転生したらガミラスの真田さん枠(なおロマンチスト)兼総統のお気に入りになってた件   作:夜叉烏

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 宇宙戦艦の戦闘シーンを書くのは初めてなので、おかしいところがあるかもです。

 それと、前話が物凄い好評だったので滅茶苦茶ビックリしてます。まさか評価バーが赤になるとは思いませんでした。皆様応援してくださって本当にありがとうございます。

※主人公の座乗艦の名前を『ハルシュヴァルト』に変更しました。いかにも「ハルハが乗ってます」という艦名にしたかったので。


白百合のゼードラー

「航空隊、発艦始め!」

「よし、左右から方位してくる駆逐艦に向かわせよう。カインズ大佐!」

『中将殿、小官らは包囲を敷く敵駆逐艦の排除…ですかな?些か、数的不利が過ぎるかと…』

 

 航空隊の発艦が完了し、攻撃目標を選定した後、私は『ハルシュヴァルト』に付き従う親衛隊の駆逐艦4隻を従える司令官を呼び出した。

 艦橋上部のスクリーンに、親衛隊の制服を纏った30代ほどの男が映る。

 彼の言うことも分からなくはない。相手は砲火力に秀でたククルカン級襲撃型駆逐艦が12隻。まともに突っ込んだら輪胴砲塔の速射により穴だらけにされる。

 

「大丈夫さ。対艦・対空装備で固めた最新鋭機を16機、援護に当たらせるからね。期待していいよ」

『…そこまで仰るなら、信じます。何よりも、親衛隊たる我々が戦いもせずに背を向けるなど、言語道断ですからな』

 

 断言する私に安心したのか、カインズの表情が綻んだ。階級は上とて、幼気な少女が余裕に振舞っている中、自分が尻込みしているわけにはいかない…と思い直したらしい。ギムレーの手前というのもあるだろう。

 スクリーンが消えた直後、艦橋の両脇を無数の機影が高速で通り過ぎた。ヤマトと同様、艦底部に設けられた発進口から射出された艦載機である。

 

「…おいハルハ中将。今のはゼードラーか?」

「ふむ。何故防空用の機体が?」

 

 タランとギムレーの言う通り、発艦した機体は空間駆逐戦闘機"ゼードラーⅡ"に酷似したものだ。

 

「艦上機に手直しさせていただきました。確かに見た目はゼードラーですが、性能はツヴァルケと同等…いや、それ以上ですよ?少々サイズが大きいこと位が欠点ですね」

 

 空間駆逐戦闘攻撃機DDG410"ゼードラーⅢ"(仮称)。DDG110"ゼードラーⅡ"をベースに、私直々に徹底した近代化改修を施した型である。

 ゼードラーⅡを手掛けた民間軍事企業は、同機を既に"武装と航続距離だけの駄作"という辛辣な評価を下して見限っており、後継機として定めた空間格闘戦闘機DWG262"ツヴァルケ"の量産にご執心な状態。私の手が入ることに何ら文句は言ってこなかった。

 

 エンジンは新型の熱核反応タービン2基、副機兼APUとしてケルビン・インパルスエンジンを2機備え、三次元ベクタード・ノズルを採用。さらに機体各所へターレットスラスターと高機動バーニアを増設し、さらに空間偵察機"スマルヒ"で採用実績のある重力バランサーを両尾翼先端へ搭載した結果、機動力が著しく上昇した。

 そして、機首下面に13ミリパルスレーザー機銃を4丁、30ミリパルスパルスレーザー機関砲を主翼へ6門、新規開発した大型の主翼兵装ポッドには、これまた新型の55ミリパルスカノン砲4門という、従来を凌駕する重武装。

 ウエポンベイが新たに装備され、空対空ミサイルを8発、それよりやや大型の対艦ミサイルなら6発を搭載可能。新型兵装ポッドは空対空ミサイル6発、対艦・対地ミサイル4発のいずれか。

 また主翼も大型化され、上下4か所にハードポイントを設けた他、空母への搭載を見越して折り畳み機構も設けている。

 

