もしも、シャーレに赴任してきたのがゴルゴ13だったら… 作:御厨パステル
ついに物語が動き始めます。
果たしてゴルゴは、キヴォトスを救う事が出来るのか…!
目を開けると、そこは列車だった。
青く澄んでいる空が車窓から見える。
この列車はどこへ向かうのだろう。
それは分からない。
もしかしたら………
そこで息を切らしている少女に聞けば分かるかも……。
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『はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!』
「また会ったな。」
『また会ったな…じゃないです!!』
『何ですかあなたは!』
『いきなり列車から飛び出したかと思えば!』
『よくわからない大きな怪物を!』
『何処から取り出したかわからない対物ライフルで!』
『たった四発で沈めたんですよっ!?』
『その後、普通に生徒と交流しちゃいますし……!』
『ここに連れてくるの大変でしたよ!!』
「………。」
『はぁ…はぁ…何か言ってくださいよ…。』
「…アレはタブーだったか?」
『…え?』
「アレを沈黙させる事はお前の言っている『良い方向へ未来を導く』という依頼において、やっては行けない事だったのか。」
『あ、いえ…そういう訳では無いんですけど……』
「そうか。」
『と、とにかく!本来はこんな始まりじゃ無かったんです!』
『本当は現在の時間軸に行ってもらうはずでしたが!』
『貴方がそこにつく途中で下車したんですよ!』
「……。」
『つまり!貴方は既にある過去を変えてしまったんです!』
「……。」
『……あの?』
「過去を変えるのは駄目か?」
『だ、駄目というか……。』
「俺が助けた時、嬉しそうな顔をしていた。」
「多分、初めて向けられた視線だ。」
「あいつを見殺しにして、そのまま列車から眺めているのが、『良い方向』なのか?」
『くっ!随分と口が立ちますね……!』
「いいか、悪いかを俺は聞いている。」
『……えぇ!とっても良いことですよっ!』
「そうか。」
『はぁ…何か…貴方と喋ると調子が狂いますね……。』
『…さて、もうそろそろ着きますね。』
「何処に着くんだ。」
『貴方が本来、初めて降り立つ場所です。』
『あとは、あっちの皆が何とかしてくれます。』
『…けど、あんな破天荒な事をした貴方なら』
『皆をすぐに引っ張って行くでしょうね…。』
『…くれぐれも勝手に自分のペースで行かないでくださいね!?』
「善処する。」
『はぁ……じゃあ改めて…。』
『皆を助けてあげてください。先生。』
眩い光が辺りを飲み込んでいく中で、
彼女は微笑みながらそう言った。
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「…生…?」
「せ…生…。」
「先生!!」
「…。」パッ
眠りから覚めるとそこは、何処かの建物の中だった。
「ようやく起きられましたか。」
ふと視線を上げると、
「少し待っていてくださいと言ったのに眠ってしまうとは…。」
黒髪の少女がいた。
「……大丈夫ですか?まだ夢見心地ですか?」
「問題ない。」
「そうですか、では改めて状況をお伝えしますね。」
彼女の、リンの話をまとめると
俺は連邦生徒会長に呼ばれた【先生】らしい。
何処かに消えてしまった生徒会長の代わりに、
俺にやってほしい事があると言った。
このキヴォトスの命運をかけた、ある事を……。
リン「…大体どんな状況かわかってもらえたでしょうか。」
「…あぁ。」
俺達はエレベーターに乗って上階に向かっている。
エレベーターはガラス張りになっていて、
外の景色が見えた。
そこは俺がいた世界よりも遥かに文明が進んでいるようなそんな気がした。
……今はそこかしこで、煙が立っているが。
「さて、細かい詳細は後で話します。」
ウィーン…
エレベーターのドアが開いた。
「あ!いたー!ちょっと代行っ!!」
………熱い歓迎だ。
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どうやら、生徒会長がいきなり失踪し、
治めていた土地であるこのキヴォトスが大混乱になっているらしい。
聞けば、囚人が脱走したとか。
発電所が破壊されて使えなくなったとか。
そこらじゅうで暴徒が暴れているとか……。
どうやら文明が進んでいる代わりに、治安が最悪になっているな。
リン「連邦生徒会長がいなくなった今、この先生こそがフィクサーになってくれるはずです。」
頭の中で話を整理してたら、お呼ばれがかかった。
「先生…?そこの大人?」
リン「はい、彼そこが連邦生徒会長が直々に指名した人物です。」
「失踪した生徒会長が指名した…?こんがらがって来たわ…」
リン「…先生…とりあえず、自己紹介しましょうか。」
「……デューク・東郷だ。」
「「「「………」」」」
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「あ、あなた!何か危ない組織からの刺客とかじゃないでしょうね!?」
俺に前のめりで疑いを掛けてくるのは、早瀬ユウカというらしい。
「ま、まあまあ!ユウカさん落ち着いて……!」
そのユウカを全力で止めようとしているのが火宮チナツ。
「連邦生徒会長が選んだ人ですからそういうのはないと思います。」
まっすぐ、自分の意見を伝えているのが、羽川ハスミ
「…まぁそのくらい顔は怖いですけど。」小声
…聞こえないようにしているつもりだろうが、聞こえている。
最後にポロッと本音を漏らしたのが守月スズミ。
「…聞こえてるぞ。」
スズミ「あっ!すみません!」
「いや、いい。」
「…俺は特にそういう組織には入ってない。」*1
ユウカ「まぁそうですよね…疑うような真似をしてすみません…。」
「気にするな。」
リン「…コホン。」
リンが咳払いをした。
リン「ここでの、お喋りは一旦ここまでにしましょう。」
リン「先生がフィクサーになると、言いましたが。」
リン「ここにいては何も出来ません。」
リン「ある建物に向かう必要があります。」
「それは何処だ。」
リン「連邦捜査部…【シャーレ】。」
リン「その部室がある建物は、ここから30kmほど離れた場所にあります。」
スッ……
リンが上着のポケットから何かを出す。
「…モモカ、シャーレに直行する為のヘリって今ある?」
ブォン…!
