お前のONE PIECEは、預かった!   作:新グロモント

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106:ワノ国

 ワノ国は、断崖絶壁の滝の上にある特殊地形の国だ。天然の要塞を持つワノ国への入国方法は、主に(・・)二つある。

 

 一つ目は、鯉をつかった滝登りだ。正直小型の船ならばこれでも良い。だが、軍艦や大型船には不向きだ。それこそ、着水時に軍艦が真っ二つになる可能性もある。

 

 二つ目は、正規(・・)の港を利用する方法だ。現状、カイドウが国を支配している都合上、ココからの入国は絶対にばれる。

 

 いずれのルートを選択するにせよワノ国に近づく船を監視している監視塔が存在している。見つかると百獣海賊団に連絡が行き、リモート砲撃により撃退モードにはいる。しかも海流も荒れ狂っており、下手に近づいてしまえば引き返せず監視塔がある場所を通る事になる。

 

 すでに潜入済みの最悪の世代には、こういう物騒な物を破壊しておいてほしいとソラは本気で思っていた。

 

「イーロン、ケイミー・・・魚人部隊を連れて、先行。監視塔を全て破壊。そして、正規の港を制圧します。おそらく、正規の港内部には昇降機があり船を上に運べるはずです。その場に居る海賊達は、皆殺しで構いません。施設への被害は、多少なら問題ありませんので、気にしないでください」

 

「承知した。正規の港には、それなりの兵士がいる可能性があるので儂とケイミーの二人で潰そう。大人数だと潜入もバレやすいからな。監視塔程度なら他でも問題あるまい」

 

 滝の上に上がるまでは出来るだけ静かに行きたい軍事同盟。一応、世界政府非加盟国なので、何をやっても世界政府としては何も咎めない。だが、ソラとホタルの恩人の国でもあるので、一定の配慮が指示されていた。

 

「緑牛さん、ワズキャン、ルッチ、ジャブラ、フクロウの五人は、白舞に潜入してゴミ掃除をお願いします。貴方たち先遣隊が上から、残る我々が下から、ワノ国を占拠します。緑牛さん、貴方の能力で運べますよね?」

 

「当然だ。それにしてもようやく出番か!! 派手にやりたいが、スマートにこなしてきてやるぜ。大地がある場所で俺のモリモリの実は無敵だ」

 

 緑牛の能力で、謎のタケコプターもどきが生えて全員が空を飛んだ。それを見て、ソラは思った・・・これなら軍艦全部運んでもらえたんじゃないかなと。そういう事の報・連・相が出来ていないから海軍は困ったものだと内心思っていた。

 

「えぇ、存じております。だから、スマートにゴミだけを確実に殺してください。海賊に加担した侍などは殺処分で問題ありません。民間人や海賊を除く無抵抗な人に対してはお手柔らかに。それさえ守ってくれるのでしたら、いかようにされても私が全責任を取ります」

 

「殺人許可証を俺になんて、分かってんな。そこに痺れる、憧れる~!! 話の分かる上司ってのはいいな。暴力は、より圧倒的な暴力でねじ伏せられる事を教えてきてやる。誰一人生かして帰さねーーぞ」

 

 二人目の四皇”カイドウ”を殲滅する為、軍事同盟は行動を開始した。その日、偶然にも”麦わらの一味”含む侍一同が”カイドウ”討伐の為、総力を決して鬼ヶ島に討ち入りを始めた真っ最中だった。

 

 あと少しソラ達が早く到着していれば、カイドウ討伐まで共闘もしくは、カイドウ討伐前に一戦交えるなども選択肢はあった。しかし、今から追いかけて海賊と仲良くカイドウを討伐するという選択肢は軍事同盟にはなかった。

 

 鬼の居ぬ間に洗濯という諺がある。火祭りという事もあり百獣海賊団の殆どがカイドウの元に集まっていて残る地上戦力は少ないうえに、祭りで浮かれている。騒ぎに紛れて海賊達を皆殺しにするには最高の機会だ。

