お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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101:人の心

 軍事同盟のオペレーション・アマテラスが発動して、二日目。四皇”黒ひげ”と元・海軍大将クザンの存在が、非常に面倒だという事が判明した。だが、想定の範囲内。それぞれの能力が割れている以上、それを前提とした作戦で動いている。

 

 人間は、水さえあれば一ヵ月は生存できると言われている。だが、水がなければ2~3日程度だ。海賊島ハチノスは、小さい島だ。それこそ水源は限られており、既にビビのカビで汚染され、井戸の中には海賊の死体が詰まっており飲料水とはならない。飲めば、間違いなく死期を早める。

 

 では、何処で水分を補給するかという事になる。クザンの氷を当てにするにしても元・海軍大将が能力で作った氷だ。簡単に溶けない。溶かすための木材や物資もビビによる国土汚染でダメになっていた。

 

 唯一無事な水分は、ガラス瓶に入っていた酒の類だが・・・艦砲射撃の衝撃で相当数が破損し、無事なのは黒ひげ海賊団の船長クラスが独占していた。むしろ。一番有効的な使い道だ。しかし、その犠牲になる傘下の海賊達は、納得しないだろう。海の無法者達が、素直に犠牲になるはずもなく、本性を現す。

 

 ソラは、次なる手を打つ。砲弾の残量も十分あり、後10日程度は定期的な艦砲射撃が可能である。だが、惜しまず全力を出す。

 

「艦砲射撃を”黒ひげ”が抑え、”グリーン・ディ”をクザンが抑える。”チ〇チ〇ビーム”と”ムラムラビーム”をドクQが抑えた。伊達に四皇ではありません。日が沈んだら、ペルにCC製のガス兵器を持たせて下さい」

 

「兄様、ガス兵器もよいですが、海賊達の対応できる人材を減らすために、更なる手を打ちましょう。ビビ、ペルの背に乗って闇に紛れて島上空を通過。その際に、全力の覇王色の覇気で”インスタンス・ドミネーション”を使い、操り人形を増やしてください。狙いは、酒瓶や缶詰などの保存食系です」

 

「ソラもホタルも酷い事を考えますね。二人に比べれば、私なんて可愛い者ですよ。ペル、なんで今、目を背けたんですか? 言いたい事があるならはっきりと言いなさい。これでも、部下の進言を受け止める優しい王女で通っているんですから」

 

 意思決定する会議の場では、一方的に四皇を嬲り殺す方法が議論されている。このまま攻め続けてもいずれ堕ちる。だが、更に苦しめるにはどうすればいいかという議論だ。ちなみに、一番良いアイディアを出した者には、アラバスタ王家から褒美がでる。

 

 目を背けたペルは、心の中で言った。『ビビ王女も大概ですよ』と。

 

・・・

・・

 

 阿鼻叫喚の海賊島ハチノス。止む事がない艦砲射撃によって、島の原型は変わりつつある。無事な家屋はなく、生きている人間も激減した。死んだ人間は、腐敗対策で一か所に集められ、クザンが氷漬けにしている。

 

氷河時代(アイスエイジ)!! お前等、下がってろ!! それより、早くティーチを呼んで来い。能力で作られたカビだ。ティーチなら消せる」

 

 侵食するカビを抑えるクザン。何度も上乗せして氷漬けにしているが、徐々に浸食速度が速くなっている。決して手を抜いているわけではない。能力の相性も悪くないはずなのに、それを上回る力を見せつけられていた。

 

 クザンは悔しいながらもヤミヤミの能力に頼るしかなかった。既に島の大半に広まったカビを一度に抹消する事はできない。だが、部分的に汚染された場所を取り除く事は可能だ。鼬ごっこでもある為、延命処置に過ぎない。

 

「無理ですって、クザンさん。相手の艦砲射撃もあり手が離せないので、お前等で対処しろって言われたじゃないですか。海を凍らせて、そこに移動しましょう。もう、この島はダメです」

 

「馬鹿野郎!! 俺の能力を知っている奴らが居るのに、海上になんて逃げれば海の藻屑にされるぞ。それに、海には強力な魚人がいる・・・おそらく、王下七武海のジンベエ級が二人もだ。お前、海で魚人に勝てるのか?」

 

 クザンの一言で青ざめる海賊達。

 

 海は海賊の主戦場だと勘違いしている者達。海は、魚人の主戦場だ。海賊達の中でも、なぜか魚人達の地位は低い。それこそ、少し前まで世界政府に加盟しているにも関わらず、シャボンディ諸島のヒューマンショップで普通に売買されているのだから、勘違いしている馬鹿もまだ多い。

 

 だが、まだまだ軍事同盟の攻撃は続く。

 

 寝る暇もなく酷使される黒ひげ海賊団の船長達。彼等が休んだ瞬間、どこかに綻びが生まれてしまう。

 

 

◇◆◇◆

 

