もしも、シャーレに赴任してきたのがゴルゴ13だったら… 作:御厨パステル
皆様、お待たせしました…。
お待たせし過ぎたかも知れません。()
どうしても自分の書いた内容に納得が行かず、あれよあれよと年を越してしまいました。
出来れば2025年に持ち越したくは無かったですが…。
こうなっては仕方ありませんね…。
ですが、私はまだ書きたい物が沢山あります…!
このシリーズはある程度のイベントストーリーも含めて完結まで持っていきます!!
改めてよろしくお願いします!
それではどうぞ!
前回のあらすじ
かつてミレニアムに所属していた伝説的なゲームクリエイターが残した、最高のゲームが作れるマニュアル【G.Bible】。
それを探す為にゴルゴ達はミレニアム近郊にある廃墟群に向かった。しかし、そこにいたのは少女の姿をしたナニカ。
ゲーム開発部はその少女を引き入れ、【天童 アリス】としてミレニアムに所属する事になった。
だが、廃部の危機から脱却出来た訳ではないので、もう一度アリスが居た廃墟群に向かう事になった…。
______________________
ミレニアム近郊 廃墟群…………。
「………。」ザッザッザッザッザッ…
ユズ「……ね、ねぇ?」
ミドリ「…?どうしたの?」
ユズ「何だか、そこらじゅうにロボット?の残骸があるけど…」
ユズ「元からこの辺りはそんな感じだったの……?」
モモイ「あ〜…それは大体、先生が倒した奴だね…。」
ユズ「…えっ!?」
モモイ「何か雰囲気とかで分かってたかもだけど、やっぱり先生ってめっちゃ強くて…。」
ミドリ「一切の無駄弾を使わないで殲滅してたね〜。」
モモイ「オートエイムのチーターみたいな動きだったよ…。」
ユズ「そ、そうなんだ……。」
アリス「………。」ザッザッザッザッザッ…
「……アリス。」
アリス「はい!何でしょうか?」
「…俺達が行こうとしている目的地を把握しているのか?」
アリス「…上手く説明できません…。」
アリス「何処に向かっているかは、分からないんです…。」
アリス「けど、そこに行った方が良いと…思っているんです…。」
アリス「まるで…セーブデータがあるように………。」
「…………。」
………………………………………。
アリス「…。」ザッザッザッザッ…ピタッ。
ミドリ「…アリスちゃん?」
アリス「多分……アレです。」スッ…
アリスが指を指した先には、淡い電光を発している1台のパソコンがあった。
ユズ「これだけ、電源が付いてる…。」
モモイ「この工場…まだ電気が通っているの?」
突如、パソコンの画面が切り替わる。
検索エンジンの入力画面の様なものと共に、文章が表示された。
モモイ「ディヴィ…ジョン…?」
アリス「……。」スッ…
カタカタカタカタ…カタッ…。
アリスは、パソコンに【G.Bible】と入力した。
突如、画面が暗転した。
「「「「!?」」」」
モモイ「……な、何でアリスの事を…?」
ミドリ「アリスちゃん、何かコレ危ない気がする…!」
ミドリ「1回電源を………!」
アリス「えっ、いいんですか…?」
対象を【AL-1S】と判別しました。
「「「「!!?」」」」
ミドリ「何も入力してないのに…何で!?」
「おそらく、音声認識だろう。」
アリス「………。」
アリス「あなたは……【AL-1S】について、知ってるんですか…?」
………………。
再び、画面が暗転した。
ミドリ「……は!?」
モモイ「電力限界って……【G.Bible】は何処にあるの…!?」
モモイ「…!」
ユズ「けど、このままじゃデータが消失するかも……!」
ミドリ「何かにデータを移さないと…。」
モモイ「えっと……ゲームガールズアドバンスSPのメモリーカードに…!」サッ…
モモイが携帯ゲーム機を取り出す。
モモイ「え、何か嫌そうじゃない!?」
「…一応、USBメモリを持ってきたが。」サッ…
モモイ「絶対、反応変えてるよね!?」
モモイ「ゲーム機のメモリーカードじゃ駄目なの!?」
モモイ「何その反応!?…先生!コイツ殴ってもいいですか!?」(キャラ崩壊)
「駄目だ。」
ユズ「と、とにかく今はパソコンの電源が落ちる前にデータを移行しないと…!」
モモイ「USBに移行する前提で話進めてんじゃん!?」ガッ…!
