転生したらガミラスの真田さん枠(なおロマンチスト)兼総統のお気に入りになってた件 作:夜叉烏
最近は本文を短めにして投稿頻度を上げようと思ってるんですがそっちの方がいいですかね?
私は今、人生で一番居心地の悪い状況に晒されている。政府高官たちも参加する学会で彼らを前に持論を発表したときよりもだ。
「「「ガーレ・ハルハ!ガーレ・ハルハ!ガーレ・ハルハ!」」」
ゴツい装甲車に前後を挟まれながらゆっくりと進む公用車に揺られる私の耳に、民衆の大声が否応なく流れ込んでくる。窓は閉めてるはずだが。
有名になり過ぎた自覚はあったが、バレラスの民衆がこぞって大騒ぎするほどとは思わなかった。
ドメル将軍の叙勲式とほぼ同規模である。
あと、広場各所に私のホログラムが投影されてるのはちょっと文句を言いたい。滅茶苦茶恥ずかしい。
「…窓開けていいかな?」
「大丈夫ですよ」
とはいえ、顔を出さないのは折角見に来てくれた人達に申し訳ないと思ったので、窓を下げて顔を出し、軽く手を上げて応えてあげた。
「「「キャァァァァァッ!!」」」
「えぇ…?」
直後、女性たちの大絶叫が響き渡る。ちょっと引いてしまった。
士官学校時代、ファンクラブができる位にはモテていた私だが、ここまでとは流石に思わなかった。まだ耳鳴りがしている。
「え~…こんな大勢で持ち上げられることをした覚えないんだけどなぁ」
「…あの、本気で仰っているのですか?」
「え?うん」
「…はぁ~~」
受勲者を警護する名目で同乗している親衛隊員たちのリーダー…ゴイツ・ジーマ大佐が「え、こいつマジで言ってるの?」的な視線を飛ばしてくる。
受勲者の警護を任せられるだけあってなかなか強そうな男だ。文字通りの筋骨隆々、筋肉モリモリマッチョマンの変態(?)である。
その巨躯でよくこの車に乗れたものである。というか、絶対に窮屈だろう。小さな箱に無理やり押し込まれたみたいになってるし。
「まず中将、貴女が開発した医療用ナノマシンインプラントは我がガミラス臣民へ永き命を与えました。まぁ、実用化は勿論、それが全ての臣民へ行き渡るのはまだ先になりますが…。私は医療については門外漢ですが、ガミラスの歴史に名を遺すレベルの偉業であると認識しております」
「あぁ…あれね」
艦船をはじめとした兵器を開発しているときが一番生を実感している。
それは間違いないのだが、やはり私は「技術者」であって「武器商人」ではない。今世の故郷であるガミラス、その臣民たちの為になる発明もいくつかしている。
その一つが、ジーマ大佐の言った医療用ナノマシンインプラントである。
身体に埋め込んだナノマシンが体内を循環し、異常のあった身体部位に移動、有害な病原体や癌細胞、老化に伴う細胞の酸化に対し、迅速な治療を行うのだ。
これにより早い段階で勝手に治療が行われる為、ぶっ倒れた人間が病院に担ぎ込まれて…という事態は格段に減る筈だ。
なお、量産したナノマシンインプラントを体内に入れたのは私。自ら被験者になった。
「以前まで不治とされてきた病を、体内に埋め込まれたナノマシンが早期且つ勝手に治療し、手遅れになる前に治してしまう。更に、身体の老化を極限まで遅らせる為、寿命そのものも遥かに底上げされました。試算によれば、『最低でも150年は生きられる*1』との結果も出ております。…老化を遅らせる面について、女性の皆様がかなり興味を示されているようですが」
ガミラスにも、ガミロイドに用いられるナノマシンを開発しているが、ガミラスにとってのナノマシンとはあくまで"工学的な産物"であり、医療に使うものという認識はない。民生には全くと言っていい程還元されていないのだ。
それに加え、純血としての種の保存を重視しているガミラスにおいては、「異民族の血と同様、体内に異物を入れれば高貴な青が汚れる」という固定概念もあるのかもしれない。
「そして何より、軍事面での貢献が大きいです。貴女の齎した数多の技術が、どれほど大ガミラスの糧となっているか、改めてご理解いただきたく…」
「う、う~ん…」
無論モノづくりが大好きというのもあるが、軍民双方においてガミラスへ貢献している人材として成り上がり、デスラーに信頼されるような仲になる為、そして…ズミやアレド、『ハルシュヴァルト』乗員、親バカ極まる父上…親友や肉親を守る為にやってきただけ。
別に、民衆にチヤホヤされたいからやってるわけじゃない。
「まぁ、それは置いておいて中将はシンプルに顔が良いので。間違いなく其方が目当ての方しかいないかと。一度鏡を御覧になってみては?」
「最後の最後で台無しにしないで???」
…やはり見た目が全てということか。
「…って、あれ?」
脇道の群衆を掻き分け、1人の少女が車列に向かってきた。群衆が車道にはみ出さないよう、小銃を持って警備していた兵士が2人、慌てて駆け寄っていく。
「伏せていてください。貴族派が差し向けた自爆テロの可能性があります」
ゼーリックなら…ギリ使いそうな手だなと思ったが、私を手中に収めたがっているなら、もっと穏便に済ませるだろう。私へ危害を加えるつもりはないと思われる。
「いや、大丈夫だよ。止めて。…あの子は私を殺すつもりはないよ」
私の言葉を拒否しようとしたジーマだが、公用車を吹っ飛ばす威力の爆弾を、身長130センチ程度の少女が隠し持って走り寄って来るとは考え難いし、私の技術を狙う貴族派ならその当人を亡き者にするつもりは無いだろうと考えたらしく、運転手に停止するよう指示した。
(あれ、あの子…)
金髪をおさげにした白いワンピース姿で、花束を持ったその少女は、劇中でドメルの叙勲式に乱入してきた女の子本人である。
…もしかして、こういうイベントがある度に乱入してるのだろうか?
