もしも、シャーレに赴任してきたのがゴルゴ13だったら…   作:御厨パステル

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お待たせ致しました。

時計じかけの花のパヴァーヌ編、今回で完結です。

小説本文がすごい文字数なので、ここでなんか書くとテンポが悪くなっちゃうのだ。()

それではどうぞ!


TARGET 3 時計じかけの花のパヴァーヌ(後編)

 

前回のあらすじ。

 

その昔、ミレニアムにいたという伝説的なゲームクリエイターが残した最高のゲームを作る為のマニュアル【G.Bible】。

 

ゲーム開発部は紆余曲折ありながらも無事、その中身を拝む事に成功する。

 

だが、マニュアルの中身は『ゲームを愛する。』という哲学的な教えが載ってあるだけだった。

 

一度は暗い雰囲気に飲み込まれそうになったゲーム開発部だったが、アリスの純粋な『ゲームを楽しむという心』の訴えを聞き、『TSC 2』の制作を決意する……。

 

 

 

そして物語は新しい局面を迎える………。

 

 

 

 

________________________

 

 

ミレニアム ゲーム開発部 部室 深夜……。

 

 

 

ミレニアムプライスに自分達が制作したゲーム【TSC 2】を申請する為、急ピッチで開発を始めた一行。

 

それぞれが持てる限りの力を注ぎ、そのゲームは最高の形に成されていった。

 

そして、何とか申請に間に合った開発部は激務の反動と無事、間に合った事で気が抜け、深い眠りに誘われていった…。

 

 

 

 

ガチャッ……。

 

 

「……。」

 

 

 

無事、ミレニアムプライスへ申請が出来た事を祝う為に少し席を外して買い出しに行っていたゴルゴが部室に戻ってきた。

 

 

 

ユズ「……。」zzz…

 

ミドリ「……。」zzz…

 

モモイ「……。」zzz…

 

アリス「………。」

 

 

 

 

だがそれぞれが色んな姿勢のまま、寝に入ってしまったようだ。

 

 

 

 

「(…アリスも寝るのか?)」コツコツコツコツ…。

 

 

 

ガサッ……。

 

 

 

テーブルの上に買ってきたものを乗せる。

 

 

 

「……。」

 

 

 

そして、そのテーブルに突っ伏して寝ているアリスを見つめる。

 

 

 

 

 

"【Divi:Sion System】には、【G.Bible】の他に真の【AL-1S】を目覚めさせる為の《key》が入っています。"

 

 

 

"そのような事が出来る者がいるなら、キヴォトスにとって大きな脅威となるでしょう。"

 

 

 

"このキヴォトスを危険に晒さない為に。"

 

 

 

"私は【AL-1S】を破壊します。"

 

 

 

「……。」

 

 

 

あの時、リオが言ってた事を思い出す。

 

 

 

「(あれから何とか【G.Bible】に近づけさせない様に配慮はした。)」

 

「(故に、【Key】がいったいアリスにどう作用するのかはまだ全貌が見えていない。)」

 

「(………【G.Bible】から完全に【Key】だけを抜き取る。)」

 

「……。」スッ…。

 

 

 

 

ナデナデ……。

 

 

 

「……。」

 

 

 

「(………やってみるか。)」

 

 

 

 

 

……………………………………………。

 

 

 

数十分後。

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

「…アロナ。」

 

アロナ『はい!何でしょうか先生!』

 

「…情報を抜き取って、それを他の記憶媒体に移す事は出来るか。」

 

アロナ『そうですね…物によるとしか、言いようが無いですね…。』

 

「俺は今からこの【G.Bible】から【Key】だけを摘出し、このパソコンに閉じ込める。」

 

アロナ『えっ…!?』

 

「あの場での話を、お前は聞いていたはずだ。」

 

「このままでは、アリス含めて…全ての人に翳りを残してしまう。」

 

アロナ『……。』

 

「…このパソコンは予め初期化している。」

 

「故に、このパソコンから一度もしていないシャーレやミレニアムの情報へのアクセスは不可能だろう。」

 

「俺は、やれるだけの事をやっておきたい。」

 

「…手を貸してくれるか。」

 

アロナ『そんな低姿勢で頼まないでください!』

 

アロナ『出来るかは分かりませんが、全力でやってみます!』

 

「…助かる。」

 

 

 

 

………………………………………………。

 

 

 

「………。」

 

 

 

アロナ『……。』

 

 

「…アロナ。」

 

アロナ『何でしょうか?』

 

「アロナはその『key』は何の為に【G.Bible】の中に入っていたと思う。」

 

アロナ『うーん…何ででしょうね?』

 

「アロナの解析では、【key】のデータは【G.Bible】の中にある他のデータとは違った構造をしているんだろう。」

 

「なぜ、【key】だけなのか。」

 

「…こうなる事を予想して【G.Bible】の中に入れたのか。」

 

「いつかAL-1Sの手元に来る事を。」

 

アロナ『……。』

 

「……順調か。」

 

アロナ『はい!後、数分ほどで完全に移行できます!』

 

「そうか。」

 

 

 

________________________

 

 

 

あれからすんなりとパソコンへの移行に成功した。

日が昇り、目覚めたアリスには特になんの支障も見られなかった。

件のパソコンは強固なジュラルミンケースの中にしまっておいた。

 

 

 

 

 

そして、ミレニアムプライス発表の日………。

 

 

 

 

ゲーム開発部の四人とゴルゴはテレビに齧り付く様に発表の様子を見始めた。

 

 

 

モモイ「……。」

 

ミドリ「……。」

 

ユズ「……。」

 

アリス「……。」

 

「………。」

 

 

 

第一位の発表まで進んだが、ゲーム開発部の名前が出る事は無かった。

 

 

 

コトリ「そしていよいよ!第一位の発表です!」

 

 

 

 

エンジニア部の豊見コトリが声高らかに宣告する。

 

 

 

 

「「「「………。」」」」

 

 

 

 

 

コトリ「…待望の第一位は、…新素材開発部の___!」

 

 

 

 

モモイ「…!」チャキッ…!

 

 

 

「!」

 

 

 

 

 

ダァン……………!!!