ミドリ「抑えて抑えて…。」グググ…
「………。」
______________________
紆余曲折あったが、何とか【G.Bible】のデータを手に入れたゲーム開発部。
しかし、【G.Bible】の中身を見る為にはパスワードの解析が必要だと言う事が判明した。
そして、ゲーム開発部はヴェリタスに【G.Bible】のパスワード解析を依頼をしてから数日後…。
マキ「パスワード解析の為のツールが持ってかれちゃってさ。」
「「……え?」」
ヴェリタスの部員の一人である小塗マキが言うには、【G.Bible】のパスワードを解く為には『鏡』と呼ばれるツールが必要だが、その『鏡』はちょっと前にセミナーに押収されたらしい。
廃部を免れる為にどうしても【G.Bible】のデータが必要なゲーム開発部はセミナーへの侵入をする方針で話が進められた。。
「………。」
ミドリ「…先生?どうしたの?」
「何か、仕組まれている気がする。」
ミドリ「…?」
「俺達が【G.Bible】を手に入れ、パスワードの解析を行おうとしているのはゲーム開発部とヴェリタス以外の人物は認知していない。」
「セミナーは数日前に、何故か【G.Bible】の解析に必要な『鏡』だけを押収。」
「なぜ『鏡』だけなのか。」
「ヴェリタスは非公認の部活動。それこそある程度はセミナーにマークされているはず。」
「ヴェリタスが何を有しているのか、と言う事も把握しているかも知れない。」
「セミナーは既に『鏡』と【G.Bible】の関係性を知っていて、『鏡』の本質を理解していながらも、この瞬間まで泳がせておいたとも考えられる。」
「何の為にかは、分からないが。」
モモイ「流石に考えすぎじゃ…?」
「それにしては、タイミングが良すぎる。」
「セミナーに誘導されている様な。そんな気がする。」
「………。」スッ…
「……。」カキカキ…
ゴルゴは手帳を取り出し、何かを書いている。
「…。」サッ。
「こちらの手の内がバレないように、筆談で話す。」
「この部屋に盗聴器は無いだろうな。」
マキ「えっ?そんな物はないと思うけど……。」(超小声)
「照明を外しても構わないか。」
マキ「…。」コクコク…。
「……。」カタカタッ……ガタガタッ…。
ゴルゴはどこからともなく脚立を取り出し、ヴェリタスの部室の照明を外し始めた。
「……。」…………カタッ。
「……。」スッ……。
ゴルゴの手には2cm程の小さな機械が。
モモイ「…!?」
「………。」チラッ…。
マキ「(い、いやいや違う!?私やってないよ!?)」ブンブン!
「……。」
マキ「(ほ、本当!本当だってば!)」ブンブン!(汗)
全力で首を横に振るマキ。
「…。」カキカキ…。
「まぁ今は、被疑者候補から除外してやろう。」
ミドリ「これ…どうするの先生…?」(超小声)
「今も尚、聞かれているのならば、犯人探しに有効的な手段が1つある。」
「一旦、部室の外に出るぞ。」
………………………。
「……。」
廊下に出て、セミナーがある棟が見える位置に適当な机を用意するゴルゴ。
ミドリ「(先生、何するんだろう…。)」
「あそこにミレニアムタワーが見えるだろう。」
マキ「…。」コクコク。
「……。」コトッ……ガサガサ…。
盗聴器と思われる物を机の上に置き、何かを取り出すゴルゴ。
「……。」カキカキ…。
「耳を塞いで、口を開けておけ。」
「「「(…え?)」」」
「……。」カタッ…ペタペタペタ…。
金属製の分厚いボウルを取り出し、内側に小さな色とりどりの球状の何かを貼り付けていくゴルゴ。
「…。」カパッ…。
球状の何かが内側に貼り付けてあるボウルの中で盗聴器に蓋をした。
「……。」サッ。
トンカチを取り出し、ものすごく高い打点で構えるゴルゴ。
「……。」チラッ
「「「…。」」」
3人は言われたとおりに耳を塞ぎ、口を開けて待っている。
「………。」スゥゥゥ………!