 固定武装だけでも宙雷艇…いや、駆逐艦クラスを撃破しうる超火力だ。

 元々、ゼードラーは機体規模が大きいため、設計に余裕があったことが幸いした。これだけの重武装を誇りながら、ツヴァルケと同等以上の速度・機動性…最早無敵である。

 コスモファルコンは疎か、コスモタイガー、コスモパイソンにだって負けないと自負している。

 

『"リーヴェア1"、出撃します!』

「あ、ズミ…」

 

 航空隊最後のゼードラーが出撃。直後、艦橋の左横からその機体が猛速で通り過ぎ、私は思わずそのパイロット…ズミ・ヴィースナー少佐の名前を呟く。

 なお、"リーヴェア"とは、彼女が直率する小隊の呼び出し符丁。ガミラスに自生する百合によく似た花の名だ。

 

「おや、親しい仲なのですか?」

「うん…士官学校のときからずっと、ね…」

 

 ギムレーの問にそれだけ返す。

 『ハルシュヴァルト』副長兼航空隊長ズミ・ヴィースナーとの付き合いは、士官学校一年生の頃からだ。

 なんと、彼女も私と同様飛び級して入学した天才少女。唯一の同年齢ということもあり、親交を深めていった結果、私の相方のような立ち位置に収まり、主に新型航宙機の試験飛行をしてもらっている。

 

 私は親友だと思っているのだが、彼女は私の事を友達…というか、どちらかというと尊敬の対象として見ている感じがする。常にさん付け&敬語だし、もっと砕けた感じで話してくれてもいいんだけどなぁ。

 長い銀髪のサイドテールが特徴的な美少女なんだけれども…タキシードとかも似合いそうなんだよね。あと右目下の泣き黒子が素晴らしい。

 私も男っぽい雰囲気と話し方だと言われるが、彼女も美少女の皮を被ったイケメンである。タキシードを着た彼女にお姫様抱っこされようものなら、私の精神が持たない。

 

 技術者志望だった私と違い、純粋な軍人――戦闘機パイロット――を目指して勉学や実習に励んでいたものだ。

 艦隊指揮の能力も高い適正を示しているが、本人は今のようにいちパイロットとして自ら航空隊を率いる方が好みらしい。

 私が知る限り、彼女に比肩するパイロットはガミラスにいない。加藤三郎や山本玲とも互角以上に渡り合えるんじゃないかと思うほどだ。

 

「ズミ、航空隊は親衛隊の援護をお願いするよ…生きて帰ってきて」

『大丈夫です…私は死にませんから』

 

 航宙機のパイロットは、軍隊の中でも最も危険な仕事の一つだろう。狭苦しいコクピット内で死ぬかもしれない危機にさらされている彼ら・彼女らの心中など伺いようがないが、ズミの声音は落ち着き払っている。

 そんな彼女の「私は死なない」という簡潔な一言は、他のどんな美辞麗句よりも説得力があった。

 

「敵空母より艦載機多数発艦!」

「砲雷長!」

「はっ!主砲、発射準備!」

 

 前甲板の主砲が旋回し、従来よりも長大な砲身が接近しつつある敵艦載機――甲殻攻撃機"デスバテーター"の一群に向けられる。

 数はレーダーによると48機。ナスカ級空母の搭載機は24機しかないから、全部上げたことになる。

 

「対空戦闘!」

「もう撃つのか?」

 

 ディッツが問う。確かにまだ距離がある。

 それに、敵は小さな艦載機だ。普通なら命中率も落ちる。

 

「大丈夫です。…誰も、光学兵器で攻撃するなんて言ってませんから」

「……は?おい、まさか」

 

 光学兵器じゃない…ということは、主砲から放つのは陽電子ビームでも、荷電粒子でも…とにかく、ビーム兵器ではないということ。

 では、それ以外で砲から放つものといえば…

 

「撃ち方始め!」

 

 直後、前甲板に爆炎と煙が湧き出した。

 もし空気があるなら、艦橋の中までその砲声が聞こえてきたことだろう。

 

 橙の曳光が6個、デスバテーターの編隊の真正面に到達するや、放たれたそれらが爆ぜた。

 直後、デスバテーター隊の前面から、無数のエネルギー弾が豪雨のように襲いかかった。

 

