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚します。対象は光天使セプター」
「・・・光天使シャドールか」
「はい。まぁ光天使スローネは制限カードになっちゃったので、前よりは動きが鈍ってますけどね。続いて、特殊召喚されたセプターの効果を発動します。と、その前にその効果にチェーンして、手札の光天使スローネを特殊召喚します。効果の逆順処理により、まずはスローネの効果を発動!デッキからカードを1枚ドローします。・・・ドロカードは光天使ブックス。ドローカードが光天使だった為、ブックスを特殊召喚します」
「やるわね、勇吾君」
「お褒めに預かり光栄です。そしてセプターの効果を発動!デッキから光天使ソードを手札に加えます。俺はサモン・プリースト、スローネ、セプターの3体でオーバーレイ!!エクシーズ召喚!!No.16色の支配者ーショックルーラーを特殊召喚します。セプターをX素材にしている為、セプターの第2の効果が発動!先輩の場の魔法・罠カードを破壊し、デッキからカードを1枚ドローします」
「・・・スターライト・ロードは破壊されるわね」
「よし!次に俺はショックルーラーの効果を発動します。X素材(召喚僧サモン・プリースト)を1つ取り除き、魔法カードを宣言します。これでお互い、次の俺のターンのスタンバイフェイズまで魔法カードの発動は封じられます。バトル!!まずはショックルーラーでエアーマンを攻撃します。続いてブックス、でダイレクト・アタック!!」
女子生徒:LP8000→5900
「・・・私の場にカードが無い状態で、私がダメージを受けた事により、手札から冥府の使者ゴーズを特殊召喚。そして戦闘ダメージを受けて特殊召喚された場合、自分が受けたダメージを同じステータスのカイエントークンを特殊召喚」
相手の場に1体の女性モンスターが描かれた、カード枠が灰色のカードが守備表示を意味する横向きでゴーズの隣に置かれる。
カイエントークン:ATK/1600 DRF/1600
「俺はカードを2枚伏せてターンエンドです」
勇吾:手札2枚 モンスター:No.16色の支配者ーショックルーラー(素材:残り2つ)ATK/2300 光天使ブックスATK/1600 伏せカード2枚 LP8000
「私のターン!ドロー!!」
(ショックルーラーの効果でこのターン、魔法カードは使えないけど、生憎今の私の手札は魔法カードだらけ。ここは攻めるしかないわね)
「・・・ゴーズを攻撃表示に変更して、ショックルーラーに攻撃!!」
「罠カード発動!!強制脱出装置!!ゴーズを手札に戻します」
「ゴーズを手札に?私のライフはまだ5900もあるのよ?ショックルーラーのX素材も後2つ。次のターンで、攻撃力5900以上のモンスター1体で私にダイレクト・アタックしないとまたゴーズが出てくるわよ?」
「ふふ、今に分かりますよ」
「・・・私はこれでターンエンド」
俺の発言が引っ掛かったままの先輩は、カイエントークンはそのままにターンを終了した。
女子生徒:手札3枚 モンスター:カイエントークン(DEF/1600) 伏せ:無し LP5900
「俺のターン!ドロー!!魔法カード、死者蘇生を発動!!墓地からシャドール・ドラゴンを特殊召喚します。そしてショックルーラーの効果を発動!X素材(光天使スローネ)を取り除き再び、魔法カードを宣言します」
(また魔法カードを?)