ゴルゴがボウルの底の部分を外から叩くと、戦車の主砲と言われても信じてしまうような爆音が鳴った。
ついでに、遠くに見えるミレニアムタワーの最上階の1室の窓が割れた。
モモイ「せ、先生!今のは何っ!?」
「かんしゃく玉と言う玩具だ。」
「このかんしゃく玉は普通のやつと違って、ちょっとの刺激ですぐに爆発してしまう。」
「破裂する瞬間に余りにも大きな音を出すから製造中止された過去がある。」
「1つでも十分大きな音を出すが、念の為に6,7個付けておいた。」
モモイ「流石にやり過ぎでしょ!?」
ミドリ「は、初めて見る玩具だけど、外の世界では普通に売られていたの?」
「そんな時代もあった。」
「「(外の世界もここも、対して変わらないのかも…。)」」
「それより、あの窓が割れた位置に盗聴器を付けた犯人がいる。」
「今から突撃するぞ。」
______________________
ミレニアムタワー 入り口…………。
ウィーン……。
ユウカ「あっ!先生!それにモモイとミドリ!?」
「どうした。」
ユウカ「先生は聞いてなかったんですか!?さっきすごい爆発音が…!」
「それは俺の仕業だ。」
ユウカ「えっ…!?一体何をしたんですか!?」
「話せば長くなる、説明は省く。」
ユウカ「そこが一番大事なんですけど!?」
「とにかく上の階に用がある。通してもらうぞ。」
ユウカ「わ、私も同行させてくれるなら、通します!」
「分かった。」
…………………………。
エレベーター内。
ユウカ「…もう一度聞きますが、何をしたんですか?」
「…短く纏めるなら、盗聴器を仕掛けた犯人を特定する為にやった。」
ユウカ「と、盗聴ですか…!?」
「そうだ。」
ユウカ「ミレニアムに…そんな事する人が……?」
「いるのだから、俺はこうして行動を起こしている。」
ユウカ「………。」
チーン…!
ゴォォッ……。
ユウカ「この階は……っ!」
「……。」コツコツコツコツ……
ガチャッ…。
???「…………………。」*1
ユウカ「リ、リオ会長………!!!?」
______________________
リオ「………。」
「………。」
程よく部屋を片付けたあと、対面するリオとゴルゴ。
ユウカ「……あ、あの」
「目的を言え。」
リオ「…。」
「…。」
「言えとは言ったが、大体予想は付いている。」
「【G.Bible】…そして、アリスの事だな。」
リオ「…。」
「沈黙は、肯定と判断するが。」
リオ「…先生以外は席を外してもらってもいいですか。」
「…だそうだ。3人とも、外で待っててもらえるか。」
ユウカ「…余り理解が追いつきませんが、分かりました。」
ユウカ「2人共、行きましょ。」
ミドリ「…。」
モモイ「…後で、どういう内容だったか教えてくれる?」
「…善処する。」
モモイ「…。」
…バタン。
「…話してもらおうか。」
リオ「…既に先生は、アリスが一体何なのか…予想は付いてますね?」
「戦闘などを含めた多目的な用途を行える…何か。」
リオ 「…大体合ってはいます。」
リオ「【AL-1S】が眠っていた工場は、元々は連邦生徒会の管轄域でした。」
リオ「と言っても、その時の連邦生徒会が何をしていたのか…今でも不透明な部分もあります。」
リオ「ですが、【AL-1S】の危険性は既に判明しています。」
「…。」
リオ「今は何らかの要因で大人しくなっていますが、【AL-1S】の本質は。」
リオ「"魔王"。」
「…。」
リオ「【G.Bible】のデータを入手する際に【Divi:Sion System】を介しましたね。」
リオ「【Divi:Sion System】には、【G.Bible】の他に真の【AL-1S】を目覚めさせる為の《key》が入っています。」
リオ「なので、下手に【G.Bible】にアクセスさせない為に私達が【鏡】を回収させていただきました。」
リオ「…廃墟群にはロボットが徘徊していたはずです。」
リオ「あのロボットは、工場内に侵入してきた者を攻撃するプログラムが入っていると思われます。」
リオ「ですがもし、あの様なロボットを大量に従えて動かす事が出来たなら?」
リオ「そのような事が出来る者がいるなら、キヴォトスにとって大きな脅威となるでしょう。」