 ――私が開発した新兵器、『Gpgr多目的榴散弾』である。ガミラス艦が装備するあらゆる陽電子カノン砲に対応した実弾であり、炸裂すると弾丸状の指向性ビームエネルギーを撒き散らす代物だ。

 対空用のみならず、防御力の乏しい地上目標を薙ぎ払うなどの用途もある。

 

 高出力陽電子ビームが普及しているガミラス軍からすれば実弾など、地球にとってのマスケット銃並みに時代遅れな存在であり、古すぎるあまり教本にも載っていない。

 「野蛮人の武器」と評するほど嫌悪感を抱く者もいるほどである。…後でそいつらは『ハルシュヴァウト』の外装へ磔にしてZZZアンドロメダ級ばりの高機動を体感させてやるとしよう。

 

 宇宙空間内では威力が減衰してしまうビーム兵器と異なり、実弾は障害物に当たらない限り無限に進み続ける強みがある。

 それに、トラブルでゲシュ=タム・ドライブが使用できない際は、エネルギー消費がほぼない実弾兵器は有効な対抗手段になり得るだろう。

 …それらメリットを考えると、別に実弾が普及しててもよくね?となるのだが…。

 

 兎も角、私が開発した多目的榴散弾は近接信管により起爆。デスバテーターの編隊は一瞬にして四分五裂となった。

 6発の砲弾に内包されたビームエネルギーは、甲殻類を思わせるゴツい機体の外板を火花と共に容易く打ち砕き、火達磨へと変えていく。

 

『敵編隊のうち22機撃墜!および3機落伍!』

「敵編隊は混乱の渦中だ。ズミ、航空隊の半数を制空に裂けるかな?」

『本機の性能と此方の技量を考えますと、私の小隊だけでも可能ですが…?』

「…うん。じゃあそれで。残りは予定通り親衛隊の援護を頼むよ」

 

 冷静なズミの具申を、私は即座に容れた。

 

「…まさか、あのような錆びついた技術が役に立つとはな」

「宇宙空間での実弾兵器の射程は実質無限ですからね。その特性を利用しない手はありません。対艦用の徹甲榴弾もありますよ」

「ふむ…魚雷やミサイルよりも手が多い。宇宙空間ならば物理兵装の射程はほぼ無限だ。機関が不調の際も役に立つと思うが…」

 

 ディッツは古臭い実弾兵器に特段嫌悪感を抱くことなく、寧ろ興味津々といった様子。タランに「これを大々的に実用化できんか?」と言いたげな眼を向ける。

 しかし、帰ってきた応えは期待を裏切るものだった。

 

「我々の艦はそもそも、実弾を搭載する設計にはなっていない。大規模な改装が必要になるだろうし、それをほぼすべての艦に行うとなると、何十年かかることやら」

「心情的に受け付けない者も多いでしょうねぇ。…特に貴族の方々は」

 

 タランは実弾の有用性は認めつつも、改装に必要な手間や時間、ドッグの手配や艦艇数の面から、ギムレーは実弾に対する差別意識が浸透している事実から無理だろうと判断。

 意外にも、後者は否定的な言葉を発さなかった。

 

「"リーヴェア"小隊、敵編隊と会敵!及び敵巡洋艦、本艦へ近づく!距離8万!」

「対艦戦闘、蹴散らすよ!」

 

 頼もしき航空隊長の健闘を祈りながら、私も砲戦の指示を出した。

 

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――ズミ・ヴィースナーside

 

「各機、可能な限り敵の機体下面から攻撃を行うように!」

『『『了解!』』』

 

 私の指示を聞いた小隊の皆が、圧倒的多数の敵編隊へ突っ込んでいく。

 とはいっても、ガトランティスの戦闘機隊は数だけだ。『ハルシュヴァルト』の砲撃で散り散りになっているため、組織的な戦闘はできないだろう。

 各個撃破の好機である。一応、機体上面の速射輪胴銃塔の弾幕射撃に気を付けるよう指示を出しておいた。

 