 

 

 

 

ユズ「…!」

 

アリス「!」

 

ミドリ「お姉ちゃん…!?」

 

 

 

 

 

モモイ「……。」

 

 

「…………。」

 

 

 

第一位が自分達では無いと分かった瞬間、モモイはテレビ画面目掛けて発砲しようとした。

 

だが、既のところでゴルゴが銃口を天井に向けた。

 

 

モモイ「……。」

 

「……きっと大丈夫だ。」

 

 

 

 

コトリ「そして、今回は特別枠として____!」

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

 

コトリ「特別賞!ゲーム開発部、『テイルズ・サガ・クロニクル 2』が選ばれました!」

 

 

 

 

 

「「「………えっ?」」」

 

 

 

 

アリス「わぁ…っ!」パチパチパチパチ…!

 

「……。」

 

 

 

 

 

 

 

この後、ユウカがやって来て祝福と共に、ゲーム開発部の廃部を取り消しを伝えてきた。

 

無事、ゲーム開発部は自らの手で存続させた。

 

 

天井はゴルゴが修理した。

 

 

 

________________________

 

 

 

後日………。

 

 

 

重荷から開放されたゲーム開発部は4人でレースゲームを遊んでいた。

 

 

 

ミドリ「先生って壁の修理も出来るんですね…。」

 

ユズ「先生って、外の世界では何をしてたんですか?」

 

「……掃除屋とでも言っておこうか。」

 

モモイ「な〜んか含みが凄い気が…。」

 

アリス「モモイ!次は何のゲームを作りますか?」

 

モモイ「えっ!?ちょ、ちょっと今は休みたいかも…!」

 

 

 

 

ガチャッ……。

 

 

 

 

ネル「よぉ…。」ニヤッ…。

 

 

モモイ「…えっ!?」

 

ユズ「な、何かご用ですか…?」

 

ネル「あぁ、そこに座ってる奴にな。」スッ…

 

 

ネルはアリスを指差す。

 

 

アリス「私にですか?」

 

ネル「そうだ、あの時は逃げられちまったからな。」

 

ネル「戦える場を待ってたんだよ。」

 

「…あの後、追いかけてくれば良かっただろう。」

 

ネル「それは…お前らが何か忙しい時期だったってのを聞いて…ちょっと何か……。」

 

「優しいな。」

 

ネル「あァん!??」ギロッ…!

 

「まぁ落ち着け。」

 

ネル「お前が吹っかけて来たんだろ!?」

 

「それよりもだ、戦い慣れているお前と違ってアリスは実戦経験があまり無い。」

 

「つまり素人という事だ、些か不公平だとは思わないか。」

 

ネル「………そう…か?」

 

「そうだとも…有利な状態で戦い、それで得た勝利でお前は満たされるのか。」

 

ネル「………。」

 

「むしろ、自分が劣勢な状態から勝った時の方が何倍も満たされる性格の様にみえるが。」

 

ネル「ま、まぁ…。」

 

「そこでだ。」スッ……。

 

 

 

 

ゴルゴが懐から取り出したのは、昨今流行っている格闘ゲーム。

 

 

 

 

ネル「それは…?」

 

「格闘ゲームと呼ばれる物だ。」

 

「ゲームの経験はあるか。」

 

ネル「いや、無いが…ってかそれで戦うのか?」

 

「駄目か。」

 

ネル「駄目っつうか、なんか違うって感じが…。」

 

「…アリスはどうだ。」

 

アリス「アリスは準備万端です!」

 

「だそうだ。」

 

ネル「……。」

 

アリス「対戦、よろしくお願いします!」キラキラ…!

 

ネル「ま、眩しい……。」

 

 

 

ネル「……しょうがねぇな。」

 

 

 

ネル「その代わり、やり方とか全部教えろよ!?」

 

アリス「勿論です!」

 

 

 

「……。」

 

 

 

 

 

……………………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

アリス「……。」カチッ、カチカチカチカチ…!

 

 

ネル「くっ…。」カチカチカチカチ…!

 

 

 

 

 

 

 

モモイ

「アリスちゃんがぁ!捕まえてぇ!!」

 

 

 

モモイ

「アリスちゃんがぁ!画面端ぃ!」

 

 

 

モモイ

「バースト読んでぇっ!!まだ入るぅ!!」

 

 

 

モモイ

「アリスちゃんがぁ!!…っ近づいてぇ!!」

 

 

 

 

 

モモイ

「アリスちゃんが決めたぁァァ!!!!」

 

 

 

 

 

ネル「うるせぇ!!気ぃ散るわっっ!!!?」

 

 

 

 

アリス「対戦ありがとうございました!」

 

ネル「お前もお前で毎回それ言うな!?」

 

アリス「マナーですので!」

 

ネル「…もっかいだ!次は静かにしろよ!?」

 

 

 

「………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからネルは格闘ゲームにのめり込んでいったらしい。

 

あの格闘ゲームはゲームセンターにもあるらしくそちらにも足繁く通って練習しているらしい。

 

何故か、ゴルゴも練習に付き合わされているとか…。

 

 

 

 

________________________

 

 

 

数日後。

 

ミレニアム ヴェリタス 部室。

 

 

 

マキ「〜♪〜〜…♪」カチカチカチカチ…。

 

 

 

ヴェリタス所属の1年生、"小塗マキ"は鼻歌を歌いながらパソコンを弄っていた。

 

 

 

 

ピコンッ!

 

 

 

 

マキ「ん?」

 

 

 

通知音と共にパソコンに誰かからのメールが届いた。

 

 

 

 

 

【件名:連邦捜査部からの通達です。】

 

 

 

 

 

マキ「あれ…送り主がシャーレ…?先生かな?」

 

マキ「ってか私のメアド教えたっけ…?」カチカチッ…スッ…。

 

 

 

 

 

直ぐにメールボックスを開き、送られてきたメールにカーソルを合わせる。

 

 

 

 

 

 

カチッ………。

 

 

 

 

 

 

 

マキ「…ん?何も書いてない…?」

 

 

 

 

 

 

だが、メールの中身は白紙だった。

 

 

 

 

マキ「…どういう事……っ!?」

 

 

 

 

ヴォン…。

 

 

 

 

 

 

【再起動します。】

 

 

 

 

マキ「は…!?」

 

 

 

メールを開いた途端、パソコンが再起動をし始めた。

 

 

 

 

マキ「まさか、こんな古典的なのにやられるなんて…!」ガタッ…。

 

 

 

 

マキ「予備予備……!」ガサガサ…!

 

 

 

 

 

ハッカーの直感が『パソコンにウイルスを流された』と告げ、急いで予備のパソコンを取り出す。

 

 

 

 

マキ「あった…。」カチャッ…カチカチカチカチカチ……!