「バトル!!シャドール・ドラゴンでカイエントークンを攻撃!!そしてブックスでダイレクト・アタック!!」
「・・・ゴーズは出さないわ」
「ならばショックルーラーでダイレクト・アタック!!」
「何を考えてるのか知らないけど、ここではゴーズを出すわ」
「その瞬間を待ってました」
「・・・え?」
「カウンター罠発動!!天罰!!」
「なっ!?て、天罰?」
「手札を1枚捨てて、効果モンスターの効果の発動を無効にし、破壊します」
「そんな、これじゃゴーズは・・・」
「そう、このターン、先輩はただ3900ポイントのダメージを受けただけという訳です」
女子生徒:LP5900→2000
「更に天罰のコストで墓地に送られたダンディライオンの効果を発動!!綿毛トークンを2体、守備表示で特殊召喚します。メイン2に移行して光天使ブックスとシャドール・ドラゴンでオーバーレイ!!No.39希望皇ホープをエクシーズ召喚!!これでターンエンドです」
勇吾:手札1枚 モンスター:No.16色の支配者ーショックルーラー(素材:残り1つ)(ATK/2300) 綿毛トークン2体
No39希望皇ホープ(ATK/2500) LP8000 伏せ:無し
「わ、私のターン・・・ドロー・・・カードを2枚伏せてターンエンド」
女子生徒:手札2枚 モンスター:無し 伏せ:2枚 LP2000
「俺のターン!ドロー!!ショックルーラーの効果を発動します。X素材(光天使セプター)を取り除き、今回宣言するのは罠カード!!」
「待って!私はショックルーラーの効果にチェーンして、罠カード和睦の使者を発動するわ。このカードの効果でこのターン、私が受ける戦闘ダメージは全て0よ!!」
「・・・このターンで仕留め切れなかったか・・・。俺は綿毛トークンをリリースしてモンスターをセット。これでターンエンドです」
勇吾:手札2枚 モンスター:No.16色の支配者ーショックルーラー(X素材無し)(ATK/2300) 綿毛トークン1 No.39希望皇ホープ(素材残り2つ)(ATK/2500) 裏守備モンスター 伏せ:無し LP8000
「私のターン、ドロー」
(強い・・・流石、あの荒木君に勝っただけの事はあるわ。そういえば私、まだ彼に1ポイントもダメージを与えられてない・・・)
「・・・私は伏せカード、死者蘇生を発動。墓地からE・HEROエアーマンを特殊召喚して,
効果発動!デッキからE・HEROシャドー・ミストを手札に加えるね。そして手札から融合を発動!エアーマンとシャドー・ミストで融合!!融合召喚!E・HERO Great TORNADO!!」
「グ、Great TORNADO・・・」
「効果発動!!このカードが融合召喚に成功した時、相手の場の全てのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする!!」
No.16色の支配者ーショックルーラー:ATK1150 No39希望皇ホープ:ATK1250
「続いてシャドー・ミストの効果発動!このカードが墓地に送られた事により、デッキからレベル4以下のE・HERO1体を手札に加える。この効果で私はE・HEROフォレストマンを手札に加えるわ。バトル!!Great TORNADOでショックルーラーを攻撃!!」
「・・・希望皇ホープの効果を発動!!X素材(光天使ブックス)を取り除いて、相手モンスター1体の攻撃を無効にします!!」
「・・・私はこれでターンエンド」
女子生徒:手札3枚 モンスター:E・HERO Great TORNADO 伏せカード:無し
「俺のターン!!ドロー」
(先輩の場には攻撃力2800のモンスター。今の俺の手札ではあのモンスターをどうにも出来ない。ここはこいつに賭けるか・・・」
「・・・俺はシャドール・ビーストを反転召喚。効果で2枚ドロー。その後、手札を1枚墓捨てる。・・・俺は貪欲な壺を手札に加え、シャドール・ヘッジホッグを捨てます。効果で墓地に送られたシャドール・ヘッジホッグの効果発動!!デッキからシャドールモンスター1体を手札に加えます。俺はこの効果でシャドール・リザードを手札に加えます。そして貪欲な壺を発動!墓地からセプター、ブックス、サモン・プリースト、ダンディライオン、スローネをデッキに戻し、シャッフル。その後2枚のカードをドローします」
(・・・よし!この手札ならいける・・・)
「俺は手札からRUMバリアンズ・フォースを発動します。この効果で場のホープをホープレイVにします」
「ら、RUM?」
「ホープレイV・・・」
「ホープレイVの効果発動!このカードが希望皇ホープを素材にしている場合、1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動します。相手の場のモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えます。対象は勿論、先輩のGreat TORNADO!!」
「そ、そんな・・・」
女子生徒:LP2000→0
to be continued
まさかの5000文字オーバー。
まだ3話までしか書いてませんが、ここまで長く話を書いたのは初めてなので、正直驚いてます。
といいますか、アレですね。今回、細かな説明などが幾つかあったから、ここまで文字数使っちゃった訳ですね・・・。後悔はしてませんが。
そしてよくよく考えたら、No.16の効果でモンスター効果を宣言していれば、ダイレクト・アタックをしてもゴーズを出されなかったという・・・。
まぁ、HEROデッキで最も厄介なのは魔法カードだと思いますので、魔法カードを宣言しててもあながち間違いではなかったと思ってます・・・。