『え?シャーレ…?』
どうやらホログラムを出せる通信機器のようだ。
『あそこ今、すんごい事になってるけど…?』
リン「……はい?」
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連邦生徒会に恨みを抱いた暴徒や脱走囚達がそこで破壊の限りを尽くしていると聞かされた。
そして、何故かシャーレの存在を知っており、
建物を占拠しようと現在進行系で暴れているらしい。
リン「………」プルプルプル…
モモカとの通信を切ったリンが怒りで震えている。
リン「…」チラッ
ふと、ちょっと目の前にいる4人の少女を見つめた。
ユウカ「…え?何…?何でこっち見てるの…?」
リン「…色々なイレギュラーが発生しましたが、」
リン「ちょうどここに頼りになりそうな暇な人たちがいますね…。」
「………。」
「「「「………え?」」」」
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俺達がいた建物の外は、戦場だった。
シャーレの部室がある建物。
サンクトゥムタワーまでの道のりがとても遠く見えた。
ユウカ「ちょっと!何で私達が戦う必要があるわけ!?」
ユウカ「一応これでもセミナーでは上の立場なんだけど!?」
「…伏せておけ。」
ユウカ「…え?」
「…来るぞ、伏せろ。」
ユウカ「わ、わかりました…?」スッ…
ユウカ「っ!?」
ユウカがしゃがんだ瞬間に数発の弾丸が飛んできた。
カラン………
「……。」
弾丸がゴルゴの目に映る。
「ホローポイント弾か。」
「…本気でこちらを殺しに来ているな。」
ガタッ…!
ゴルゴは持っていたアタッシュケースを置き、蓋を開いた。
ユウカ「な、何ですかそれ…?」
「………。」
カチッ…カシャッ…カチッカチッ……
ガンスミス顔負けの手際で銃を組み立てていく…。
ユウカ「せ、先生…それって!!」
「…。」カチャッ…。
ユウカ「M16じゃないですか!?」
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ユウカ「本当に先生は、一般人なんですか!?」
ユウカ「そ、外でも銃を扱ってたんですか!?」
「…質問は後だ。」
「…守月。」
スズミ「は、はい!」
「フラッシュバンは持っているか。」
スズミ「ありますけど……。」
「2個ほどくれないか。」
スズミ「えぇ、どうぞ…?」
「助かる。」
ハスミ「先生?何をするつもりですか…?」
「ここを切り抜ける。」カチッ…
ゴルゴは力の限り、フラッシュバンを暴徒の方へ投げた。
そして……。
「……目を閉じておけ。」スチャッ…。
空中にあるフラッシュバンを撃ち抜いた。
ピカッッッ!!!
瞬間、一面に閃光が走る。
不良生徒「う、うわっ!眩しい…!!」
スケバン「い、いきなりなんだぁ!?」
ザッ…!
自分たちの前面にいる暴徒の目を眩ませた隙に、
物陰から一気に飛び出し、的確に戦闘不能にしていった。
不良生徒「ぐあっ!?」バタッ…
スケバン「グハッ…!」バタッ…
「…………。」
ユウカ「…忠告してくれたとはいえ、いきなり閃光弾を使うなんて…!」
スズミ「…先生は……っ!?」
目を閉じていたスズミ達が前を見ると……。
倒れている暴徒の中、一人だけ立っている先生がいた。
スズミ「せ、先生!お怪我は!?」
「していない。気にするな。」
ユウカ「き、気にするなって言ったって…ヘイローがないから撃たれたら致命傷じゃない!」
「ヘイロー?」
ハスミ「私達の頭の上にあるこの輪っかのような物の事です。」
ハスミ「このヘイローが私達の体の耐久力だったりを強化してくれているんです。」
「そうか。」
「ある程度なら構わず撃っても死なないんだな?」
ハスミ「え、えぇ…そうですけど…」
「分かった。」
「インカムはあるか。」
ユウカ「一応、さっきチナツちゃんから貰ったのが…」
「全員それをつけろ。」
「ここからは……」
「俺が先行する。」
「「「………はい?」」」
「そのインカムで前線の状況は伝える。」
「…後は全力を尽くせ。」
バッ!!!
「「「…………」」」
うん、そうだよね…。
基本的に単独行動だから、指揮とか取ってくれないよね…。
あぁ!お客様!前に出ては困ります!お客様ぁ!(リンちゃんの心情)