転生したらガミラスの真田さん枠(なおロマンチスト)兼総統のお気に入りになってた件   作:夜叉烏

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夜叉烏です。あけましておめでとうございます。
今回より、此方も投稿を順次再開していきますのでよろしくです。

技術開発回か、日常回か迷いました。
ブルアカ二次が楽しくて書いてたら遅れてしまった…。


ガトランティス「あの、俺ゴミ箱じゃないんですけど?」

――ガシャァァァンッ!!

「あんのもみ上げクソデブ風情がぁっ!!」

 

 その日、ヴェルテ・タランは"ハルハのアトリエ"へ訪れたことを酷く後悔した。

 無駄に重武装な警備ロボ『霹靂ちゃん』――さり気なくバルカン砲の他自動擲弾銃(制圧用催涙弾装備)が追加されていた――に歓迎されながらハルハの研究室に足を踏み入れた瞬間、中身が入ったままのコーヒーが顔のすぐ横を通り過ぎたのである。

 案内役のヴァルケ・シュルツ大佐が『今、中将とのお話は遠慮いただいた方が…』と言っていたが、その意味が漸く分かった。何が原因なのか知らないが、これほどまで口汚く何者かを――十中八九ヘルム・ゼーリック国家元帥だろうが――罵り、物に当たる様は見たことがない。著しいキャラ崩壊を起こしていた。

 

「純血主義の癖してヤる女に拘らない色狂い野郎がぁッ!!*1『霹靂ちゃん』の錆にしてやるよこの野郎ッッ!!!!」

(うっわ帰りてぇ…)

 

 これにはタランもキャラ崩壊不可避。即座に踵を返して帰ろうとした。

 

「あ、師匠待ってたよ」(^^)ニコッ

「切り替え早いな!?!?この暴れ様で理性あるの逆に恐怖だぞ!?!?」

 

 ニッコリとした、この世に存在する年頃の少女なら黙っていない微笑みを浮かべてタランを呼び止めるハルハ。

 しかし、さっきまでの暴れ様を見ていた身からすれば、それは死神の暗黒微笑に感じた。

 

「全く、ロマンを理解できない上司程困ったものは無いね」

「ロマンは兎も角、理論や有用性、現実を無視する連中はそうだな。特に、貴族連中は戦術も戦略も知らない癖に無茶を言う」

 

 ハルハが満を持して開発した、時代と逆行するかのような実弾兵器。

 砲熕兵器に使用する実弾兵器自体の申請は通った。だが、ゼーリックをはじめとした貴族連中がその決定に口を挟んできたのだ。

 デスラーの鶴の一声により、その声は(表面上は)収まったのだが。

 

「やれやれ。『野蛮人の武器』だとか『火薬の臭いがいけ好かない』だとか、感情論でものを語りすぎだよ。…まぁ、総統が許可くれたしよかったけどね」

「うむ。…実弾の有用性は認めるがしかし、それを搭載する艦の改装はどうする?本来実弾を搭載する設計になっていない我が軍の艦、その他にもこれまでにない新機軸が大量だ。植民惑星を総動員しても…」

「うん。無理だねこれは。できるとしても…二桁年はかかるよ」

 

 現在、航宙艦隊・親衛艦隊は合計で万単位の艦艇を有し運用しているが、それら全てに改装を施す…となると、かなりの手間と時間が掛かる。

 

「正直、既存艦を廃艦にして新造艦で埋めた方が早いと思うよ」

「金持ちの思考だな。ある意味合理的ではあるが…戦闘艦艇だって、それほど気軽に造れるものではないんだぞ?」

 

 ビーム1発で轟沈する描写が多いせいで『消耗品』的なイメージが浮かびそうなガミラス艦だが、それでも『軍艦』である。1隻建造するだけでもそれなりに資源と金が要るのだ。

 万単位の艦艇を建造・運用できているのは、複数の植民惑星を有する一大星間軍事国家故である。

 

「それはそうだね。貴族全員が既存艦全部引き連れて外征して、何かの間違いで全艦未帰還になってくれないかな?それなら手間なく戦力転換できるのに。貴族なんて食器の持ち方とライバルの蹴落とし方しか学んでない低能ばっかりだし、旧式艦の在庫一掃もできるから一石二鳥だね」