リオ「…それを出来てしまうのが【AL-1S】です。」
「…。」
リオ「如何に危険かが、お分かりになりましたか?」
「…【G.Bible】に触れさせなければ、良いのだろう?」
リオ「先生は、火の付いてないダイナマイトを『火が付いてないから』とその場に放置するのですか?」
「…。」
リオ「…私が何をするつもりかはもうお分かりですね。」
リオ「このキヴォトスを危険に晒さない為に。」
リオ「私は【AL-1S】を破壊します。」
「…。」
リオ「分かってくださいとは言いません。」
リオ「これは、やらなければいけない事です。」
リオ「先生には、なるべく手を出さないでくださったら助かります。」
「…それが本当に最適解なのか。」
「お前自身も、それで良いと本当に思っているのか?」
リオ「…。」
「時間が無いのは承知だが、早まるな。」
「焦りは、望んだ結末を遠ざける。」
リオ「…。」
「…今この瞬間は、俺は合理的に動ける気がしない。」
「代替案は必ず見つける。」
リオ「…。」
「…。」コツコツ…
ガチャッ…バタン………。
リオ「…………。」
…………………………………………。
その日の夜………。
シャーレ部室 ベランダ。
「…。」
ピピピピッ…ピピピピッ…。
携帯端末から着信が来た。
「…。」ピッ。
「…どうした。」
モモイ「あっ、先生?」
モモイ「今ミレニアムタワーの前に居るんだけどさ、」
モモイ「ちょっと、侵入するの手伝ってくれない?」
「…………………………。」
______________________
ミレニアムタワー 入り口。
コツコツコツコツ……。
「…。」
モモイ「…先生!」
ミドリ「本当に来てくれるとは思わなかった…。」
「…最上階に【G.Bible】があるんだろう。」
モモイ「そうなんだけどね、エレベーターを動かすのには認証が必要らしくて…。」
「…エンジニア部やヴェリタスと協力して突破するはずじゃなかったのか。」
モモイ「いや〜…今日、最上階上がった時に押収品を保管してる部屋が目に入っちゃってね…?」
モモイ「もう待ってられない…みたいな…?」
「………。」
ミドリ「……すみません。先生…。」
「気にするな。」
「エンジニア部、ヴェリタスの奴らには後で詫びを入れておこう。」
モモイ「ありがとう!先生!」
ミドリ「…先生はどうやって侵入するつもりなんですか…?」
「下から入れないのなら、上から入ればいいだろう。」
「「……へ?」」
ドサッ……ガサガサ……。
ゴルゴは持っていたボストンバッグを地面に下ろし、中身を漁り出した。
「…。」スッ…
中から背中に大きなバックパックの付いた奇抜な色のチェストプレートの様な物と青色の重厚なベルトが出てきた。*2
「「…………。」」
困惑のあまり声が出ない2人。
「…。」ゴソゴソゴソ…。
2人に目もくれず装着しようとしているゴルゴ。
ミドリ「せ、先生…何それ…?」
「これはジェットパックだ。」ゴソゴソ…。
ミドリ「ジェットパックって事は…それ、空を飛べるの…!?」
「あぁ。」スチャッ…カチャカチャ…。
ミドリ「そんな玩具みたいな見た目なのに…!?」
モモイ「色合いとかもうちょっとどうにかならなかったの…?」
「…それは作った奴に文句を言ってくれ。」カチッ…!
ミドリ「……何か黒スーツの上にそれ着るとコスプレしてるみたいだね。」
「本来は全身を覆う物だが、今日は胸部とベルトだけ持ってきた。」
モモイ「えっ!?これそういうパワードスーツみたいな物なの!?」
「その認識で構わない。」
ミドリ「……。」
ミドリ「(見た目がアレだから全く信じられないとは言えない……っ!)」
「…よし、飛べるぞ。」
モモイ「えっ!もう!?」
「なるべく早く動くべきだ。」ポチッ!
左胸の赤いボタンを押すと、バックパックから羽が展開された。
モモイ「見た目に反して凄いギミック…!」
「…。」カチッカチッ…カチッ!
右胸の3つ並んでる細長いボタンを押すと、バックパックの下部から大きな音が鳴り始めた。
「飛ぶぞ。」
ミドリ「飛ぶったって私達どこに捕まればいいんですか!?」
「…そうだな。」
ガシッ…!
ミドリ「……えっ?」
ガシッ…!