 

 

 

急いで予備のパソコンの電源を付け、感染したパソコンの遠隔操作を図る……。

 

 

 

マキ「…………えっ?」

 

 

 

 

 

【再起動します。】

 

 

 

 

 

マキ「ど、どういう事なの…!?」

 

マキ「こんなウイルス見た事無い…!」

 

マキ「け、携帯なら…!」ピッ…!

 

マキ「携帯はいける!」ポチポチポチ…!

 

 

マキ「お願い…出て!」ピピピピッ…ピピピピッ…!

 

 

 

 

________________________

 

 

数分前…。

 

ミレニアム ゲーム開発部 部室…。

 

 

今日もゲーム開発部はネルと一緒に格闘ゲームをやり込んでいた。

 

 

 

ネル「……。」カチカチカチカチ…!

 

 

アリス「…。」カチャカチャ…カチャカチャ!

 

 

ユズ「す、凄い…互角に戦ってる…。」

 

モモイ「ネル先輩の成長速度が早すぎるって…!」

 

ミドリ「よくアリスちゃんと先生を連れてゲーセンに行って練習してましたもんね?」

 

「…ネルはここ最近、ゲーム開発部に入り浸っているが…大丈夫なのか。」

 

ネル「最近は特に何もねぇからな。」カチャカチャ…カチカチカチカチ!! 

 

ネル「それと1回くらい勝っとかないと気が済まねぇんだよ…っ!」カチカチカチカチ…!

 

アリス「…!」カチカチカチ…!

 

 

 

 

 

\K.O!/

 

 

 

 

ネル「っっしゃぁ!!!」バッ!

 

アリス「負けてしまいました…!」

 

ネル「やっと勝てたぜ…強すぎだろ…!」

 

アリス「始めて1週間ほどでここまで強くなるとは思わなかったです!」

 

ネル「どんなもんよ…!」ニヤッ…

 

「…。」

 

 

アリス「よいしょ、っと」グッ。

 

アリス「少し喉が乾いたので、ジュー……ス、を…。」クラッ…。

 

 

 

 

 

 

バタッ…!

 

 

 

 

 

アリスが立ち上がり冷蔵庫に向かって歩き出そうとしたその瞬間、糸が切れたように仰向けに倒れた。

 

 

 

 

「!」

 

 

モモイ「アリスちゃん!?」

 

ネル「お、おい!どうした!?」

 

ユズ「アリスちゃん…!」ユサユサ…。

 

ミドリ「アリスちゃん!聞こえる!?アリスちゃん…!」

 

 

 

 

ピピピピッ…!

 

 

「…!」

 

 

ゴルゴの携帯に着信が入る。

 

 

 

「…。」スッ…。

 

 

 

ヴェリタスの"小塗マキ"からだ。

 

 

 

 

「…どうした。」ピッ…。

 

マキ「先生!聞きたいんだけど、私にメール送った!?」

 

「送っていないが。」

 

マキ「やっぱり…!さっきシャーレからのメールが来て、それを開いたらパソコンがウイルス感染しちゃって…!」

 

「…ウイルス。」

 

マキ「今、私スマホしか使えないからどんなウイルスなのかは特定できないけど何か思い当たる節とかある!?」

 

「…………ある。」

 

マキ「えっ!?…あるの!?」

 

「それは恐らく……。」

 

 

 

 

 

 

「【key】だ。」

 

 

 

 

………………………………………。

 

 

 

マキ「…つまり、もしかしたら先生のタブレット経由でその【key】をパソコンに移行させた時にバックドアのような物を仕込まれていて、そこから侵入して…って事ね。」

 

「…多分な。」

 

 

アロナ『すみません先生!私がもっと早くに気づいていれば…!』

 

「…気にするな。」

 

「出来たらでいいが、そのまま【key】の破壊を頼まれてくれないか。」

 

マキ「勿論そのつもり、今部長と掛け合ってどうにか対処してみるよ。」

 

「助かる、こちらでも何か分かったら連絡をする。」

 

マキ「よろしくね。」ピッ…。

 

「…。」スッ…。

 

 

 

ソファーで横になっているアリスが目に入る。

 

 

モモイ「先生、さっきのって…。」

 

「そういえば、話してなかったな。」

 

 

 

「アリスが一体何者なのか、全てを話そう。」

 

 

 

 

…………………………………………。

 

 

ユズ「……。」

 

ネル「つまり、アリスの中の【key】が目覚めたらキヴォトスがヤバい事になるんだな。」

 

モモイ「今は大丈夫なの?」

 

「恐らくは、な。」

 

「俺の予想では【key】が速やかにアリスを乗っ取れる様にスリープ状態にしたと思う。」

 

ミドリ「じゃあ【key】を止めないとアリスちゃんは目覚めないって事?」

 

「あくまでも予想だがな。」

 

「簡潔に伝えると、アリスの中にある【key】という名のファイルを解凍する為にバックアップデータの【key】が独り歩きしていると言う訳だ。」

 

ネル「じゃあ【key】はアリスとの接触を図る為に動いてるって事か。」

 

モモイ「じゃ、じゃあどうにかしてアリスちゃんを安全な場所に連れて行かなきゃ…!」

 

 

 

 

 

 

ピピピピッ…!

 

 

 

 

ゴルゴの携帯が鳴る。

 

 

 

「…どうした。」ピッ…。

 

マキ「先生、マズいことになったよ…!」

 

「何だ。」

 

マキ「ミレニアムにある警備ロボットが乗っ取られた…。」

 

マキ「今エンジニア部とかにも連絡して何とかしようとしてるけど…。」

 

マキ「この【key】って奴すごい厄介だよ、ホント。」

 

「警備ロボットはどうしてるんだ。」

 

マキ「監視カメラとかは見れてるから分かるけど、何処かに向かって動いてる感じ…。」

 

「…。」

 

マキ「多分、校舎の方に向かってると思う。」

 

「分かった。」

 

「て【key】はアリスへの接触を狙っている。」

 

「恐らく、アリスに侵入するための経路を用意して動いているはずだ。」

 

マキ「…なるほどね。」

 

「そこさえ分かれば、【key】を無力化できるかも知れない。」

 

マキ「情報ありがとね、じゃあ切るよ。」

 

「あぁ。」ピッ…。

 

 

 

 

 

ガチャッ……。

 

 

 

 

 

電話が切れた瞬間、部室の扉が開かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リオ「お邪魔するわ、ゲーム開発部の皆さん。」

 

 

 