 スロットルを開くや否や、機種転換前に乗っていたDWG109"デバッケ"を遥かに上回る速度感が身体を襲う。

 しかし、ハルハさんが丹精込めて作り直した機体は、搭乗者を振り回すことはない。高性能ではあるが、素直にパイロットの操作に応えてくれる。

 間違いなく、我が軍の名機として軍事史に刻まれることだろう。

 

 ベースであるゼードラーⅡの開発元である企業は、自ら生み出した同機を失敗作として片付け、DWG262"ツヴァルケ"の量産を推し進めているようだが…私からすれば、怠慢としか言いようがない。

 辛辣な評価が多かったゼードラーをここまで生まれ変わらせた親友の手腕には、敬意を表さざるを得なかった。

 

「"リーヴェア"、交戦開始(エゲレン)!」

 

 ごく短く命ずると同時に、ロックオンした敵機に向かって主翼兵装ポッドからGR4M高機動空対空ミサイルを2発発射。

 右往左往するデスバテーターが、回避運動を行う間もなく火の玉と化した。このミサイルもハルハさんの手になるもので、誘導能力や動力性能が従来よりも卓越しているとのことだが、完全に宝の持ち腐れだ。

 

 小隊機も各々2発ずつミサイルを発射。データリンクによって目標が重複することはない。一部回避行動を取るデスバテーターもいたが、直ぐに追いつかれて宇宙の塵と消えた。

 しかし、敵も撃たれっ放しではいられないらしく、体勢を立て直し機首を此方に向けて突進してくる。

 

「…甘い!」

 

 私も俄然受けて立つ。

 デスバテーターの胴体から放たれるシャワーのような薄緑色の曳光が向かってくるが、機体各所のスラスターとバーニアを起動。

 急減速からの機首を支点にして逆立ち状態になり、黄緑の火箭とデスバテーターは下方…つまり私の目の前を通過。すぐさま機体上部のスラスターとバーニアを吹かし、機体を倒して水平飛行に移れば、たった今通り過ぎたデスバテーターの背後を取っている。

 三次元ベクタードノズルとスラスター、バーニア、そして重力バランサー。それらによって織り成す機動は、まるで舞い落ちる木の葉のようだ。

 

 サイドスティックに設けられたトリガーを引き、機首と両翼から紫色の曳光の連なりが放たれる。デスバテーターの機体から無数の火花と破片が散り、直後に爆炎と化した。

 ついでに、手近の機体にロックオンしてミサイルを発射し瞬殺。

 

『フォウッ!未熟未熟ぅ!』

 

 "リーヴェア3"こと、小隊3番機のアイル・リオ少尉だ。19歳と私よりも2つ年上の男性であり、声色からも分かるほどのお調子者。ただし、締めるところは締めるメリハリの良さはある。

 命令には忠実だし、年下だからと舐めた態度を取ってこないのも助かっていた。

 

「"リーヴェア3"、油断は死を招きますよ」

『はいはい!と言ってもこいつら、空戦のやり方分かってるかも怪しいんですがねぇ!』

 

 彼もまた、ガミラスでも上位に食い込むであろう腕前のパイロットだが、確かにその腕前を発揮できていない。相手が弱すぎるせいで。

 また1機、デスバテーターが彼の銃火に捉まった。横転しつつの急減速、勢い余って前方へ飛び出た敵機が、55ミリパルスプレット砲に射抜かれ、一撃で右半分をごっそり抉り取られた胴体の残りが四散する。敵ながら、ヒヤリとする最期だった。

 

『はぁ。もう終わってしまいましたね』

『ぼやくな、カール』

 

 "リーヴェア4"こと、18歳の青年カール・バッツ少尉も手応えのなさに呆れている。アイル少尉よりかは大人しいものの、良くも悪くも素直であり、こうして不満を簡単に漏らしがちだ。

 それに釘を刺すのは、小隊最年長である27歳のヒンメル・デーストア大尉。小隊の精神的支柱と言っていい存在である。かく言う私も、彼の年の功にはよく助けられた。

 

『此方"リーヴェア2"。敵編隊撃滅を確認。対艦攻撃部隊にも何機か行ったようだが…そいつ等が蹴散らしたみたいだ』

「"リーヴェア1"、了解」

 

 駆逐艦の攻撃に向かった部隊にもデスバテーターが何機かいたようだが、即返り討ちに遭ったようだった。

 