モモイ「………はっ?」
両脇に抱え込む様にモモイ達を持ち上げた。
ミドリ「こ、これで行くんですか!?」
「嫌なら壁を走って登っていくか。」
モモイ「そんな滅茶苦茶な…!」
ボディの内部スピーカーから機械音声が流れた。
「「……へっ?」」
「「わぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」
「口を閉じておけ、下を噛むぞ。」
モモイ「心の準備とか無いのぉ!?」
「いきなり呼び出したお前達がそれを言うか。」
ミドリ「もしかして怒ってます!?」
「……。」
ミドリ「申し訳無いと思ってるのでもうちょっとゆっくり飛んでくださいぃぃ!!!」
………………………………………。
「屋上が見えてきたぞ。」
モモイ「……。」*4
ミドリ「……。」*5
「今から着陸する、急に体勢を変えたりするなよ。」ポチッ
ゴルゴが胸部のボタンを押すと、バックパックが可動し体と垂直になった。
ドッ…。
「着いたぞ。」
ミドリ「…。」
モモイ「先生、ちょっと休憩したい…。」
「………。」
…………………………………………。
モモイ「ちゃんと上からの入り口あるんだ…」
「恐らく点検などの為の出入り口だろう。」
「幸い、ここを開けても防犯設備は反応しないようだ。」
「…一応、監視カメラなどの位置を調べる。」
______________________
ミレニアムタワー 屋上。
スゥッ………。
「…。」チラッ……。
点検用の入り口から目元を出し、周りをクリアリングするゴルゴ。
「(死角は、ほぼ無し。)」
「(差押品保管所までの通路はガラス張りで外から丸見え。)」
「…。」
モモイ「…先生?どうにかなりそう?」
「監視カメラの死角はほぼ無い。」
「3人で行くのは不可能だ。」
「俺一人で行く事にする。」
ミドリ「確かに3人で行くより、1人の方がバレにくいとは思いますが…。」
モモイ「死角は無いんでしょ?」
「"ほぼ"な。」
「天井を這って行く。」
「「……………ん?」」
______________________
「………。」カチャッ…!
モモイ「…。」
ミドリ「…。」
ゴルゴはスーツを脱ぎ、中に着ていたスパイスーツが顕になった。
そして、青色のベルトを再び装着した。
モモイ「…さっきは聞かなかったけど、そのベルトは…?」
「このベルトは側面にワイヤー付きの取っ手の付いた電磁石がある。」*6
「これを使って天井を這う。」
ミドリ「えっ…!?手の力だけで行くんですか!?」
「そうだ。」
「廊下は全面ガラス張りと言っても、天井側には外から見えない壁の部分がある。」
ミドリ「す、凄い腕力ですね…。」
「インカムを渡しておく。」スッ…
「何かあったら、さっきのジェットパックを使って逃げろ。」
モモイ「サイズが合わないと思うんだけど!?」
「アレは装着者の体型に合わせてサイズが変わる。」
「心配するな。」
ミドリ「オーバーテクノロジーすぎる気が……?」
「俺が逃げろと言ったらすぐに逃げろ。」
______________________
ミレニアムタワー 最上階。
「…。」スッ…
「…。」
天井に沿って這い出るように出てきたゴルゴは、重力を無視してるかの様に天井を伝って差押品押収室に向かっていく。
………………………………。
…押収室のドアの真上まで到達した。
「…。」スッ…。
ゴルゴは右手の電磁石を握り直し、ワイヤー部分を掴んだ。
ゴルゴは電磁石を振り回し、押収室のドアの金属製の取っ手に目掛けて投擲した。
そして取っ手に当たる直前で電気を流し、取っ手に引っ付けさせた…。
______________________
時は遡り、数分前。
ミレニアム 第3校舎 屋上……。
メイド服に身を包んだ少女がスコープ越しに目を光らせ始めた。
???「……。」
???「(差押品押収室に向かう通路を監視するように言われたが…。)」
???「(誰も来る気配は…無い。)」
インカムから発振音が鳴る。
02「…こちらコールサイン02。」
02「何かあったか。」
01『こちら01、特に何かあった訳じゃないけど…誰か来そうな雰囲気あった?』
02「今の所は無い…。」
01『何時まで待てばいいんだろうね。』
02「…万が一と言うのもあるからな。」
01『…りょーかい〜。』
______________________
時は戻り、現時刻。