________________________

 

 

 

「…リオ。」

 

 

リオ「先生、話は聞いたわ。」

 

リオ「【key】は監視ロボットを操って、こちらに向かってきてる。」

 

リオ「それは確実。」チラッ…

 

 

 

 

リオが、ソファーで横になって目を閉じているアリスを見る。

 

 

 

 

リオ「…AL-1Sは今、機能停止している様ね。」

 

リオ「丁度いいわ……。」スッ…。

 

 

 

 

 

 

カチャッ…。

 

 

 

 

リオはホルスターからハンドガンを取り出し、アリスに向ける。

 

 

 

 

ネル「!」

 

モモイ「な…っ!?」

 

「…ここでやるのか。」

 

リオ「えぇ、そうよ。」

 

「いいのか。」

 

リオ「良いも悪いも、無いわ。」

 

リオ「理解されなくても、この世が私を悪と規定しても構わない」

 

リオ「私は、私が正しいと信じる道を進むだけよ。」

 

「…悪になっても構わない、か。」

 

リオ「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら、悪になるか。」グワッ…!

 

 

 

 

 

 

シュバッ…!

 

 

 

 

カツン……ッ!

 

 

 

 

 

リオ「!?」

 

 

 

 

 

ゴルゴは高速でリオに接近し、持っていたハンドガンを蹴り上げた。

 

 

 

 

 

 

パシッ……カチャッ…!

 

 

 

 

 

 

蹴り上げられたハンドガンを掴み、リオに銃口を向ける。

 

 

 

ミドリ「先生…!?」

 

 

 

「……。」

 

 

リオ「…何のつもりかしら、先生。」

 

「脅しだ。」

 

リオ「私が戦闘に不慣れだとしても、キヴォトス人と普通の人との力量差は分かってますよね。」

 

「それを加味せずにこんな行動を取ると思うか。」

 

リオ「………。」

 

 

 

リオ「…。」チラッ…。

 

 

 

リオが部室のドア側に視線を向ける。

 

 

 

 

ガチャッ…!

 

 

 

 

???「…。」バッ…!

 

 

 

その瞬間、何者かが部室に突入してきた。

 

 

 

「…。」チャキッ…!

 

 

 

???「…!?」ピタッ。

 

 

 

だが相手が銃を構えるよりも速く、ゴルゴは空いた片手でリボルバーを取り出し銃口を向けた。

 

 

 

「大人しくしててもらおうか。」

 

 

リオ「…トキ、そこで待ってなさい。」

 

トキ「承知しました。」スッ…。

 

 

"トキ"と呼ばれた少女は臨戦態勢を解き、その場に佇んだ。

 

 

 

リオ「…ここまでの事をする理由はあるんですか?」

 

「理解してもらう必要はない。」

 

リオ「……。」

 

「…ただ1つ言うとすれば。」

 

 

 

 

 

「勝算はある…もし駄目だったとしても、覚悟は出来ている。」

 

 

 

 

「この場は、悪い大人に唆されてくれないか。」

 

 

 

 

リオ「…。」

 

 

 

 

 

リオ「分かりました。」

 

 

リオ「ですが、先生1人に全ての責任を背負わせるのは私の気が済みません。」

 

リオ「今から私も共犯です。」

 

「バレなければ犯罪では無い。」

 

リオ「…悪い大人ですね。」

 

「そうだとも。」

 

リオ「…それで、これからどうします?」

 

「アリスを安全な場所に避難させる。」

 

「何か良い場所を知らないか。」

 

「出来れば監視カメラなどに映らずに行動したい。」

 

リオ「監視カメラを通して、場所を特定される可能性を示唆してですね。」

 

ネル「けど、自治区の中なんてそこかしこにカメラがあるぜ?」

 

リオ「いえ、あります。」

 

リオ「トキ、皆さんと"アリス"を『エリドゥ』へ。」

 

トキ「それでは皆さん、着いてきて下さい。」サッ…。

 

ユズ「あ、あの…会長は、どうされるんですか?」

 

リオ「私は少し用事がありますので、後から向かいます。」

 

「俺も後から向かおう。」

 

「アリスを頼む。」

 

ユズ「はい…!」

 

モモイ「勿論!」

 

ミドリ「絶対守るよ!」

 

ネル「任せとけ。」

 

「……。」

 

 

 

 

________________________

 

 

 

トキの先導で『エリドゥ』へ行く一行を見送った。

 

 

 

 

 

「……。」

 

リオ「…先生。」

 

「向かおうとしている場所は同じか。」

 

リオ「えぇ。」

 

リオ「アリスが眠っていた場所へ行きます。」

 

「何か分かるかも知れないからな。」

 

リオ「…先程、勝算があると言っていませんでした?」

 

「あるにはあるが、一応な。」サッ…。

 

 

M16を肩にかけるゴルゴ。

 

 

リオ「…ふふっ。」

 

リオ「では、行きましょうか。」

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

ミレニアム近郊 廃墟群…………。

 

 

 

 

2人はアリスがいた廃工場に向かっていた。

 

 

 

 

 

リオ「…嫌なくらいに静かですね。」

 

「アリスを見つけた時期に巡回ロボットは大体破壊してしまったからな。」

 

「所で、『エリドゥ』とは何だ。」

 

リオ「『エリドゥ』は要塞都市です。」

 

リオ「AL-1Sが完全に目覚めた時、それに対抗しうる戦力を蓄えておく為に私が計画しました。」

 

リオ「…まさかそれを"アリス"を守る為に使うとは思いませんでしたが。」

 

「…。」

 

リオ「…。」

 

リオ「あの時、なぜ止めたんですか。」

 

リオ「…あ、別に止めた事に怒りを感じている訳では無いです。」

 

リオ「ただ、気になりまして。」

 

「1人で抱え込もうとしたからだ。」

 

リオ「…。」

 

「このキヴォトスには真面目すぎる奴が多すぎる。」

 

「…そうしなければここまで発展しなかったのかも知れないが。」

 

「真面目な事は良い事だ…だが、度が過ぎていると自分を苦しめる。」

 

「今まで、このセミナー…いや、キヴォトスの為に頑張ってきたんだろう。」

 

「そして、大いなる責務を果たしてきた。」

 

「…だが、自覚を出来てなくとも人は壊れていくものだ。」

 

「いつしか、本当の自分を見失ってしまった。」

 

「本来使い分けられるべき仮面を外さずに、本当の自分を感情の掃き溜めにしていた。」

 