ガチャ…
「――あ、ちょ…!?」
ドアを開けてその少女の元に歩み寄る。ジーマが引き留めようとするが構わず、目線を合わせる為にしゃがみ込んだ。
「ひゃ…っ!?」
しかし、焦っていたのか少女は私の元に辿り着く寸前で盛大に転んでしまう。持っていた花束が落ちて花が散らばった。
花束に何か隠し持っている可能性が消え、ジーマや警備兵の顔から警戒の色が薄れる。
「大丈夫?怪我はしてないみたいだね」
「うぅ…。あっ!?ご、ごめんなさい…!」
叙勲者の車列に懲罰覚悟で入り込んだにもかかわらず、尊敬する人の前で思い切りずっこけ、挙げ句その本人に気遣われたことが相当いたたまれなくなったのか、顔を赤くして俯いてしまう。
「綺麗な花だね。貰っていいの?」
「は、はい!えっと、本物のお花じゃなくてごめんなさい。時間が無くて…」
何やら私へ贈る言葉と共に花束をプレゼントしてくれる予定だったらしいが、予定通りにいかずパニクってしまった彼女の口からは何も出てこない。
唯一、この花は生花ではなく、精巧に作られた造花というのが語られただけだ。
「ふふ…。ありがとう、大切にするよ」
転んだ際、自分の身体で潰してしまったらしく、殆どの花が他人へ贈るには相応しくない有様になってしまっている。
しかし一輪だけ、
中々の出来である。この子の親は造花職人だったりするのだろうか。
リーヴェアの造花を、花弁が顔を出すように胸ポケットに入れる。
「え…カッコいい…!」
「うちの彼氏よりイケメンなんだけど…!」
「若い頃の夫も、あんな風に花を入れてめかしこんでいたねぇ…」
(あれ?もしかして私今すっごい恥ずかしいことしてない?)
そんな声が上がる中、私は大衆の面前でやるには随分とキザ過ぎる行動をしてしまったことに、恥ずかしさがこみ上げた。
手で持つには邪魔だし、かといって花一輪をそこらにポン置きするわけにもいかないからそうしただけなのだが、無意識に『間に合って良かったよ』でお馴染みの『完結編』デスラーの所作に似た行為をしてしまっていた。
デスラーだからあのシーンは成立しているのであって…いや、ここで道草を食っているわけにはいかない。
「それじゃあ、またね」
「はい!」
少女の頭を軽く撫で、満面の笑みを浮かべる彼女の視線を受けながら車内へ戻っていく。
「全く。普通だったら怒られるどころじゃ済まないぞ?」
「気持ちは分かるが、もうやっちゃダメだからな?」
「はい、ごめんなさい…」
窓を閉める直前、兵士と少女のそんなやり取りが耳に入った。
少女の「讃えたい」という純粋な気持ちを汲んだのか、兵士の声色は緩やかである。
しかし、叙勲者の車列に乱入するのは普通にやってはならない行為。しっかり注意を受けていた。
(ま、その子はまたやらかすんだけどね)
多分、兵士の注意は無駄に終わるだろう。
あの子、正式に叙勲者へ花束を贈呈する係として採用するよう具申してみようかな?
???「博士、収録場所間違ってます!」
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次で勲章受け取ってパーティー会場まで向かうことになりそうですね。主人公にはどんなドレスを着せようかな?
ガミラスの医療技術について、無菌室に患者を運んで執刀医がメスで直接手術する感じを予想してます。『2199』で佐渡先生が沖田艦長にやってたような手術よりも大分古臭いです。