ミレニアムタワー 差押品押収室………。
01「…うーん、それにしても暇だなぁ〜。」
01「さっきから時々パチパチ聞こえるけど、多分電気か何かだと思うし。」
01「…まただ。」
何故か、ドアが独りでに開きはじめた。*7
01「!?」サッ…
思わず、部屋の柱の裏に隠れる。
01「(誰か既に来ていたって事…!?)」
01「(けどカリンが見逃すはず無いし……。)」
01「(第一にここで待ってた私が接近に気づかなかった…!)」
01「(一体何者なの……!?)」
人が1人分入るくらいの隙間ができた時、ドアの動きが止まった。
01「(…来る。)」
柱に隠れ、ドアに注視する。
01「(……ん?)」
だが、誰かが入ってくる気配は無かった。
01「(ドアを開ける音以外、何も聞こえなかった。)」
01「(服の布が擦れる音だったり、ちょっとした足音すらも…。)」
01「…。」サッ…
なるべく音を発しない様にゆっくりとドアに近づく。
01「…。」ピタッ…
ドア近くの壁に張り付く。
01「(存在感がない…。)」
01「(ドアの前に誰かいる様には思えないけど…。)」
愛銃を構えながらドアの前に体を晒す。
01「……。」
01「(何かの力で勝手にドアが空いただけ…?)」
01「…。」サッ…サッ…サッ…。
ドアの隙間から顔を出す。
01「本当に誰もいなそう…。」カチャッ。
ドアの取っ手に手を掛け、ドアを全開にする。
01「うーん……、このドアが壊れてたのかな…?」
入口側から見たドアが気になり、部屋を出てドアの正面へと回り込もうとした。
その瞬間。
01「…!!?」
01「ッッ……!」フラッ…
バタッ……。
「……。」ザッザッザッザッ…
天井から飛び降り、当身を決めたゴルゴはメイド服の少女を引きずりながら差押品押収室の中に入っていった………。
………………………………………。
ミレニアムタワー 差押品押収室…………。
【G.Bible】の解読の為、『鏡』と呼ばれるツールを探すゴルゴ。
「…それにしても広いな。」コツコツコツコツ…。
「…これか。」
ゴルゴの前には、ご丁寧に押収した部活と日付が書いてあるケースが置かれていた。
「それにしても…やはり、人が待っていたか。」
「…単独とは思えないな、すぐに撤退しよう。」
「…!」
爆発音と共にミレニアムタワーが揺れる…。
モモイ『先生!聞こえるっ!?』
「どうした。」
モモイ『今、ミレニアムタワーの1階でアリスちゃんが戦ってるっぽいの!』
モモイ『今回の事はアリスちゃんに言わなかったんだけど、私達が急に居なくなって心配で来たら警備ロボットと遭遇したらしくて…!』
「…大体分かった。」
「『鏡』は既に手に入れた、アリスと合流して直ぐに逃げるぞ。」
モモイ『分かった!準備して待っとく!』
ピッ………。
「…。」ガシッ…
タッタッタッタッ………。
ゴルゴはケースを手に持ち、押収室を後にした。
ゴルゴは監視カメラの駆動部分をリボルバーで的確に撃ち抜き、カメラはまるで生気を失ったかの様にダランとカメラ部分を下に向けた。
「…。」
「モモイ、ミドリ聞こえるか。」スッ。
モモイ『聞こえますよ!』
「俺のジェットパックを使ってアリスの援護に向かえ。」
モモイ『えっ!?先生はどうするんですか!?』
「先に行って待っている。」
「ジェットパックの使い方が分からなかったら、左胸の中央のボタンを押せ、案内音声が流れる。」
「ついでにボストンバッグも持ってきてくれ。」
「…切るぞ。」
モモイ『ちょ、ちょっとまっ…!』
…ピッ。
「…。」チラッ。
ゴルゴはガラス越しに映る景色を見つめる。
「…。」グッ…
ガラス目掛けて走り出すゴルゴ。
そのままの勢いでガラスを突き破って落下していく…。
両手を広げ、落下速度を調節するゴルゴ。
「…。」
下にはロボットと交戦中のアリスが見える。
「……!」
02「………。」チャキッ…
ふと視線を正面に向けると、アリスに銃口を向けて対戦車ライフルを覗き込んでいる者が見えた。
「……。」サッ…!
落下姿勢のまま、スナイパーに向けてリボルバーを撃つ。
02「!?」
1発目は外壁に当たったが、2発目はバイポットを撃ち抜いた。
02「(落下しながらも当てた……っ!?)」
「……。」
02「(今、目が…あって…!?)」
02「くっ…!?」タッタッタッタッ…!