「…その辺りが不安定なのはしょうがない。」

 

「子供というのはそういう物だ。」

 

リオ「…。」

 

「誰かの為の自分を作る必要はない。」

 

「お前みたいな奴は心の逃げ道を無くしてしまうからな。」

 

 

 

 

「大きな声で誰かに責任を押し付けてみろ。」

 

 

 

 

リオ「!」

 

 

 

 

「まずは自分を出す練習からだ。」

 

 

 

リオ「…。」

 

 

 

 

リオ「…じゃあ、このまま【key】のせいでキヴォトスが滅亡したら先生の責任にしますね。」

 

「構わない。」

 

「【key】の力で滅ぼせるものならな。」

 

リオ「…頼りになりますね。」

 

「それが、大人の役目だ。」

 

「背伸びして、転んで、笑って、今を楽しめ。」

 

「それが出来るのは今だけだ。」

 

リオ「…。」

 

リオ「…あと、『エリドゥ』を建設する為の資金はセミナーから横流ししてたんです。」

 

リオ「それの対処についても一緒に考えてくれますか?」

 

「……いいだろう。」

 

リオ「…い、良いんですか?」

 

「勿論だ。」

 

「…着いたぞ。」

 

リオ「……えぇ。」

 

「…説教臭くてすまないな。」

 

リオ「いえ、私にとって大切な事でしたから。」

 

「…。」

 

 

 

________________________

 

 

ミレニアム近郊 廃工場 内部…………。

 

 

 

 

 

「……。」

 

リオ「…。」

 

 

 

 

ピピピッ……ピピピッ……。

 

 

 

 

廃工場の奥の方から機械音が聞こえる。

 

 

 

 

「…聞こえるか。」

 

リオ「……えぇ。」

 

「前に来た時に、この音は出ていなかった。」

 

リオ「…誰かが来ている?」

 

 

 

ピピピピッ…!ピピピピッ…!

 

ピピピピッ…!ピピピピッ…!《/vib:1》

 

 

 

ゴルゴの携帯とリオの携帯からほぼ同時に着信が来た。

 

 

 

「…どうした。」ピッ…。

 

リオ「…もしもし。」ピッ。

 

 

マキ《vib:1》『先生、警備ロボットの7割が制御権を奪われた。』

 

「そうか。」

 

マキ《/vib:1》『結構頑張ったんだけど…ごめん。』《/vib》

 

「謝る必要はない。」

 

「【key】はどうなっている。」

 

マキ『まだこれといった対処法は…。』

 

マキ『どういうプログラムで出来ているかが分かれば、何とかなるかもだけど…。』

 

「…分かった、こちらでも何か探しておく。」

 

 

 

ピッ。

 

 

 

 

トキ『会長、【エリドゥ】に到着しました。』

 

リオ「そう、無事で良かったわ。」

 

トキ『ですが、1つ問題が…。』

 

リオ「何かしら。」

 

トキ『"アバンギャルド君"が何処にも無いんです。』

 

リオ「…。」

 

トキ「盗まれた…と言うのは、考えられません。」

 

リオ「…トキ、"アビ・エシュフ"の使用を許可するわ。」

 

リオ「"アバンギャルド君"を止められるのは現状のキヴォトスではそれしかないから。」

 

トキ『…承知しました。』

 

 

 

ピッ…。

 

 

 

 

「…急ぐぞ。」タッタッタッタッ…。

 

リオ「…。」タッタッタッタッ…。

 

 

 

 

 

………………………………………………。

 

 

ミレニアム近郊 廃工場 最奥…。

 

 

 

リオ「…ここは。」

 

「ここは、アリスがいた場所だ。」

 

「正確には、ここの床が抜けてアリスがいる所に転がって行ったんだ。」

 

リオ「なるほど…。」

 

 

 

 

プシュー………。

 

 

 

 

ゴォォォォッ……。

 

 

 

 

 

 

突如、地響きが鳴り出した。

 

 

 

そして、ゴルゴ達の正面の壁がスライドし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

誰かが立っているのが見えてきた…。

 

 

 

 

???“……。”

 

 

 

 

 

リオ「!?」

 

 

 

 

 

 

「アリスは…いや…。」

 

 

 

「AL-1Sは"2体"いた…か。」

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

そこには、見た事のない制服に身を包んだAL-1Sがいた。

 

 

 

 

「…考えてみれば、ボディのバックアップも存在するか。」

 

リオ「…あれは、ミレニアムの旧制の制服です。」

 

リオ「そんな時代から既に居たなんて…。」

 

「恐らく、あの中に【key】本体が入っている。」

 

「奴を破壊できれば、終わる。」

 

「リオ、頼みがある。」

 

リオ「何でしょうか。」

 

「この工場の何処かに、【G.Bible】が入っていたパソコンがある。」

 

「【G.Bible】を入れる時に"データは消去される"とパソコンのアナウンスは言っていたが。」

 

「それを探れば、何か分かるかも知れない。」

 

「そのパソコンをヴェリタスに持って行ってくれ。」

 

「それと、今"エリドゥ"にいる奴らに伝言を頼む。」

 

「【そちらに向かってくるロボットは撃ちもらし無く、徹底的に破壊してくれ。】」

 

リオ「…先生は、どうされますか。」

 

「足止めをする。」

 

「その間に奴の逃げ場を無くしてくれ。」

 

「破壊しそこねて、他の機械に逃げられるのが一番面倒だからな。」

 

「そして、あのボディにいる【key】を最後に壊す。」

 

リオ「分かりました。」

 

リオ「…先生。」

 

「…。」

 

 

 

リオ「気をつけて。」タッタッタッタッ……。

 

 

 

「…あぁ。」

 

 

key"……。"

 

 

 

________________________

 

 

 

「…さて、話せない事は無いはずだ。」

 

key"…。"

 

「答えてもらおう、お前が何者なのか。」

 

key"…。"

 

key"このスペアでは、目的を果たせない。"

 

key"王女の肉体が必要です。"

 

key"邪魔をするなら、排除します。"

 

「どうやら話が通じないようだな。」

 

「…まぁ、その方がこちらとしても助かる。」カチャッ…。

 

 

 

 

ガガガッ…!ガガガッ…!ガガガッ…!

 

 

 

key"…。" タタタタタタッ…!

 

 

 

壁伝いに走りながら避ける【key】。

 

 

 

ガシッ…ギギギギギッ………!

 

 

 

 

バゴッ…!