「うん。お前もその貴族の出だからな?」

「私と父上は良い貴族だから。あんなのと一緒にしないでよ」

「自分勝手の化身がいやがる…」

 

 こいつの父親は私が知る限り模範的なガミラス軍人だった筈だが、どこで教育を間違えたんだ…タランは内心頭を抱える。

 すると、彼が1つの結論に思い至ったような表情になり、従兵役のガミロイドにより出された香茶のカップを置いた。

 

「…いや、まさかな…?」

「ん?どうしたの師匠?」

「あぁ、話が変わるが…総統が蛮族対処への兵力増強を命じられたのだ。その兵力の内訳がな…」

 

 言いながら、タランはハルハに端末を渡す。ホログラムへ映し出された参加艦艇の他、各戦隊の指揮官名が表示される。

 

「…え?多くないかい?」

「しかも、その艦隊の総司令はゼーリックの腹心と言える中将…勿論、貴族階級の男だ。というより、この艦隊の所属人員すべてが貴族派の純血主義者だ」

 

 現時点では虎の子であるゼルグート級を旗艦として配置。新鋭のハイゼラード級、ガイデロール級といった戦艦群の他、航空戦力の中核でるガイペロン級、航宙艦隊の突撃隊長ことメルトリア級、そしてお馴染みのデストリア・ケルカピア・クリピテラ3姉妹。

 しかも、総数凡そ4000隻。規模だけなら、2個空間機甲師団に匹敵する。現時点でのガミラスではかなりの戦力だ。というより、これに乗り組む乗員が全て純血ガミラス人なのが驚きである。

 『2199』劇中では3隻しか同型艦が確認できないゼルグート級が与えられている辺り、優遇されていると言える。デスラーが命じたのか、元貴族のコネ――貴族制度が廃止されているとて、その影響はすぐには無くならない――を使ったのかは分からないが。

 

「一応言うと、その司令だが…典型的な『大艦巨砲主義者』、総力戦・密集隊形での殲滅戦を好む男でね。艦隊も彼の私設艦隊だった。それに、他の元貴族将官の私設艦隊を吸収することでこの大艦隊を形成している」

「あ、うん。何となくわかったよ。『劣化版もみ上げ国家元帥』ってことだね」

「ここが防諜対策されてる部屋で良かったよ、全く。まぁ、言い得て妙ではあるが」

 

 口元を歪めながら言うタランの言葉に、ハルハは察した。その司令官は無能なのだと。

 『ガミラス艦隊と言えば機動力を活かした高機動戦術』というイメージが強いが、実際は違う。

 『戦列歩兵を思わせる密集隊形による突撃』。これがメジャーとなっている戦法だ。

 とはいえ、これがガミラス全軍で採用されているわけではなく、軍内の過半を占める『貴族出身の将官たち』が勝手にやっているだけであるが。

 

 要は『数を揃えて皆仲良く撃ちまくりながら馬鹿みたいに突っ込む』わけだ。そんな中で広まる思想と言えば『大艦巨砲主義』。巨大な艦体にあらゆる敵を薙ぎ払う火力を搭載すれば最強、「デカい=強い!」…という理論である。

 …とはいうが、実際は同格以上との戦闘経験が皆無な自軍を過信し切った貴族連中が、この単純明快な――悪く言えば戦術・戦略面で語るところが無い――理論を作り出したのかもしれない。

 

『我らが高貴なる青い肌の艦隊が大挙進軍すれば、蛮族共のボロ船などたちどころに沈むわっ!!変な小細工など使わずに正面から捻り潰してくれるっ!!』

 

 その司令官が今回の外征に任ぜられた際、そんな言葉を残していたという。

 なお、そんな彼の実績といったら、現占領下の有人惑星の制圧戦程度。戦闘艦艇を満足に揃えられない星に対する戦争とも呼べないものであるが、完全に彼の成功体験となっていたようだ。

 

「頭数を揃えて満足してるだけなんて、そんな司令官を乗せることになったゼルグートが可哀そうだよ。戦力でこっちが勝ろうと、確実に戦線は膠着して長期化する。無駄な戦力喪失も確実に増えるだろうね。やっぱり高機動戦術に限るよ」

「あぁ。ドメルはじめ、まともな将軍が1人でもいてくれたらよかったがな」

 

 人じゃなくて艦に同情するんかい…タランは内心でそう思いながら言った。

 