本能的な物に従い、直ぐに後退した。
______________________
ミレニアムタワー 入り口。
警備ロボットに見つかったアリスは戦闘を余儀なくされていた。
アリス「くっ…!敵が多いです…!」
アリス「…っ!」
アリス「(チャージが間に合いません…!)」
警備ロボットが銃口を向ける。
アリス「…っ…………?」
何かを察知したアリスが空を見上げる。
アリス「……あれは…!?」
「………。」
警備ロボットを踏み潰しながら、ゴルゴがヒーロー着地で駆けつけた。*8
アリス「…先生っ!」
「…。」スチャッ…!
すかさず、アリスの背後にいた警備ロボットをリボルバーで沈める。
「まずは数を減らすぞ。」
「それから撤退だ。」
アリス「先生!モモイ達はどこに居るか知ってますか!?」
「モモイ達は俺と一緒に行動していた。」
「アリスを巻き込まない様にと、黙っていた。」
「すまない。」
アリス「全然平気です!モモイ達が無事なら良かったです!」
「……。」
「…よし、作戦開始だ。」バッ……!
アリス「はい!」
______________________
ミレニアムタワー 屋上付近…。
モモイ「ぐぐぐ……っ!」
ミドリ「…お姉ちゃん、ちゃんと案内音声聞いてたよね?」
モモイ「聞いてたけど…!これ、思ったよりフラついて…」
ミドリ「そんな低空飛行じゃ間に合わないよ!?」
モモイ「だ、だって怖いんだもん!!」
???「あら…?貴方達は……。」
点検用のハッチから誰かが出てきた。
ミドリ「あっ……!」
モモイ「C&Cの…!」
???「ゲーム開発部の方たちですよね…?」
???「ここで何をなされていたんですか?」
モモイ「えっ!…いやぁ…えっと、て、天体観測を…。」
???「そんな大きなジェットパックを持ってですか?」
モモイ「あっははは…えっと……。」
ミドリ「(室笠アカネさん……。)」
ミドリ「(よく爆破してユウカ先輩に怒られてる人…。)」
ミドリ「(…相手は確実に格上…!)」
ミドリ「(……よし!)」
ミドリ「あっ!ユウカ先輩だ!!!」バッ!
アカネ「えっ?」チラッ…
指を指した方向につられて振り向いてしまうアカネ。
ミドリ「(今だ!)」ダッ…!
ガシッ…!
ミドリはゴルゴのボストンバッグを持って屋上の縁に向かって走り出す。
ミドリ「お姉ちゃん!飛ぶよっ!」
モモイ「え!?……あーもう!!」ダッ…!
ブワッッ…………!
そのまま、勢い良くジャンプして飛び降りた。
モモイ「掴まって…!」バッ!
ミドリ「うん!」ガシッ…!
手を伸ばしたモモイの思惑通りには行かず、なぜかミドリを肩車する体勢になった。
モモイ「いやなんか違う〜〜〜!!!」
______________________
ミレニアムタワー 入り口……。
アリス「光よ……っ!!!」
「……。」カチャッ…!
アリス「先生!いつも装備している武器は無いんですか?」
「あいにく今はな、モモイ達が持っている。」
アリス「なるほど!」
「…この調子なら必要が無いかも知れないが。」
???「何かうるせぇと思ったら…。」
アリス「…!?」
「…。」
警備ロボット達を蹴散らしていた2人の前に、メイド服に身を包んだ赤髪の少女が現れた…。
???「もしかしなくても、ゲーム開発部の奴らだな?」スッ…
???「大人しくしてもらうぜ…!!」ガチャン…!
両手に持っていたSMGを向けてくる少女。
「…どうする。」
アリス「…この装備のままなら…多分、勝てないです。」
「……。」
モモイ「せんせぇぇ〜〜い!!!!」
アリス「…!」バッ…
「!」バッ…
空を見上げると、モモイとミドリが肩車の状態でゆっくりと降りてきていた。
ミドリ「…あっ!あの人は…"美甘ネル"さん…!」
モモイ「…えっ!?何でC&Cの人がここに……!?」
「ミドリ、そのボストンバッグをこちらに投げろ。」
「ついでにコレと交換だ。」バッ……!
ミドリ「わ、分かった……それっ!!」ブン…ッ!!