 

 

 

壁の隙間に手を突っ込み、壁の一部を強引に外した。

 

 

 

 

するとそこには、侵入者迎撃用のオートタレットがあった。

 

 

 

 

 

ギギギィッ……ガチャッ!

 

 

 

 

 

キュィィィン…ババババババ……!!!

 

 

 

 

 

アームを引っ張りだし、脇に抱えた状態で手動でタレットを展開させた。

 

 

 

 

「……。」ダダダダダッ…!

 

 

 

 

 

ガガガッ…!ガガガッ…!ガガガッ…!

 

 

 

 

回避運動を行いながら、【key】に向かって射撃を続けるゴルゴ。

 

 

 

key"……。"パキュン…!パキュンパキュン…!

 

 

 

 

だが直撃しても【key】がダメージを受けている様子はない。

 

 

 

 

「(……硬いな。)」

 

 

 

 

 

 

ババババババババババババ……!!

 

 

 

 

 

「……。」シュバババババ………!

 

 

 

 

 

ミニガンの弾幕の中を真っ直ぐ突っ込んで行くゴルゴ。

 

 

 

 

key"…!"バッ…!

 

 

 

「…。」グォッ……!

 

 

 

 

 

バゴォォン!

 

 

 

 

 

走ってくる勢いに乗せ、顔面目掛けて飛び蹴りを喰らわせる。

 

 

 

 

 

key"ぐ……っ!"

 

 

 

 

両腕を前にして、守りの体勢を取るが衝撃を受け流せずに壁にめり込んでしまう。

 

 

 

 

key"…。"クラッ…。

 

 

 

打ち付けられた反動で体の力が抜け、前傾姿勢になってしまう。

 

 

 

 

「…。」スッ…

 

 

 

 

 

ドグゥ……ッッ!!!

 

 

 

 

 

すかさず上段回し蹴りを叩き込む。

 

 

 

 

 

 

key"……ッッ!"バゴォォン…ッ!

 

 

予期せぬ左方向からの衝撃で、数m吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

 

 

 

 

ジジジッ……ジジジッ…。

 

 

 

 

 

【key】のヘイローを模したホログラムにノイズが走る。

 

 

 

 

key"…、…?"

 

「やはり、内部への衝撃が有効か。」

 

key"…最重要、排除…対象…。"スゥゥ……。

 

 

【key】の目の色が赤色に変わる。

 

 

「…。」ザッ…!

 

 

 

 

________________________

 

 

時は戻って、ゴルゴやリオに連絡が入った後辺り…。

 

 

ミレニアム 要塞都市『エリドゥ』……。

 

 

 

ネルやトキを含めたゲーム開発部一行は迫り来る警備ロボットをいなし続けていた。

 

 

 

ネル「別にどうって事はねぇけど、数が多いな…!」

 

 

ドドドドドドドドドドドド……!

 

 

トキ「制御権を奪われたロボットの約8割が向かってますから。」

 

ネル「というか、他の奴らは何処にいんだよ!」

 

トキ「他のメンバーはミレニアムタワーに向かおうとしているロボットを迎撃しています。」

 

ネル「…まぁそっちも重要か。」

 

ネル「おい!まだ動けるか!」

 

モモイ「は、はい!」

 

ミドリ「や、やれますっ!」

 

ネル「…へっ、あいつら案外タフだな…。」

 

トキ「アリスさんは大丈夫ですか。」

 

ミドリ「ユズちゃんからの連絡は無いから、多分大丈夫だと思います…。」

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴ…………ッッ!

 

 

 

 

特段、威圧感のある巨大なロボットが向かって来るのが見えた。

 

 

 

ネル「ん?あれがラスボスか?」

 

トキ「…"アバンギャルド君"……っ!」

 

ネル「…へ?」

 

トキ「超大型自律式兵器…"アバンギャルド君"…。」

 

トキ「会長が本来、暴走したAL-1Sを破壊する為に制作した兵器です。」

 

モモイ「うわぁ…ダサッ…。」

 

ミドリ「確かに、あんまり可愛くはないけど…」

 

トキ「…先輩、少しだけ時間を稼げますか。」

 

ネル「あ?」

 

トキ「今の状態では、"アバンギャルド君"を止められません。」

 

トキ「対抗しうる手段である兵器を持ってくるまで、前線を維持しててくれますか。」

 

ネル「…それで本当に勝てるってんだな?」

 

トキ「断言は出来ません。」

 

ネル「…分かった、さっさと持ってこいよ。」

 

トキ「はい。」タッタッタッタッ…。

 

ネル「よし、ユズに連絡しろ!前線に回せ!」

 

モモイ「は、はい!」

 

ネル「…。」

 

ネル「(なんで"アバンギャルド君"って名前なんだよ。)」

 

ネル「(…もうちょっと何かあったろ。)」

 

 

 

 

……………………………………………。

 

 

 

 

ババババババッ…ババババババッ…!

 

 

 

ドォォゥン!!…ドォォゥン!!……ドォォゥン!

 

 

 

キュィィ……ドドドドドドドドドドドド…!!!

 

 

 

 

ネル「何だよあれ…っ!…滅茶苦茶だろ!?」タッタッタッタッ…!

 

ミドリ「ち、近付けないよ!」

 

モモイ「遮蔽物が削り取られる…!」

 

ユズ「弾が直撃してもビクともしない…。」

 

 

 

 

デタラメな強さの"アバンギャルド君"に押され気味な一行。

 

 

 

ネルは持ち前の機動力で銃弾を避けながら、何とか攻撃を加えている。

 

その他は遮蔽物の間を移動しつつ、足止めを敢行している。

 

 

 

 

ネル「…チッ!…トキぃぃぃ!!!」

 

 

 

 

 

トキ「呼びましたか?」

 

 

 

 

ネル「…!?」

 

 

 

 

 

グォォォォォォォ………!!!

 

 

 

 

 

何かが飛行してくる。

 

 

 

 

 

 

トキ「攻撃を始めます、離れていてください。」

 

 

 

 

スピーカーを通じて、トキの声が聞こえる。

 

 

 

 

ミドリ「ま、まさか…あの飛んでいるのがトキさん?」

 

モモイ「もう理解が追いつかないよ…!」

 

ユズ「何か…音、聞こえない…?」

 

 

 

 

 

シュィィィィィィンンン……………!

 

 

 

 

 

ネル「何するかは分からねぇけど、ヤバイ事になるのは分かる…!」

 

 

 

 

ネル「お前ら、もっと遠くに離れろ!」ダダダダダッ…!