「親衛隊の援護に向かう!全機、続いて下さい!」

『『『了解!』』』

 

 鋭角過ぎる旋回を行い機体を翻すと、今にも親衛隊の艦隊と砲火を交えそうなククルカン級に向かって突撃。

 途中、味方のゼードラーと合流して戦力の集中を図る。

 

「"ルフザ"、"トイパ"は右翼、"リーヴェア"、"ローザ"は左翼の敵駆逐艦を攻撃!無理に撃沈しようとせず、あくまで親衛隊から引き離すつもりで!」

 

 フルスロットルで肉薄するゼードラーⅢを無視できない存在だと悟ったのか、ククルカン級の輪胴砲塔が黄緑の光線を撃ち放つ。

 装備数が多い上に速射性能が高いため油断できない。我がガミラスの艦艇もこれ位の対空防御能力を持たせるべきだと思う。

 

 しかし、此方のゼードラーには1機たりとも掠りもしない。急角度且つ不規則な旋回、横転、減速、急加速を繰り返し、分厚い弾幕を回避しながら接近するゼードラーⅢは、全機が無事に対艦ミサイルの有効射程に入ることができた。

 

「…沈め!」

 

 敵愾心を込めて一言。と同時に、胴体下のウエポンベイから2発の対艦ミサイルが放たれた。"リーヴェア"の僚機からも2発ずつが発射される。

 敵もさることながら、"リーヴェア"小隊からの合計8発のミサイルの迎撃に動いた。主・副の輪胴砲塔による猛射が3発を叩き墜とし、更に接近したミサイルは高射輪胴砲塔の連射で墜とされた。

 

 それでも、弾幕をすり抜けた2発が艦体の左舷前部へ纏まって直撃。被弾部に一番近い最前部の主砲が沈黙し、黒煙を噴き出し、よろめくような動きを見せる。

 爆発が連鎖し、段々と艦から噴き出す爆炎と煙が増えて行ったと思えば、誘爆らしい一際巨大な爆発が艦を呑み込む。轟沈だ。

 

「次!」

 

 間髪入れず、ロックオンしたククルカン級に残りの対艦ミサイルを叩き込んだ。

 今度は艦橋の付け根に命中し爆炎を噴き上げ、艦底部を紅蓮の炎が突き破る。

 艦上部から艦底を貫かれた此方のククルカン級は、力なく艦首を下に向け、数秒後にプラズマ火球と化した。

 

 相手は防御力の乏しい駆逐艦とて、十分な威力のミサイルだ。ハルハさん曰く「ウエポンベイに納めるため若干小型になったから威力が心配」とのことだが、私個人としては十分である。

 

 残りの駆逐艦も総じて黒煙を噴き上げており、12隻のうち5隻が沈没。中には舷側に小さな無数の破孔が線状に開いており、炎と黒煙をを吐き出しているものもいた。

 55ミリ機関砲が駆逐艦相応の薄い外装を掻き裂いたに違いない。

 

 隊列も乱れ、闇雲に撃ちまくる黄緑の火線が悉く何もない空間を貫く中、全くの唐突に赤い閃光が気息奄々のククルカン級を貫く。

 

『援護感謝する、航空隊の諸君!』

 

 親衛隊のクリピテラ級4隻を率いるカインズ・ホーマー大佐の声が無線に飛び込む。

 見れば、2群に分かれた各6隻のククルカン級に対しそれぞれ2隻ずつの割り当てで突っ込んでいく様が映った。

 普通なら戦わない戦力差だが、ガトランティス艦隊は完全にゼードラーⅢへ注意が行っており、新たな刺客の登場に対応できない様子。

 

 また、親衛隊は実戦経験に乏しいとのことだが、カインズ指揮の駆逐艦4隻は中々動きが良い。

 獲物を狙う鮫を思わせる俊敏さで突撃し、輪胴砲塔の細やかな抵抗を掻き分けるように接近、艦首の魚雷を発射。

 味方の爆沈に狼狽えたような動きを見せたククルカン級に艦底の280ミリ陽電子ビームを叩き込んで沈めたかと思えば、転舵して横腹を晒して艦橋後方の8連装ミサイルと陽電子速射砲を発射。