ネル「そうは行くかよ…!」ガチャン……!
ネルは放り投げられたボストンバッグに照準を合わせる。
アリス「光よ……っ!!」
ネル「チッ…!」バッ…!
当たる気配は無かったが、思わず回避行動を取るネル。
「…。」タッタッタッタッ…!!
一瞬の隙を縫って、ゴルゴはボストンバッグを空中でキャッチした。
すぐさまM16を抜き取り、ボストンバッグをネル目掛けて投げつける。
空中で体勢を整え、バッグ越しに撃ちまくるゴルゴ。
ネル「…っ!?」バッ……!
ネル「(あいつがバッグの影に隠れて見えねぇ…!!)」タッタッタッ…!
「……。」
ネル「……。」
見合う両者。
ネル「…ははっ…!」
ネル「そこのでっかい銃持った奴も気になるが…。」
ネル「アンタの方がよっぽど強そうだな…っ!!」ガチャッ…!
「悪いが戦いに来た訳ではない。」スチャッ…!
ネル「行くぜ……!」ググッ…
ネル「っ…!?」
前方へ踏み込もうとしたネルの足元に銃弾が飛んできた。
「言っただろう。」
「戦いに来た訳ではないと。」
「今はお前に勝つ必要はない。」
「…アリス。」
アリスは地面に向けて、レールガンを放った。
爆風と共に、辺りを包むほどの煙が舞う。
ネル「…チッ!」グッ…!
あまりの風圧に思わず目を背ける。
ネル「………。」
煙が晴れるとそこにはゲーム開発部とゴルゴの姿は無かった。
ネル「逃げられた…か。」
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翌日。
ミレニアム ゲーム開発部 部室…………。
紆余曲折あったが、何とか【G.Bible】のパスワード解析のためのツール『鏡』を入手したゲーム開発部の面々。
しかし、【G.Bible】の中身には技術的な事は何も書かれてなく…あくまでも『ゲームを愛する。』という哲学的な事が書かれてあった。
ユズ「………。」
ミドリ「…てっきり開発の為のノウハウとかが載ってると思ってた…。」
モモイ「…。」
モモイ「…分かってた。」
アリス「…?」
モモイ「心の何処かではそんな魔法みたいな物ある訳無いって…。」
モモイ「けど…もう、これに頼るしか無かったんだ。」
ミドリ「…。」
ユズ「…。」
「一番大切な事を教えてくれたな。」
モモイ「…え?」
「良い何かを作る時に、人は魂を込めるものだ。」
「そこには近道も何も存在しない。」
「ただひたすらに向き合ってこそ、形が見える。」
「今の流行りだの、審査員の評価点だの。」
「それは『ゲームを愛する。』という気持ちには不純物だと、俺は思う。」
「限界まで突き詰めて、突き詰めて…そうやって一級品を完成させてきた職人を俺は知っている。」
「お前達が作りたいゲームはなんだ。」
「お前達がその身を削ってでも、作りたい物はなんだ。」
「その答えの先にきっと、本当に面白い物は待っていると思う。」
モモイ「……。」
アリス「私は、テイルズ・サガ・クロニクルを遊んで楽しかったです!」
モモイ「!」
アリス「私が、一番最初にプレイして一番面白いと思ったゲームです!」
アリス「あのストーリー。登場人物。初めての物ばかりで…!」
アリス「この夢が覚めなければいいのに…と。」
ユズ「…。」
ユズ「(そうだ…あの時も………。)」
ユズ「(モモイとミドリが、褒めてくれた……。)」
ユズ「作ろうよ……。」
ユズ「テイルズ・サガ・クロニクル2を……!」
ユズ「私達の力で……!」
ミドリ「!」
ユズ「私達なら出来る…!」
ユズ「きっと……っ!」
モモイ「…。」
「自分の限界を知りたくないか。」
モモイ「!」
「俺は制作などに関わることはできないが、何か必要な物があったら言え。」
「何でも買ってやる。」
ミドリ「そういうのって部費から出すんじゃ…?」
「非公認の部活が普通に活動しているんだ。」
「規則などあって無いような物だ。」
ミドリ「た、確かに…。」
「だから、安心してぶつかって行け。」
「その方がきっと、上手く行くからな。」
を想像してください。
如何でしたでしょうか。
次の話のストックは無いのでまた今から書き始めます。
なるべく早く書き上げたいと思います!
それではまた!