「…ん?」

 

 ――と、ハルハも何かに思い至る。

 ハルハの働きにより一気に旧式化した艦が大勢を占めるとて、現在のガトランティス相手には過剰と言える戦力、貴族派将兵のみの編成…。

 

「総統は、蛮族共を体のいい『掃除屋』にしようとしているみたいだな」

「…ははは。何というか、気性の荒いゴミ処理業者もいたものだね」

 

 デスラーは権力を持った不穏分子…つまりは元貴族の軍人たちの始末を、ガトランティスにやらせようとしている…2人はその結論に行きついた。

 

「下手に粛清を強行しようとすれば、色々と角が立つ。権力者なんて、どこにどんな繋がりがあるのか分からんからな」

「『ガトランティス制宙圏内の惑星を制圧・維持できたらその惑星を自らの領土としていい』とでも言ったのかな、総統は?貴族はプライドと支配欲が高い人ばかりだし、煽るのはさぞ簡単だったろうね」

 

 貴族制度を廃止し、以前ほどデカい顔ができなくなったゼーリックはじめ元貴族連中にとって、デスラーは分かり合えない存在だ。だからこそ、『2199』劇中で総統座乗艦の爆破及び観艦式を装ったクーデターを決行しようとするわけだが。

 そんな彼らを違和感の無いよう"処理"し、ついでに旧式艦の廃棄を行う為の采配である。

 どうやら、ハルハによる航宙艦隊の近代化は、彼女の与り知らぬところで貴族派勢力の弱体化に寄与していたようだ。

 

「まぁ、あのもみ上げ元帥殿が今の立場から引き摺り降ろされるのも、秒読みといったところかな?それはそれで、私も動きやすくなるしありがたいけどね」

「そうだな、次の建国際で姿が見れれば長く持った方だろう。…まぁ、総統が何をお考えかはさて置きだ。ハルハ、何の用で私を呼び出した?理由によってはただじゃ済まさんぞ?」

 

 ジト目でハルハを見据えながら訊くタラン。今まで彼女の我儘に振り回されてきた彼だ。そんな反応になるのも無理は無い。

 

「まぁまぁ、そんな怖い顔をしないで師匠。軍事…からはちょっと離れるけど、ガミラスの躍進に必要な発明についてなんだ」

 

 言いながら、テーブルに据え付けられたボタンを押す。ホログラムディスプレイが起動し、惑星の映像が映し出された。

 ガミラス支配領域内にある惑星の1つ。嘗てオルタリアと同等クラスの文明が栄えていたのだが、現地人たちが宗主国たるガミラスへ反旗を翻したことで、親衛隊によって遊星爆弾と惑星間弾道弾の絨毯爆撃が行われ、西暦2199年時点の地球に酷似した、赤茶けた大地が広がる死の星と化していた。

 

「この星で実験したいんだ。特に必要な設備やら装備は要らないんだけど…臣民を1人、被検体として欲しいかな。…あぁ、普通に暮らしてる市民じゃなくて、重犯罪を犯して死刑判決を受けた人ね」

 

 タランはゾッとした。

 今まで、ハルハはあらゆる要求をタランに付きつけてきたものだが、いずれも各種軍事機密の開示請求や"アトリエ"で勤務する技術者派遣の要請に留まっていた。

 しかし、ここに来て『人体実験に使う道具』として人員を要求してきたのだ。

 変人ではあるが、人道は外れていないと思っていた彼女だが、遂に本性を現したか…と感じた。

 …いや、普通に生活している臣民を対象から外す様口添えしているならまだ大丈夫、な筈である。

 

「…親衛隊に話を通せば見つかるだろう。だが、一体何をするつもりだ?新兵器の実験、というわけではなさそうだが」

「うん、そうだね…」

 

 ホログラムを閉じながら、ハルハは少し考え、にんまりとした笑みを浮かべながら言った。

 

「…"革新的な環境改変装置"の起動実験、とでも言っておこうかな?」

 

*1
『2199』14話参照。赤肌のオルタリア人女性を侍らすゼーリックが見れます(誰得)




何かヤベェことをしそうな主人公ちゃんですが、その詳細は数話開けてからの投稿で明らかにします。
次回は皆さまお待ちかねの新型艦艇のコーナーです。

感想いただけると幸いです。感想読んでいる時が一番生を実感してます。

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