 

 

・・・

・・

 

 モグラ港では、鬼ヶ島で開催される火祭りに参加できなかった海賊達が鬱憤を溜めていた。美味い飯、綺麗な女などが揃う年に一度の祭りに参加できなく荒れている。だから、町から無理やり連れてきた女たちに無理やり奉仕させ、己の欲求を晴らしていた。

 

 年に一度、火祭りだけは海賊の事を忘れたい町の住人達にとって、最悪な日にされ泣く女性たち。恋人や家族が居ようとも海賊には関係ない。このワノ国おいて、絶対的な権力者である百獣海賊団に逆らうなど死ぬにも等しい。だから、我慢し続けるしかなかった。

 

 モグラ港の休憩室(意味深)には、慰み者にされた町の女性たちが涙を流していた。神も仏もないこの世に。かつて、ワノ国に居た侍達もわが身可愛さでカイドウや悪政を敷くオロチに寝返った者も多くおり、侍とは名ばかりの者達ばかりになった。

 

 奪われ、犯され、いつしか希望すら失った者達。神にも見捨てられたかと思った彼女達・・・だが、捨てる神が居れば拾う神もいた。

 

 町娘を襲おうとして、ズボンを脱ごうとした海賊の頭が消し飛んだ。

 

「えっ!?」

 

「まだ、こんな古典的なゴミ海賊が居たんですね。同じ空気を吸うのも嫌になります。はやく潰してホタルお姉様に褒めてもらわないと。隣の部屋にもいますね・・・”撃水”」

 

 ケイミーが数発の水を打ち出すと、壁を軽々と貫通して無責任な子作りをしていた海賊達の頭をぶち抜いて絶命させていった。見聞色の覇気で気配を察知して、”撃水”で暗殺を決めていくスタイル。

 

「ま、まって!! こんな事をしたら、貴方が殺されてしまうわ」

 

「安心しなさいとは言わないわ。でも、これから私達が百獣海賊団を皆殺しにしていくから大人しくしてなさい。でも、裏切って海賊側に味方するような行為をしたら、敵対行動とみなす。まぁ、見てなさい。私のお姉様は最強なんだから」

 

 ケイミー・・・いつの間にか、ホタルの妹として自分を認識し始めた。既に、存在しない記憶まで捏造し始めており、手遅れだ。本当の親御さんは、どうしてこうなったのかと涙を流している。どこにでもいる普通の人魚だったのに、今では魚人島で彼女の名を知らない者はいない。

 

 マーメイドカフェの店員だったという過去もある事から、今ではその店は、マー冥途(・・)カフェと揶揄される。

 

 

 一方、地上にあるモグラ港の出口である白舞では、地中から生えた謎の木々によって海賊達が真っ赤な花として飾られていた。滴り落ちる血のしずくが地面を真っ赤に染め上げており、火祭りならぬ血祭りの開催会場となっていた。

 

 幹部海賊達は全員鬼ヶ島に集結しており、町に残っているお呼びされなかった雑魚海賊など海軍大将緑牛や軍事同盟の特機戦力達の相手が勤まる事はない。

 

「ひゃっはーー!! 逃げる奴は海賊だ、逃げない奴はよく訓練された海賊だ。こちとら、天下の天竜人様のお墨付き殺人許可証持ちだ。死にたい奴からかかってきやがれ」

 

「広範囲殲滅は、自然系(ロギア)の十八番だな。緑牛・・・あまり力を見せすぎるな。何処に監視の目があるか分からん。奥の手の一つや二つは残しておけ。それが長生きの秘訣だ。ソラからの受け売りだがな」

 

 ルッチが緑牛と仲良く海賊を皆殺している。白舞の住人からしたら突然謎の集団が現れて海賊を殺し回っているのだから、笑えない。火祭りが終わり海賊達が戻ってきたら、海賊が殺された責任を誰がとるのかという問題が生じる。