 

 

 

 

 

 

 

バジュゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

 

 

 

 

2門の砲台から強烈なビーム砲が放たれた。

 

 

 

 

 

 

バグォォォォォン!!!!

 

 

 

 

 

シュボォォォォ………ッッ!!!

 

 

 

 

 

ビーム砲は"アバンギャルド君"に直撃し、辺り一面が爆風に包まれた。

 

 

 

 

 

ドシャァァッ……!

 

 

 

 

巨大なパワードスーツに見を包んだトキが地面に着地する。

 

 

 

 

トキ「…直撃を確認しました。」キュィン…。

 

 

ゴーグルの様な装置を外すトキ。

 

 

ネル「それが、対抗手段か…!?」

 

トキ「はい、この城塞都市"エリドゥ"全域の電力と演算機能を集中運用することで、弾丸すら到達前に撃墜するアクティブ防護システム。」

 

トキ「それと、死角の攻撃をも回避する未来予知に近い回避能力を得ています。」

 

トキ「それが、『アビ・エシュフ』です。」ドヤァ…。

 

 

モモイ「こっちの方がよっぽどカッコいい…。」

 

ミドリ「…もしかして会長さんって…名前のセンスが…。」

 

ユズ「多分…それ以上は言っちゃ駄目だと思う。」

 

ネル「……まだ立っていやがるのか。」

 

 

 

 

煙が晴れ、半壊状態のアバンギャルド君の姿が見えてくる。

 

 

シールドやバズーカを保持していたアームは壊れ、正面装甲にもクレバスの様なヒビが入っている。

 

 

トキ「もう一押し、と言った所ですかね。」

 

 

 

 

ギュィッ……ギギギッ…ギュィィィィン……!

 

 

 

 

金属同士が軋む音を出しながら、ガトリングガンが回転を始める。

 

 

 

 

ネル「もうこっちも疲弊してる奴が居るからな…。」

 

 

ネル「短期決戦で終わらせる。」ジャギッ…!

 

 

 

 

2丁のSMGを構える………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

 

 

____ちゃん………。

 

 

 

 

__リスちゃん……。

 

 

 

 

アリスちゃん…。

 

 

 

 

 

アリスちゃん…っ!

 

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス。

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス「……。」パチ……ッ。

 

 

 

アリス「ここ、は…。」ムクッ…。

 

 

 

 

 

 

大きなソファーの上で寝かされていたアリスは、上体を起こす。

 

 

 

 

 

アリス「皆はどこに…。」

 

 

 

 

 

 

バジュゥゥゥゥゥゥ!!!!

 

 

 

 

 

アリス「!」

 

 

 

 

 

突如、爆音が響き渡る。

 

 

 

 

アリス「…。」ガシッ…!

 

 

 

アリス「…。」タッタッタッタッ…!

 

 

 

 

考えるよりも先に体が動く。

 

 

 

 

 

 

勇者の証を持ち、みんなの所へ。

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

 

キュィィ……ドドドドドドドドドドドド…!!!

 

 

 

 

ネル「……ッ!」シュタタタタタタタタ………!

 

 

 

 

ズザザザッッ………!

 

 

 

 

ガガガガガガッ…!ガガガガガガッ…!

 

 

 

 

 

ネルの瞬発力、動体視力もゾーンに入ったかの様になっていた。

 

 

 

 

 

ババババババッ…ババババババッ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

トキ「……。」キュィィン!

 

 

 

 

 

バジュッ…バジュッ…………!!

 

 

 

 

 

 

電磁シールドを展開させ、弾丸を焼失させる。

 

 

 

 

 

ギュォォォォォォ…ドドドドドドドドドドドドッ……!!

 

 

 

 

 

両腕部のガトリングを全面に浴びせる。*1

 

 

 

 

 

 

 

モモイ「あ、あはは……レベルが違いすぎるよッ!」

 

ミドリ「何か、ネル先輩の残像が見える気がする…。」

 

ユズ「…けど、やっぱりビームみたいな一撃が重いのじゃないとダメージが入っている様には見えない…。」

 

 

 

 

 

タッタッタッタッ…!

 

 

 

アリス「ハッ…!ハッ……!」

 

 

 

アリス「みんなっ!」

 

 

 

 

「「「アリスちゃん…!?」」」

 

 

ミドリ「急に動いて大丈夫…!?」

 

アリス「大丈夫です!」

 

モモイ「どうしてここに居るって分かったの?」

 

アリス「大きな爆発音が聞こえて、そしたら体が勝手に動いてたんです。」

 

ユズ「体が、勝手に?」

 

アリス「…皆がアリスをここまで連れてってくれたんですよね。」

 

アリス「アリスは…夢を見ていました。」

 

アリス「アリスがアリスじゃなくなって、皆と戦う夢を…。」

 

アリス「…【key】が見せたんだと思います。」

 

アリス「アリスは怖かったです。」

 

アリス「何も出来ないで、見せられている事が…。」

 

アリス「けど、みんなの声が聞こえたんです。」

 

アリス「みんなが、私を呼んでくれました。」

 

アリス「そしたら、アリスからアリスじゃない部分が消えたんです。」

 

アリス「…そして、目が覚めました。」

 

ユズ「…つまり、アリスちゃんの中にいた【key】が消滅したって事かな。」

 

アリス「多分、そうだと思います。」

 

アリス「アリスは…皆を苦しめる【魔王】じゃないです。」

 

 

 

アリス「アリスは…。」

 

 

 

 

 

 

 

アリス

「天童アリスですっ!!!」
ジャギッ……!

 

 

 

 

 

ダッダッダッダッ……!

 

 

 

アリスは建物の影から飛び出し、"アバンギャルド君"を正面に捉える。

 

 

 

 

モモイ「えっ!?アリスちゃん!?」

 

 

ミドリ「今出たら危ないよ!?」

 

 

アリス「大丈夫です!勇者は、皆を守るんです!」

 

 

 

 

 

シュイン…シュインシュインシュイン…………!!!!!