 能力に絶対的な自信を持つ黒ひげであっても、人間だ。飲まず、食わず、休まず、能力を酷使させられ続ければ疲弊もする。グラグラの実の能力も当初と比べて、大幅に規模が縮小してしまっていた。それこそ、死に際の衰えた”白ひげ”程度の力しか振舞えなくなる。

 

 苛立つ”黒ひげ”は、部下からの報告を聞く。丸二日、休まず労働する事など年寄りには堪える事だ。

 

「はぁはぁ、それで被害報告を早くしろ!! 俺様は、疲れてんだ」

 

「昨晩、ガス兵器が使用され生存していた者達の半数は、生きてはいますが助かりません。また、謎の寄生キノコによる洗脳で海賊達が操られ、僅かな水や食料がダメにされました」

 

 思わず頭を抱えた”黒ひげ”。昨晩、確かに強大な覇王色の覇気を感じた。だが、それも一定水準以上の覇気使いなら抵抗できる。できなかった者達が操られたんだと理解した。

 

「一体、何の能力者だ。軍事同盟の連中は、どれだけ便利な人材を抱えていやがる。俺たちより、カイドウの方に行っておけよ。あいつらの方が知名度もあるし、やっている事は非道だぞ」

 

「お労しや”黒ひげ”上・・・失礼。軍事同盟の艦砲射撃の終わりが見えず、カビの侵食も既に抑え込むのには限界だとクザンさんより連絡もありました。推定20km以上先からの砲撃ですが、クザンさんとラフィットさんの両名ならばたどり着けると思います」

 

 大軍を連れて海を移動する事は不可能だ。だが、飛行可能な能力や海を凍らせる事が可能な能力者なら辿り着ける。だが、辿り着けるだけだ・・・そこで戦いになった場合、相手の兵力がまるで分らない。

 

 むしろ、各個撃破されてしまう事こそ最悪だ。

 

 なにより、クザンを失ってしまったら”黒ひげ”はこの状況から逃げ出す術を失う事になる。それだけは避けたかった。最悪、自分とクザンだけでも生きていれば黒ひげ海賊団は再起できる。

 

「いいや、それはダメだ。相手は、ハンコックやレイリーを殺した連中だ。少数でどうにかできる連中じゃない事はわかりきっている。安心しろ、軍事同盟とて無限に物資があるわけじゃない。すでに二日目だ。後1日か2日で在庫を切れ起こす・・・はず。その時が、あいつらの最後さ。ゼハハハハハ」

 

「そうですよね、ティーチ提督。流石に、軍事同盟もこれ以上の手はありませんよね。

港を吹き飛ばす程の爆弾、艦砲射撃、殺人カビとキノコ兵、謎の性的興奮を引き起こす能力、寄生キノコ、ガス兵器・・・これじゃ、どっちが海賊だってレベルですもの」

 

 笑っていないと現実を見てしまうため、笑い話にしようとしている。

 

 だが、現実は甘くはなかった。この時、ビビが考案した嫌がらせが発動する。海賊島ハチノスに対してある通達が流れる。

 

『海賊島ハチノスの海賊に告げる。四皇”黒ひげ”の首を献上する事で、殺害ではなく捕縛して海軍経由で君達全員をインペルダウン送りにする事を約束する。もしくは、海賊の生首を5つ持参した海賊にも同様の権利を与える。海賊は海の掟で仲間殺しは重罪だ。それをもって信頼の証とする。首を持ち海に飛び込めば、我々の魚人の部下達が三食昼寝付きで君たちを待っている。下剋上や裏切りは海賊の十八番のはず。今死ぬか、インペルダウンでチャンスを待つか選べ』

 

 インペルダウンでは、二週間と待たずに処刑が実行されている。しかし、世間的にはあまり知られていない実情だ。今死ぬか、後で死ぬかの選択でしかない。だが、生存の芽がある方に賭けたくなるのも人間の心情だ。

 

 孤立無援で、飯もなければ、海賊の首をもって海に逃げる事こそ助かる唯一の道。

 

「やり方がきたねーーぞ!! 軍事同盟!! お前等に人の心はねーのかよ。俺たち海賊だって、この世界で生きている命だぞ」

 

「ティーチ提督。でも、我々海賊じゃないですか。むしろ、人の心があるから今の現状では?」

 

 部下に突っ込みを入れられる”黒ひげ”。

 

 それもそうか・・・と、ある意味納得した。海賊に人権など存在しない。それを承知でこの世界に飛び込んだ。それが嫌なら、民間人でもやってろとなる。

 

 だが、そんな悠長な事を言っていられる状況でもなくなる。既に、この状況に嫌気が刺した海賊達は仲間であった者達の首をはねる愚行に出始めた。自分だけが助かれば後は知らぬ存ぜぬ。人間の風上にもおけないような者達だ。




後、少しで海賊島ハチノス編は終わるかも。

そうしたら、ワノ国にお邪魔しないとね。
ソラとホタルの刀もお返しする為にも・・・過去の因縁を晴らしにね。

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