 

「わかってるよ。だが、それは俺だけに言う事か。自然系(ロギア)っていうなら、あっちで海賊をキャンプファイヤーの火種にしているワズキャンってやつも相当やべーだろう。あの悪魔の実は、元・白ひげ海賊団の”火拳のエース”の物だ」

 

「酷いな。僕なんて軍事同盟のコックで海軍大将や元・CP9と一緒にして欲しくないな。それに、もうビビにも勝てない何処にでもいるおじさんだよ。若い子の成長って早くていやだね~」

 

 ワズキャン。ソラの船に乗船している最古参の船員だ。この二年でビビが急成長するまでの間、彼女の指導役をしていたと言えばその実力は確かだと誰もが納得する。彼が食堂のコックを務めているため、食卓で暴れるようなバカはほとんどいない。

 

 緑牛とワズキャンの自然系(ロギア)の相性は、森と火で相性は悪い。だが、それでも自然系(ロギア)が二人も地上で暴れる脅威を止められる者はこの場にはいなかった。

 

 僅か数名で海賊達を殺しつくし、一か所に集めて燃やす男達に町の住人は嵐が過ぎるのを待つしかできなかった。住人たちが心を開くのは、ソラ達が地下から上がってきて、食料を振舞いチユチユの実の能力を分け与えた時だ。

 

 鎖国した国の情報を入手するのには、町の住人から話を聞くのが一番早くて正確だ。それに、この町の住人もネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング号を見ると外から助けが来たと受け入れ始める。

 

 ソラは、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング号とは、いったい何なのか疑問に思い始めた。

 

 

◆◇◆◇

 

 白舞を解放し軍艦を寄港させたソラ達。町の責任者と会話する為、代表としてソラとホタルとビビの三名が話に行く。外国からの助っ人など通常あり得ない。だが、モグラ港という正規ルートでの登場だ。

 

 モグラ港に居た海賊達は皆殺しにして、囚われた町娘たちも助け出してくれた事もあり無下にはされない。なにせ、カイドウが来る前にそのまま引き返してくれと言われるほどだ。恩人に対して出来るせめてもの恩返しがそれだという事だ。

 

「町長。私は、このワノ国の方に恩義があります。命を助けられた恩は、恩で返す。鬼ヶ島にカイドウ討伐に向かっている海賊・侍同盟程ではないかもしれませんが、我々もなかなか強いですからご安心を」

 

「分かりました。ご武運をソラ殿」

 

 ソラが町長に挨拶を終え、ワノ国の首都である花の都に向かう事にした。船に戻るとイーロンから電伝虫の連絡が入る。

 

『ソラか。お前さんが言っていた通り、水没した都があった。なんか重要そうな場所に真っ赤な石があるが、これでいいのか?よくわからん文字で書いてあるぞ』

 

『よくやりました、イーロン。その石を船まで運んできてください。誰にも見られないように麻袋に包んでお願いします。船の倉庫に積み込むのもイーロンだけでお願いします。それが何なのか知りたいなら教えますが・・・魚人島が消される可能性もありますよ。知りたいですか?』

 

 イーロンは、そんな重要な物を自分に見せるなと少し思っていた。ここから運び出す謎の正方形の赤い岩。これがどれだけ重要な物かは知らないが、厄ネタ満載だと理解する。

 

『そういう事なら先に言ってくれ。儂もルッチに習って一発殴る事で許してやる』

 

『天竜人をそんなボコボコ殴らないでください。でも、助かってますよイーロン』

 

 大海賊時代を終わらせる一つのキー。四つ揃って初めて開く扉があるとする。その鍵の一つが世界政府のお膝元である聖地マリージョアで保管される事になれば、どうなるだろうか。ソラは今からわくわくが止まらなかった。

 

 そして、こういう大事な事は後見人である店長にも伝えるのが従業員の義務だ。

 

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