 

 

 

 

 

『スーパーノヴァ』の銃口に光が集まる。

 

 

 

 

 

ネル「今度は何だよ…って、アリス…!?」

 

トキ「これは、退避した方が良さそうですね。」

 

 

 

 

強烈な光に気づくネルとトキ。

 

 

 

 

 

 

“光よッッッ………………!!!!!!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッッッッッッッッ………………!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

超高速の弾丸が、アバンギャルド君を貫く。

 

 

 

 

 

 

 

ビビビビビビッ………。

 

 

 

 

ゴシャァッ……。

 

 

 

 

 

異音を発した後、"アバンギャルド君"はうつ伏せに倒れた。

 

 

 

 

ネル「……最後に取られちまったな〜。」

 

トキ「…あれが敵に回らなくて良かったです。」

 

 

 

 

 

アリス「……ふぅ。」

 

 

 

モモイ「す、凄い……。」

 

ミドリ「……。」(唖然)

 

ユズ「アリスちゃんも規格外の強さだね…。」

 

 

 

アリス「…あっ!先生はどこですか!?」

 

モモイ「えっ…私達もよく分かってなくて…。」

 

ミドリ「部室で別れたっきりで連絡も来ないし…。」

 

ユズ「さっき、ネル先輩経由で伝言は来たけど…。」

 

アリス「…。」

 

 

アリス「!」タッタッタッタッ……!

 

 

モモイ「ちょ、ちょっとアリスちゃん!?」

 

ミドリ「今ので何処に居るか分かったの…?」

 

ユズ「…体が勝手に動いたのかも……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

 

 

ミレニアム近郊 廃工場 最深部。

 

 

 

ゴルゴと【key】の攻防は続いていた。

 

互いに持てる武器はほぼ使い尽くし、純粋な格闘戦に移行していた。

 

 

 

「……。」

 

 

key"……。"ザザッ…ザザッ…。

 

 

 

 

ゴルゴは、硝煙弾雨の中を耐えきったのが一目で分かるほどにスーツが汚れている。

 

【key】は常にヘイローを模したホログラムがノイズを発しており、右腕はフレームが剥き出しになっている。

 

 

 

 

key"いい加減、に、消えろ。"

 

「その言葉、そのまま返してやろう。」

 

 

 

 

ピピピピッ…ピピピピッ…。

 

 

「…。」

 

 

携帯に着信が入る。

 

 

 

 

 

key”…。”ダッッッ………!

 

 

 

着信に気を取られた隙を付き、高速で懐に飛び込む"key"。

 

 

 

「…。」フッ…。

 

 

 

ゴギャァッ……!!!

 

 

 

 

key"……!?"

 

 

 

 

ビタァァン…。

 

 

 

 

ゴルゴは突っ込んでくる事を読んで、その場で前転からのあびせ蹴りを喰らわせた。

 

"key"は頭部への強烈な衝撃を受け、糸が切れたかのように突っ伏して倒れてしまう。

 

 

 

「…俺だ。」ピッ。

 

 

 

何事も無かったかのように電話に出るゴルゴ。

 

 

 

リオ「先生、【key】の駆逐に成功したわ。」

 

リオ「ヴェリタスが何とかパソコンのデータを復旧して、【key】の脆弱性を見つけたわ。」

 

リオ「…まだ戦っているのなら、残る【key】は1つ。」

 

「あぁ。」

 

「任せろ。」

 

リオ「…まだ先生にはやって欲しい事が沢山あります。」

 

リオ「…だから。」

 

「大丈夫だ。」

 

「そちらも、無理な要求に答えてくれて助かった。」

 

「…切るぞ。」

 

リオ「…えぇ。」ピッ…。

 

「……。」

 

 

 

 

 

"先生っ!!!"

 

 

 

 

「!」

 

 

ゴルゴが視線を向けた先にはアリスがいた。

 

 

 

「…何故、ここが…。」

 

アリス「勘?…です!」

 

「勘…か。」

 

アリス「…!そこにいるのは…っ。」

 

 

 

 

アリスの目に自分と瓜ふたつの誰かが倒れているのが見える。

 

 

 

 

「待て、それ以上は近づかない方がいい。」

 

アリス「【key】…なんですね。」

 

「そうだ。」

 

アリス「…先生。」

 

アリス「これは、アリスが決着をつけます。」ジャギッ…。

 

「…!」

 

アリス「……。」

 

 

シュインシュイン……。

 

 

 

アリスは、スーパーノヴァをチャージし始めた。

 

 

 

「…それでお前は良いのか。」

 

アリス「私は…勇者です。」

 

アリス「たとえ敵が自分だったとしても、私は倒す必要があります…。」

 

「…。」

 

 

 

 

 

 

key"…。"ギロッ!

 

 

 

【key】が顔を上げる。

 

 

 

アリス「!?」

 

「!」

 

 

 

 

バッ……!ダダダダダッ…!!!!!!

 

 

 

 

伏せの姿勢から地面を蹴り上げ、アリスに接近する。

 

 

 

「…最後の一発だ。」スチャッ…!

 

 

 

 

バァン…………!

 

 

 

 

key"!!?"グラッ…。

 

 

 

 

ゴルゴがリボルバーを脚に撃ち込む。

 

 

 

 

 

【key】は体勢を崩し、前方に飛び込む形になる。

 

 

 

 

シュインシュインシュインシュインシュインシュイン……………!!!!!!!

 

 

 

アリス「…さよなら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス…【key】(わたし)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………………。

 

 

ミレニアム近郊 廃墟群 手前……。

 

 

 

 

「アリス、体調はどうだ。」

 

アリス「はい!元気です!」

 

アリス「先生は元気ですか?」

 

「…俺は元気だ。」

 

アリス「それなら良かったです!」

 

「…あの後、アリスはどうしてたんだ。」

 

アリス「私は…良くない夢を見せられていました。」

 

アリス「けど、皆が私を呼んでくれたんです。」

 

アリス「皆の想いが、アリスを目覚めさせてくれました。」

 

「…そうか。」

 

アリス「先生も私の事を呼んでくれたんですよ!」

 

「俺もか。」

 

アリス「最後に先生の声を聞いて、アリスは目覚めました!」

 

アリス「だから先生の居場所も分かったんです!」

 

「……不思議だな。」

 

アリス「不思議ですね!」

 

「…。」

 

アリス「皆が心配してますよ?早く行きましょう!」パッ…!

 

 

 

 

アリスが手を差し出す。

 

 

 

 

「…そうだな。」ギュッ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____時計じかけの花のパヴァーヌ編 完結____

 

 

 

 

 

 

*1
ガンダムヘビーアームズを想像してください。





如何でしたでしょうか。

完結としましたが、もうちっとだけ続くんじゃ。

次回のエピローグで完全終了となります。

エピローグは短い予定なので早めに投稿できるかと思います。


それではまた。
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