 最後に残ったククルカン級に艦尾魚雷を叩き込んで仕上げをし、撤退…お手本のようなガミラス式機動戦術だ。

 

『うん、素晴らしいね。流石はズミたちだ』

「そんな。ハルハ中将の機体だって、相変わらず素晴らしい乗り心地です」

 

 ハルハさんからのお褒めの言葉。嬉しさのあまり心身が熱くなるのを感じた。

 

「敵艦載機は排除、駆逐艦も全て撃沈破しました。私たちも『ハルシュヴァルト』の援護に!」

『いや、折角の実戦だからね。好意はありがたいけれど、単独で応戦させてもらおうかな…そうだね、新手が来ないか警戒だけお願いしてもらってもいいかい?』

「…分かりました。どうかお気を付けて!」

 

 一抹の不安を感じたが、ハルハさんなら大丈夫だろう…と自身に言い聞かせ、戦闘宙域の監視任務を開始した。

 




 ガミラスの艦名センス良すぎません?『キルメナイム』とか『ゲルガメッシュ』とか、いかにも「ギムレーの座乗艦です!」「まさしくゲールが乗ってる!」って感じがします。シンプルに響きもいいですし。

・空間駆逐戦闘機DDG410"ゼードラーⅢ"(仮称)
 ゼードラーⅡをハルハ自ら徹底的に近代化した機体。全長20.2メートルと拡張しており、垂直尾翼も大型化している。
 三次元ベクタードノズル、ターレットスラスター、高機動バーニア、重力バランサーを装備しており、航空機とは思えない機動性を獲得。ハルハ曰く「ガミラス版コスモパイソン」。
 55ミリパルスプレット砲4門、30ミリパルスレーザー機関砲6門という強力な固定武装に加え、空対空ミサイルを最大22発搭載できる圧倒的制空能力を持つ。無論対艦打撃力も強力であり、対艦ミサイルを最大12発搭載可能。
 さらなる特徴として、防御力が非常に高い。副機であるケルビン・インパルスエンジンのエネルギーを硬度、靭性へ転換し物理兵器への防御力を高める『エネルギー転換装甲』を装備、さらにその上からミゴウェザー・コーティングを施すことで光学兵器に対する耐性も完備。
 DWG262"ツヴァルケ"を凌駕する運動性に加え、艦船にすら深傷を負わせる固定武装と圧倒的搭載量、そして高い防御力を持つ機体だが、製造時の工数が凄まじいこと、1機あたりの単価が"ツヴァルケ"4機分に相当すること、折り畳み機構を設けたとて素の機体規模が大きいためどうしても艦内スペースを食うことから、配備は遅々として進んでいない。
 今のところは、16機がハルハお抱えの試験部隊の装備機として配備されているのみ。

・ズミ・ヴィースナー少佐
 ハルハの幼なじみで、同じく士官学校に飛び級で入った天才少女。外見はゲーム『ブルーアーカイブ』の守月スズミをそのまま青肌にした感じ。
 真面目で責任感が強い性格で、誰とでも敬語で話す。
 ハルハのことは友達というより尊敬の対象として見ており、勤務中・プライベート問わず一緒にいる。「ハルハの"護衛"」らしい。
 艦隊指揮にも高い適正を示しており、『ハルシュヴァルト』副長と航空隊長を兼任しているが、基本的に航空隊が出撃する際は自ら機に乗って陣頭指揮を執る。
 加藤、山本とも互角以上に渡り合う超敏腕パイロット。
 彼女の愛機であるゼードラーⅢは純白で全体が塗装され、蒼い百合(リーヴェア)のエンブレムがコクピット横の外装に、同じく蒼色の葉と茎の絵が機体各所に描かれている。

 ※戦艦『ハルシュヴァルト』の性能諸元は次回にさせていただきたく…m(_ _)m
 ただ、「最新鋭兵器の試験艦」という立場を持つ艦であり、ハルハ自身「ヤマト」の戦闘力を目指して設計したため、特一等艦としても十分通用しそうな艦となっている…とだけ言っときます。

アルペジオみたいなメンタルモデルを出演させる?

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